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宝塚宙組「Never Say Goodbye」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚宙組「Never Say Goodbye」
2022年3月13日(日)15:30 前楽 2階12列


やっと見れた!前半に確保していたチケットが強制払い戻しになり、唯一残っていたチケット。念願の2階席。この作品は絶対に2階から見たい!!と熱望していたので大満足。
16年ぶりに見るNeverSayだけど、やっぱり好き。曲がいいのと群衆場面が最高。
本日は2階からの景色を堪能したかったので、大勢出ている場面では全体を見ていた。主要キャスト以外はわからなかったのだけが残念。明日の中継に期待→見れなかったので東京に持ち越し。

演出は変わってない(ような気がする)曲もほぼそのまま(のように感じた)。衣装が少し変わったかな。
真風さんはぴったりでかっこいい。ジョルジュ役は長身の大人の男が必須だね。
潤花さん、歌が良かった。初演の花總さんが全然似合ってない役だったのだけど、潤花さんは逆にとても声があっていて、良かった。地味目の衣装でも華やかな美人。
芹香さんのヴィセント。大人でかっこよかった。
特筆すべきは市長とラ・パッショナリア。松風さんと瑠衣さんですね。素晴らしい迫力ある歌声。良かったわあ。
でも前回も思ったけど、これなぜ東宝ミュージカルでやらないのだろう。衣装セット地味目曲最高な名作なのに。

202202宙ネバセイ.jpg

ミュージカル
『NEVER SAY GOODBYE』
-ある愛の軌跡-
作・演出/小池 修一郎
作曲/フランク・ワイルドホーン


初演当時はワイルドホーン氏の曲の演目を初めて見た(多分)だったので、楽曲の素晴らしさに打ちのめされた。そしてトップコンビ+その他大勢という外部ミュージカルのような演出方式があまりに斬新で、見入ってしまった。
ストーリーは和央さんの退団らしき内容で、「ああ退団だなあ」と思えたこととは満足だが、女帝と呼ばれたトップ娘役歴12年の不世出の娘役・花總まりさんの退団にもかかわらず、余りに似合わない役で、さらにトップ退団&トップ娘役残留かという演出にすごく驚いたことも覚えている。良い作品だけど、花ちゃんこれで退団・・?この演出で退団?と思ったのだわ。当初は退団予定じゃなかったのか???大和さんは4学年下だぞ?なんて恐怖を感じ、当時の塚友と語り合ったことも思い出した。
トップスター単独退団には相応しいストーリーと演出の作品なのは確か。だから今回、真風さん主演と聞いて、そしてトップ娘役になったばかりの潤花さんが相手役だから、これは今度こそ・・・!と思ったのでした(また外れたけど)。

基本的なことは変わってなくて、オリンピックの開会式(予行演習)の場面とか、バルセロナの市外戦の場面とか、ものすごく胸に迫る素晴らしい場面はそのままだった。圧倒的な集団場面。素晴らしい!あの旗を使った演出(開会式)が上から見たくて、2階席を確保したくらいだ。そしてラストシーンのジョルジュのキャサリンとの別れの場面の台詞、彼のラストシーン、すごく良かった(これで単独退団出来たら最高だろうなと思える。トップ単独退団スタイルだとこういう作品が合いそうなのに、いままで再演がなかったなあ)
リアルにウクライナ問題が報道されている現在、なんともタイムリーというか・・・。ああこういう気持ちで戦ってるんだろうなって胸に迫る作品だ。本作では、敵が一人も一場面も出てこず、「侵略に抵抗する市民軍」の姿だけ、そこに同調する外国人の姿だけが映しだされるから、これも一緒だ。これ上演決めた人は予言者か?!(だが本作では反乱軍と呼ばれ一度も出てこない敵が勝つんだよね・・)




