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宝塚雪組「fff/シルクロード」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚雪組「fff/シルクロード」
2021年1月2日(土)11時 2階10列センター
2021年1月5日(火)11時 1階2列下手


2021年最初の観劇は宝塚!雪組公演を見に行きました。2回も。
とにかく、圧倒的な熱量と圧力を感じる公演。音の圧力っていうのかしらん。
雪組公演は、望海さんがトップになってから常に音が見えるほど力を感じるけれど、今回は最後だからか、もう圧倒的。お芝居の熱量も高く、力を感じる。とりあえず「濃い」。
私は濃いのが好きなので、大満足。
望海さんと真彩さんの歌も圧倒的で、聞きごたえがあるわあ。
お芝居もショーも、照明やフォーメーションも美しく、上から見ても大満足。
こんな時期ですが、できるだけ何度も見たい公演です。

202101雪fffSR.jpg

かんぽ生命 ドリームシアター
ミュージカル・シンフォニア
『f f f -フォルティッシッシモ-』
~歓喜に歌え!~
作・演出/上田 久美子

ベートーヴェンが主人公だから、音楽がいっぱい。有名どころの曲、タイトルロール?の交響曲「運命」や「英雄」ががばんばん使われていて。ベートーヴェンの交響曲って、熱量も圧力も高いよね。望海さんにぴったり。

開幕直後から大砲の音が響き渡り、何事かと驚く。オーケストラボックスまで使われた交響曲「英雄」の演奏にもうびっくり。熱いわベートーヴェン。
スタイル抜群でかっこいい信念の人ナポレオン、美しい憂いのゲーテ、そして一途な情熱のベートーヴェン。このほとんど会わない3人が影響しあって物語が進んでいく。かなり珍しい進行形式。
珍しいといえば、トップ娘役の真彩さん。「謎の女」ですが、これは女版「黄泉の帝王トート閣下」のようだ。黒尽くめの服装、冷めた表情、執着した人物に嫌がられてもまとわりつき、クールな声で熱い感情を秘めているところなんか、そっくりでは。「謎の女」は「黄泉の女王」だと思いました私。あら、もしかしたらケルブ(一樹)の上司では?少なくとも同じカテゴリーの人々だな。

全編を通して、望海さんと真彩さんが迫力のある美声で歌い倒していた印象。この作品の新人公演は、さぞや大変だっただろう…と思えるのであった。特にここまで歌いまくるクールなヒロインなんて稀少でしょうから。誰だったのかな~なんて思ってしまいました。



ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン 望海 風斗
天才作曲家。そして強烈な自由主義者。王政を倒したナポレオン(彩風)に憧れ、ゲーテ(彩凪)に憧れ、一方的に曲をささげるほどの熱烈なファン。気力も凄いし、行動力ありますよね。音楽で自由を追求し、最後に「歓喜」を創り満足して天界へ。そばにいた「謎の女」も恋人認定してたし、思い残すことない最期だったに違いない。ハッピーエンドですな。
一途で情熱的な男だし基本善良なんだけど、ただ思い込んだら周りが見えなくなるうえ、かなり自尊心が強くて気が利かない。他人の感情は全く無視で、自分が正しい!という行動原理。悪意はないけど、傷つくよね。だから心の広い慈愛に満ちた人じゃないと付き合えない。このひと私も無理だ・・と思ったもの。
「謎の女」(真彩)が指摘するけど、日常生活も「こりゃ結婚できないわ(お手上げ)」という無茶苦茶ぶり。夢中になったら食事もしないし、着替えもお風呂もって・・人としてかなり厳しい。やっぱり天才って違うな~と思う。
子供時代にお父さん(奏乃)がバシバシ殴ってるけど、ちょっと気持ちがわかる。かなり苦労してるんだろうなあ~周囲を気にしない言動をするこの子に疲れ果ててそうって思えて同情してしまう(暴力はいかんが、時代的には許容範囲だろうし。親からみて行動原理が理解できない子供と対応するのはしんどい)。他人なら接しないですむけど、親子では逃げられないもんね。
彼に関わった人では、ロールヘン(朝月)とゲルハルト(朝美)は善良で慈愛に満ちた人で彼を見捨てられない感じ(だからずっと心配してる)、ジュリエッタ(夢白)は若いからベートーヴェンの天才と情熱に夢中になっただけで、ふと我に返って「無理!」となって逃げたのはとっても理解できる。パトロンのルドルフ大公(綾)も身分の割には心が広くて慈愛の人に見える。私は慈愛の人じゃないから、メッテルニッヒ宰相(煌羽)が無表情で不快感に耐えている姿や、必死で場を取り繕うサリエリ(久城)に共感してしまうわ。
ということで、これだけ圧倒的な音楽(この舞台では美声の迫力の歌)がなければ、とても素敵な主人公とは思えない。でも、熱中して目が離せなくなる主人公です。こういう役がとても似合い、説得力がある。さすが望海さん!
後関係ないですが、コンサート「Now Zoom Me」のパロディで、「望海さんは、貧乏出身の反社会勢力の役が抜群に上手い!」と称されていて、誰もが納得していました。当の望海さんは「つぎは貧乏じゃないぞ!」とおっしゃってましたが、やっぱりベートーヴェンも「貧乏」で「反社会勢力(この時代の支配者からしたら反社会勢力ですよね)でしたね。ということで、ロベスピエールから、ファントム、吉村貫一郎、ヌードルス、そしてベートーヴェンと反社役者(なんというジャンル名だ?)の集大成を見た気分です。
こういうトップスターは少ない、だが私は好きなタイプだ。白い王子様じゃなく黒い魔王が似合う方、正義の味方ではなく暗い過去を背負った暗黒街の首領が似合う方。そういうトップスターがまた誕生することを願うほど、望海さんのトップ作品は良かった。映像が無いけど『二十世紀号に乗って』のおじさまも良かったわ~(あの方も資金繰りに苦労してた)
私はいつしか望海さんが大好きになっていました。私が花組に通いまくっていたころの桃娘『虞美人』の頃は可愛らしかったのに、こんなに(私好みの)素敵な男役になられて!と感無量です。

