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宝塚雪組「ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル/ FROZEN HOLIDAY」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚雪組「ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル/ FROZEN HOLIDAY」
2023年12月6日(水)13時 1階上手


楽しかった!明るくて暖かくなるお芝居と、楽しくて賑やかで綺麗なクリスマス・ショーの2本。もやもやした気分が吹き飛んで、やっぱり宝塚って好きだと思いださせてくれた作品です。退団者への愛があり、お芝居もショーも好き。不満点がない。
大変な中幕を開けてくれてありがとう、雪組万歳!という気分になりました。

…と書いていたら、やっぱり雪組さん無理されていたのでしょうか。休演ですね。
愛が感じられる良い作品ですが、もう無理させないで欲しいです。

202311雪Doyle.jpg

ネタバレあり。
Happy“NEW”Musical
『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』
-Boiled Doyle on the Toil Trail-
作・演出/生田 大和

タイトルが覚えられない。謎の早口言葉みたいでいまだに無理。ドイルでいいよね(笑
自分が書いた(書く?)作品の主人公が、自分だけに見えて会話できて、脳内の架空の人物に人生を翻弄される・・というと精神的に脆くて危ない人みたいだけど。その会話が全然危なくなくて楽しくて前向きなのは、ドイルも周りの人たちも楽観的だからでしょう。脳内の人物もとても好人物で邪念が無いし、明るい。だから普通にある「脳内人物との会話」にシリアスな雰囲気が全くなくて、本当に楽しい。結構声出して笑ったわ。
悪い人が一人も出てこなくて、みんな前向きな良い人で、明るく楽天的で力強く、見ていてとてもとても楽しい。力を貰える。
脳内の話で、どう決着付けるのか悩んだわ。あの結末か~なかなか素敵、未来に希望がある。ドイルの現実の迷走の真相!って思いだして笑った。

19世紀のロンドンの衣装もセットも綺麗でおしゃれ。本のセットが凝ってていいわあ。
とにかく、気力を貰える作品でした。


アーサー・コナン・ドイル/彩風 咲奈
髭にスーツが似合う!!とてもダンディなドイル氏。ホームズからは「ワトソン君」て呼ばれますが、確かにホームズの物語を書く人がワトソン君なら、間違いない。宝塚でもホームズ物は何度か見ましたが、ドイル氏が出てきたのは初めてかな。ドイル氏って、医者で作家で、ボクサーで従軍経験ありで、とても多彩な方ですよね。育ちも普通っぽくないのに、あの明るさと行動力。素晴らしい人物だったのだと感じました。
怪しい教授に騙されたのに、結果的に騙されてないし。その言動で教授にまで新しい人生に気付かせてあげたりと、何気に凄い人だ。優しくて強いから。人としての器が大きいんだね。というドイル氏がそのまま彩風さんに見えるような気分。

ルイーザ・ドイル/夢白 あや
前向きで楽天的な夫にさらに輪をかけて楽天家の妻。美人だけど夫を愛して信じているけど、頼り切ってない。自分でできることは力になろうと突撃する行動力をお持ち。原稿持って編集部に突撃だもんね。さらに。普通、夫が「脳内のホームズに悩まされてる~」とか言い出したら、ドン引きして「そんなのいないわ、あなた疲れているだけよ」と諭したり、ノイローゼかも?と病院に連れていくよね。それを真剣に脳内から追い出す策を考え、実行し、なんと夫の脳内世界まで突撃していくとは!すごすぎる奥様だ。見習いたい。
今回の夢白さんは、台詞回しに癖がなくてとてもよかった。ボニーのときみたいにぴったり役に嵌ってた。この方は強い(精神的に)女性が似合うのだな。

シャーロック・ホームズ000/朝美 絢
本作ではヒロイン的ポジションだなって思った。脳内の存在でドイル氏にしか見えないが、主人公の人生に関わり翻弄する。まるで『fff』の「謎の女」(ヒロイン)ではいか。
こちらは、ドイル夫妻とホームズとなんとなく、3人で仲良くやっていくような気もする。ルイーズにもホームズが見えそうだし、見えなくてもドイルを通して会話したりして、上手くやっていけそうだ。楽しそうな家庭だなあ。
ホームズ氏はなかなか出てこないけど、出てくるときは凄い出方をする。以後は割と出番が多い。ホームズズが個別に何かするんかな?と思ってたけど、それは無かった。ホームズズで一人のホームズみたいな感じでしたね。
朝美さんは美しい。翻弄する役が似合う。あの美貌には敵わない。そしてあの声。あの声で言われたら抵抗できない。ドイルはよく抵抗したよ。衣装は典型的なホームズスタイルなので、帽子を被っている時間が長くて、2階席だと辛いかもしれない(お顔が見えにくくて)。この作品をこの配役で考えた生田先生、趣味が合います。


