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宝塚宙組「HiGH&LOW -THE PREQUEL-/Capricciosa!! [観劇感想(宝塚)]

宝塚宙組「HiGH&LOW -THE PREQUEL-/Capricciosa!!
2022年8月30日(火)11時 2階10列センター

宙組を見ました。映画もドラマも知らないです。あまりに膨大で予習もしませんでした。
でも全く予備知識は不要だった。だって「ショー」だから(笑)。5つのカラーが違うチームによるショー饗宴だと感じたの。各チームのテーマと背景は全部説明してくれるしね。というかそれがメインだし。豪華で綺麗なダンスで、見ごたえはありました。
ストーリーはありましたが、コブラとカナの普通のラブストーリー。他の登場人物はほぼ関係なしという、王道ラブストーリー。しかも主役カナ。でもまあ潤花さんは美人で可愛く芝居も上手いので不満なし。真風さんは・・現代的な不良役にあの台詞回しは~と思ったのでした。

ショーは。ひたすらイタリアの都市を巡る観光の旅なのね。そして後半に行くに従い、真風さんは「旅の終わり」とかソロを一人で銀橋で歌ったり、潤花さんを芹香さんに渡して一人去るとか、えっと退団公演?という仕様。何かスケジュールに狂いがあったの?というほど退団公演に見えました。
芹香さんは1.5的な2番手さんで、出番も多く堂々たるもの。桜木さんのベネチアの美女、細くて相手をする真風さんより小さいのにゴツいイメージなのはなぜなのだろう。
あとは瑠依さんのエトワール。歌絶品ですね!退団が惜しいですが、外で活躍されるのが期待大。

202208宙ハイロー本.jpg

TAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE
『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』
原作・著作・構想/HI-AX
脚本・演出/野口 幸作


大階段からの幕開き、各チームがそれぞれリーダーを中心に階段で披露、降りて歌って踊り自己紹介。セットに名前とチームカラー、紋章が出るので大変分かりやすい。この紋章とカラー、衣装の系統さえ覚えていれば、どこのチームの人かが一目でわかる親切設計。ただ覚えていてもあまり物語上の利点は無かった。だってチームごとしか出てこないから。絡むのは最後くらい。あ、後半で山王連合会とWhite Rascalsがちょっと絡むかな。あとはコブラとカナのラブストーリーの場面転換のように、山王連合を除く4チームそれぞれのショーが展開する。ショー作品だと思えば見ごたえがあって、各チーム素晴らしかった。全部カラーが違うのも素敵。

ストーリーは、「カナのやりたいことを叶えるコブラ、最初は乗り気じゃなかったのに一緒にいるうちにどんどん惹かていき・・」という、アメリカ映画でよくあるパターン(不良男子とお嬢様女子)の恋人ラブストーリーのみ。登場人物はほぼ2人で終わる話。このラブストーリはそれはそれで素敵。潤花さんの芝居が上手いし(全然死にそうに見えないけど)、美人で性格も可愛くてこれは好きになるよねという華やかな明るさがイイ。対応するコブラは、不器用でモテるのに女を遠ざけてきたストイックな不良くん。それがカナと一緒に一般市民のデートを繰り返すうちに、明るく自由なカナに惹かれていくと。ただ真風さんちょっと台詞の言い方が、棒っぽく聞こえる。多分、脚本に書いている字を全部ちゃんと発音するからではないかと。現代の不良男子なんだから、語尾や単語が流れたり消えたり「え?なんて言った?」って聞こえる言い方のほうが正しいと思う。だけど律儀に全部発音してくれる。だから劇団四季風と言うのか、セリフがはっきり聞こえてよいのだけど、はっきり一音ずつ発音する不良男子って・・と、そこが残念だった。

その他で印象に残るのは、全チーム参加大乱闘の原因作って盛り上げてくれる方、悪役の苦邪組のリン(瑠依さん)かな。策略をめぐらし、その他5チームの頭悪い奴らとは違うぜ?という高級な頭脳派チームな雰囲気を出していた。だけどすぐに見破られる。早すぎる。

そして白の軍団。ロッキーさん率いるWhite Rascals。他のチームより主役の二人に絡むだけあり、出番が多い目(でも「多い目」程度)。ロッキーさんさぁ、仮面舞踏会って??と私もびっくりしたわ。白い衣装で仮面舞踏会に侵入って、「ロミジュリ??」って思いましたわ。野口先生、絶対にロミジュリが頭にあったでしょ? ロッキーさんの出で立ちは、雰囲気が英国貴族のモリアーティ教授を思い出したし、居る場所もギャツビー邸のようでなんかお一人高級感が出ている。ここって日本?と思いました。