謎の女 真彩 希帆
闇の女王の貫録満載の、素晴らしき存在感。黒いレースの衣装がまさに黄泉の女王。何もかももつまらなさそうな表情、冷めた視線、興味なさげな口調。普通のヒロインじゃない!さすが真彩さん。あの迫力や雰囲気は並みの娘役には出せないと思う。
望海さんの相手役が真彩さんでよかった。誰が決めたのか知らないが、素晴らしいトップコンビ。異才の男役トップスターには、異才のトップ娘役でなければならぬ。おかげでクオリティ高い舞台が堪能できた。ありがとう真彩さん。
クールな「謎の女」が、普通の反応をしないベートーヴェンに焦る様子とか、すごくいい。ベートーヴェンの異色の天才ぶりが際立つわ!(笑った)。
なによりこの舞台では大切な、正確な音程での素晴らしき美声。素晴らしかった。
真彩さんの音源も全部買ってます。

ナポレオン・ボナパルト 彩風 咲奈
宝塚では主役になるレベルの人物ですが、今回はベートーヴェンの憧れの人として登場。実際には絡まなくて、ベートーヴェンの夢の中のロシア戦線でやっと調節会話がある程度。トップ退団公演でのトップ2番手の関係としては薄目だけど、お二人のお芝居のおかげですごく絡まっている印象。
とにかく軍服がかっこいい。近くで見るとベートーヴェンが激怒しそうなほど煌びやかな布で作られていた。スラリとかっこいい。
ナポレオンが皇帝になり、ベートーヴェンが「幻滅した」という場面。なんか「押しのアイドルが結婚宣言した」のを聞いたオタみたいで(変なたとえでごめん)実際に人物を知らず、外から熱心に応援しているファンの幻滅って激しいよな~と思ったのでした。「ナポレオンの苦労も知らんで」と思ってたけど、幻想のロシアでお話できベートーヴェンにも理解してもらえてよかった。
彩風さん、かっこいいし歌も良くなってきたから、お芝居の声をぜひ。でも主役になったら、声に合うような役が来るかな?無理に低音にすると籠って聞き取りにくくなる気がするので私的に困る(わがまま)。大昔だけど『ブラック・ジャック』の時の不良少年とか声は普通に聞き取りやすかったから。

