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宝塚雪組「ファントム」Aパターン [観劇感想(宝塚)]

宝塚雪組「ファントム」Aパターン
2018年11月11日(日)11時 1階16列下手サブセンター

宝塚初演の宙組から、花組2回のファントムを見ていますが、
今回とっても期待して雪ファントム、まずはAパターンを見に行ってきました。

期待にたがわず、素晴らしい!クリスティーヌが天使の歌声!
ファントムが音楽の天才!セリフの重要部分に説得力がありました。
特に、天使の歌声という形容詞が納得できるクリスティーヌは初めて。
キャリエールがかっこいい。スラリと黒燕尾が似合う髭のオジサマが素敵。
歌も天才ファントムと掛け合いができているし、クライマックスに涙を誘ってくれる。
ストーリーは好きじゃないけど、感動できました。歌が物語を圧倒した気分。

演出が変わっていて、気分は新作。この演出、好きだわ、中村B先生。
作品の雰囲気を壊さず全体に明るくて、大勢で賑わい部分と孤独部分に緩急があって
映像が素晴らしく効果的なお仕事してます。
阪急は映像会社でも買収したの?というくらい、この間から映像が大活躍ですね。
今回は舞台いっぱいの背景映像が、パリの町やオペラ座の地下を演出してました。
映像の雰囲気も出来栄えもとても良くて、世界観を構成してます。

これは何度も見たい。もちろんBパターンも見たいです。2階からも見てみたいなあ。

201811雪ファントム.jpg

三井住友VISAカード ミュージカル
『ファントム』
PHANTOM
脚本/アーサー・コピット 作詞・作曲/モーリー・イェストン
潤色・演出/中村 一徳 翻訳/青鹿 宏二


オーバーチュア―のようなものがあり、パリの町の映像が流れる。
映像はオペラ座から地下へ。そしてファントムと従者たちの世界を垣間見せてくれる。
地下世界なのになんだか豪華で、そして秘密と孤独と悲しみに満ちた雰囲気が感じられる。
ファントムの歌と従者のダンスが素晴らしくて、幕開きから目が釘付け。
一転、明るいパリの広場の人々。明るく楽しそうに歌う人々、楽譜を売るクリスティーヌ。
通りがかるシャンドン伯爵が彼女に声をかけ・・とストーリーが始まる。
このオープニングが印象的で、「こんなに良かったっけ?」と驚くほど引き込まれた。

あとは「オペラ座の怪人」の通り進んでいく。演出はかなり変わって・・というより背景やセットがとても美しく抽象的になっていて、映像を駆使して幻想的に雰囲気風背景が倍増。セットも以前は「書割」みたいな感じが多かった印象だけど、かなり立体的に美しいセットになったような気がする。

今回、町で歌うクリスティーヌの歌声に惹かれたシャンドン伯爵、オペラ座の地下でクリスティーヌの声を聴いて惹かれたエリック。ビストロで彼女の歌に夢中になって絶賛する劇団員たち。それぞれの場面が素晴らしく納得できた。それほどクリスティーヌの歌声が素晴らしかった。こんなに彼らのセリフが自然に聞こえたのは初めてだ。
そのクリスティーヌに歌を教えるというファントムも、さすが「先生」という感じの良い声と音程で、「この顔じゃなかったらテノール歌手に云々」のセリフが実感できて、このセリフすら胸に迫るように。
そのエリックと銀橋でふたり、かなり長時間歌でセリフを交わすジェラルド・キャリエール。驚くほど良かった!(大失礼)。咲奈さんの歌は普通だと思っていたけれど、望海さんと掛け合いで歌える!これは上手いのでは?今頃こんなこと言っててごめん!って感じですが、咲奈さんは昔から見ているので、上達ぶりがわかって嬉しいの。ほんと素晴らしかったわ。今回の雪組公演、歌大満足。CDは絶対買う(望海さんトップ公演、全部CD買ってるけど)

