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宝塚宙組「アナスタシア」初日 [観劇感想(宝塚)]

宝塚宙組「アナスタシア」
2020年11月7日(土)13時 初日 2階12列センター

宙組初日を見ることができました。
春の梅芸「アナスタシア」は中止で見られず、今回が初見。
なんてディズニーらしいミュージカル!
歌やお芝居が宝塚ではなくて、ディズニー風味が強く、外部のミュージカルを見ているよう。
主役のアーニャの星風さんが、上手くて可愛くて、元気なヒロインぴったりで、いつでも東宝「アナスタシア」のアーニャができそう。真風さんはディズニーヒーローらしく、控えめだけど安心できてかっこいい。ヴラド桜木さん、お鬚が似合って素敵!上手い。
芹香さんのボルシェビキの将校は、久々の敵対役だけど、ちょっと薄い気がしたので、これからもっと濃くなることを期待。寿組長のマリア皇太后は迫力で、既視感がありあり。リリーの和希さんが迫力美女でびっくり。

登場人物はこれくらい。メインキャスト少なすぎ。楽曲は素敵でコーラスは綺麗だけど、舞台上は結構な時間人が少ない。だから余計に、宝塚っぽくなかったのかもしれない。

202011宙アナスタシア.jpg


三井住友カード ミュージカル
『アナスタシア』
潤色・演出/稲葉 太地


アナスタシア伝説からのディズニー映画、それからのミュージカル化。だから、ストーリーがとってもディズニーだ。お芝居やセリフ回しも1幕は特にディズニーしていて、宝塚らしさは薄目。人数も少ないし、曲や動きがいつもと違うから、余計にそう感じた。

宙組はロシアモノの組なのか、マリア皇太后はそのままだし、真風さん前回もスーツ姿だったし・・・アーニャ(星風さん)はオリガ皇女だったよね。と『神々の土地』を思い出してしまいました。皇太子アレクセイが転んだとき、ラスプーチン(愛月さん)が出てくるのを期待してしまったわ。なんだか「水星」もロシア名の人が多かったし(雰囲気がロシア!)、宙組はロシア組のイメージが定着してしまいました。


アーニャ(星風 まどか)
タイトルロールだし、どう見たって主役。上手い。気が強くて癇癪もちのアナスタシア、今回は地声が多くて、アナスタシアらしい。ソロ歌も多いんだけど、上手い。星風さんてこんなに歌が上手かったのね!と感動した。地声っぽいセリフ声から、綺麗な高音のソロまで、違和感なく使い分けていらしたように思う。東宝ミュージカルの主役が務まるわ十分。
アナスタシアは、皇帝一家が銃殺されたときにどうにかして逃げだし、記憶を失って生き延びてきた。なぜ生き延びたか、どうやってモスクワまで逃げてきたか、まったく謎のまま放置。いきなりモスクワで掃除婦をしていて、グレブと偶然出会い、ディミトリ(とヴラド)に巡り合う。ディミトリとかかわることで、どんどん記憶を取り戻していくところが細かくて。冒頭場面からずっと伏線が張り巡らせてあり、小道具も効果的に使って、丁寧にストーリーを進めていた。記憶喪失の貧しい掃除婦が、どんどん皇女である自分を取り戻していく動きがとてもよかった。ディミトリに惹かれていく、惹かれあっていくのも。
アナスタシアは、記憶喪失で自分に自信がない貧しいアーニャから、皇女アナスタシアとしての自分を取り戻して皇太后に認められ、元の世界に戻れるところまできた。なのに、それでもディミトリと生きる道を選んだ。意志の強いアナスタシアが戻ってきたなあっというラストシーン。貧しい暮らしを覚悟して、みたいでしたが、彼女が駆け落ち時に着ていた衣装(ドレスや宝石)はかなり高価なものでしたので、宝飾品を一つずつ売っていけば、その後も結構裕福に暮らせそうだった。さすがはアナスタシア!と感心した。ディミトリは一生頭が上がらないだろうな。でもそれで彼は幸せそうだ。
今までの星風さんで一番好き。一番似合っている役だと思った。


