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宝塚星組「1789-バスチーユの恋人たち」初日 [観劇感想(宝塚)]

宝塚星組「1789-バスチーユの恋人たち」
2023年6月2日(金)初日 15:30 2階12列センター



3時間遅れの星組初日、幸運なことにチケットが取れていましたので、豪雨の中見に行きました。
いつ電車が止まるかハラハラしながら午前中を過ごし、結局はちょっと強い雨だよねという程度で何とか無事に劇場で開幕。

素晴らしかった!!!
記憶しているのは月組の初演と、東宝版。どちらも感動したけれど、今回はさらに!って感じです。
「フレンチ・ミュージカルの申し子」という肩書に相応しい礼さんの歌の素晴らしさ、最近素晴らしく良い声に磨きがかかってきた暁さん。オランプの理想像のような可愛らしい舞空さん。似合いすぎの色男な瀬央さん、猛特訓したのね!と思った極美さん、さすがの実力の有紗さん。キャスティングがぴったり嵌っていて、歌が不安定な方もおらず、素晴らしい迫力でした。何度も見たい!と思います(チケット的に難しいけど)

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三井住友VISAカード シアター
スペクタクル・ミュージカル
『1789 -バスティーユの恋人たち-』
Le Spectacle Musical ≪1789 - Les Amants de la Bastille≫
Produced by NTCA PRODUCTIONS, Dove Attia and Albert Cohen
International Licensing & Booking, G.L.O, Guillaume Lagorce
潤色・演出/小池 修一郎


初日かつ開演時間を遅らせたとは思えないほど見事な出来だった。もう1回見てから書こうと思っていたけれど、いつになるかわからないので覚えているところを書いておきます。

迫力が素晴らしい。音楽の力とそれをフルに発揮する歌。衣装も装置もそれぞれの役にぴったりに合っていて、農民や平民はそれらしく、貴族王族は豪華。間に挟まれるダンスがまた見事。歌えて踊れる宝塚を実感する。フィナーレのダンスまで最高でした。

ロナン・マズリエ/礼 真琴
パリに近い農村の青年で、父親たちが理不尽に逮捕されそうなことに抗議し、逆に彼を庇った父が射殺され。結果、無力を感じたロナンはパリへ。(いつも思うのだが、この場面で「私はどうすればいいの!?」と叫ぶ妹を残していくのはちょっとどうかと思う。もうちょっと妹を大事にしてあげてほしい)。そしてパリに出て革命家の青年たちと知り合い仲間となり、同志となり、勇敢に革命を戦う。その途中で、貴族のお嬢さんと恋に落ち成就させ‥と人生を超スピードで駆け抜けるのだ。その勢いが素晴らしい。礼さんの声の迫力がロナンの駆け抜けた人生と思いを伝えてくれる。
初演のロナン(龍さん)は服装が立派で佇まいも端正で、田舎の裕福な農民の子に見えた。なんだかなあと違和感があった。東宝版ではかなり改善されていた。今回はそれが解消された。つまり礼さんは貧しく虐げられた農民青年、素直な怒りをもって立ち上がる青年を感じた。その後も衣装は農民から貧しい労働者という感じで、最後まで豪華にならなかったのも良かった。(近くで見たら違うのかもしれないが、B席から見たらそう感じた)
衣装が地味でも、主役に見える。ちゃんと彼が物語を動かしていた。それだけ圧倒的な存在感。圧のある歌声。さすが礼真琴!と大絶賛です。

オランプ・デュ・ピュジェ/舞空 瞳
下級貴族のお嬢さんで、実力を認められて王太子の養育係になる。王妃様の信頼おける侍女でもある。だが革命の戦士であるロナンと恋に落ち恋人同士になり、王宮を出ていくが・・・。このサブタイトルの「恋人たち」の第1カップル。まじめで誠実で、芯のある女性。宮廷貴族じゃないからか、考え方が平民に近い。だから無実の罪に落としてしまったロナンを同じ人間として助けに行き、彼の人柄に惹かれ恋をするのだな。
今回、トップコンビがロナンとオランプというサブタイトルにある恋人同士になって、本当にストーリーがすっきりした。これが本筋だよなあと実感する。前回月はなぜあんな変則にしたのか疑問だ。
舞空さん、可愛い。オランプのシンプルなドレスが似合う。清楚で可愛くて、宮廷貴族に無い可憐な魅力がある。あの宮廷にいてその魅力を失わないなんて、そりゃみんな惚れるよねと納得する可愛らしさ。前公演からものすごく可愛さが進化していると思う。