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ 彩凪 翔
詩人ゲーテ。としか知りませんでしたが、音楽家よりよほど世慣れている。実はちゃんと役人をされていたのですね。すごいわ。ナポレオンやベートーヴェンほど熱量が多くなく、その分冷静な人物。3人とも目指すところは同じなのですが。一番派手なのがナポレオン、一番一途(周りが見えてない)のがベートーヴェン、一番現実的なのがゲーテですね。
そのため印象はほかの二人より弱いけれど、主要人物なのでしっかり要所は締めている。
今回で退団の彩凪さん。クールな美形だからこういう役が多かったけれど、実は楽しい方だというのをNZMとDSで知りました。コメディ全開の役が見たかったかも。
今までで一番好きだったのは『ひかりふる路』のロラン夫人。迫力のある美女で、声も良くて今でも印象に残っている。

<過去-1>
ヨハン・ヴァン・ベートーヴェン 奏乃 はると
ベートーヴェンの父。守銭奴で暴力的な父親として登場するけれど、ルードヴィヒを見ていると(上に書いたけど)かなり育てにくい子供だから、父として大変なのだろうなあと思えるところがある。生活も苦しそうだし、他にも子供いそうだし、稼げるところで稼ぎたいだろうに。せっかくの場面で息子は偉い貴族に逆らうし、あの態度じゃ下手したら一家全員殺されても仕方ないかもな状況、胃が痛くなる。原因(息子)を殴って土下座するしか家族の命を守れない。あの父はどれだけ息子のために土下座したのか。爆弾のような息子は本来家に閉じ込めておくのが正しいが、それでも息子の才能を開花させてあげたい気持ちがあって(稼いで他の家族も食べさせないといけないし)、ああいう場面になるのでしょうね。
そんな父の気持ちを踏みにじり、後始末に土下座する父を軽蔑の目で見て反抗する息子・・やっぱり張り倒したいよね(すんごい親目線な私)。問題児をブロイニング家に引き取ってもらえ、かつお金の心配もいらないなら、思わず喜んでしまうのもわかる。最初は事情が分からず呼び出され、行った先の裕福な貴族の家にいる息子を見たときは「こいつ、また何かしでかしたか」と殴って土下座姿勢になりそうだったものね。ああ苦労してるんだな・・・って思ってしまった。とまあ私はかなり父に同情したのでした。奏乃さんお芝居上手いわ。

マリア・ヴァン・ベートーヴェン 笙乃 茅桜
そんな父と息子を見て嘆くだけの母。一場面だけの出番ですが、父の気持ちも息子の性格もわかっているので、どうしようもないのでしょうね。

少年ルートヴィヒ(10歳) 野々花 ひまり
天才なので超生意気で反抗的な息子。このころから自分が一番正しいと思って行動する。相手が選帝侯であろうが貴族であろうが、態度は変わらない。度胸はある子だ。
ブロイニング夫人と執事に諭されて、少し賢くなった感じ。(父は感謝しているに違いない。、同じことを言っても、両親のいうことは聞かないからな>あの子は)
野々花さん、出番多くてびっくり。幼少時代がかなり重要で多い。青年時代より多くて驚きましたが、野々花さんお芝居良いですね。ルードヴィヒのあの性格が生まれつきだというのがよく分かったよ。


昔のロールヘン 星南 のぞみ
寒空に親に追い出されて震えていたルードヴィヒをおうちに連れて帰る慈愛の少女。10歳くらいかな?ルイより年上に見えるけど。幼いころから慈愛に満ちた善良な少女ですね。善良で裕福なおうちのお嬢様です。

ブロイニング夫人 愛 すみれ
ロールヘンの優しさは彼女の影響だと思われる。慈愛に満ちた優しい女性。貴族の未亡人らしいけれど、つつましく清く正しく娘たちと一緒に暮らしているよう。善良で優秀なゲルハルトを家庭教師に選ぶなど(実質、学費支援ですよね)人を見る目もある。
この夫人と出会えて、ルードヴィヒが少し人間社会で生きることができるようになったと思う。かなり偉大な教師だ。愛さんも上手いよね。

ブロイニング家の執事 ゆめ 真音
この家の執事らしいなあ、ぴったり。夫人と一緒に、平民の立場からルードヴィヒに教えてあげる。彼が発言したことで、ルードヴィヒの心に響いたのじゃないかと思える。
ゆめさんの暖かい雰囲気がとても生きていた。これで退団ですね。『炎のボレロ』のヒロインの弟(自由なヒロインの後始末をしていた健気な弟)が、印象に残ってます。

