SSブログ

宝塚月組「グレート・ギャツビー」千秋楽 [観劇感想(宝塚)]

宝塚月組「グレート・ギャツビー」
2022年8月22日(月)13時千秋楽 2階5列


やっとやっと見れました。しかも千秋楽に。
日頃善行を積んでいたのか(笑)、持ち運を使って勝負をかけたのか。
ともかく大感動。こういうお話だったのか・・映画も東宝のも見たけど、今回が一番感動した。宝塚アレンジはしてあると思うけど、本当にギャツビーの激しい純愛とデイジーの愛と現実の苦しみ、ニックの優しい人柄、ジョーダン、トム、マートル、ジョージ。主要人物がみなそれぞれの人生を表現していて、本当に素晴らしかった。
何回も見たかった。細かな表情や動きをもっと見たかった。一度でも見れて良かった。

202207月グレートギャツビー本.jpg

三井住友VISAカード ミュージカル
『グレート・ギャツビー』
-F・スコット・フィッツジェラルド作“The Great Gatsby”より-
脚本・演出/小池 修一郎


映画は2時間はあったし、東宝も1本建てなので違和感はない。過去の宝塚版は見てない。
だから宝塚では初めて見た。そして、一番感動した。やっぱり芝居の月組だね。
一言でいうと「純愛」の物語。ギャツビーだけじゃなく、マートルも、その夫も。命を懸けて愛を貫いた。(重すぎる愛・・・)。愛を軽く考えていたのは、トムとジョーダン。愛を知ったばかりのニック。デイジーは、娘がいなければ行動が違ったと思う。


ジェイ・ギャツビー/月城 かなと
中尉として令嬢のデイジーと出会い恋に落ち、幸せな恋人同士になったのに引き裂かれ。フランス戦線に出征している間に恋人は結婚してしまい、あきらめきれずに彼女の家の向かいに家を買い(まあ川挟んでるし豪邸だから距離はあるけど)、立派なストーカーだと思う。デイジーに危害を加えてないし、ただひたすら気づいてくれるのを待っているような大人しいタイプなので、純愛一途タイプ。
デイジーのまた従弟のニックが隣家に引っ越してきて、チャンス到来。わずかなチャンスをものにしてあっという間にデイジーと再会。双方気持ちが残っていて、そのまま盛り上がり・・きっとデイジーが夫を捨てて彼のもとに来てくれ、ハッピーエンド。ギャツビーはそうなると思ってましたよね。デイジーも一時はその気になる。でも強烈な母親代わりの乳母から諭され、彼女は冷静に現実を考えた。だから夫のもとにとどまることを選ぶ。
デイジーの気持ちもギャツビーの気持ちも乳母の気持ちもわかるから、すごく切ない。
ギャツビーの最期とデイジーのあの冷たい態度。ニックとデイジーは重い十字架を背負って、幸せ一家を演じていくのね。一途に愛に殉じたギャツビーは幸せだったのだな。
・・・と思える物語でした。月城さんの芝居から読める情報量の多いことよ。見た目は凄くカッコよくて美しい。一目惚れも納得。それでいて客席に伝わる感情の多さ。もともと芝居が上手い人でしたが、本領発揮でした。複数回見たかったなあ。


デイジー・ブキャナン/海乃 美月
近隣洲で一番の美人と称される女性。愛されて育った美少女らしい我がままさもあるけれど、ママのお人形ではなくちゃんと感情があり、素直でまっすぐな性格も素敵。だからギャツビー中尉も惚れたのですね。相思相愛で幸せの絶頂で、人生初めての試練。身分違いで母親に引き裂かれる。時代も母に味方し、愛する男は遠い外国の戦場へ。便りもなく生死不明。このデイジー、頭がかなりいい。ファンタジーではなく現実を見ているので、帰ってこない男を諦め(戦死したと吹き込まれたのでしょうか)、親の認める身分の合う男トムと結婚する。トムも美しく聡明なデイジーに熱愛求婚したようだし、求められて結婚するのが幸せ!!!とあのお母様なら言いそう。そして周りに祝福される結婚をして、娘も生まれて豪邸で幸せに暮らしている。傍目には。あんなに熱愛してくれた夫は熱が冷めて、隠れた愛人が複数存在。一途な純愛男(=ギャツビー)がタイプなのに、浮気男はちょっと‥ですよね。上流の夫人らしく、夫の「浮気」には目をつぶっていなければならず、うつうつとして、親友ジョーダンとささやかな憂さ晴らし。
そこへ!あの純愛男ギャツビーが、一途に愛を捧げたてくれたままグレードアップして戻ってくる。そりゃ戻らないはずがない。彼の愛が変わってないことを確かめ、娘を連れて最愛の彼のもとへ!となれば、彼女も幸せになったかもしれない。でも自分のものを人に取られるのは許せない夫トムも(少し愛を思い出したか?)、悲劇の結末へ。
ラストシーンは、彼女の決意表明なのでしょうね。あの冷たい態度は。あの心境もまたデイジーの心が痛かった。みんな芝居上手いなあ。