<王宮の方々>
シャルル・アルトワ/瀬央 ゆりあ
ルイ16世の弟。兄とは全く似てない美貌の色男。本当に血がつながっているのか疑問に思うほど、見た目も性格も違う。現在の王家を革命で潰し(その間自分は亡命)その後に、自滅した革命を潰して、新しい国王になる予定(実際になった)。腹黒さが顔に出ているが、大変美しい。そのため、秘密警察を使って王妃のスキャンダルを追っている。そのせいでロナンとオランプが恋に落ちるのですが。後半は亡命してしまうので居なくなりますが、前半は豪勢にご活躍。宮廷場面を担当される方なので、出番が豪華です。瀬央さんの豪華なお顔にあの衣装がとてもお似合いです。こういう役もいいですなあ。

マリー・アントワネット/有沙 瞳
フランス王妃。可愛くて遊び好きで、陽気な女性。恋する乙女であり、優しい母でもある。彼女にとっては胸がときめき恋する相手はフェルゼンで、家族として愛する男性がルイ16世なのが良く分かる。信頼できる人が少なくて、同じ恋する乙女のオランプに寄せる愛情も素敵。感情も豊かで、優しくて、可愛くて素直。王妃じゃなければ、幸せになれたのに‥と思う。ちょっと甘めに作った声がぴったり。
豪華な衣装の数々、当たり前だけどトップ娘役よりもずっと豪華。何度もヒロインを演じてきた有紗さんの最後の役に相応しい大役でした。もちろん見事に本作の可愛い王妃を演じてらっしゃいます。

ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン/天飛 華音
スウェーデン将校で、王妃様の恋人。とても凛々しい。マントが似合ってかっこいい。ベルサイユのばらでは主役ですもんね。今回はツバメに見えなかった。天飛フェルゼンは大人っぽくてかっこいい! 王妃様が「アクセル」と呼ぶのも好き。

ルイ16世/ひろ香 祐
フランス国王で、アントワネットさまの夫。イメージ通りの優しそうでオタクな雰囲気の好人物。この人も田舎貴族の当主くらいに生まれていれば、幸せな一生を送れただろうと思う。ひろ香さん、台詞回しがとってもイメージ通り。

ギヨタン博士/朝水 りょう
王様の唯一の友人と言って良いかと。ギロチンの発明者で、王様と一緒に開発していた感じ。今回出てくるミニ・ギロチンが凄く良い仕事をしている。この改良型ギロチンを使う人々が、開発者の王や王妃の他いっぱいだから。

ジャック・ネッケル/輝咲 玲央
スイスの銀行家で、フランスの大臣をやっている有能な方。この方の言うとおりにしておけば、革命は無かったのに‥と言う発言が多い。ものすごく有能感を出している。発言するたびに、拒絶されるたびに、ネッケル氏の顔に浮かぶ絶望感。B席からでも感じたわ。

オーギュスト・ラマール/碧海 さりお
アルトワ伯爵の手先の秘密警察の長官。コミカル場面担当。オランプ嬢が好き。考えていることがとても分かりやすいので、秘密警察には向いてない気がする。
碧海さん、芝居が上手いわ。初日なのに間の取り方が絶妙だった。

ロワゼル/稀惺 かずと& トゥルヌマン/大希 颯
ラマ―ルの部下。二人一組で活動。結構いろいろな場面に出ているが、台詞は少ない。小柄な美形と強そうな長身のコンビは定番なのだろうか。
今回やたらと稀星さんが目に入るなあと思ったら、前回の月で朝美さんの役だったのだな。当時の月メンバーでは朝美さんが結構好きだったので(今はもっと好き)、ロワゼル見つける体制になっているのかもしれない。今回のコンビも息が合ってて可愛いわ。

ラザール・ペイロール/輝月 ゆうま
ロナンの直接の仇。平民に対峙する貴族代表。常に前線で平民と戦ってる(平民と戦うというのも変な表現ですね)。冷酷な表情に、あの長身から出る迫力。平民だと太刀打ちできないような気がする。でも貴族の中ではあまり身分が高くないのですよね。伯爵だけど。秘密警察のように蔭に隠れず、堂々と顔出し名乗り、平民から憎まれる役です。
輝月さん、ぴったりはまってる。月新人公演は見ていないのですが、さぞや素晴らしかったでしょう。今回はそれよりもっと素晴らしいのだろうと思います。ロナンが直接憎む、貴族の象徴のような方です。本来の敵であるはずの王や王妃は可愛くて善良で憎めないように描かれているし、ロナン達が革命の歌を歌うときに思い浮かべている敵の顔は、ペイロールなのではないかと思うのです。さすが輝月さん。