<過去―現代>
青年ルートヴィヒ 彩海 せら
さっきの幼少時代から、ルードヴィヒだけが成長している!?と驚いた。イケメンに成長しましたね。かなり望海さんに寄せてメイクされていて。若いころは線が細いので、ぴったり。
ただ3人のルードヴィヒの中では、一番常識人に見える。場面が少ないから仕方ないけど。
見ていて、ああ新人公演は彩海さんだったのかな~なんて思ったりする演出も感じられた。

ゲルハルト・ヴェーゲラー 朝美 絢
医学生でブロイニング家の家庭教師。ゲルハルトだけが、3人のルードヴィヒのどの時代も同じ人(笑)全然老けないので、謎の男(天界の仲間)か?と思ってしまった。
それにちょっと美形すぎて、何か企んでいるのか?と邪推してしまった(反省)。
タイトルの読み方を教えてくれる大事な方です。

エレオノーレ・フォン・ブロイニング【ロールヘン】朝月 希和
慈愛がたっぷりの優しい女性。あの人付き合い出来ないルードヴィヒにあんなに優しくしたら、そりゃ誤解されても仕方ない。ストーカーにあいやすいタイプかもしれない。
幼いころから守ってくれる頼れる男性(ゲルハルト)が傍にいてよかった。というか母も心配でそばに置いたのかもしれない。
ともかく、ロールヘンはずっと最初からルードヴィヒのことを友人だと思って接してたみたいだし、誰にでも優しい人だと思うけれど、特別な人(=恋人)と思い込んでいたルードヴィヒからしたら「裏切られた」と思っただろうなと思う。ゲルハルトが良い奴(自分にとっても唯一の友人=特別な人)で、さらに新しい恋人ジュリエッタがいたから執着せずに済んだと。
最後の最後まで、ルードヴィヒを心配していた。母よりもっと母らしい慈愛の女性でした。
ところで、ロールヘンとゲルハルトだけが、ルードヴィヒのことを「ルイ」と呼ぶのね。
朝月さんは、こういう役が似合う。お姫様でなく、自分を殺してお仕えして支えるタイプ。華やかな大倫の薔薇でなく、控えめで清楚なかすみ草タイプ。だからこういう役が似合う。トップ娘役に寄り添いタイプの娘役が多いけれど、彼女は寄り添いではなく支えタイプに見える。支柱も兼ねるのかも。どんなトップ娘役になるのだろうか。また異例のタイプかな~と期待。


<ウィーンの社交界>
ジュリエッタ・グイチャルディ 夢白 あや
ルードヴィヒの恋人。貴族のお姫様だけど、頭の堅い名門貴族ではなく、流行に乗る新しいもの好き貴族みたい。だから娘も新進気鋭の奔放な自由主義な音楽家に惚れて恋人になった。だけど彼のあまりの非常識(彼女にとって)についていけないことに気づき、親の勧める縁談に収まる選択をした。賢いお嬢さんだ。結婚といわれて、我に返ったんでしょうね。
若い美人で、新しいものを受け入れる度量がある聡明な貴族のお嬢さんだけど、常識から外れることはできなかったと。あの破天荒な男を受け入れられる人は稀少でしょうから、ジュリエッタを責める気にはなれなかった。多分ルードヴィヒ以外はみんなそう思ってたと思う。
夢白さんの雪組デビュー。結構な大役からですね。ちょっと奔放な貴族の令嬢がお似合い。夢白さんは薔薇の花タイプだから、令嬢が似合う。次からも楽しみ。

ガレンベルク伯爵 真地 佑果
ジュリエッタの夫になった人。最初からルードヴィヒを非難しているし、ジュリエッタの常識を信じている、のかな。お堅い貴族の彼と、華やかなジュリエッタはお似合いで、さすが親の決めた縁談だと思えた。

ルドルフ大公 綾 凰華
オーストリア皇帝の弟で、ベートーヴェンのパトロン。音楽の才能は素晴らしい天才だけど、人間としては付き合いづらい(貴族を馬鹿にしまくる)あのルードヴィヒのパトロン!なんて寛容な方なんだろう!と思える。姿も表情も優し気だし、ルードヴィヒの無礼な態度にも、おじいちゃんが孫のいたずらを見守るみたいになってるし(笑)
最後に聴覚を失ったルードヴィヒが彼にすがるのが、失礼な態度をとりながらもルドルフ大公のことを信頼していたのだってわかった。ま、切り捨てられるんだけど(当然だ。ルードヴィヒに残るのが「謎の女」だけにならんければいけないからな)
綾さんも慈愛の人タイプというか、優し気なんですね。この役がぴったり。