冷静に考えると、物語としては相当ひどい話だけど、あの歌声と音楽で全部許せる・・どころか感動して涙が出るとは。音楽/歌の力は偉大だ!というこの作品のテーマに合っているのだろう。


ファントム/望海 風斗
世間知らずで甘やかされたから(キャリエールに)わがままだけど、基本は善良でよい人物なのだろうと思える。ただ一般常識がないので、歯止めが利かず、生涯唯一の宝物=クリスティーヌのために、暴走してしまう・・・。それほど純粋で、強烈な想いを持っている人物。彼が地下で一人きりで育ったのでなければ、自制が効いたと思える。でもそれほどまでにクリスティーヌを大事に思ってしまった、というエリックの愛を感じた。エリックの感情、とても伝わってきました。
「歌劇」で中村先生が語っているけど、このエリックはキャリエールと一緒にオペラ座の演目やキャスティングの相談をしていそう。キャリエールが「有能な支配人」と称えられる功績はエリックの協力にもありそうな感じ。それほど聡明で才能ある青年に見えた。クリスティーヌが逃げ出した絶望と苦しみに耐え彼女を案じる場面、キャリエールと語り合う場面に、彼の強い自制心と包容力が出ているから、だから余計に彼の孤独と悲しみ、絶望を感じて胸が締め付けられる気分になるのだな。
望海さんの歌声は声も音も絶品なのですが、それだけではなく、思いきり感情が乗っている。セリフなんだよね、歌も。あの素晴らしい歌声に感情を載せてぶつけられるから、観客(私)の感情が揺さぶられるのだ。だから彼が過失致死と明確な殺意のある殺人犯であることをうっかり忘れ、優しく無垢で思いやりのある好青年だと思ってしまい、ラストシーンを誤認逮捕の悲劇のように感じて涙してしまうの。望海さんのエリックは素晴らしかった。
ともかく、今回雪組版は私の一番好きな「ファントム」になったのは間違いない。


クリスティーヌ・ダーエ/真彩 希帆
可愛らしい田舎娘がパリにでてきて歌を歌っていて、そこをイケメン貴族にスカウトされて憧れのオペラ座へ!歌を認められ、衣装係からヒロインへ!!というシンデレラストーリーが納得できる初めてのクリスティーヌ。劇団員が集うビストロへ行く白い豪華なドレスは、本当に「大変身」という感じで、それまでの田舎娘が一気にヒロインに化けたように見える。シャンドン伯爵が声をかけて劇団にスカウトした娘たちは美人が多くて、クリスティーヌはあか抜けない感じからライバル視されないくらい。もともと「声」をスカウトされたので、ビストロでの大変身ぶりとあの歌声に、皆が驚き絶賛するのだが、この場面が今回ものすごいリアリティをもってて、劇団員と同じ感情で驚き賞賛できたのが嬉しい。実際にこのビスロトで歌う歌、すごく難しそうですよね。さすが真彩さん!
その後も、美声の歌に感情が乗っていて素晴らしく、「そもそもアンタが酷いことしたからや」というのをうっかり忘れてエリックへの純愛に感動してしまいます。
過去見た中で最高のクリスティーヌです、私は大絶賛。