デュ・ピュジェ中尉/美稀 千種
オランプのお父様。バスティーユ牢獄爆薬庫の管理人ということで、貴族だけど下級貴族。一人娘のオランプに傷病兵のリハビリを教えたり、娘もちゃんと働かせる貴族。だからオランプはしっかりしているのですね。いろいろ重要な場面に出番有ですが、まじめに仕事をこなす善良な人手、平民に近い下級貴族は当時もこんな感じだったんだろうなと思わせる人物。美稀さんのお父様、もういうことなしです。

ヨランド・ドゥ・ポリニャック/白妙 なつ
王妃のお友達、王太子の家庭教師とある。そうか家庭教師だから、オランプと同じ出番だたのか!と気づいた。ポリニャック伯爵夫人と言えば、『ベルサイユのばら』の超有名人物。優し気な夫人だったイメージですが、今回はちょっと強めなイメージ?さっさと亡命するからかな。一つだけソロがあるけれど、その声が素晴らしい。


<革命家の方々>
カミーユ・デムーラン/暁 千星
パリに出てきたロナンを助けて、いろいろ世話をして友人になる。革命家でジャーナリスト、あのアジビラというか新聞は彼の書いた記事。大変頭がよいのでしょうね、文章担当かと思いきや、演説(歌)も上手くて、民衆を革命軍に参加させたのはこの人。あの2幕の歌は素晴らしかった。今までのデムーランで一番迫力を感じたかも知れない。素晴らしい歌声になりましたな。「赤と黒」の時も思ったけれど、礼さんと声が合うのだわ。それで両方の声がさらに倍魅力が増すのかもしれない。ソロ場面ではさすがの真ん中力を発揮されてました。お芝居も良くなって、すごく存在感のあるデムーラン。
デムーランと言えば,沙央さんが浮かぶのですが、イメージが全然違う。ブルジョワなのは同じだけど、有能な文官と文章が書ける武官かという感じか。暁さんには力を感じる。そりゃ革命も成功するよね!と思えるのだ。


マクシミリアン・ロベスピエール/極美 慎
超有名な革命家。この後の時代に一世を風靡する方。この時は第三身分の議員。雪組版(ほぼ同じ時代・人物を描いた「ひかりふる路」)では主役を張る人物なので、役割も大きい。ロナン登場の場面から、デムーランと一緒に参加している。三人で兄弟とか言ってるし。革命を推し進める力を持った人物ですが、今回はロナンやデムーランが強力なので、ロベスピエールだけが推進したようには見えないのが良かった。2幕の幕開きは、三部会での不当な扱いに対する市民の怒りを感じる場面。ここで、暁さんその他を従えセンターに堂々と立つロベスピエール極美さん。すごい見せ場。堂々と歌い、踊っていた。この場面、宝塚的序列配慮的変更しなかったんだ‥と驚いた。珠城さんのための場面じゃなかったのね、と今やっと知った。
極美さん、今の星組主力メンバーの中では、お歌が弱いと感じていた。でも今回。特訓されたのか(失礼)すごく声が出て歌えて、本当に嬉しい驚き。美しいロベスピエール、余り貧乏には見えないのが難点かも(貧乏とは台詞にないけど、ロベスピエール=貧乏が刷り込まれているよね)

ジョルジュ・ジャック・ダントン/天華 えま
弁護士、カミーユ・デムーランの友人。―――デムーランの友人だったのか。雪ファンの私は、ロベスピエールの親友だと思い込んでいた(本作はサン・ジュストが居ないな)。
確かに、ダントンはデムーランと仲が良さそう。本作ではロナンの妹と良い仲になってるし。豪放磊落なところがダントンだと感じた。ロベスピエールが主役じゃないからか、出番が少ない目。

ジャン・ポール・マラー/大輝 真琴
印刷屋としての登場。ロナンを雇ってあげてる。マラーが知らないうちにロナンが印刷してるけど大丈夫か?。大人物ですが、途中で暗殺されるためか、出番が少ない。