<編集部>
ハーバート・グリーンハウ・スミス/和希 そら
幕開きは編集部から。売上グラフが見えないくらいの低迷。社長に懇願されても、副編集長に諭されても、絶対に妥協しない信念の編集長。なんとなく、『はいからさん』の青江編集長を思い出す。その信念に合格したのが、突撃してきたルイーザの持ってきた原稿。あっという間に雑誌の目玉になり、売上グラフも急上昇(小道具が細かい)。編集長、すごい!さすがみんなの尊敬を集めているだけある。
信念を持つプロの編集者魂を感じる。ドイルの盟友になりそうなイイ感じ。まあドイルの苦悩はわかってなさそうだし、作品への感性は絶対的に違うけど。どちらかと言えば、彼にホームズが見えたら意気投合しそうな感じ。話が合って二人でどんどん作品展開していきそうだ。
和希さんのお芝居は良いですね。声もいいし。私は未涼さんを思い出してしまいます。

ジョージ・ニューンズ/真那 春人
社長なのに、自分が雇っている編集長に逆らえないという。しかも社長なのに毎日編集部に顔を出してる真面目さん。真那さんは社長専科のようだ。社長が懇願しても言うことを聞かない筋金入り編集長というのが、際立ちましたわ。

ウィリアム・ブート/諏訪 さき
真面目で現実を見てくれる優秀な副編集長。こちらを編集長にしておけば、大ヒットは無いかもしれないが、そこそこ売れる雑誌が作れたのではないだろうか?と思わせる方。でも編集長にとって代わるという野心は無さそうで、社長の困惑と編集長の信念の間で頑張ってる中間管理職なのだ。諏訪さんの誠実で有能そうな社員姿が、イイですね。この編集部の苦労人というか、他の編集部員の面倒見てそう。

ビアトリス・エリザベス・B・ハリスン/音彩 唯
唯一の女性編集者。この時代、女性の職業婦人を雇っているというのは凄い。何気に紅緒さんなのでは?。彼女が投稿された原稿タイトルを読み、それだけで編集長が却下していく。タイトルは大事だなと実感させられる場面だ。
ちょっと投げやりだけど、それは職業人として編集長に却下される前に「これはダメよね-」と思っているからだと思う。編集長の信念に共感してそう。

シドニー・パジェット 眞ノ宮 るい
ウォルター・パジェット 咲城 けい
アーネスト・グレイス 聖海 由侑
編集部の三人の部員。益々「はいからさん」。で、他の部員が歌い踊っている間、編集長が没にした原稿を拾い集めているのがアーネスト君。なんか健気。こうやって編集長がまき散らして作るゴミの山を片付けているんだろうなあって。副編集長と協力して組織運営していく常識人その2って気がした。上の二人は兄弟で挿絵とかイラスト描く芸術家だから、編集長に共感してるのが見てわかる。なかなか楽しく働けそうな編集部だ。

ジョー/壮海 はるま
郵便配達人だよね? でもかなりドイル夫妻と親しいし肩入れしている感じ。いつもはルイーズ夫人ではなく、彼が出版社に原稿を持ち込んでるんだね。目立つ配達人だ。
彼もだけど、帽子被っている人が多すぎて顔がよく見えないわ。

雑誌売りの少年(ノエル)/愛羽 あやね
ハーバート編集長こだわりの雑誌を売る少年。拘り過ぎて中身無いから、全然売れない・・・ので生計が成り立つのか不憫になる。ホームズのおかげで雑誌が売れるようになって良かったね。売れない時も売れるときも常にあの雑誌を売る少年だ。意外に編集長に共感しているのかもしれない。

<交霊会>
アーサー・バルフォア卿/華世 京
アイルランド相だっけ?政府の偉い方ですが、交霊会のメンバーで、行く途中にドイルと縁あり会に誘い、その後親しくすると。なかなか楽しくフランクな方。お礼に交霊会に誘うのも、お礼に「魔法の万年筆」を差し上げるのも、なんというか夢のある方なのですね。
この方も創造力がありそうです。そりゃあドイルと友人にもなるわ。周りが大変ですね。
若くて血筋が良くて頭がよくて・・という人物が見えました。華世さん、一作ごとに役付きが上がってますね。それに応えていく。これぞ雪組御曹司。

