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OSK日本歌劇団「五右衛門」 [観劇感想(OSK)]

OSK日本歌劇団「五右衛門」
2022年11月19日(土)16時 B4列
2022年11月23日(祝水)15時千秋楽 B1列


コロナが始まってはじめの新作のお芝居。期待大です。
久しぶりのお芝居だけど、みんな上手い。衰えてなくて進化していて安心した。
演出が振付家だからか、無言のダンスで心情を語る場面が多かったかな。
ストーリー的には、突っ込みたいところもあったけど、全体の迫力とダンスで語る心情に惚れ惚れしたので、相殺できる。OSKのお芝居見たかったのよ~嬉しい。

202210五右衛門全.jpg

【公演タイトル】五右衛門

【出演者】
楊琳・実花もも・天輝レオ・りつき杏都・壱弥ゆう・椿りょう・凜華あい・京我りく・琴海沙羅・知颯かなで・翔馬かいと・舞音ことは・夏目せな・華蓮いろは・碧輝来



楊さんはさすがトップの貫禄!椿さんがしっかり安心の2番手、天輝さんの迫力芝居、一弥さんが出てくると凍り付くように空気が変わるし、京我さんの重厚な信長と軽妙な颯手の上手さ。娘役では実花さんはちょっと遠慮がちの茶々で(もう少し豪華な着物を着せてあげてほしい)、しっとりした才蔵妻とちゃきちゃきの町娘の二役を演じ分けた凛華さん。
五右衛門と才蔵の子役も上手かった。知らない下級生(ごめん)がいっぱいでしたが、みなさんなかなかお芝居良かったので一安心。やっぱりもっとお芝居見たいわ。

ストーリーのほうは、五右衛門の話なのになんで才蔵が親友で師匠が半蔵?と時代&状況設定にちょっと戸惑った。なんといっても『紅に燃ゆる~真田幸村』が大好きで見ていたので、才蔵と言えばこの時代(大阪夏の陣・冬の陣)の人だと思っている(この才蔵は楊さんだ!)この時代には茶々は淀君となりその息子の秀頼が青年だったのよ~って。半蔵は何代もいるから、才蔵も何代もいるのか・・。

天下の大泥棒の石川五右衛門が主役で、彼が盗む理由がメインストーリーだ。だが、肝心の「千鳥の香炉」の存在が弱くて、また五右衛門が割と短気直情で何がしたいか分からなくなったような最後だった。それに主役の最期があれでよいのか?あのストーリー展開なら、秀吉と和解してたから処刑にならないような気がするんだけど。光成の独断で釜茹でなの?ラスボスは光成か。この物語展開だと、光成が秀吉を倒して天下取りそう。ついでに、茶々はあの展開の後で「淀君」になる心境が理解できない。何か悟って開き直って己の手で天下取る!と思ったのかな。とりあえずあの怒涛の「?」が飛んだ(←私の頭の中で)ラストは、用意周到に行動していた才蔵が巻き込まれて可哀そうって気分になった。

どーでもいいけど、大阪公演だけなのに、「秀吉が大悪人」というストーリー展開は・・なんか喧嘩売ってる?という気になった。イイんだけどね。


石川五右衛門(楊琳)
長髪イケメンの五右衛門。庶民の味方の義賊として登場、でも実は織田信長の配下であり、その意思を継いであるものを探すための盗み。というところまでは素晴らしい。その後の展開が、ちょっとうっかりさんだったり、ほんとにそれでいいの?って決断だったりするけど。
今回は、五右衛門と才蔵の子供時代・青年時代、さらには現代で五右衛門の子供時代を繰り返す子供(坊主)がいる。時間的にはかなりの重層構造。役者も全部違う。五右衛門が「食べるもの」のために忍者となり(子供時代)、頭角を現し茶々姫の護衛となり(青年時代)、そこで信長の壮大な思想に触れて初めて「思考」を得た…ように感じた。その「思考(天下布武)」つまり信長の理想の実現のため、大盗賊を隠れ蓑に活動する。ここまではとてもよく分かり、主人公らしかった。そのあとだ。
びっくりして考えなしに行動したらあかんやろ?(子供時代に師匠に注意されてる)し、窮地と分かってもその後も対策を考えずに行動しているように見える。最後は「つっこめ~!」で、目的は秀吉の説得。対面対話で信長の思考を秀吉に思い出させ、信長の理想を実現するように思いなおさせる、それが五右衛門の目指したもの、だったのかなと。横で聞いていた茶々も信長の言葉を思い出し、秀吉と力を合わせ(?嫌がってたのに側室になって後継者を生むし)、天下統一いや天下布武を目指す強い女になったのね。
この展開なら、秀吉は五右衛門を死刑にはしないと思う。有力な協力者に出来る人物だよねえ。それに死刑でも釜茹は無いやん?と思う。だからラストシーンは光成の独断だったのかと思った。私的には、釜茹でにしたふりで、五右衛門生き残る展開かと思ったのに、あのラストは死刑になったよね・・ってびっくりした。
楊さんは変わらず美しく、長髪忍者が似合うわ。ダンスで心情を表現する場面も良かった。