まあ時代も国も、日本っぽいどこか(無名街って何?そんなの日本にあるのか???)の1980年代風かな~なんて思って見てましたが、苦邪組さんはスマホ使ってましたしねえ。あと戦いまくるけど、銃器をはじめとする武器は使用禁止なのが、この世界のルールかな。ナイフすら出てこない。苦邪組の女性陣がちょっとだけ刃物持ってたくらい(でも、それが「汚い、卑怯」って言われてたし)。そういうルール守って戦うなんてみんな真面目ね。ずっと殴り合いの喧嘩ばっかり。いろいろ分からない世界観だった。謎や突っ込みたいところが多すぎて、見ている途中から、やっぱりショーだと思って見るのが正しいようだと、悟った。

<王道ラブストーリー>
コブラ/真風 涼帆
山王連合会の総長で、ムゲンの生き残り。偉大な伝説が語られる。が、本作ではほとんどラブストーリーのほうがメインなので、幼馴染の美人と再会し、彼女のために精一杯頑張ってあげる優しいツンデレ男子になっている。言葉遣いが現代っ子になっているので、クラシカルなのが似合う真風さんにちょっとかなり違和感。セリフ回しに大変な違和感があった。もっと流していいのよ~って思う。キャラ的には、丁寧すぎるような気がした。あんな風貌でこんな立場でも紳士なのよ。カナちゃんがずっと好きで、最後を一緒に居たいと願うのもわかる。かっこよくて優しくて男らしくて、ツンデレ男子、いいねえ。だが私が見たい真風さんとは違う。私は本格コスプレ大時代劇西洋物が見たかったな。

カナ/潤 花
コブラの小学校の時の同級生。小学校6年生で転校していった。大変可愛くて気が強くて、明るい。偶然、白のパーティで再会して、コブラに夢をかなえてもらうことに(強引に)した。コブラに出会わなかったら、どうしたのかな?あの押切は見事だったので、チャンスをものにする力はある。あとは余命わずかなカナの望みをかなえるためにコブラと二人で思い出作りをして、カナはほぼ満足して旅立ったと思う。すぐに出てきたけど(笑)あれは残されたコブラを心配してなので、もう思い残すことは無いでしょう。あの性格なら、さっさと天国だ。
ただ一つの私の不満は、カナの両親が全く出てこなかったこと。このお話、ほとんど大人が出てきませんよね。セカイ系というのかな?そこが不満。絶対にカナの親は心配しているし、入院したらすぐに来る。娘の治療のために病院を探して引っ越すくらいだから、断腸の思いで娘の自由にさせてあげていると思う。だからラストに、カナの親がコブラに会って娘の願いを叶えてくれたことに感謝する場面があったらよかったのに、と思った。
潤花さんは、健康的で溌溂とした明るい美人だから、病弱には見えない。でもコブラがほだされて恋に落ちていくのが分かる、性格の可愛さがあった。


<各チームのリーダーの方>
コブラ【山王連合会】 真風 涼帆
山王連合会って、町内の商店街の名前みたい、と思ってたら正解だったようだ。そう思えば、町内を守るって言ってたし、地区の消防団の青年団長みたいなものかな~とか。今回コブラ氏は、総長としてよりカナの恋人役として出ている時間のほうが長い。したがって山王連合会の皆様も、普通に生活している感じ、なぜかいつも理髪店にいるが。理髪店にいるなら、テッツ(亜音さん)だっけ?のドレッド長髪何とかしてもらってほしい。いつ切るのかとずっと待ってしまった。
総長としては、配下に慕われているし、達磨組とも理の無い乱闘を避け、White Rascalsとメンツをつぶさず共闘したり、RUDE BOYSとの立ち位置の取り方など、なかなかのやり手。さすが総長に選ばれるだけはあるという感じはした。ただ総長出番が少ないので。
一番普通の服装のチームな感じ。黒の紋章入りGジャン?

ROCKY【White Rascals】 芹香 斗亜
苦界に落ちる女性を救うために活動する人。結構マザコン?。救い方が、江戸時代の遊郭の女衒のような感じで、現代のポリコレからするとアウトだが、一理あるからいいけど。
女衒にも女に優しい人がいたように、彼も女性にはとても優しい。身なりも立ち居振る舞いも、一番紳士。傍にいる片腕の方(KOO 風色さん)がまた出来の良い執事だから、お二人だけ異次元。豪勢なお屋敷に住み、執事や居候がいて、誰でも来れる豪華パーティを開催する謎のイケメン紳士。先日月組公演でこういう人を見た気がするわ。
コブラとあっさり共闘し、なかなかのご活躍。ラブストーリー以外では活躍された方だと思います。
芹香さん、なんかモリアーティ教授が取れてないみたいな気がする。ステッキ持ってるし、紳士だし。真風さんとは敵対関係なのに親友みたいな共闘関係。既視感あり。丸眼鏡も粋でお似合い、白スーツに赤手袋がカッコいいんので、もういいや。

