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宝塚花組『蘭陵王—美しすぎる武将—』 [観劇感想(宝塚)]

宝塚花組『蘭陵王—美しすぎる武将—』
2018年11月20日(火)初日15時  13列上手


初日を見ることができました。
東儀秀樹さんの曲は好きだし、「美貌を仮面に隠して戦った武将」蘭陵王か~
ストイックな宮廷陰謀と戦場場面ね、って「虞美人」みたいなシリアスを期待していた。

ぶっ飛びコメディだったのか!!!と驚きました。
とくに瀬戸さん。帆純さん。新境地です。タイトル上にある「ロマンス」ってえ・・・
ストーリーも、何度も???が飛びました。これでいいの?と。
ある意味すごい作品です。
谷先生の名作「キャプテン・ネモ」に匹敵する、後に語り継がれる作品だと思います。
この2作品は「突っ込み待ち」作品というジャンルだ。
一人で行くと、帰りにしゃべりたくてたまらない。


ネタバレありますのでご注意ください。ぜひ劇場で見てから読んでください。


201811花蘭陵王.jpg

ロマンス
『蘭陵王(らんりょうおう)—美しすぎる武将—』
作・演出/木村 信司

私、「虞美人」はとっても好きな作品で、今でも何度も見直している。
この時、軍師・張良を演じていた未涼さんを強く意識したといって過言ではない。主役の項羽・真飛さんはかっこよく、虞美人の彩音ちゃんは美しく、二人の悲劇が味わえた。楽しい場面は劉邦・壮さんが担当していたけど、明るく人たらしな劉邦というのが良くわかるエピソード満載で、決してコメディ場面ではなかった。裏では軍師による頭脳戦もあったし。
ということで、木村先生の中国モノということでちょっとは期待していたのだ。
(あとで思い出したが、「虞美人」は原作があるうえ、白井鐵造先生の作品のリメイクだったのですね・・・そりゃキムシン・アレンジが多くても根は名作だわ)

だがだが。えーっと。日本昔話? BL? おかまモノ?
少なくとも「虞美人」テイストではない。どちらかというと「キャプテン・ネモ」テイストだ。1幕では瀬戸さんのぶっ飛び場面に度肝を抜かれた後は、京三紗さんの日本昔話風の語りが続き、おっとり心地よい声に頻繁に睡魔に襲われた。2幕では、逆にとんでもない場面の連続で、噴き出さないように腹に力を入れ肩を震わせていた。こんなのはネモ以来だわ。

1幕。子役を使わず、子供時代から凪七さんがのちの蘭陵王を演じる。子供時代の声は高めで美しい声。だが、だが。いきなりBLの連発で、唖然。ただのBLではなくロリ(いや男の子だからショタというのか?)も入ってる。私はBLもロリも、そういうの苦手。なのにその異常な様子を淡々と日本昔話のように語る「語り部」京三紗さん。えええ!宝塚で、こんなのあり??とここで最初の衝撃。
演出的には、主人公の心境を全部語り部が語ってしまうのは、有りなのだろうか。ラジオドラマのように感じた。だって目を閉じて聞いていてもわかるから。役者の表情見なくてもいいなんて、舞台の楽しさ半減では。語りでなく、「それ」を客にわからせてこそ!のお芝居と演出ではないのでしょうか? そりゃ手っ取り早く観客に、木村先生の言いたいことを伝えるには「語り部」に全部語らせるのが良いかもしれないが、なんだかな・・・と思いました。演出を放棄しているように感じてしまった。(2年ほど前か『鬼の城』というOSK作品だが、結構語りが入るが、「語りが話す内容」と「舞台上の場面」が正反対で、すごい演出効果があった。でも今回は、語りと場面が同じだから、そういう効果を狙っているのではないよな・・)