ジョルジュ・マルロー(真風 涼帆)
ポーランド出身のフランスで成功したカメラマン。女優などを撮影して成功した。ので女優の恋人と一緒にハリウッドへ。そこでキャサリンと会う。その後はまあ気に留めつつも、恋人エレンと一緒に仕事で(彼女のほうがメインのようだけど)バルセロナへ。そこで、スペイン内戦に出会ってしまい、報道カメラマンというよりジャーナリストとしての使命に目覚める。同じ目的のために戦う戦友たちがいて、自分の居場所を得て、幸せになる。使命を貫けて、命を懸けるほど幸せだったと思う。彼はバルセロナに居て内戦に出くわさなければ、きっとハリウッドから「遠い世界の戦争」と認識し、ハリウッドで今まで通りの作品を撮っていたかも、と思う。逆に言えば、あの時あの場所で当事者であったから、そのまま当事者で居続けること=戦うことが天命だと感じたのかなと。ただその後第二次世界大戦が勃発するから、結局いつかは使命に目覚めただかもしれない。
真風さん、立ってるだけでかっこいい!女が寄ってくる女たらし!っていうのがぴったり。それでいて苦労人の才能あるカメラマン。自分でもわかってないけど、ちゃんと信念もあってね。いい男だ。初演ではジョルジュはバルセロナ市街戦の場面で全身白のスーツを着ていて、「あんた的になるよ!」って突っ込んだが、ちゃんとベージュ(それでもなんだが)に代わっていてよかった。ジョルジュはかなりソロが多いんだけど、普通に良かった。ジョルジュは長身でちょっとぼーっとしたタイプ、立っているだけで様になる大人の男ってイメージが定着した。

キャサリン・マクレガー (潤 花)
アメリカン人の裕福な階級出身の女流作家。離婚歴有ってこれは初演の宛書か(笑)。あの時代の女性の在り方に反発し、自分の力を試したい、自分で道を切り開きたいとずっと鬱屈している。共産主義者ではなかろうが、それを知ることも重要と考えていそう。まっすぐソビエトに行ってたら、共産主義者になって帰ってきた可能性も大きいと思う。
彼女も、あの時あの場所バルセロナに居て、当事者として天命を感じたんだろうなあ。ジョルジュと似た者同士だ。だから意気投合したのだろう。最後は彼の意思を尊重し、女であることの限界を初めて認識し、自分の戦いを諦め、アメリカに帰って彼の意志を世界に伝える役を担った。
気が強くて、意思がしっかりしていて、でもお嬢様なので世間知らずで脆いところもある、なんとも扱いにくい女性だと、初演も今も思う。キャサリンはそういう女性として描かれている。私は花總さんのキャサリンより、潤花さんのキャサリンのほうが好き。頑固で意固地な扱いにくさが減って、ひたむきな純粋さが感じられるから。
潤さんの歌は、地声で歌う低めの歌がとてもいい。すごくいい。地味目な衣装でもキャサリンはぱあっと華やかだし、地声の歌が似合う。潤花さん、素晴らしい!



<オリンピアーダの方々>
ヴィセント・ロメロ(芹香 斗亜)
バルセロナ出身の闘牛士。ハリウッド映画に闘牛士役で出演予定。なのでバルセロナのオリンピックに関係者を招待、と。そしたら内戦に。彼の故郷での話なので、本当の当事者はヴィセントだけかもしれない。そういう思いが彼の中にもあり、ジョルジュやオリンピアーダの仲間たちに爆発する場面も。実は複雑な役だったのだな。出番がちょっと増えたか?それとも芹香さんが上手いのか?芹香ヴィセントは、大人だった。熱い思いで突っ走ったのではなく、熟慮して行動しているのが分かった。それだけに、「言ってはならない」仲間たちへの不満が噴出したのが、辛かった。
ヴィセントの歌は明らかに増えていた。そしてもともとある歌の正しい旋律もやっとわかった。心情を振り絞った良い歌詞だった(私は初演が大変気に入ったので音源を持っているので、わかる。あれでも大和さんは本作ではかなり歌えていると思ったものだが…耳が慣れていたのだな。歌詞もちゃんと聞いてなかったらしい。反省だ)
大人のジョルジュに大人のヴィセント、二人の関係が分かった。言葉にならない感情が見えて、良かったです。