スモーキー【RUDE BOYS】桜木 みなと
無名街のリーダーだって。この町の人みんな浮浪児みたいな格好だ。いや「冬霞の巴里」の下宿の人々と同じイメージ。特にあのもぐり医者、見たことある既視感やわ、あの衣装。さておき、暗い。いつも下向いてる? 街の雰囲気も暗いけど、スモーキーも背負っているものが重すぎるのか、雰囲気が暗い。だがショーとしてみると、こういう雰囲気は退廃的で虚無感が漂っていて、一場面としては素晴らしい出来。歌もダンスも素敵。
桜木さん、余りに出てこない。出てもちょっとだけ。まあ主筋(ラブストーリー)に絡むのが一場面だけだから仕方ないか。浮浪者衣装だけど、チームカラーは緑なのね。モスグリーンの巴里のアングラモード風衣装でした。

日向紀久【達磨一家】 瑠風 輝
大変出番が少なかったチームですが、お祭り場面の太鼓が見事でした。あれはお稽古が大変だったでしょう。素晴らしい連携で楽しかった。カップルが浴衣でお祭りデートって定番ですもん。そこに絡まれて喧嘩とか最高のシチュエーション。役割はほぼこれだけでしたが、印象的なお祭り場面だったので、ショーとしては最高。赤い法被は似合うジェンヌさんのほうがが少ないよね、うん。

村山良樹【鬼邪高校】鷹翔 千空
さらに出番が少なく役割もよく分からなかったチーム。高校生・・?と思ったけど、紹介アナウンスによると留年大歓迎でみんな大人なんですね。卒業してしまったら扱いはどうなるんだろう?ほかのチームは割と自力で生計立ててそうだけど、一応高校生だから、やっぱり親に頼って生活しているのかな?それなら他チームとはステージが違うのであんまり大きな顔できないのでは・・なんて思ってしまいました。
ラブラブカップルに絡むこともなく、チーム紹介場面は乱闘だけだったので、印象が地味になってしまった。衣装の色も学生服風の暗い青だし。

リン【苦邪組(クジャク)】留依 蒔世
チーム紹介が無かった唯一の集団。でも出番は多い。目的はこの街全部の支配らしい。ほかのチームを見ていて思うのは、巨大そうな街だし、めんどくさそうな人が多いし、それでも街全体を支配したいということは、さぞや旨味のある街なのでしょう。とリンさんのお話を聞いていて思いました。この街の価値が分かったというか、リンさんたちの密談を聞くまで、なんでたった一つの街なのに彼ら5チームもが覇権を争ってるのでしょう?って思ったから。
唯一の頭脳チームという雰囲気。お部屋にも服装にも高級感があるし、でも陰謀をめぐらす空気が漂っていて、構成員みんな頭よさそう(笑)。時間の関係であっさりと見破られたのが残念。これが2幕ものなら、苦邪組チームの活躍をじっくり見て陰謀を楽しみたかった。一応唯一の悪役チームですしね。チームカラーはノーブルな紫。組カラー(組カラーが悪役チームなんだ)。それもあり余計に悪の黒幕感がアップした。
瑠依さん、貫禄出ていたし芝居上手いし、歌は絶品だし、本当にこれで退団されるのがもったいない。


純子【苺美瑠狂】天彩 峰里
山王連合会のレディースなのかな、ピンクの特攻服で目立つ。ああいう服が流行ったのって、やっぱり70~80年代???そういえば裏に龍の刺繍入りの学ラン特攻服チームがなかったなあ~それがムゲンなのかな。山王連合会のメンバーと一緒にいるので出番は多い。それなりに活躍する。リーダーの純子さんはコブラに片思いというのがよく分かり、彼女の言葉があの主役カップルのラブストーリーに少しだけ影響していた。

<チーム構成員で印象に残った方>
KOO【White Rascals】風色 日向
常にトップの傍にいて、有能な右腕。物腰は紳士な執事。お顔も綺麗で、白チームは出番が多く、ロッキー氏が出演場面には必ず側にいるので、大変目を惹きました。かっこいい!って認識した。