次。
瀬戸さんがゲイでオネエの心は乙女な皇太子だった。あの皇太子で、誰も足元掬わないとか、ほかの王子が皇太子の地位を狙えないほど彼の血筋がよいのか、周りがあまりにふがいないのか、いやいやアノ彼に皇太子が務まるのだ、斉の国がなんと平和なのかが良く分かった。一体、蘭陵王は誰と戦っているのだ!と疑問に思うほどだ。ともあれ、瀬戸さん演じる皇太子・高緯の登場場面には、目がくぎ付けになり、ぽかんと見てしまったほどだ。乗りの良い曲だったので手拍子などできたかもしれないが、呆然としてしまって、とてもできなかった。
そして、高緯の外見は普通にかっこいい男性だったので、「このうつけ振りはきっと周りを油断させるための芝居に違いない」とか深読みしていたら、最後まで本当に「心は乙女」な人物だったよ!!ゲイのオネエなんだよ!瀬戸さんのファン、あれでいいの!?(いや良くないだろうとお察しする)。瀬戸かずや新境地に違いない。だがファンは嬉しくないかもなあ~と思ってしまいました。少なくとも私は嬉しくなかった。乙女の振りした深謀遠慮な政治家を期待したのに。乙女を貫かれた思い切りのよい瀬戸さんの突き抜けたお芝居が、救いかもしれない。

ついでに、高偉の心の恋人・逍遥君(帆純まひろ)。彼は一応命掛けの陰謀を企てるのだが、その理由が明瞭ではなかった。彼が皇太子の側近(愛人)でいるのは政治的野心のため、だから政治的に扱いやすいお神輿・高緯のライバルになりそうな蘭陵王を排除しようとしたのか、と好意的に解釈していたのに。なのに高緯は「本当は蘭陵王が好きだった。逍遥君は心から愛した人」と告白するのだわ・・・てことは、男3人の愛憎のもつれかよ!!ヤメテくれ~と叫びそうになった。帆純さんもわけありげな視線や素振りだったのに。絶対何かあると思っていたのに。政治的野心ではなく、嫉妬なのか~やだーキムシン、底が浅すぎる。
こんな調子でことごとく私の深読みは外されていったのだった。もう純粋なBL話だった。

蘭陵王に褒美を取らす、という皇帝陛下(航琉ひびき)。高緯のお父様?よーわからん。わからんといえば、高緯と蘭陵王の血縁関係もわからないまま終わった。高家という同族とだけ。
皇帝陛下は、蘭陵王に領地と20人の美女を賜るという。その美女たちが、一人ずつ出てきて踊りながら特技を歌うのだ。「え・・これ20人続くの?」と恐れたが、3人で終わった。どうでもよいが、私は桃妃(詩希すみれ)が可愛くて好みだ。だが蘭陵王は、美人ではない(失礼)訳ありの女性・洛妃(音くり寿)を選ぶ。彼女は敵国の間諜?刺客?らしいが、その後あっさりと祖国を裏切って蘭陵王の配下となる。葛藤ないのね・・・とあまりのあっさりぶりに感動すら覚える。蘭陵王とは同志で、武将と配下のシノビという感じ。主従関係。ロマンスのかけらもなかった。が!最後はロマンスなんだ。彼らの恋愛はかなり特殊でストイックで分かりにくかった。真ん中にいる高緯や逍遥君が愛憎に満ち満ちているからね。洛妃は信頼厚い有能なシノビだとしか思えなかった。(つまりはヒロインは皇太子なのか・・?)

2幕ではさらに驚異の演出が続く。2幕は洛妃の読唇術が大活躍。木村先生は読唇術を覚えて使いたかったのだろうか?と思う。読唇術の会話が続く。「キャプテン・ネモ」のモールス信号で会話するお姫様を思い出した。
蘭陵王が強い武将なのはわかるが、不死身とは知らなかった。戦場での負け知らずならまだしも、白兵戦でも傷一つ負わずに一人で斬り捲り。武器を持たない丸腰で、武器を持った刺客10人(推定)に囲まれて傷一つなく勝つとか。最後には、丸腰で、武器を持った兵士軍団相手に大立ち回り。光るヌンチャクが出てきて無敵状態。もうこの場面、肩が震えて仕方ありませんでした。だってヌンチャクで無敵、しかも光ってるよー!!!これ最終兵器なんだー!って。スカイステージで見ていたら、大爆笑していたに違いない。

蘭陵王と洛妃は、到底会話不可能な場所で延々と会話し愛を告げ、到底脱出不可能な場所から無傷であっさり逃亡し、無茶振りもここまでか、と思ったがまだあった。平民として暮らす二人が、追っ手?をまくのに「へ-」「ほー」で会話するのだ。もうたまんない。声出して笑っているお客さんもいた。耐えられなかったのね、わかる。