タリック(亜音 有星)
モロッコ人のオリンピック選手。可愛いタイプで、裏切り者。大変目立つ。というかオリンピアーダの中では唯一目立つ役。初演は早霧さんだったのね~だからなんとなく小さい人とイメージしていた。
彼らオリンピアーダの戦士たちも、あの時あの場にいたから、そのまま当事者としてとどまって戦う選択をした人たち。居場所を探していたジョルジュや、当事者のヴィセントと違い、「自分はなぜここで命を危険にさらしているんだろう・・」と思ったこともあると思う。それがタリックで表現されていた。一度バルセロナを出て故郷に帰り、老いた母親から「行かないで!」と言われたら、思い止まりそうな感じと言えばいいか。それでもマックスたちは、そういう思いを出さずに戦っていたんだけど、一番若くて甘そうなタリックが狙われたのね、と思って見ている。ともかく目立たない他のオリンピアーダに比べ、タリックはとっても目立つ若手の出世役ですね。


マックス・ヴァン・ディック(紫藤 りゅう)
ビル・グラント (瑠風 輝)
ナセール(優希 しおん)
ビョルン(鷹翔 千空)
ハンス (風色 日向)
この中ではマックスがリーダー的存在なのがわかるくらい。あとはジョルジュの戦友という位置づけのような感じ。これは初演の時も思ったんで変わってない。オリンピック選手だけあって皆様立派な体格ですね。義勇軍として貴重な戦力ですわ。
そういえば、オリンピック選手は残ってくれた方々がこれだけいたのに、闘牛士はみんな地元に帰ってしまったんですね。まあ内戦だし、地元が大事よね。

<バルセロナの方々>
ラ・パッショナリア(留依 蒔世)
市街戦のヒロイン、ドラクロアの絵のような女性だ。市民を率いる力を持っています。あの声!素晴らしい歌声で、私もうっかり参戦しそうになってしまう。
普段は男役なので、パッショナリオになるのかと思っていたら、実在の女性なので女役だった。瑠依さんの歌凄いですねフィナーレまで女役とは。すごい迫力な美女でびっくり。。

市長(若翔 りつ)
もう一人、市民を率いる方。素敵なオジサマ。バルセロナ市民も、そこにいた外国人も、みんな市長とラ・パッショナリアの歌にひきつけられて参戦したのでは?と思えるほどの歌声だった。この二人が歌う場面は至高ですな。音源が欲しい。

テレサ (水音 志保)
ヴィセントの恋人。開会式ではフラメンコを踊っている。闘牛士とフラメンコダンサーなので、お似合いのカップルだ。とても可愛らしくて、物わかりの良い恋人。わがまま一つ言わずにヴィセントの思いを汲んで動いてあげる。本当にできた恋人だ。

アニータ(瀬戸花 まり)
仲間の占い師。雰囲気からジプシー。とてもよく当たる。大変歌声が良くて、信じてしまう。

<ハリウッド関連の方々>
エレン・パーカー(天彩 峰里)
ハリウッド女優でジョルジュの恋人。普通の思考の人なので、ジョルジュの使命感への渇望についていけなかった。そりゃ内戦に巻き込まれたら、戦争のない故郷に帰りたいよね。覚醒したジョルジュとはわかりあえないので別れて正解。美人でプライドの高い女優さんです。天彩さん凄い女優感でてる!

ピーター・キャラウェイ(春瀬 央季)
キャサリンの恋人の脚本家。キャサリンに押し切られていて、いや、彼女のいうことを聞いてくれる優しい恋人だったんだなあと思う。だから付き合っていた。でも使命感に目覚め、同志的恋人を見つけたキャサリンとは分かりあえないタイプ。どう頑張っても、使命感に目覚めて他国の内戦で銃をとるタイプではないから。別れて正解。普通の女性となら幸せな家庭を築けるタイプでしょう。