ミロ・デ・メイヤー教授/縣 千
うさん臭さ満載の交霊術と催眠術の大先生。見た目からして怪しい。でも政府要人にファンがいて、「素質が無いから催眠術にかからない」とかいう言い訳を信じさせるくらいはデキル人物。もう最初からバレバレで客席は爆笑してましたが、登場人物たちはまじめに信じてますからね。今回教授は自分から新たな(真っ当な)道に目覚めたので、誰にも「詐欺師!」って糾弾されてないんですよね。逆に皆から感謝されてる。すごい人物だ。
縣さん、お芝居でもショーでも怪しい人物ですが、顔が良いので変な扮装しててもカッコイイ。ちょっと情けなくて弱っちいところも見えて、人間味があって好人物が漏れているところもいい。役幅が広がってますね。歌も上手くなってます!

エステル・ロバーツ霊媒師/沙羅 アンナ
教授に使われているようで使っている、とても強い霊媒師役の女性。美人で姉御肌。霊媒の演技もばっちり。失敗するのは教授のせい、でもごまかす。綺麗でしたたかな下町の女を感じます。教授のことは下に見てるけど、見捨てない優しさもある。


<ドイル家>
チャールズ・ドイル/奏乃 はると
主人公のお父さんだけど、アル中で家庭内暴力で病院に入れられてる。登場時から、もう手が震えて長くなさそうって雰囲気が出てる。登場は一場面。だけど、ちゃんと人生への後悔や、それでも一緒に暮らそうと言ってくれた成功した息子への想い、こんな親父がいてはいけないという配慮、愛が感じられた。唯一のシリアスな人物かも。
奏乃さんのお父さん役にはいろんなバリエーションがありますが、「酔っぱらいのろくでなし父・良心の呵責入り」という新しい父が見られた。今までの「ろくでなし父」には良心の呵責が無かったような。短時間で少ないセリフで凄い表現力ですね。さすが組長。

メアリ・ドイル/妃華 ゆきの
主人公の母。ろくでなしの夫を捨て、優しい愛人と逃げた。今更帰れないと、成功した息子の元には戻らない。息子は愛人と逃げた母にも優しいな。あの息子、どこまで明るく前向きなんだ。美人母だ。

ロティ・ドイル/野々花 ひまり
コニー・ドイル/華純 沙那
美少女姉妹だ。母も美人だし、父もちゃんとすればイケおじだもんな。妹たちは、仕事を捨てて兄の元に帰ってくる。妹たちは家族で暮らすのが嬉しかったんだね。そこは兄と同じ想いだったんだ。ちょっと切ない。あの義姉なら受け入れて楽しく暮らせそうだし、妹たちも明るく可愛い。この三兄妹が楽観的で常に前向きなのは、遺伝子の業か。父だけが違うみたいだから、母の血か。そうかもしれない。


とにかく一人も悪心を持った人がいなくて、とてもとても心楽しく見られました。



Winter Spectacular
『FROZEN HOLIDAY(フローズン・ホリデイ)』
-Snow Troupe 100th Anniversary-
作・演出/野口 幸作


雪がモチーフで、すごく綺麗。白ってこんなにキラキラで綺麗なのね。
幕開きの映像から、ちょっとOdysseyぽくて素敵。雪のホテルに到着、幕が開くって。
今回はチーム制で、ホテルマンチームは彩風さんと夢白さんがメインで組長たちもここ。次にゲストたちで、ゲストの紹介を彩風さんが担当するので、トップスターなのに脇に避けて脇から他チームを見ているという構成。他では珍しいように思うけど、彩風さん主演作ではよく見かけるような気がする。

ホテルサイドから、彩風さんと夢白さんをメインに管理職も入れた豪華スタッフチーム
ホテルスタッフから、若手メインのお料理人チーム(紀城・華世・音色・華純)。次世代ホープですな。
ゲストでイケメンのサンタJr.(朝美)と美少女トナカイ団チーム。麗しい!美少女侍らしてチャラそうなのに誠実がにじみ出てる!クリスマス以外でもいつでも来て!って感じ。
ゲストのエエ声の神父(和希)と美声シスター団チーム。荘厳なのに色っぽいのはなぜ!?シスターズがファンクラブに見えるぞ。
日本からの連獅子チーム(諏訪+野々花、眞ノ宮+咲城)。意外と和が浮いてないのにびっくり。さすが中堅。しっかり引き締めてますわ。
DJはレゲエなアニキ(縣)とイケてる若者&お姉さまチーム。もう何でもあり。カッコいいからいい。