最後にまた語り部が出てきて、教訓を垂れる「人の嫌がることはしてはいけません」って。やっぱり日本昔話だったんだ!と確信した。そして。木村先生、その言葉、そっくりそのままお返しするわ!と叫びたかった。
途中からやたら迫力あるゴージャスな妃・花野じゅりあさんも語り部チックになっていた。あの人は皇帝の妃としてではなく、語り部2として登場していたと思う。彼女はやたら「1500年前の話です」を強調していたので、その後の話を後世から語るのかと思ったら、そうでもなかった。何が言いたかったのか、何しに出てきたのか私にはわからなかった。

そして幕。あー終わった終わった、苦しい~腹痛ぇーと思っていたら、「フィナーレです」とわざわざアナウンスが入ってフィナーレ。東儀秀樹作・演奏の素晴らしい音楽が鳴り響く。やっぱりいい曲だ。大層な幕開きで始まったフィナーレだが、あっさり終わり。娘役さん出番なし?(人数少ないから兵士になってた。娘役場面なし)。最後は雅楽の「蘭陵王」で終わり。

2時間かけて「人の嫌がることは・・」が言いたかったの?と愕然としていたところ、最後のあいさつで花野副組長が「愛の物語」と言っていた。そういやBLも愛だな、差別はいけないよね、でもロリは児童虐待だからダメだよ・・・・とか複雑な心境だった。それにさあ児童虐待は犯罪なので(たとえ古代を舞台にしているとはいえ、見ているのは現代人だ)「人の嫌がること」レベルの話ではないと思うのだが、キムシンのなかでは「小学校の教室に大書してある標語」レベルのことなんだな。テーマは良く分かったが、脱力したわ。


衣装は、「虞美人」と「太王四神記」からたくさん使われていた。最初の場面から張良が来ていた衣装が出てきて、懐かしかった。
セットは動かず。お金無いの?と思うほど、動かない。椅子代わりの箱を持って来たり、くらい。皇太子の場面で船が出てきただけかも。でかい曼荼羅の壁掛けと舞台絵くらい。あと、丸い刳り貫きセットの中で凪七さんが馬の鞍に乗っている場面もあったけど、あれも笑いだしそうになった。もっと普通にかっこよく演技で馬に乗れるでしょ!なんで鞍だけ用意したの。凪七さんが真剣に「ジョーバ」に乗ってるように見えて、ここでも腹筋鍛えた。
あまりのセット装置の貧弱さに、東儀秀樹さんが高かったんだろうか?など邪推する。プログラムを買ったら、東儀さんが「演出もしたかった」と書かれていて、ぜひぜひ!!お願いしたいです!!!と思った。良識ある外部の芸術家の目で見て意見をいただくべきだった。


というわけで、楽しんだことは楽しんだ。とても。「キャプテン・ネモ」のように一度は見ておかないと後悔する作品だと思う。後々語り継がれる作品になると思うから。後々・・でも「仮面の男」みたいに不快ではないので、良作だ。なんというか、「突っ込み待ちなの?」と思う作品。この作品は一人で見に行くと欲求不満になる。誰かと見に行き、帰りにしゃべり倒すネタに困らない作品だからだ。だから帰宅してすぐこんなに書いてしまった。