霧隠才蔵(椿りょう)
伊賀忍者で、五右衛門と一緒に修行をして成長し、一緒に茶々の護衛に任命される。まあ親友。彼は本能寺で傷を負い、死にかけたところを「はな」に助けられて、光成の配下に。なんで光秀配下になったかというと・・信長の香炉を探すため。用意周到に頑張ってたのに、五右衛門があっという間に正体を見破られ、もろともに彼の行動に巻き込まれていく。最初から最後まで、五右衛門の仲間なの。葛藤も無いので、光秀は忠誠に値する上司ではなかったようだ。彼の葛藤はただ一つ、妻と息子との平穏な生活(そこは光成に感謝では?と思たった)。五右衛門の行動に巻き込まれたら、それは捨てなければならないから。でも妻は彼の心境も立場もわかってくれてたみたい(凛華さん上手かった)で、後顧の憂いなく、戦いに臨めた(と思った)。この辺り台詞がほとんどなかったけど、椿さんと凛華さんの芝居で感じた。二人ともいいねえ。
長身で長髪の黒尽くめ忍者。両刀使いなのよね才蔵って。なかなか凛々しくてよかったです。やっぱりスタイルいいし存在感があって乱戦でも目立つわ。

豊臣秀吉(天輝レオ)
秀吉様、まだ太閤殿下ではない時代。でも着物が派手。金ぴかマント。長身でちょっと老けメイクだけど、迫力があって重低音がいい雰囲気を出している。この秀吉様、かなりの悪役。笑い声がもう悪役で、とってもわかりやすくてよかった。いい役作りで、芝居上手い。個人的感想ですが、天輝さんは悪役が似合う。今回もとても黒い役でしたが、もっともっと黒い役を見てみたい人だ。


石田三成(壱弥ゆう)
秀吉配下の重臣。本作では、影の仕事を全部請け負っている感じ。陰謀担当でしょうか。ご本人もかなり暗いトーンの格好に暗い表情、いえ表情を変えずに常に冷酷な表情。分かりやすく悪役、頭使う悪役ですね。本作では、悪の手下と見せかけた真の黒幕みたいな役割で、史実がなければ、秀吉は彼に裏切られて滅ぼされ、天下は光秀のものに!って感じ。で光秀に殺される秀吉が、今わの際に五右衛門と茶々に詫びて後を託すの。五右衛門は茶々と疾風ら仲間と一緒に光秀(ラスボス)を倒して、天下布武を実現するのさ(笑←ラノベだ)、あ、才蔵は光秀に見抜かれて無残に殺されるのよ。
と妄想が膨らむほど、壱弥さんのお芝居は上手い。小柄だけどそれを感じさせない迫力がある。お芝居上手い。歌も、ソロで難しそうな不協和音の不気味な音程を歌ってましたな、すごい。

茶々姫(実花もも)
言わずと知れた有名人。信長の妹・市と浅井長政の長女。両親の死後に伯父に引き取られていたころが回想シーンにある(忍者たちは青年時代)。はっきり意思をもつ茶々に、信長は大事なものを託す。その後、本能寺があり、茶々は秀吉の庇護下にはいり、ちょうどその頃。だから茶々にとって秀吉は、現在の庇護者だけど、もともと伯父の配下で使用人レベルから出世した下人、つまり自分は秀吉より下の身分ではないと思っている気がする。史実ではどうだったかわからないけど、この茶々姫はえらく秀吉に気を使っている。もっと強気の姫でもいいのでは?と思った。秀吉殿、主家の血を引く姫なんだし、もっと豪華な着物を着せてあげなさいよ、自分ばっかりキラキラで!と言ってあげたい。
あと五右衛門のことが好きだったのね~というのは分かった。なんで好きかまでは描かれず。天下布武の清州城(青年)時代、もう1エピソード欲しかったわ。
実花さんは声が綺麗、透明で揺らがない。歌が良かった。