リュシル/詩 ちづる
デムーランの婚約者で、最初からラブラブしている。バスチーユの恋人たちの2組目か?リュシルとても可愛い。革命家の妻としてしっかり活動しているのを感じる。ソレーヌとの会話がいい。あともっと歌が聞きたい。

ソレーヌ・マズリエ/小桜 ほのか
ロランの妹。父を殺され兄に捨てられ、故郷の土地も家も追われてパリにでてくる。兄を頼ってきたのだけど、兄は住所不定だったし見つからない。自分で言ってる通り、若い女に他に何ができる?というお仕事に就くしかなかった。だが、ダントンに惚れられたおかげで偶然兄とめぐり逢い、その仲間たちや動きを通じて革命が見えてくる。恋人たち3組目と思っている。ロナンよりも疑り深い。まあ経歴を考えれば当然かもしれない。ソレーヌが革命に身を投じたとき、彼らの動きが革命になったと感じた。
ソレーヌの歌も多い。ソレーヌは東宝のソニンさんの歌が強烈な印象に残っているが、宝塚には合わない憎しみに満ちた迫力だったので、宝塚版には小桜さんの哀しみの強い歌が合ってると思う。

シャルロット/瑠璃 花夏
パレ・ロワイヤルの落とし子。という呼び名の少女。男の子な恰好をしているけど、可愛い。王妃様やロランにとっては強力な味方ですね。


その他
2幕の始まりが、前回同様、客席後方からの革命家の登場!客席通路を使うのは3年ぶり?事前の注意喚起アナウンスにどきどきでした。2階席だったの見えなかったのですが、1階から海鳴りのようなどよめきが聞こえ、銀橋に上がるジェンヌの皆さんが見え、それだけで感動しました。(でもまだ早かったのかな‥と翌日思った)。
オケボックスの覆いも外されていて,オケを見たのも3年ぶりかもしれない。
ああ日常が戻ってきたんだ!と感動した(その時は。翌日には違ったことを実感した)


フィナーレ
瀬央さんの銀橋からロケット。そして大階段で娘役に囲まれる礼さん。ピンクのスーツという色彩ながら、素晴らしくキレのあるダンスな男役群舞。そして礼さんと舞空さんの動きの美しいデュエットダンス。星のトップコンビは、二人で難しそうな振り付けを素晴らしいシンクロ度で踊る。ちょっと毛色の違うデュエットダンスだと思う。好きよ。
パレードは、詩さんのエトワール!やっと美声がしっかり聞けて嬉しい。
続いて、小桜さんと天飛さん、天華さん有紗さんと碧海さん、極美さん肩モフ、暁さん肩モフ、瀬央さん肩モフ、舞空さん、礼さん。トップコンビのみが大羽根という陣営。礼さんの羽は雉がとても多くて超豪華。でも大きな羽根は3つ欲しいなあ。一本物だけど衣装はパレード衣装。お芝居のままではなかった。

初日のあいさつ。開演時間の変更のお詫びから始まり、フレンチ・ミュージカルの申し子な礼さんからのご挨拶。覚えているのは「まゆぽんと14年ぶりに同じ舞台に立ててうれしい」と「今の天候・・はここにいる誰にも分らないのは、学習した」という話。気になるけど、劇場内にいると全く確かにわからない。いろいろ警報出てましたからね。でも行った甲斐がある舞台でした。
劇場出口に「阪急電車は通常通り運航しています」という電光掲示があり、とても安心しました。

後プログラムが写真集か?というくらい、豪華絢爛だった。小池先生、すごい。
これ1000円で売っていいの?と思うほど。買って正解。

ということで、大変満足して帰路につきました。実はもう1枚4日にチケットが取れていたので、もう一回見れる~と大喜びしていたのですが。翌3日朝に中止の連絡。
2日はいつ中止になるかとひやひやしながらスマホを握ってましたが、翌日以降は心配してなかったのに。まだ安心するのは早かったのですね。一日も早い回復を祈っています。



粗々ですが、すぐに書かないと忘れるので、貴重な貴重な初日を見られたので書いておきました。
間違っていたらごめんなさい。

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質問なのですが

突然、失礼します。
「デムーランと言えば,沙央さんが浮かぶ」というのはなぜでしょうか?暁さんに似ていますか?
気になったものですから…
by 質問なのですが (2023-06-19 13:17) 

えりあ

雪組「ロベスピエール」のデムーラン役げ沙央くらまさんで、印象深かったからです。
私の記憶のせいで混乱させてしまいました。
by えりあ (2023-06-26 17:30) 

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