ディミトリ(真風 涼帆)
ロシアの平民で、革命で一変した世界でも革命軍にも白軍にも入らず、けちな詐欺師をして生きている男。パリでアナスタシアにかけられた報奨金を狙って、本物を見つけた。ディズニーらしく、ご都合主義がちりばめてあったけど、彼女とはご縁があったのでしょう。
少年期にアナスタシア巡行の馬車で出会ってたとか、祖母から貰った決め手のオルゴールを偶然手に入れるとか、アナスタシアのほうから飛び込んできたとか、まあほんとありえないほど幸運でしたけど。劇中一度も悪いことしてないし、実は善良な男だった。
そっけないけど頼りがいがあってカッコいい、ちょっとやせ我慢のディズニーらしいヒーローでした。真風さん、どの衣装も似合ってかっこよかった。
ところで、最初の場面は「ユズーポフ伯爵家」の廃墟が舞台でしたが、これ自分の家じゃないか!と突っ込んだ宝塚ファンは多いはず(笑)
ラストシーン、二人はパリからアメリカへ行ったのでしょう(と友人が言った。)。なんだか、陽気に絵を売るディミトリの姿が見えた・・・そばには笑顔のマリア皇太后もいたような。すっごい既視感(笑)

ヴラド・ポポフ(桜木 みなと)
ディミトリの親友で、常に一緒にいるオジサマ。アナスタシアに貴族社会を教える役目らしいけど、彼女の記憶回復に役立ったのはディミトリとの会話で、ヴラドは楽しいおじさんで終わってたようだ。彼の楽し気な明るい雰囲気は良いですね。とっても素敵。ソロも多くて、歌もよかったわあ。1幕は常に3人でいるので、すっごく出番も多い。メインで歌う歌が多くて、びっくり。オジサマだけど、髭のダンディなオジサマでかっこいい。そんなに年齢上にも見えないし、ディミトリも青二才には見えないから、イケメン二人組だわ。
無事パリに到着し、昔の恋人リリー夫人と再会して再燃していたようなので、アーニャとディミトリに置いて行かれても、パリで幸せですよね。今後は皇太后さまの側近として、皇太后に叱られリリーに敷かれながら、楽しく生きているのが目に見えるよう。
桜木さんは髭が似合うのだな。意外だが髭を付けると大人の男になってかっこよさ二割り増し。眼鏡もお似合い。芝居も好きなタイプだ。


マリア皇太后(寿 つかさ)
主要キャストというか、超重要人物。主役たちが攻略するラスボスみたいな人ですもんね。
幕開きから伏線としてアナスタシアと登場。その後は2幕までちょっと暇ですが、2幕に入ると出ずっぱり。頑固な老女として、かたくなになった心をさらけ出す。しかし偽アナスタシアに会いすぎて、アーニャに会わない、顔も見ない!としていたのに、なんで急に・・と私は思った。もう一度見ればわかるかもしれない。
普通はそのまま追い出されると思うのだが、急に皇太后が気軽に気が変わって会いに来てくれるのは、対主人公だからなのか。あの無理やりな展開はディズニーの主役ご都合主義が発動したように見えた。
ラストは孫娘の幸せのために、せっかく会えたのに、二度と会わないと出ていった孫娘を許してあげたのでしょうね。人間不信になってないようだし、ディミトリのことを気に入っていたようなので、円満にアナスタシアの逃亡を許したと理解した。本物に会えたことで、彼女の中の心の区切りがついたのでしょう。だからアメリカでは陽気に楽しんでいたのね(「神々の土地」では楽しそうな亡命生活だったから。・・つながったな(笑)
大変な重役で、組長の芝居やとてもよかった。だがマリア皇太后が「神々の土地」と同じに組長だったので、とてもとても既視感がありまくり。皇帝夫妻は違う人だったので、私のわがままですがマリア皇太后さまも別の人にしてほしかった。


<ロマノフ皇帝一家>
冒頭場面は生きているけれど、楽しいパーティからあっという間に銃殺まで。そしてその後はアナスタシアの記憶の中に、亡霊のように登場する。アーニャがアナスタシアの記憶を取り戻すたびに出てくるので、結構、登場場面が多かった。

ニコライII世(瑠風 輝)
皇帝陛下、背が高くてお鬚が似合って、華麗な軍服がぴったりでかっこいい。素敵な皇帝陛下ですね。
優しくて暖かくて、アナスタシアが家族で一番好きだったのがお父様に見えた。

アレクサンドラ皇后 (美風 舞良)
エキセントリックなところはそのままに、女っぽくなった皇后さま。いつラスプーチンを呼ぶか、それが気になった(笑)。が今回はそれはなく、高圧的にアナスタシアの自由な精神を抑える存在の象徴として登場。亡霊なってもアナスタシアを拘束し、彼女の意識の上に君臨していた。

オリガ (愛海 ひかる)
タチアナ(水音 志保)
マリア (潤 花)
アナスタシアの3人のお姉さま。記憶の中の亡霊として白い綺麗なドレスで出てくる。みんなパートナーと踊っているけど、それは誰なんだ?。全員未婚で恋人はいなかったような・・・あの厳しい母が制圧していたからなあ。
私は宙組あまり見ないので誰が誰だかあまりわからなかったけど、見慣れた潤花さんはすぐにわかった!笑顔が華やかだし、ゴージャスドレスが似合うお姫様タイプだから、今回もぴったり。でも驚いたのは、「潤花さんが小さい・・」こと。雪組娘役の中ではかなり大きいというイメージがあった。だけど宙組で見ると大きくない!さすが宙組。
可愛い潤花さんの活躍を見るのも楽しかった。これからも楽しみにしてる。