マーク・スタイン(寿 つかさ)
ハリウッドのプロデューサー。ヴィセントに招かれてスペインに来たら内戦に巻き込まれ、同行の売れっ子女優に危機が及ばないうちに帰国しないと大変だ!こんな状況では映画は没だし、契約はどうなる?今後の対応が~と焦っただろうなあ・・・とかなり同情してしまった方。私も初演時より年を取ったので、そんなことを考えてしまった。マークにとっちゃスペイン内戦はよそ事だから、早く離脱しなければと思って、大変だっただろうなあって。

パオロ・カレラス(松風 輝)
スペイン共和国政府の広報官だった民間出身のやり手のおじさま。こちらは内戦の当事者なので、最後まで頑張って自分なりに戦っている。結構力強いキャサリンの味方でしたよね。

<本作ではトップコンビの敵の方々>
フランシスコ・アギラール(桜木 みなと)
本作の主要な方々が戦っている相手は「反乱軍(フランコ軍)」なので、一切出てこない。アギラールは一応同じ立場の味方なのだが、やり方が違うので折り合えず、さらに主役の恋敵の立場なので、敵に位置付けられている。
桜木さんのアギラールは、かなり出世欲が強そう。キャサリンのことも、キャサリンが好きというより、アメリカの高名な女流作家を手に入れたら使い勝手よさそう!という気がする。こういうタイプの女はそれじゃ振り向いてくれないのに。最初から脈が無いのに、頑張ってしまうところが悲しい。偏執的なタイプでもないのに、なぜキャサリンにばかり執着するのか。エレンのほうが知名度高いのに?と思ってしまった。党のイメージからすると、女優より作家のほうがインテリジェンスで好ましかったのかな?なんて。(初演の遼河さんはキャサリンに振られるほどに執着していってたから、出世より自分の感情に忠実な人だった)
大変まじめで抜かりなさそうに見えるアギラールだが、実はちょっと抜けているというか脇が甘いんですよね。ドラゴン退治の場面で張り切って舞台に上がってるうちにまんまと嵌められるし、仲間だと思ってた人にあっさり消されてしまう存在。坊ちゃん臭がするので、豪遊する父に反抗して共産主義に走った良い家の息子ではないかと思ってしまった。

コマロフ(夏美 よう)
ソビエトの情報将校。って今の人「ソビエト」って知ってる?というレトロな名称だ。ロシアもウクライナもベラルーシもその他もあの辺全部ソビエトだったのよ~。共産主義の牙城で、まだ当時はアメリカとそれほど対立してない(キャサリン達はそう思ってる)けど、警戒はされていた。自由主義のアメリカとも、ファシズムのドイツとも違う、共産主義の旗手ソビエト。今回のスペインは、共産主義国になっていたから、彼らは味方。アギラール達はそう思ってる。でもしょせんスペインも、コマなんですよね~という扱い。黒幕のコマロフ氏、静かに控えていて、最後に一番の重要人物。


<現代人>
ペギー・マクレガー(潤 花)
エンリケ・ロメロ(奈央 麗斗)
キャサリンとジョルジュの孫のペギー、そしてヴィセントの孫のエンリケ。冒頭で、あれから80年と言っているが、この台詞初演は60年だったか? 初演から20年近く経って、この辺りの年数が合わなくなってきていたような気がした。内戦が80年前なら、君たちはひ孫でちょうどでないかな?なんて。そうするとヴィセントじいさんから直接話を聞けないから、エンリケとペギーが年配のおじさまおばさまになるのか。
初演時、なぜペギーがキャサリンと同じ役者なのかと疑問だった。今回も同じだ。やはり疑問。エンリケは違うのに。



今回も思ったけど、セットも衣装も地味目。人海戦術で大人数の場面が見せ場。主演コンビに歌が多くて、名曲ぞろい。これは東宝ミュージカルで見たい、とまたしても思った。「レ・ミゼラブル」みたいに世界で上演できるのではないかと思う作品だ。ぜひぜひ東宝で上演してほしい。

あとこの題材「幻の祭典」(逢坂剛氏の小説)を思いだす。あのシリーズも完結したようなので最後まで読みたくなった。長いのよ。もうどんな話だったか細部忘れた。読んだときは感動したので時間があれば読み返してみたい。もう一回見たかったな、2階席センターから。


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