織田信長(京我りく)
冒頭、本能寺の変の織田信長から始まる。誰かわからなかった。プログラムを見て判明。京我さん、すごいやん。大迫力でしたわ。冒頭のみかと思いきや、信長様は重要人物でちょいちょい出てくる。京我さんの本役?の疾風も結構出番が多いが、同一人物には見えなかった。やっぱりこの人は芝居が上手い。

明智光秀(知颯かなで)
出番は大変少ないが、お鬚が似合い、イケメンおじさまやん。知颯さん、意外と髭似合うのね。きりりと睨みつける光秀様は、品も感じられて光秀らしかった。

服部半蔵(りつき杏都)
五右衛門と才蔵の師匠。子供を拾っては忍者にしている人物。二人が子供時代から現在まで登場するが、老けない。忍者の頭目なんだけど、飄々としすぎている。かなり声が高い。りつきさんは、いつも声が高い。今回は低く作ってほしかった。あと、セリフがちょっと棒気味。声も高いのに、それではちょっと・・・。周りが上手かっただけに、浮いてしまった感があった。

はな(凛華あい)
才蔵の妻。瀕死の才蔵を助けて、結婚したらしい。いろいろ分かっていて、それで黙って飲み込んであげるイイ女。苦労したんだろうね、って思う。1場面だけだけど、この夫婦はいい芝居をした。凛華さんは出演時間上に、いろいろ芝居の裏にあるものを語ってくれた。これで退団、もったいない。

坊主(夏目せな)
貧民の子、スリか盗みかなんかしようとしたところを五右衛門が止めて、団子を買ってあげる。過去の五右衛門を再現した役割。結構しっかりしていて可愛い。目立つ役だが、プログラムに「坊主」と載っていて、お坊さんでてたっけ?と思ってしまった。役名付けてほしかった。お芝居は良かった。

<忍者>
疾風(京我りく)
紫苑(琴海沙羅)
五右衛門と才蔵より年上の先輩忍者。組織崩壊後、五右衛門と一緒に、踊りの一座(倭座)として町民になっているようだ。技術はあるけど普通の人っぽくて人当たりが良い疾風と、ちょっと頑な風だけど姐さん風の紫苑。いいコンビで動いている。でも紫苑は五右衛門が好きなんだよね、さり気なく態度には出てるけど、疾風しか気づかない。疾風もいい男なのにね。疾風はリーダーの器があるような気がする。頼りがいがありそうで、常識人な面が強い。

<過去編>
五右衛門/五郎吉(子供;碧輝来/青年:知颯かなで)
才蔵/佐兵衛(子供:舞音ことは/青年;翔馬かいと)
少年時代の二人、青年時代の二人。子供時代は対立から仲良くなる兆しが見え、青年時代はもう親友。そのあたりもうちょっと見せてほしかったなあ。二人の関係をもっと強く描いて欲しかった(って「幸村」になってしまうか。あの幸村と才蔵の関係は良かったなあ)
子供時代の五郎吉、すごく上手かった。プログラムの一番下に載っていてびっくりしたわ。


と、こんな感じ。この作品も東京へもっていけばいいのにと思う。大阪だけではもったいない。ご時世だからまだ難しいのかな。
とりあえず、美しい楊さん、凛々しい椿さん、色悪な天輝さん、冷酷な壱弥さん、貫禄と親しみの京我さんを堪能した。

千秋楽、凛華あいさんの退団ご挨拶があった。才蔵の妻の衣装かな、そこに白いお花をつけて、感極まったような声で、でも結構長めにしっかり挨拶をされていた(楊さんが2回振った)。各方面への感謝、ひたしら感謝。最後まで公演ができてよかったね!
後の公演の紹介は、出演者が挙手をして案内。面白い方式だ。この公演から次の「近松」に出演者はいないのね(日が近すぎるか)。いろいろ楽しかった。



最近忙しくて、感想が全然書けてないですね。元気に生きてますが、忙しすぎて。
花組のフィレンツエも、月組のBJも見たのに、書けてない。意欲が湧かない・・
感動の名作や、突っ込みがいのある作品は意欲が湧くのだけど。と好みの問題にしてしまった。
またそのうち書こうと思います。



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