トム・ブキャナン/鳳月 杏
デイジーの夫。アメリカの貴族と自称する生まれながらの大富豪。傲慢に見せているけど、善良な良い人。浮気者だけど家庭は大事にしている夫。多分、妻が「夫に一途な愛を求める」デイジーでなければ、円満な家庭人。幸せな家庭のはずが、デイジーの「一途な恋人」が現れてびっくりでしたね。慌てて家庭を守ろうとしてなりふり構わず頑張った結果、意外と一途な恋人だったマートルが暴走して、悲劇を迎えてしまった。この後、デイジーと心が通うことは無さそうで、娘を絆として仮面夫婦になるのかな。って思わせる人物でした。
凰月さんのトムは、傲慢で無神経な貴族男というより、育ちの良い善良な青年でした。イイ人が透けて見えるというか。だからデイジーが一度は捨てようとした家庭に戻ろうとする気持ちもわかる。


ニック・キャラウェイ/風間 柚乃
ストーリーテラー。デイジーの又従弟でギャツビーの隣人。この二人をつなぐ超重要人物。彼が引っ越してきたところから話が動く。だが彼自身は、登場人物の中で一番の常識人。身分も仕事も思考も善良な一般人。観客の代弁者ですよね。彼の目を通して、ギャルビーとデイジー、トムの三角関係とそれを取り巻く華やかで恐ろしい人間関係を見る。ま、ジョーダンとの関係でニック自身も巻き込まれるけど。
彼はずっと私心無く「放っておけないから」とギャツビーに寄り添う。そのため、思い込みが激しくて一途だから友人のできにくいギャツビーの親友になってますね。ニックがいなければ、葬儀すらできなかったくらい。それがギャツビーの選んだ人生。彼自身悔い奈は無かったと思うけど、ギャツビー父や観客にとっては、ニックの行動・存在は救いでした。
風間さん、もう出ずっぱりですが、役割をきっちり果たしてくれて最高。素晴らしいお芝居だ。2番手?と思うくらいの出番と役割ですよね。月城さんをはじめ、主要キャストの芝居が引き立つのは、彼らの立場や思いをさらに浮きあがらせる要になるニック役の力もあると思った。素晴らしい出来栄えでした。

ジョーダン・ベイカー/彩 みちる
プロゴルファーでデイジーの親友。この時代の上流女性には珍しく、自立した女性。だから、一人孤独に自立すると決めている節もあるのかな。優しく一緒に居て寛げる凡人ニックに積極的にアプローチしてあっさりものにしたあと、同じ理由であっさりと別れる。カッコいい生き方だけど、辛くないかな~って思う。
彩さん、こういうキリリとした女性のほうが似合うよね!「シティハンター」の冴子も似合っていたし、頭の良い凛々しい女性が似合うのだわ。セリフ回しも声も、歌も月組に来てから、すごくよくなったと思うの。周りと会ってるのかな? 今回も美人で素敵でした。

マートル・ウィルソン/天紫 珠李
トムの愛人で、灰の谷の自動車修理工の奥様。夫は小さいとはいえ会社社長なので、それなりにお金はあるのでしょう。だから戦後でお年頃の男性が激減したので、かなり年上だけどお金のある彼と結婚したと。だけど若くて綺麗なマートルは全然万蔵できずに、浮気三昧。超一流のお洒落なイケメン・セレブなトムが愛人にしてくれたんだから、そりゃあしょぼい老人(ごめん)なんて、目に入れたくないよね。トムに会うために綺麗にするお金と時間をくれたら、それ以上は関わってこないで!!というのが全身から伝わってくる。
あれだけそれを伝えているのに、まったく受け取れない夫って、鈍感すぎ。最後までマートルが愛した男が誰かわかってなかった・・・びっくりだわ。名前も叫んでいたのに。
マートルは、しょぼい夫と一緒にカルフォルニアなんて行きたくなかった。だから必死でトムのもとに行こうとしていた。命がけでね。死ぬほど嫌だったの。
天紫さんのお芝居も激しくて、すごくマートルだった。素晴らしい。


ジョージ・ウィルソン/光月 るう
戦争が無ければ、マートルのような若い美人とは結婚できなかった。それは確実。おそらくマートルからアタックして結婚した。夢みたいだったんでしょうね。だからマートルを一途に愛した。彼女が全身で自分を拒絶しても、他の男を愛していても、まったく気づかないようにしていた。意識的に、そういう情報を除外していたに違いない。あのマートルの態度で気づかないのはおかしすぎる。それだけ一途にマートルを信じて愛してきた。だから彼女が殺されたことに我慢できなかった。愛しい妻のいない世界を生きる気力もないから、敵を取って後を追った。(多分、あの世でも拒絶されると思うけど・・敵も間違ってるし。絶対にあの世でもマートルに罵られる)
光月さんも上手い、上手すぎて。マートルがトムにすがる気持ちもわかるし、ジョージがマートルを一途に愛する気持ちもわかる。クライマックス場面は、一途な愛に生きた二人の男の場面だったの。ジョージも間違いなく、一途な愛の男だ。