クレメンス・フォン・メッテルニヒ 煌羽 レオ
ナポレオン後の世界を仕切った大宰相。鉄の宰相と言われた冷徹な方。だからベートーヴェンの無礼な態度に、無表情にあきれているような。ただ不快であっても利用できるものは利用する方だから、黙って使っている。でも使えなければ不要、切り捨てる。すごくはっきりしている。
今回メッテルニヒの出番が多くて、存在が大きくて、ルードヴィヒ父レベルに彼の心に大きな傷をつけた人物であった。煌羽さんの黒い役はすごく黒くって好き。かっこよかった。
今回で退団ですが、最後に大役が来て、黒い役で嬉しい。

宮廷楽長サリエリ 久城 あす
ルードヴィヒが大嫌いな貴族にへつらう音楽家、音楽家の風上にも置けないと侮蔑している様子が手に取るようにわかる。ルードヴィヒからしたら、音楽家ではなく幇間なんでしょうね。サリエリとはどうあっても相いれないだろうな。サリエリは無礼者を必至でかばってあげていたように見えたわ。「音楽家」くくりで一蓮托生だからかもしれないけれどね。
サリエリさんはモーツアルトの同時代人だから、長く宮廷に君臨しているようですね。ってことで、ここにも年を取らない男がいた(笑) 
久城さんの黒い役も好きですが、こういう役もいいですね。


皇帝フランツ一世 透真 かずき
オーストリア皇后 千風 カレン
オーストリアの皇帝夫妻。皇帝なのにかなり気さくなタイプに見える。なのにルードヴィヒは失礼な態度。でもあまり咎めない。周りのほうが慌ててる。寛容な陛下だなあ~と思う。ルードヴィヒもちょっと考えた方がよいが、彼は皇族貴族というだけで毛嫌いしているから無理か。おっとりした皇后さまとの会話もいい。ルイよ、ちゃんと人を見なさいって思いましたわ。

<幻想の中>
ウェルテル 諏訪 さき
ロッテ 沙月 愛奈
ゲーテの作品「若きウェルテルの悩み」を上演した時の役者役。なんだけど、その悲劇の結末から、ずっと幻想の中で出てくる。炎たちと一緒に、ルードヴィヒのを翻弄するの。特にウェルテル。
諏訪さんは、淡い水色の王子様っぽい衣装。私は心ひそかに次の黒いヒーローができる役者は諏訪さんだと期待している。王子様ができる人はたくさんいても、哀愁背負ったマフィアのボスができる人は貴重なのよ。
沙月さんもまた可愛らしく踊っていた。幻想場面でよくルードヴィヒを翻弄してました。

小さな炎 笙乃 茅桜
黒炎 華蓮 エミリ/沙羅 アンナ
小さな炎は楽団と同じ色彩の衣装、黄色をベースにした炎を思わせるデザイン。一言も口を利かず、ずっとルイの傍で煽っている。音楽の神様(才能?)にも見える。黒炎は色彩もおとなしいが出番も少なめ。全然小さくない存在感抜群の「小さな炎」が踊り倒していた。素晴らしい。

<天界>
テレマン 縣 千
ヘンデル 真那 春人
モーツァルト 彩 みちる
死んだのに天国にも地獄にも行けず、ずっと審判を待っている・・ルキーニと同じ境遇の方々です。あの場所は煉獄なんですね。下界に降りるときは銅像のふりをしてます(笑)。
最初は案内役かな?と思ったけれど、そうでもなくただただ居たという風に見えた。あ!ルードヴィヒの耳を聞こえなくしてたな。最後まで放置だったし、ひどい奴らだ。
冒頭のケルブとの会話では、ヘンデルから彼らトリオ、そしてルードヴィヒまでの音楽性の話だったが、結局最後はルードヴィヒの音楽が通ったので、あの壮大そうな「音楽とは誰のためにあるのか」というテーマはなんだったのか?と思ってしまった。
ただひたすらルードヴィヒが自分の音楽を追求する物語で、彼に究極の音楽を見つけさせたのは「謎の女」だった。天界なにしてたん?って気分だし、天界の希望する音楽じゃないところを目指していたルードヴィヒの音楽を認めた(天界も折れた)って感じ。結局、ケルブの気に入った音楽だったら「誰のために」なんていいんだよね!(笑)

