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宝塚花組「TOP HAT」梅芸 [観劇感想(宝塚)]

宝塚花組「TOP HAT」
2022年4月1日(金)11:30 梅田芸術劇場 3階2列上手サブセンター

かなり昔に宙組公演を見た。「ああブロードウェイミュージカルの古典だな~」という感想しか思い出せない。そして今回も、やはり同じ感想。それでも登場人物がお金持ちで衣装やセットが豪華だし、主役がダンサーだから華やかなショーシーンがあるので嬉しい。
本作では、いつも巻き込まれがちな柚香さんが自ら動いている珍しい姿を見られた。水美さんとのコンビはもう「イケメン・コンビ」と言っていいかと。音さんの怪演も健在。星風さんは安定の美しさで満足。
楽しく笑って心と目の保養をさせていただきました。昨日下で花組別動隊「冬霞の巴里」を見てすっごく頭使ったから(目と耳は保養しつつ)、今日は軽く笑えて満足。

202203花トップハット.jpg

ミュージカル
『TOP HAT』
Music & Lyrics by Irving Berlin
Based on RKO’s Motion Picture
Book by Matthew White & Howard Jacques
Based on the Screenplay by Dwight Taylor & Allan Scott
Presented by Arrangement with RKO Pictures LLC, Warner Bros. Theatre Ventures Inc. and the Irving Berlin Music Company
Originally Produced on the West End Stage by Kenneth H. Wax
脚本・演出/齋藤 吉正


柚香さんって、あんなイケメンだけど、まじめで大人しい/モテモテ優男だけど無害/みたいな役が多い印象で、いつもヒロインに巻き込まれるような話が多かったような気がしていた。私はひそかに「巻き込まれ型主人公No1」と称していた。
ところがその柚香さんが能動的に動いている!古典作品らしく、すれ違いと誤解の積み重ねで巻き起こるドタバタ・コメディなのだけど、柚香さんが動き、ドタバタひっかきまわす役が水美さん。どっしり構えてかき混ぜる役が音さん。そして真ん中で盛大に回るのが星風さん。あとまじめに煽る執事の輝月さん、振り回される哀れなデザイナーの帆純さん。これで全部。合間に楽しい豪華レビュー場面が入るので約2時間。単純に楽しかった。

ジェリー・トラバース(柚香 光)
公演のためにロンドンを訪れたブロードウェイのスターダンサー。幕開きから舞台のレビューシーンでとても豪華。黒燕尾にステッキが似合います!そしてタップダンス。この人数でのタップダンスは迫力がある。宝塚のショーっぽい場面が多くて、そこはとても満足(ただ不満は、ダンサー水美さんがプロデューサーという役柄上ダンス場面に出られないことだ)。
ジェリーはアメリカでは有名人のトップスターで、モテモテのはず。浮いた話はありそうだけど、本人は本気の恋はまだまだという雰囲気。その彼が、ホテルの部屋に苦情を言いにやってきたデイルに一目惚れして、話が始まる。そこからは攻めの一手で、押して押して押しまくる(でも名乗らない;笑)。かなり強引というか、現代からすれば犯罪になってしまうものまであり(おおらかな時代よね)強引に頑張る。その甲斐あり相思相愛。でも誤解からすれ違い、破局と終わる・・がスターらしい我がままを言って結局彼女を追ってベネチアへ。そこでまたまたいろいろあるけど誤解が解けて大団円。
そのあたりのすれ違いが、やっぱり何度見ても楽しいな。ちゃんと「すれ違い/誤解」が自然な感じに見えました。『冬霞』でも書いたけど(重みが全く違いますが人生に影響するは同じだしね)「ちゃんと事実確認しようね」というのは同じですな。
柚香さんは、ジュリーって大スターなのに善良で謙虚さのある人というのが良く出ていた。本当はもっとスター然としているのかもしれないけど、ホレスと私的な会話は、親友なのね~こういう人なのね~と思える距離感と本音感があった。デイルのどこにそんなに惚れたのかが分かりにくいけど、お似合いのカップルだし、紆余曲折があっても一途で男らしく情熱があってとても素敵な殿方でした。結婚相手にしたいタイプ!
台詞の声はまだ聞こえるんだけど、歌になるとちょっと弱い?3階だとなんか「今の歌詞なんて言ったの?」って思ってしまったところが。一階前方で見れたらまた感想が違うのかもしれないが、当たらなかったのよ~3階しか。あ、声が細いから、おとなしめの人物に見えるのかも?と書いていて思った。横で大騒ぎしている水美さんの声ばっかり聞こえる。