蘭陵王(凪七 瑠海)
名無しの少年のころから、拾われて愛玩されて、そして突然「王子」と分かる。わかったのは「ずっと下げていたペンダント」をきっかけに、背中にでっかい四文字熟語が入れ墨されていたかららしい。そんなでっかい意味ありげな入れ墨、誰か気が付けよ!と思う。だが、これは王家に仕える人以外は知らないそうだ(お世話するわけでもない武人が知ってるんだけどね)。斛律光&段韶は偉いな。でも段韶が気づかなかったら、斛律光は確実に3人目の庇護者になっていた。でも蘭陵王は彼をかなり信用している。(身分が判明してからは慎んだのだろう)。そういえば、蘭陵王って小さなころから、男にだけモテモテですね。女性にモテている場面が全くない。
というわけで、突然身元が判明するが、かといって親元に連れて行くわけでもなく。冒頭「親に捨てられた」とか言っているので、親元に拒否されたなら、それはそれでもう王族扱いじゃないのでは?
皇帝や皇太子に仕えているし、よくわからん。皇帝との血縁関係は不明。皇位を狙える身分じゃないのかなー私は、逍遥君が蘭陵王排除に暗躍しているのは、皇太子の地位を守るためだと思っていたから(ただの思い過ごし)、それなりの王族かと思っていた。
ナレーション(語り部)の言う通り、感動に薄く表情に出ない人物。強いことが生き残ること、と言っているが、生き残ったからって何かしたいわけではなく、今日生き延びてよかったというレベル。情動がないので、共感しがたい。だから、洛妃に惹かれての行動は、ツンデレ場面で落差に萌える場面かな?と思うが、今一つ萌えられない。全然デレてなくて、淡々としてるんだもん。
嫁を迎える場面も、逍遥君の陰謀を暴き追い込む場面も、激高しているようで全然してない。あの自分の感情に素直な大騒ぎ皇太子が告白する場面も、別に驚いてない。淡々としてる。最後の最後に、洛妃の思いを受け入れ人生を変える場面でさえ、淡々としている。
最後の最後の最後に、彼女に愛を告白する場面くらいかな、笑顔なの。でもこの場面、またすごい仕掛けがあって腹筋鍛える場面になってるから、「初めての笑顔」どころじゃない(私には)。
ずーっと「美しい」と言われ驚かれるが、淡々としたままで、本当に「容貌」だけが美しい人なのだろうなあと思う。想像できない美貌だ。こんな役を当てられたら、大変だ!容貌だけで、人をひれ伏させ驚かせなきゃならないから。凪七さんは頑張ってました。「蘭陵王のカリスマ性」に内面要素がないからほんと大変。私の個人的趣味では、凪七さんはそこまで言うほどの美貌に思えなくて、ごめんなさい。(これは木村センセが悪いと思う。こんな設定の役どうしろと?小説なら良いけど漫画家でも困るわ)
ともかく、ずーっとまじめに淡々と芝居をする凪七さんに、「笑ってはいけない」という苦行を強いられた。あのぶっ飛んだ内容を、眉一つ動かさずにまじめに演じている。素晴らしい芝居だ。


洛妃(音 くり寿)
敵の刺客かスパイなのに、あっさり見破られて、あっさり寝返り、標的に仕えている女忍者(という能力)。蘭陵王の半生と重なる部分の多い生い立ちで、彼と深いところで理解しあう。そしてそれが愛になるそうだ。どこで愛になったかを考えるに、「作り物の牡丹」のかんざしをもらったときかな。あそこで急に、洛妃がキュン!としたように見えた。
大変有能なシノビで、なのに寝返ったらそのまま放置してもらえるなんて、なんて幸運なんだろうと思う。そこには誰も触れてなかったけど。通常は裏切りものには死だよね。
あっさり死のうとした蘭陵王を翻意させ、一緒に逃げました。その後はみょうちくりんな趣味が合いそうなので、彼女がたくましく稼いで、幸せに暮らしたのでしょう。
音さんは大変な美声。今回のソロもとても心情がこもっていて、虚しい片想いが切なかったです。


皇太子・高緯(瀬戸 かずや)
高緯という名の皇太子。もう絶対に皇太子。終わりごろにはしっかり皇帝になっている。しかも国が危うくなると息子に譲位して逃亡したとかいう。ゲイのオネエの乙女なのに、息子がいたのか!!とここで大衝撃を受けた。あんなふうに見えて、ちゃんと大事な役目は果たしていたんだね、と感心した。1幕の登場場面が大変衝撃的で、唖然としているうちに終わり、その後も登場する度に衝撃を受けていたが、出番自体は多くなかった。見せ場は、やはり逍遥君の仇を討ち、蘭陵王への思いを告白する場面。あんな言葉遣いながら、(理解しがたいが)彼の愛情や思い、心情が伝わり、(男同士の愛のもつれという事象は置いておいて)高緯に共感できる。迫真の演技で、瀬戸さんの芝居がさすが!と冴えわたる場面だ。理由があれじゃなかったら・・と惜しく思う。
まったく私の主観ですが、瀬戸さんがもったいなさ過ぎた。「ポーの一族」の男爵が素晴らしかった、「メサイア」も素晴らしかった。だけどこれは・・。私が見たい瀬戸さんではなかったです。お芝居は素晴らしかったんですけどね。歌も良かったような気がしますが、実は歌がどーとかいうレベルではなく歌詞が衝撃的すぎて。