ヤマト【山王連合会】紫藤 りゅう
ダン【山王連合会】若翔 りつ
テッツ【山王連合会】亜音 有星
コブラの盟友。常に一緒にいるトリオ。ヤマトはコブラの親友みたいだから、カナとの関係でもう少し絡んでも良かったのでは?と思うし、若翔さんは貫禄がある大人役が似合うのでこの使い方はもったいない(まあこのお話、貫禄のある理性ある大人なんて出てこないから)、亜音さんのドレッドヘアはあれでいいのだろうかと何度も見てしまった。おそらくオリジナルに忠実なのだろうけど、そこはアレンジを赦して欲しかった。理髪店に居て何度も切るような場面があるから、期待してしまった。

無名街の医者【RUDE BOYS】寿 つかさ
一場面の出番だけど、もぐりの優秀な医者なんだろうねえ。過去がいろいろありそう。でも医者もあの衣装なんだ・・だから「冬霞の巴里」にご出演の医者を思い出してしまった。ところで、カナの病気って何なのでしょうね?あと半年といいつつ元気そうでしっかりしているし。薬を一目見てわかるもんなんだ~って思いました。




ファッシーノ・モストラーレ
『Capricciosa(カプリチョーザ)!!』
-心のままに-
作・演出/藤井 大介


大介先生の作品、イタリアがテーマ。それはよく分かった。イタリアの名都市巡りの旅なのですね。コロナで海外いけないからイタリア旅行の雰囲気味わえた。
歌詞があまり覚えてない。ずっとカプリチョーザって叫んでいるような記憶。あとは都市名前と紹介くらい。なんかお芝居もだけど紹介が続くなあって思った。

いつもながらショーは具体的に覚えてないのですが、記憶にあるのが。
最初の場面の潤花さんの緑のドレス。すごく綺麗。似合うわ~こういうドレス好き。
ベネチアの桜木さんの女装。なんだか神秘的なのか美人なのにゴツイ雰囲気とか、不思議な感じだった。ゴンドリエは名歌手なのは定番で、瑠風さん。いい声ですねえ。
それから、オソレミオを3人で歌う最後の歌手の瑠依さんの素晴らしい美声。最後に聴かせてくれます。

後半のほうで、お金持ちそうな潤花さんと芹香さんご夫妻がボックス席で、舞踏会をご覧になっていて、そこへ銀橋から真風さん登場。潤花さんが飛んで行って、真風さんと踊る。慌てて芹香さんが割込み。しばらく三角関係で、その後、真風さんが潤花さんを芹香さんのほうへ押し出して、二人は仲良く去り、真風さんは一人で去る。ええ~!?これはトップのみ退団、娘役は残って2番手(次期トップ)と組むときの様式美では?と衝撃を受けた。「旅の終わりだ」「旅立ちの時、いままでありがとう」のような歌詞を一人銀橋で歌う真風さん。これは退団公演ではないのに、ものすごく退団っぽい演出。何かあって退団がずれたの?と疑惑を持ってしまうほど。そういえば、最初のプロローグ場面でも、真風さん白、潤花さんと芹香さん緑、他の方赤の衣装ですもんね。これ「あれ?」って思った一つ。

そこが衝撃で、あとは詳しく覚えてない。イタリア自体が華やかなので、華やかなショーでした。
そうそうエトワール。基本的に娘役エトワールが好きだけど、今回はOK.!瑠依さんほどの歌が聴けるなら、大歓迎だ。というほど素晴らしいエトワールでした。本公演でもっと歌ってほしかった人です。外の舞台に出られるなら見に行きたいくらい。




最近の傾向で、最初のほう、中ほど、最後のほうと3枚チケットを確保したいと頑張ったが、今回は最初の方と最後の方が取れた。あと一回見れる!ショー2本立てだと思って心構えていれば疑問符も飛ばない。カプリチョーザ、今度はしっかり覚えてこよ。


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パクチー

来週観劇予定です。
ハイアンドローの世界がとにかく苦手。
自分とは縁のない世界の話だと思っていました。
EXILEなんか興味もないから、宝塚を観ているのに、
宝塚が好きなのに、どうして目を背けるような世界を見せられるんだ。
いっそのこと、今回の宙組はパスしようかと思っていました。
でも大介先生のショーは観たいから、一部が終わってから入場してもいいかなとか。

でも、えりあさんの感想を読んで、ちょっとだけ楽しみになってきました。
あまり深く考えず、観てこようと思います。
野口先生の作品なので、あまり細かい気配りもなさそうだし。


by パクチー (2022-09-01 08:24) 

えりあ

パクチーさま

コメントありがとうございます~お返事書いたのが消えてしまっていました。すみません。

ショーですよ!心を無にして、ショーとして楽しんでください。
深く考えてはいけない作品だと思います。
by えりあ (2022-09-05 13:41) 

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