デイル・トレモント(星風 まどか)
ファッションモデル。ロンドンのホテルでジェリーと出会い、一目惚れされてから物語が激しく動く。イタリアのデザイナーと専属契約しているモデルさんだけど、あまり仕事はしてない?ステージモデルじゃないようね。上流階級の出身で社交界で注目される人物、そこを見込んでモデル(というかアルベールのデザインした服を着ているだけで宣伝になるという存在って言ってた)なのですね。華やかでゴージャスで、でも退廃的なところはなく、可愛く上品でコケティッシュなところもあって、理想的な上流のお嬢様にみえた。彼女をモデルに選んだアルベール偉い。
でもちょっと早とちりさんだ。思い込みで行動してる。ジュリーの行動もかなり誤解を招くものだったけど、親友の名前でとったホテルに泊まり、親友宛に来た電報を取りに行ってあげるくらいは普通にするよね。デイルが見ていたタイミングが悪かったとしか思えない。個々がすべての誤解とすれ違いのスタート。でもこのグダグダが無かったら、デイルはジュリーとあんなに熱烈に恋に落ちたかな?という気もする(ごめん)。
というわけで、傷害などないはずの恋に、山のような障害が現れ、激しく燃え上がったのかなとも思った。最後はまとまるところにまとまるという正統派古典作品らしく、安心して見ていられます。
星風さんは本当に可憐でドレスが似合って可愛い。歌も良い。台詞はもう少し強弱つけるのを弱くしてほしいなあ~って私は前から思ってる。


ホレス・ハードウィック(水美 舞斗)
ジェリーをロンドンの公演に招待したプロデューサー。もともと名家の出だと思うけど(あんまり剛腕に見えないから)、お仕事もそこそこ成功しているのでしょう。妻の浪費に耐え得る金持ちだ。落ち着いた紳士かと思いきや、見た目に反してかなり小心なところや落ち着きのないところがある。親友ジュリーといるときは特に顕著だ。妻のマッジには全く頭が上がらない。物理的にも精神的にも負けている。一人で大騒ぎして、事態を悪化させる場面もある。だがほとんどは己の首を絞める結果にしかなってないので、主役カップル的には無害なのかも。最後は妻に許してもらい、仲良く円満夫婦でエンド。結婚は墓場だ!みたいなことを言いつつ、幸せ夫婦やんね、と思いました。
水美さんはお鬚が似合う。ダンディになるのにイケメン。焦りまくる様子がとても若く見えるが、可愛い。何度も「ちょっと落ち着け!」と肩をたたいてあげたくなった。きっと執事のベイル氏もそう思っているだろう。落ち着きのない小心ものだけど(ヒドイ)お金持ちで見た目もいいからモテモテでしょうね。妻もそう言ってる。妻が思うほど遊んでないのは、妻が思うよりも小心者だからかもしれないね(笑)。ということで、水美さん素敵なオジサマでした。ダンス場面にフィナーレまで参加できなかったのが最大の残念。ま、掛け合い言い合いの機関銃台詞なのだと思うけど、もうちょっとだけ落ち着いて話して~と思う。