ケルブ【智天使】一樹 千尋
ケルビム【天使】希良々 うみ/羽織 夕夏/有栖 妃華
そのケルブ。かなり我がままという印象だ。音楽の存在について哲学的な命題を提示してこの3人を押し留めていたのに、結局はルードヴィヒの迫力ある音楽に魅了されてしまった。ケルブが希望していた「音楽は神のために」は破られ、テーマはうやむやに終わった。多分、ルードヴィヒは彼らのことなんて全く気にせず、恋人の「謎の女」と一緒に天国に行く。彼ならさっさと行く。煉獄のトリオは怒っていいと思う。
ケルブ様は音楽についてもわがままだけど、さらにいつも可愛い天使を3人引き連れていてハーレム状態、そこもちょっと・・と思ってしまう。天使トリオ可愛かったけどさ。

<その他>
天界にやってきたマリー=アントワネット(妃華 ゆきの)。純白のドレスが豪華でとても目立つ。モーツァルトとちょっと会話があったけど、さすがの女王様の気品。
ルートヴィヒの家政婦(杏野 このみ)は悲惨だったね。あの男には家政婦も耐えられないよね。とルイ父と話して共感しあってほしい。ちょい役ですが、サリエリ期待のロッシーニ(天月 翼)君。彼も偉そうでしたが、分は弁えていたので成功したでしょう。

こんな感じ。とにかく、音楽が主役のような、望海さんと真彩さんの声が主役のような作品でした。堪能できたので満足です。


かんぽ生命 ドリームシアター
レビュー・アラベスク
『シルクロード~盗賊と宝石~』
作・演出/生田 大和

シルクロードか~と砂時計を見ながら、ちょっとアラビアンだなあ~と思っていました。そしたら途中からアジアンテイストになり、なんか思い出す。『exotica』だ!大昔の天海さんトップの時のショー。咲さんと朝月さんの場面でも思ったけど、手鎖の付けたダンスを見て、絶対に意識していると思った。パレードの変な背負い羽までオマージュしてなくてよかった。

1プロローグ
キャラバンの彩凪さんからスタート。彩凪さんは通し役で案内役。真彩さんはポープダイヤで、お芝居に続いて人外の役だ。望海さんはまたしても黒尽くめの「盗賊」って反社役・・・。
徹底してますね(笑)
冒頭の砂たちは、冒険者もだけど衣装が茶色っぽくて地味だな~って思ってました。ところが超前方席でみたところ、キラキラしていた。砂の衣装も凝っていた。遠くからみたら一色だったが違った。やはりいろいろな場所でみるべしだな。
盗賊がダイヤを盗んだところで、ダイヤの精霊が登場。上空からブランコで登場の真彩さん。
これからダイヤを巡るシルクロードの物語が始まるのだな。シルクロードの終点は正倉院?と思ったけど違った。もう少し北のタカラヅカなんですね(笑)。その宝塚の象徴である大階段の黒燕尾で、「青い薔薇」が登場して、急に明日海さんが思い出されて頭混乱。

2亡国のシルクロード
村の権力者っぽい青年の彩風さんと婚約者っぽい村娘の朝風さん。解説がなければ亡国とか全然わからない平和な村の男女、男が女に青いダイヤを贈るという幸せな一場面。ポープダイヤもこんな幸せな使われ方をした時代があったのね、というダイヤの思い出ですね。
幸せなので、人化はしてない。
こんな場面が「exotica」にもあった。あちらは最後は悲劇で終わってたので、こちらは平和なままでよかった。

3ペルシャ(運命のアラベスク)
バザールでスリをやっている望海さん。部下に諏訪さんと彩海さんという豪華スリ団。この時はスリ団だけど後に大盗賊団になるのか。スリというには獲得物が多すぎる。
バザールはキラキラで、たくさんの物売りのなか、大金持ちのお大尽さま(奏乃)が楽しそうで目を引く。髭の丸いオジサマって典型やん?楽しい場面で目が足りない。
あっという間につかまって、望海さんは宮廷へ。千夜一夜物語の世界に突入する。
シャフリヤール王(朝美)、シェラザード(真彩)がだらだらしているところへ、手鎖リを付けられた盗賊が登場。シェラザードと恋に落ちるっぽい。シェラザードはお話する前に斬首されそうな場面だ。この場面の鎖を使ったダンスが、「exotica」のデュエットダンスを思い出したのだ。