逍遥君(帆純 まひろ)
逍遥の君とか呼ばれていて、本名がわからなかった。立ち位置もわからない。皇太子の側近なのか。武将ではなさそうだし、文官なのかな。ともあれ、皇太子の思いのすべてを受け止め彼の心をフォローする有能な人材。蘭陵王を遠ざけようとして画策するが、洛妃の活躍で失敗、最後に蘭陵王に追い詰められ命を落とす。(思えば、蘭陵王はなぜあそこで執拗に彼の命を奪おうとしたのだろう。淡々とした男なのに、あの場面だけ「執着」を感じた)。
同僚たちと話しているときは、丁寧な高級官僚らしい言葉遣い。でも気持ちが昂るとオネエになる。なんで!?と思った。いいやん男で!!その拘りがわからないわ>木村先生。
豪華な衣装で優雅な動き、はらりとした前髪のかかる容貌が大変美しく、私の好みでは彼こそが美貌の男だった。蘭陵王だって線が細いし、逍遥君がいたらいいやん!と思ったが、皇太子だからいろいろキレイどころを集めたかったんでしょうね。皇太子に愛されていたと思うよ。
彼が蘭陵王を排除するためにいろいろ動く場面では、本当に意味ありげな視線やしぐさをしているので、絶対に政治的に何か企んでいると思っていた。ほんとこんなお芝居ができる人なのに、もったいない。美貌だし、もっと納得できる役で見てみたかったです。


語り部(京 三紗) &広寧王の妻(花野 じゅりあ)
語り部たち。京さんが語る語る。日本昔話だと思ったのは全部この方の所為。最初から、最後の教訓まで大きな声ではっきり語ってくれました。ちょっと語りすぎというか、演出放棄して全部語り部のセリフにしたな!と感じたくらい語っていた。
語り部ではないが、実質的な役割は語り部の花野さん。この二人が大声で大事なセリフを言うので(大事なというのはストーリー展開上大事なこと、ではなく「作品の狙い」を語るセリフという意味)、びっくりした。無駄に迫力があったので。花野さんは綺麗に着飾って、語り部をしていた。作品上で「皇帝の妻にこの人あり」という名乗りがあるだけで、「皇帝に最も影響力のある女性」という役目は何も果たしていない。もう「語り部2」でいいよね。


斛律光(悠真 倫)&段韶(舞月 なぎさ)
いい人。蘭陵王を見つけ出し、彼の出世に乗って出世してきた方。武人としても優れているらしい。蘭陵王は彼ら(特に斛律光)を信頼しているっぽい。善良な人ゆえ、蘭陵王がはっとさせられるセリフを何気なく言う。「幸せか?」みたいなセリフ。洛妃も託すし、最初に愛人にされそうになったことも忘れて、すごい信頼ですね。真の恩人は、段韶だと思う。段韶は要所要所でいい役目をしてますね。舞月さん、こんなに良い役をしているのではじめて意識しました。歌もいいしお芝居も良い。
悠真さんはさすがの貫禄。懐の深い人格者の将軍になっていました。
でもこの二人、蘭陵王の結婚式では、うきうきルンルンと踊っていて、ちょっと皇太子さまの仲間になれそうな雰囲気があった(笑)まったくもう・・・キムシンってば。


村の長者(航琉 ひびき)&盗賊(澄月 菜音)
ロリBLの人。なんでそんなにあの子に惹かれたのか聞いてみたい。もともとそういう趣味ですか?見ていると蘭陵王は男を惑わす魔性の少年にしか見えなくて。二人とも、彼にかかわってすぐに殺されているし、魔物に関わり惑わされたばかりに人生狂わされたのね、なんて思ってしまいました。


<皇帝と下賜される妃たち>
皇帝(航琉 ひびき)
えらく気さくで良い人の皇帝陛下ですね。あの素直で明るい皇太子と、あの迫力ある妻に囲まれながらも、普通に常識人に見える。武勲を立てた一族のはみだし子に褒美をやろうとしたのに、美女は突き返されたのよ?あり得ないわ。皇帝陛下の思し召しをこの若造が偉そうに拒否?!と思ってしまった。でも全然怒らないで、よしよししてあげるんですよ。人が良すぎ。しかも拒否された美女たちを、一人ひとりちゃんと慰め行く末を保証してあげているし。なんて温情ある陛下。蘭陵王のもとより皇帝陛下の後宮のほうが幸せになれると思う。いい国だなあ。ほんとどこで争いを・・。