前半から中盤はこれでもか!というクリスマス。クリスマスソングのメドレーで気分が盛り上がる。そして開けて元旦。待ってましたの日本物チームからの全員によるお正月。
そして年が明けたら、2024年は雪組100周年。その祝賀ムードに。そのための新曲。
先日、梅芸の雪組100周年コンサートも見てきたので、懐かしの雪組の曲はそこで聞いた(思い出に浸り脳内再生した)、だから新しい雪組は過去の曲を1つも使わない、というその未来志向の構成にしびれる。共感するわ!さすが野口先生。
輝かしい過去は大切に、その大切にすべきエッセンスだけを受け継いで新しい未来を創っていく。それが大事なんですよ、不易流行ね。すごく素敵なメッセージでした。

前半はこのチームが出てきていろいろしてくれる。分かりやすくて嬉しい。
後半は雪のスノーフラワーとか出てきて、集団戦。これも見ごたえあって綺麗だし、朝美さん得意の和物風の男役場面「超越雪祭男子」がものすごくかっこいい。定番にしてほしいくらい。

ラインダンスは2回。椅子を使った若手さんたちのクック場面と、トップコンビの背景で踊るのと。寝転がって平面での面白いダンスがあり(雪華の場面)、後ろに鏡が出ていてやっとわかった。2階から見たら綺麗だと思う。1階から見ていたら、上がった脚しか見えない。鏡が無かったら意味不明な場面になっただろう。劇場の装置をフルで活用されてますね。

客席降りもあり。彩風さん他がだだーっと降りてきて、クリスマスカラーのロゼットを持って踊る場面。席が良かったので、ロゼットを買って参加しました。客席降りや、銀橋全員ぐるぐる回りはとっても嬉しい。だけど慌ただしくて目が回りそう。目を見開きすぎてコンタクトが乾いてしまったわ。
実は最近とっても忙しくて出張続きのため、当日まで客席参加を知らず。同行者に教えてもらって慌てて開演前にロゼットを買いに行ったのです。プログラムの横に売っててよかった。幕間の休憩に踊り方表を見たのですが覚えられず。適当に振っていましたが何とかなりました。夢白さんが来てくれて、綺麗!美人!細い!!って思いながらぼーっと振っている間に終わってました。クリスマスカラーで可愛いので、飾っておこう。雪組のグッズって、お値段もお手ごろだし、私の好みに合うものが多いから嬉しい。

最後にはホテルのフェアウェルパーティということで、彩風さんが一人で踊って挨拶されました。うん、これはイイ。ストーリーのあるショーで素敵。
色彩も衣装も装置も、どれも上品でセンスが良くて私の好みにぴったり。大満足。
やっぱり雪組大好き。組ファンだなあって思う(梅芸のOGの雪100でもすべての曲で場面が浮かんだから、かなり雪ファンだと認識している)
組ファンだから、雪の子はみんな可愛いので、月も花も見ている。雪組ポーズができてよかった(当時なかったポーズをOGの皆さんがやっていてとても嬉しかったし♪)


ということで、心ほぐれて「やっぱり宝塚好きだ。雪組好きだ」と思い出せた公演でした。
厳しい状況ですが、この機会にScrap&buildが必要だと思います。今は昭和ではなく、平成を超えて令和なのです。時代は移り、価値観も変わります。阪急阪神HDを過信していたようです。見誤ってました。ぜひ見直させてください。


国内海外の出張が5連続であったため、間にちょいちょい見ていた観劇記録が書けていません。雪100周年コンサートも、OSK南座公演も、OSK翼さん主演公演「へぼ侍」も劇団☆新感線も天童よしみコンサートも書けてない。もう書けないかも(ごめんなさい。すぐに書かないと忘れる)。宙組の実質千秋楽も見たのだけど、これは書いたけどアップできない。個人的にあの作品は再演しない方がいいと思う。作品内容からして無理だと。普通に見ても「誰もチェックしなかったの?練り直してきて」と言いたいくらいだったし。だから書いたものは公開するつもりはありません。
これからは、見ている方も楽しく気楽にリフレッシュしたり、深く考えて自分の人生に活かしたり、楽しく突っ込めるような作品を、創っている方も同じように感じられる宝塚歌劇であることを願っています。

ちょっとシリアスになってしまいました。ごめんね。でも1年やそこら止まってもいいから、すべてクリアにして立て直してから再開して欲しい。退団したい方は通常通りの退団儀式が出来ないかもしれないけど、存続の危機で非常事態だから、ファンも理解しないといけないよね、と思うんでした。
阪急阪神HDもですよ(ついでに東宝も)。非常事態が認識されてない様子ですね。ここで誤ると本当に終わってします。私はそれを避けたいと思うのです。



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