少女時代のアナスタシア(天彩 峰里)
記憶の中のアナスタシア。彼女だけ少女らしいドレスを着ていてわかりやすい。可愛い。
他の姉妹が、貴族の男性と踊っているとき、アナスタシアだけは皇帝のお父様と踊っている。お父さんっ子だったのね。

アレクセイ (遥羽 らら)
可愛い弟。彼は記憶の中でアナスタシアと仲良くしている。3人の姉より、弟と仲が良かったのかなと思う。だが記憶の中でも母の皇后がばっちり抱え込んでいるように見えた。さすが皇后さま。彼らの後ろにラスプーチンを探してしまう原因だ。

<パリのロシア人>
リリー (和希 そら)
マリア皇太后の側近の伯爵夫人。夫の伯爵はロシアに帰ってしまったようなセリフがあった。だから昔の恋人のヴラドと楽しくやっても問題ないようだ。
偏屈になってしまった皇太后の信頼が厚く、忠実にお仕えしているけれど、亡命者クラブで楽しく息抜きしている明るく強い女性。美人だ。
歌もダンスも芝居もよかったけど、声が男役のままだった。これから変わるかな? ヴラドと歌う場面もあるけど、男役同士のデュエットみたいだったので、今後に期待。
→と書いていましたが、11月10日に見に行ったら、女役がすごくしっくり来ていて、可愛くて強い女性になってました。女役にしては声は若干低めでも、ちゃんと女性の声に聞こえた。いいね!


レオポルド伯爵(松風 輝)
アナスタシアがいなければ、唯一のロマノフ家の生き残り、かな。皇帝が生前イギリスに預けた財産の相続を狙い、皇太后に嫌われている。だからリリーに冷たくされている、でもめげない人。赤毛目立ってました。


<革命軍>
グレブ・ヴァガノフ(芹香 斗亜)
アナスタシアを追い必要とあらば消す役目を負う革命軍の将校。そしてアーニャのことが好き。だからアーニャがアナスタシア皇女ではないという考えのもと、ロシアに連れ戻して自分のそばでまっとうな労働者としての人生を送らせてあげようと考えている(ようだ。)
彼の父は皇帝一家の護衛だったのに、銃殺に参加した。それを恥じて自殺したとか言ってたような気がする。だから生き残りがいたら、父の仕事を完遂すべきだと命令される。
結構葛藤があるように見える黒い役。だけどストーカー度がまだ足りないと思った。もっともっとアナスタシアを追ってほしい。精神的にまとわりついて欲しい。いまはあっさりしすぎていて、「え。。、それでいいの?」と思ったから。あの場面はもっと苦悩して戦って、追い詰めて、そして自滅してほしい。崇高な革命理念のもと、ねちっこく、気持ち悪いほど迫って、アーニャを追い詰めてください。同時にグレブも追い詰めたい。彼女を撃てなかったら自分を撃つくらい追い詰めたいな!(私変態みたいやな)
芹香さんは、ちゃらい男の役が続いてそういうイメージがあったので、まじめな表情だけでも、「かっこいい」と思えるけど、出番が少ないので印象に残りにくい。だからもっと目立って印象を残してほしい。それでこそあの場面がもっと強烈になると思う。今後に期待、勝手に。
→と思っていたところ、こちらも11月10にちには、お芝居がすごく濃くなっていて超びっくり。グレブとアナスタシアの最後の場面。グレブの思考がはっきりして、アナスタシアへの思いが伝わって彼の葛藤がわかって、すごく説得力が出ていた。数日でも変化が感じられたから、後半が楽しみだわ。


主要なというか、役目がある人はこのくらい。あと印象に残ったのが、パリ行き列車で悲劇に合うイポリトフ伯爵(凛城 きら)。なんかすごい人物そうでソロもあるけど、出番は一瞬。
パリのバレエ団で「白鳥の湖」を踊るバレリーナたち。ロッドバルド役の人が上手かった。オデット潤花さんはすぐわかったが、ここで「小さいやん!」と思った。王子様役の方もダンス上手かったし、スタイル抜群、ダンス綺麗。3人ともバレエがすごくて、皇太后やらアナスタシア、ディミトリ、クレブとみるとこ多すぎて目が足りない場面。