芍妃(美花 梨乃) 蘭妃(若草 萌香) 丹妃(桜月 のあ ) 桃妃(詩希 すみれ ) 桂妃(美里 玲菜)
その下賜される予定の美女たち。うちの3人が歌い踊り、残りはまとめてだった。20人の美女といいつつ5人しかいないけど(笑)。桃妃ちゃんと桂妃ちゃんが可愛らしくて好み。私ならこの二人をもらう。
結局全員が鋭く「蘭陵王は男しか愛せないのよ!」と見抜き、優しい皇帝陛下につく。やはり女性は鋭いのだ。この物語、女性が排除されていることを象徴している明らかな場面であった。(だって主人公蘭陵王のヒロインは皇太子、ライバルは逍遥君だもんね)


<蘭陵王排除派の人々>
李水(和 礼彩) 孫雨(翼 杏寿 ) 銭風(南音 あきら) 呉雪(颯美 汐紗 ) 周雲(珀斗 星来)
いつもまとまって会話していました。蘭陵王が嫌いなんですね。なぜ排除したいか、という理由は全然語っていなかったので、謎(そこを語ってこそだよ!木村センセ)。彼らになじまない暗い雰囲気が合わないのはよくわかる。斛律光&段韶という武人ですらルンルン踊るんだもの、ルンルンしない蘭陵王は合わないのだ。だから排除したかったのかもしれない、と思った。些細な理由で宮廷が動いてそうだからね。
彼らの衣装が色とりどりで、楽しかったです。まあ、個性は全然わからなかったけれど。セリフ分割って感じ。


<何も知らない海辺の人>
父(航琉 ひびき)&娘 鄭氏(美花 梨乃)
蘭陵王の結婚相手とその父。多分、逍遥君の姉の夫と姪。
航琉さん大活躍ですね。善良そうな貴族の旦那様と、品よく可愛らしいお嬢様。素敵な親娘です。本当に結婚していたら、いずれ蘭陵王も心を開いてくれたかな?そうしたら幸せになれそう。美花さんは美人で素敵なお姫様に見えました。


北斉の将軍(和 礼彩)
洛妃を教育して送り込んだ人。一場面だけの登場。裏切者のスパイを見逃してあげるなんて、優しい人。見逃したんではなく・・・忘れてたのか?ところで、冒頭で語り部さんは、斉と「周」の2国が争い・・とか言ってましたが、いつの間に北斉が? 中国史も一通りは勉強したけど、所詮は入試用の受験勉強、よくわかりません~



以上。たくさん書いてしまった。今回は一人で見に行ったから、もう話したくて。帰宅してすぐに書きはじめ、思い出す限りを書いた。でもまだあるはずだ。今回は1回しか見ないので、これにて終了。とにかく瀬戸さんのインパクトが凄くて印象深い。楽しそうに衣装ひらひらと踊るオネエな瀬戸さん、オネエ言葉で男に愛を語る瀬戸さん、もう二度と見られないと思うので、呆然とせずに堪能すればよかった。初日だったので心構えができてなかった。もったいないことをした、とは思わない。記憶から消しておいてもよさそうな気がする・・・「カサノバ」はかっこいい瀬戸さんが見たいです。


今回4分割の花組の2つ目を見た。1つ目の轟さんDSでは下級生に出番がなくてもったいないと思ったんだけど、2つ目のこれを見て、「どっちが良いのだろう」と思ってしまった。あとは舞浜と全国ツアーですね。今度こそ!と楽しみに待ってます。


読み返してみたら、すっごい楽しんでいますね、私(笑)。


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hanihani

こんにちは!
私は21日に観ましたが結構気に入って、おまけに面白いところも多いので帰りの飛行機待つ間に15人くらいに観なよ!とメールしてすでに6人観てくれてます。東京もチケットがまだあるので
友人たちは観てくれるそう。
いや、マトカに次いで傑作だと思う。もうBLを無くして
かちゃとくりすちゃんのLOVEにしたら、「オグリ」になったのになぁと思いました。