ジェラルド・キャリエール【前支配人】彩風 咲奈
スラリとかっこよくてダンディで有能な支配人。だけど優柔不断で小心者。いろいろ怖くて先送りして逃げてしまい、それが余計に事態の悪化を招いているという、実は大変厄介な性格。何より彼がすべての悲劇の元凶なのに、そうは見えないどころか、最後には悲劇の主人公のようになんだか同情して涙がでてしまうとは。
だが、キャリエールは「そう」感じさせないといけない。極悪人に見えてはいけない。エリックをファントムとさせ、すべての悲劇の最大の原因なのに、なぜか包容力や優しさを感じ、彼の悲しみに同情して悲劇のラストシーンに涙する・・。キャリエールって難しい役ですよね。咲奈さんがキャリエールでどうなるのかと思っていたのですが、ちゃんとした素晴らしいキャリエールで、2幕後半のエリックとの場面では、涙が出てきたほど。今まで父とも名乗らず可哀そうな息子を閉じ込めていたくせに、急に良いお父さんぶって!と反発したい場面なのに、なんとも慈愛にあふれた良い父に見えてしまう・・・既婚で若いプリマドンナを妊娠させ、生まれた異形の息子ともどもオペラ座の地下に閉じ込めておきながら、そんな不憫な息子のたった一つの愛を奪おうとしておきながら、彼こそ諸悪の根源なのに、なぜ泣かされるのか。
このエリックとキャリエールの銀橋の場面は、この物語最大の山場だと思っているので、ここでキャリエールに反発するようじゃ話が終わる。過去の宙花花のキャリエールも素晴らしい役者さんばかりだったけれど、今回も素晴らしいキャリエール。咲奈さんのお芝居にも歌声にも感動した。
見た目で言えば過去最高にかっこいいキャリエールだと思う。背が高くてスラリとして、まるで黒燕尾が彼のためにあるみたい。咲奈さんは髭が似合うので(髭大好き)、髭姿がとても嬉しい。ちゃんと父子に見えたのもすごい。というわけで、咲奈キャリエール、私は気に入りました!


フィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵/彩凪 翔 (A)
美形の金持ちなのに割と真面目そうな貴族の若様。町で可愛い女の子をナンパしているというより、スポンサードしている劇団のために有能な女優をまじめにスカウトしているような印象がある。道楽のオペラ座パトロンではなく、事業としてのオペラ座出資に見えるのだわ。若造感がないの。
ともあれ見た目は最高!でも歌が全然・・・・もともと彩凪さん歌は得意ではないし、声も早霧さん系列の聞きづらい声だから、多大な期待はしてなかったけど、こんなに声が伸びずに通らなかったっけ?と思った。ここしばらくそう感じたことがなくて、ちょっと驚いた。ソロが結構あるのだけど、ほかがみんな素晴らしい歌声なだけに、相対的に辛い。そういえば、初演の宙では歌に難ありの大和さんを放出し、歌が絶品の安蘭さんが特別出演してシャンドン役の上演だったことを思い出した。シャンドン役は歌は多いし、結構大変なのだ。
彩凪シャンドンもクリスティーヌの声(才能)に惚れたように見える。あか抜けないけど美声の女の子をスカウトして、それがビストロでは綺麗な歌姫になっていて、「私の目に狂いはない!素晴らしい歌声!」と大喜びしている姿が何ともかわいい。このビストロで一気にクリスティーヌに惚れたように感じた。今回ちょっとクリスティーヌとの恋愛が見えなくて(クリスティーヌがエリック一筋に見えたし)、そこが今までと違うかな。よいパトロンです。
Bパターンは、彩凪さんはショレ役。ダンディオジサマで見てみたい。ダンディ支配人新旧対決をひそかに期待している。


<カルロッタ一派>
アラン・ショレ【新支配人】朝美 絢(A)
最初、「夏美ようさん?」と思ったあの外見。朝美さんも夏美さんも濃いお顔なので、同じような髭をつけると、似て見えるのだなあ~。しばらく誰かわからなかったほど、お芝居も面白く作っていた。ちょっと猫背気味でオーバーアクションで動きがコミカル、妻が大好きで、喜んで妻の尻に敷かれている男、人物としては小さい。キャリエールと比べると、支配人としての能力が劣る小悪党って感じ。
出てくるだけで面白いショレ氏でした。こういう解釈もあるのね~と驚きました。朝美さんのオジサマは初めて見たけど、全く予想外の役作りにびっくりです。
朝美さんのシャンドン伯爵は、女の子をスカウトではなくナンパしてくるイケメンプレイボーイを期待している。そのための全然別人ショレ氏の役作りでしょ?と。