マッジ・ハードウィック(音 くり寿)
ホレスの妻で、デイルの友人。なんだか一人とっても年配の「おばちゃん」風味が出ていた。おせっかい焼きな感じなのはいいけど、そこまで年配感を出さなくても・・ホレスがそんなに老けて見えないから、マッジのどこにそんなに惚れて込んでいるのかがわからなくなるわ。お化粧や仕草がおばちゃん(おばさまでもない)ので、ちょっとやりすぎな気も。あのホレスの妻で、ジュリーの友人ならもう少し上流マダム感が欲しいなあ。
歌はいつもながら見事です。メイクとお芝居が、ちょっと怪演依りすぎかな。ポスターの印象みたいな、もっと普通の若いマダムのほうが物語に合ってると思う。歌はとても上手いし、セリフの声も明瞭で分かりやすいので、あとはメイクと芝居をもう少し若めにしていただきたいところ。


ベイツ(輝月 ゆうま)
ハードウィック家の執事。まじめで堅い圧迫感のある執事。確実に主人より奥様についている(夫婦の力関係をよく理解している)。ジェリーよりホレスよりかなりの長身で、無言で立っていても物理的な圧力も感じる。強い執事です。
彼はまじめに仕事をするのですが、ホレスにはちょっと厳しい目(笑)。このまじめな方が意外にお茶目で、最後にひっくり返してくれる神様のような方。
輝月さんの芝居は大変上手い。タイミングやら表情が最高。三階からでも見える(ような気がする)。台詞は間違いなく3階でも聞き取れる。なのでもう文句なし。

アルベルト・べディーニ(帆純 まひろ)
デイル専属のイタリア人ファッションデザイナー。なんか可愛い。言葉が変なだけの(外国人だし)まじめなデザイナーに見える。まだ売り出し中で、デイルとは子供のころからの友達という感じかな。アルベルト自身も良い家の子みたいで、売り出しのために友人のデイルに頼んだって感じ、それで売れてきて今じゃ一流の仲間入り?って感じでしょうか。
ジュリーもだけど、一流のアーティストの割に、良い人というか思いやりがあるというか、なんか善良な雰囲気が出ている。本当にデイルのことが好きだったみたいで、この機会に思い切って告白してOK貰って結婚して・・・なのに有能執事のせいで!とすごく可哀そうになった。
前回宙組で見たときは、もっとパジャマのセンスが「うん?」で、強引でエキセントリックな人、変人度が高めに感じたから(愛月さんの怪演?)、今回はなんか常識あるいい人で、彼の失恋に慰めてあげたくなりました。アルベルトも美形だから、自分でドレス着てもいいんじゃ?って思った。なんせパジャマがナルシストの権化でしたもん。ああやっぱり変人度高いのかもしれない。
変な外人アクセントの話し方でしたが、大事なセリフは聞き取りやすく話してくれてよかった。感謝。
帆純さんのお芝居は割と「うーん」と思うことが多いけれど、今回はとてもよかったです!歌も上手く聞こえたし!


ストーリーに関係する登場人物はほぼこれで全部。さすがのブロードウェイミュージカルですわ。あとの皆様はショー場面のダンサー(ショー場面は見事!)や、見覚えのある衣装のホテルマンとメイド。

印象に残ったのは、1幕でやたら馬蹄型の花輪?をもってうろうろしている可愛いメイドさん。一人制服が違うので花屋の店員なのかも。今日届いた歌劇を読んで、詩希すみれさんだと分かった。あの花輪は大事な小道具でストーリーに絡むので、それを持っている詩希すみれさんのティリーも記憶に残る。あと目立つ華やか衣装で真ん中で踊っていたダンサー華雅りりかさん(多分)。
2幕は、いい声で歌っていたベネチアのホテル専属歌手・羽立 光来氏。そしてベネチアの警察ってあんな「衣装」なの?と思った警官の舞月なぎさ氏。あとは1幕も2幕もポーター・メイド・ウェイターばかり。見たことのある制服が多用されておりましたね。


ブロードウェイミュージカルだから登場人物が超が付くほど少なく、地下DCで上演中の『冬霞の巴里』チームに主要な若手がほとんど行ってしまった結果、余計に周りが寂しく感じてしまった。今回の花組公演、個人的には『冬霞の巴里』が凄く好みだったのですが、『TOP HAT』はまるで正反対の演目だったので、両方ともとっても楽しめました。



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