先ず、ファントムの翌日に観たのにかちゃとくりすちゃんの歌が
上手くて、「音楽の天使がここにもいた」とあっさり楽しめたことです。
最初からBLなのはスミレコードぶっちぎりでしたが、なんかかちゃを撫でまわす二人がわりと芝居が下手というか健全な方々なので
コード内で済んだねと思いました。
あきらのおかまは、うん、演技の範囲を広げたかもねってことで(笑)
帆純 まひろくんはいつも顔はきれいですが芝居も歌も下手だなぁとその進歩のなさを「今回も初日はあけないな」って感じで観ていますが、やはり芝居が下手だと思いました。
あの船のやりとりなんか、ちょろい芝居に騙されてはいかん。
その前までに皇太子の何なのか、蘭陵王に対してどのあたりから
不快におもっているのか、また蘭陵王に対してどうしたいのか
自分は今後皇太子の何になろうとしているのか等を芝居で表現する場所が沢山あったのに、そこでただ棒立ちしているので
このお役がどういう役なのかさっぱりわからなかったわ。
ほんと、「メサイア」でもどういう役割でそこに出ているか、自分以外の人の芝居の場にただいるときにぼんやりしていて勘が悪いのが残念すぎるの。きゃんきゃんうざい人ってだけで、これはしろきみちゃんに振られて当然だと思ってました。花組満員だから雪組に異動という噂があるけど芝居が下手すぎるから、ごめんなさい。
航琉 ひびきさんは大活躍でしたね。こんなに沢山お芝居でせりふを言うのを初めて聞いた!
とにかく沢山出ているから、皇帝が結婚式に来てくれたのかと思ってたら、花嫁の父だったし(笑)
でも良かったです。舞月さんは相変わらず芝居は下手ですが、
身のこなしがきれいなので、殺陣とか良かったかも。

娘役さんを美人グループだけしか見れなかったので、東京であと2回観ることにしちゃいました!!
忙しいのですが、色々細かく観たくなってしまいました。
うん、「蘭陵王」は癖になりますね。
by hanihani (2018-11-26 20:22) 

えりあ

hanihaniさん

長文ありがとうございます!
帆純さん、芝居下手なのか・・あまり芝居をしっかり観た記憶がない方なので、脚本演出の所為なのかなんなのか、逍遥君の立ち位置が全然わからなかったです。綺麗でしたので、皇太子の好みのタイプなんだろうとはわかりました(笑)
音さんの声、天使の歌声ですね。航琉さんも今回初めて認識した方。芝居いいやん!皇帝もお父さんもいい味だしてましたよ。
娘役さんは可愛い嫁候補がいっぱいいたので、可憐な娘役群舞もみたかったなあ・・フィナーレは殺陣要員になっていたから。
ネモも最高に突っ込めましたが、蘭陵王もなかなかです。済レコード部分が、京さんの堂々とした語りと、健全なパトロンのおかげで守られていたのですねー良かった。
もう一回見たかったけど、機会無しなのが残念。東京も楽しんでね。
by えりあ (2018-11-28 10:35) 

hanihani

今夜は予定外に「蘭陵王」出演者のかわいこちゃんと食事を
しながら、色々とあそこはなんでああなったのか?とか
聞いてきました。
でもいま、キーボードを打つ右手中指に傷がついてしまい・・・

治ったらまたコメントしますが、やはり脚本は短くなっていて
重要なところもカットがあった模様。
by hanihani (2018-12-13 01:25) 

hanihani

「蘭陵王」の千秋楽をみたら、少し寂しく感じたくらいにわりと好きな作品となりました。
もうすこしあーしたら、こうしたらとは思うのですが…

じゅりあちゃんの役は要りませんね。京さんだけで十分。

で、演出さぼってるんじゃないの?とえりあさんに疑いを掛けらた木村先生ですが、
出演者に聞くとすごく細かい演出をしていました。髪型とかまで
色々考えていたみたいだし。
残念なのはまたも脚本を長く書きすぎてしまい、沢山カットになったそうなので、話が繋がらないことになったらしい。
ヌンチャクとかさぁ(笑)

女の子5人もちゃんとそれぞれの色合いを変えるように考えていて、もう少しかちゃと全員が絡んだりしたそうなのですが
あんな男はとお怒りのソングを優先して芝居はカットだったらしい。5人の性格の違いをちゃんと考えていて、お裁縫上手はおとなしいとか、料理上手は最初のひとめで「あ、イケメンだ☆好みだからぐいぐいいこう」とか演出をしたそうです。
でもかちゃに慣れてない下級生ばかりだったのでうまくできなくて、3人で終わったそうでした。ぐいぐい行くのも難しくて
一日ずっとその場面をやっていてかちゃもつきあってくれていて
先生が休んでいていいよと声を掛けても「これは私が立っていて
迫られての返しをしてあげたほうが彼女が作りやすいだろうから」
と何時間も一緒にお稽古してくれたそう。
主演としての覚悟みたいなものを感じたそうです。ふふふ

なんかかちゃの動向も今後きになりますね!
by hanihani (2018-12-19 13:53) 

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