4インド(神々の饗宴)
緑ベースの衣装の綾さんと星南さん、紫ベースの衣装の縣さんと夢白さん。この衣装がインドの神様っぽいのですが、何と言っていいかわからないデザインと色彩。布地は大変ゴージャス。
ロケットは普通に青いロケット衣装。男役が多めなのかな。その後全員がこのインドの衣装で登場。何ともすごい光景の中詰めだ。

5中国 蒼く燃え立つ紅い夜
あっという間に中国。紅と青の対立という宝塚らしい場面。
紅チームに咲さん、真那さん、煌羽さん、彩海さん。
青チームは翔さん、久城さん、諏訪さん、眞ノ宮さん
実は帽子であまり顔が見えない。咲さんの衣装だけがすっごく違う。長襟も似合うわ。翔さんも帯締めたらいいのに。トップコンビは黒。劉衛強と役名の付いた望海さん。(この作品は見てないのが残念だ。)
後方で美声を響かせる歌のお姉さま方、と思っていたらセンターは藍色宝石の真彩さん。両サイドの歌手は羽織さんと有栖さん。有栖さんの歌声も綺麗だし、もしかしたら新人公演ヒロインだったかも?って思ったり。

6盗賊と宝石
世界の終演ってことで、いきなり現代でナチスっぽい。急にどうした?ってくらい時代が区変わる。地理的移動だと油断していたら、時間的移動もしていた。そういえば亡国とかあったなと思い出す。急に怖いやん。宝石はついに黒衣装で目隠しで登場。怖い。そこへ世界を声で救う救世主登場。
世界の再生では、白いハトが次期トップコンビ。退団するトップコンビは黒。なかなか異例だ。やはり望海&真彩コンビは黒い衣装が似合うイメージなのか。実際黒が似合うけど。

7フィナーレ
案内役の翔さんのソロから。大階段で望海さんと娘役さんのダンス。定番ですね。そこから黒燕尾。
娘役さんがV字に上がっていき、その両サイドを男役が下りてくるという斬新な構成。おお!となる。
シンプルな黒燕尾ですが、望海さんは青い薔薇を一輪持って踊っている。黒燕尾の間ずっと。最後に、咲さんに青い薔薇を渡す。そして満面の笑顔で去る。引継ぎ場面だ。次期トップが同組にいて退団公演に出ているからこそできるこの様式美。大好きなので嬉しいけど、「青い薔薇」というところに花組を感じてしまった。これは退団公演が「青い薔薇」だった明日海さんの残像だ。きっと青いダイヤモンドを青い薔薇に加工したんだ。薔薇、光ってたもん。
スターだけ残って、真彩さん登場。最後の彩風さんが真彩さんをリフトしてくるくる回していた。そこでふと気づいた。そういえば、真彩さんと彩風さんって、お芝居でほとんど絡んだことが無いのでは?と。トップ娘役と2番手男役って、作品によっては絡みまくる。夫婦とか恋人とか三角関係も多い。でも、彩風さんと真彩さんはほぼ関係のない役が多かったのでは。『Once Upon・・』で少し、かな。珍しい!最後にリフトを見せていただいて気づくとは。
エトワールは有栖さん。やっぱりこの声。縣さんは今回あまり目立たず、残念。別箱ではかなり役付が良いのに、本公演ではあまり印象が残らない。すごく華やかなショースターなのに。とパレードで思った。

最後に望海さんの大羽根で登場。パレードの歌ですら、トップコンビのお二人はまた音程が違う別歌詞を歌う。最後の最後まですごかった。異才のコンビだった。
しかし5組もあるのだから、こういうトップコンビを1つくらいおいて欲しい。私は凄く好きなのだ。

ということで、「何があるかわからんから先に見ておこう」と思って、お正月に2回も見ました。まだ見ますが、後半ちょっと心配な状況ですね。
やはり宝塚を楽しくスケジュール通りに見に行ける日が戻ってきてほしい。それが最優先事項です。私も元気に過ごせるように気を付けて頑張ろう。

初回から超長文ですが、今年も頑張って見るぞ~と決意を表明しておきます。

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