<映像>
今回は映画のように背景映像が綺麗だった。とても凝っていて、照明も凝っていて、豪華。パリの風景がとても素晴らしかった。

<フィナーレ>
ロシア風の衣装だと思うけど、装飾過多でロシアにトルコを混ぜたみたい(これも既視感の所為かもしれない)。ラインダンスは人が少なくてびっくり!この前の月組は、初舞台生のお披露目だったから人数が確保できていたのね。あまりの少なさに驚いた。
デュエットダンスは銀の衣装でとっても綺麗だった。
パレードは、1本モノだからみんな衣装かと思いきや違った。役の衣装なのは管理職とその間の人だけ。でも真ん中の3人は大羽根があるので、歌劇衣装で、なんか統一感がない。
最後は役の衣装か、歌劇の衣装か、どっちでもいいから統一してほしかった。中途半端はもやもやするから。

前半、もう一回見に行く予定。→11月10日(火)11時 2階8列センターで見ました。いい曲が多いし、理屈がディズニーだけど、それに慣れたらいい作品だ。



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パクチー

えりあ様

本当にお久しぶりです。
半年ぶりの大劇場。
私も、初日の舞台を観ていました。
すれ違っていたかも。

「アナスタシア」、ミュージカルとしては素晴らしいのかもしれないけれど、曲も素晴らしいのかもしれないれど。
宝塚じゃないんですよね。
私が観たかったのは、ディズニーの実写版を舞台化したものじゃない。
私、ディズニーが苦手なので余計強く感じたのかもしれません。
私の耳が悪いのか、曲も全然覚えていない。(タイトルを連呼刷るいつものタカラヅカじゃないと覚えられない)。
音響が悪い席だったのか、歌詞が聴き取れない。
結局、映像きれいだな~。
でも映像のせいで、ディズニー映画感が増しているんだよな~、
なんて思いながら観ていました。

あと、ロマノフ家の最後は悲劇なのに、明るいミュージカルなのがイマイチ乗り切れないところだったのかもしれません。
ただ、初日一度目なので、あと数回観れば感じ方も違ってくるのかもしれません。
一緒に観た若い子は、素敵~と絶賛でしたので、ただただ私の年齢のせいかも。

先日、「彷徨のレクイエム」をテレビで観ました。
そっちの方がしっくりくるのは、なぜなんでしょうか。
宝塚能になってしまっているのでしょうか。。。。
by パクチー (2020-11-13 12:45) 

えりあ

パクチーさん
お久しぶりです!初日ご覧になってたんですね。
「アナスタシア」音楽も背景映像も綺麗で素敵なミュージカルでしたが、やっぱりタカラヅカでなかったですよね。
ストーリー展開もすごくディズニー。ヒロインの動きがディズニープリンセスそのままなんですよね。無理やりハッピーエンドとか、もあまり好きじゃないんです、実は。だからもし小池先生ならもっと宝塚風にアレンジしてくれたかな~とか思ってしまいました(契約かもしれませんが)。
彷徨のレクイエム、見たことないのでちょっと見てみたい・・

by えりあ (2020-11-13 21:15) 

パクチー

えりあ様

 昨日二回目の観劇をしました。
 初日より舞台の熱も上がり、ずいぶんと違った印象をもちました。
 ハッピーエンドだけど、悲しみも感じられるようになり、
 宙組の魅力を強く感じられました。
 あと一回観る予定なので、その時どのように変わっているのか
 (舞台の上も、観る私も感じ方も)楽しみです。
 きっと、複数回観ると魅力が増していく作品なのかもしれません。

 残念なことに、一階下手の席だったのですが
 前の席に大きめの男性が座って、舞台半分の視界が遮られていたので、そこがつらかったです。
 大劇場の座席の千鳥配置はセンターブロックだといいのかもしれませんが、サイドにいけばいくほど、斜め前に人が来るので見えなくなる可能性大ですよね。
 と、ちょっと愚痴ってしまいました。
by パクチー (2020-11-22 16:31) 

えりあ

宙組はどんどん変わっているのですね。私が2回目を見たのはあまり日にちが立ってなくて、キキちゃんが変わったなあ~って思っただけでしたが、他の方も変わってきたのでしょうね。
後半日程はまだ取ってませんが、一度は見ておきたいですね。

千鳥のお席はとてもよかったですが、そういえばセンターブロックだった・・運がよかったんですね私!斜め前に大きな人は舞台が欠けてしまうので辛い。特に1階席は傾斜が少ないので厳しいですよね。たまに当たってがっかりします。
センターブロック千鳥、サイド席ははまっすぐ一列とかすると見やすい!!・・けどコロナ対策にならなくなって駄目かな。
12月はいろいろ外箱もあって忙しいけど、アナスタシアも機会があればもう一度見たいです。

by えりあ (2020-11-24 23:13) 

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