マイヤー・ウルフシェイム/輝月 ゆうま
ギャツビーの背後にいるマフィアの親分様。素晴らしい貫禄。一見良い人なのだけど、目が冷たい人というのが伝わってくる。役に立つ味方には情に篤くて頼りがいのある男。でも不要になれば容赦なく切り捨てる冷酷なリーダー。この二面性を見事に伝えてくれた。彼の信念も立派。生きているときは友達、そうだよね~死んだら役に立たないから。たくさんの男たちに囲まれているけど、孤独な人物。
輝月さんは研3くらいから「専科さんレベル!」と思ってきたけど、本当に専科になられて、ますます魅力に磨きがかかってますね。

ラウル/夢奈 瑠音
ギャツビーの運転手。あのド派手な黄色い車を運転しているって、どんな気分か聞いてみたい。ラウル自身はニヒルなマフィアというダークな雰囲気満載だから。ギャツビーの見方ではないよね、監視役というのがわかる。スーツがお似合いで、マフィア役もかっこいいわあ。夢奈さんって、ちょっとストイックで無口な役が素敵。

ビロクシー/礼華 はる
ギャツビーの執事。ラウルよりはもう少し、ギャツビーへの好意を感じる。ちゃんと執事として、毎日傍に仕えていると情も移るのかもしれない。
背が高くてスラリとかっこいいので、裏社会でなくても生きていけそうな雰囲気の方でした。でもマフィアの一員だけどね。

警視総監/千海 華蘭
小柄な酔っぱらい。ほんとに警視総監か?と思える出で立ち。明らかに家柄とかコネでしょ!と言いたくなる。マフィアとはお友達だし、ギャツビーのパーティで楽しく飲んでるし。人生楽しそうですね。千海さんも専科さんレベルにこういう役が上手いですよねえ。

ヒルダ/夏月 都
デイジーの乳母で、実家から婚家にも付いてきて、今も娘パメラの乳母。デイジー母と同じ考えで、ほとんど第2の母。デイジーが再開したギャツビーとの駆け落ちを思い止まったのは、彼女の存在か?と思わせる。強烈な強い意志を感じさせる方です。

ヘンリー・C・ギャッツ/ 英真 なおき
最後の最後の一場面しか出てこないのに、彼が出てきて息子ギャツビーのことを語りだすと、一気に客席号泣。そこまで耐えてた感情が堰を切る感じ。英真さん凄い、そしてその芝居を受けるニック凄い。

少年時代のギャツビー/瑠皇 りあ
父の語る子供時代のギャツビーを具現化するために出演。綺麗やん!結構、あの美しい月城さんに似ていて同じ雰囲気の美人だった。

アンソニー・フェイ/春海 ゆう&エリザベス・フェイ/白雪 さち花
デイジーの両親。優しいおっとりしたお父様と、厳しいお母さまです。デイジーの初恋も、父だけなら多分許してもらっていたような気がする。あの強烈な母が、父のとりなしもデイジーの情熱も全部薙ぎ払った感じ。その母の心意気はすべて乳母が受け継ぎ、一生デイジーに付き纏うのね。

ジュディ・フェイ/きよら 羽龍
デイジーの妹。まだ幼いのか可愛い。可愛い芝居がちょっとわざとらしい。昔の彩さんがよくこういう芝居をしていて、辛かった。きよらさんも幼い妹だからって、あんなにキンキンしなくてもいいのよ~って思った。

エディ・ニコルソン/彩海 せら
ジュディとデイジーの従兄。ジュディと仲がいい。この二人なら結婚赦してもらえそうな雰囲気。眼鏡っ子で頭いいけど弱そうな少年。ソロもあり過去編の一場面だけの出番なのに、なかなかの出番。久しぶりに捻くれていない少年役の彩海さんを見た。


フィナーレ
大変オーソドックスなフィナーレが付いていた。フィナーレまでこの時代の雰囲気を壊さない感じでとてもよかった。衣装も素敵。大変満足だったのですが、お芝居での感動のあまり詳細は覚えてません。


<退団者のご挨拶>
娘役さん3名です。月組は、組からのお花のときに、同期生全員が出てくるのね。皆さましっかりしたご挨拶で、素晴らしかったです。
特に、夏月さんのご挨拶は、さすが!という見事なご挨拶でした。娘役に珍しい横持ちの凛々しい花束、凛としたたたずまいと相まって、感動的でしたわ。


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。