カルロッタ【新しいプリマドンナ】舞咲 りん
いやあ~ぴったり。「ファントム」と聞いた時から、カルロッタは舞咲さんだろうと思っていましたが、予想通りに素晴らしい。さらに、自称プリマドンナなので、あまり歌がうまくてはいけない。過去カルロッタが大変美声で上手くて、「カルロッタがプリマドンナで何か問題が?」と思ったりしたこともあるのですが、舞咲さんはちゃんとキーキー妙ちくりんに歌ったりできる自在な歌声で「エリックや団員が認めないプリマドンナ」を演じていた。すごい。そしてその性格、行動力のある意地悪さん。裏のある優しさが、とっても分かりやすい。そりゃ田舎娘のクリスティーヌが騙されるよね、という感じ。
エリックに襲われても強気で、「え、そこは謝ったほうが・・」って思うところも、いつも夫に対するように偉そうにしてしまい、あえなく落命。あれ、絶対エリックを煽ってたよね。
ということで、舞咲さんはまり役。カルロッタを「物語が成立するカルロッタ(自称プリマドンナ)」として演じていたので、いろいろと初納得できる「雪ファントム」がさらに納得度が増したと思います。

ヴァレリウス【カルロッタの付き人】千風 カレン
カルロッタに付き添って彼女の我儘気ままに付き合ってあげている人。でもカルロッタを尊敬しているようには見えない。我儘で可愛い彼女をおもりしているような感じ?昔(子供の頃)からの付き合いなのかな~と感じる。昔は可愛い我儘だったのが、だんだんエスカレートして、犯罪になってますが、ヴァレリウスはそれは知らないようだし。いろいろ翻弄されるだけの人でした。


ジョセフ・ブケー【衣装係】天月 翼
カルロッタの衣装係ですが、超弱そう。借金があるとか、カルロッタに逆らえない雰囲気ですが、性格的にも弱そうで、カルロッタに強い口調で言われたら逆らえない様子。いじめられっ子風で哀れな雰囲気が漂う。ヴァレリウスと3人幼馴染?という気もするほど。子供時代の関係の延長のように見えるのが面白い。こんな気が弱い男を、幽霊の噂のある地下に行かせるなんて、カルロッタの人選が間違っていると思う(ヴァレリウスのほうが冷静に棚卸ししてくれそうなのに。)。だから地下の幽霊(エリック)に驚いてうっかり死んでしまうんだ。いかにも驚いて死んでしまいそうな気が弱そうな外見がナイス!な役作りでした。


<劇団関係者>
ジャン・クロード【楽屋番】奏乃 はると
楽屋番で、かっこいい制服を着てオペラ座を仕切っている人。パトロンの伯爵が町でナンパしてくる女の子に対応し、紹介するはずの支配人が解任されていても、門前払いせずに力になってあげている。新参者が劇団員女子たちに絡まれトラブルになりそうならさっさと仲裁してあげるし、カルロッタにいじめられそうなら、さりげなくかばって連れて逃げてあげているし、本作品の主要人物で、唯一本当に心配りのできる優しい人物。いい人って、胸を張って言えるのはこの人だけだと思う。
劇団員も彼の言うことは聞いているようだし、影の支配人か?世話役みたいなもんなのですね?なんだか副組長というお仕事が垣間見えるようです(笑)
優しくて頼りになる楽屋番は奏乃さんにぴったりで、冷静に考えると不信感が募る主要人物の中で、善良なる彼は心のオアシスですわ。


ガブリエル【音楽教師】梨花 ますみ
マダム・ドリーヌ【バレエ教師】早花 まこ
お二人は劇団場面に登場し、表情や短いセリフで要所要所でキリっと絞めてくれる存在。あまり出番もセリフもないけど。梨花さんは女の子をしつける女学校の優しい校長先生みたいな感じで、早花さんはオールドミスの厳しい教師という雰囲気。ところで、早花さんってこういうきりりとした禁欲的な衣装が似合いますね。禁欲的なドレスが素晴らしく美しい。

モーク・レール【舞台監督】久城 あす
どっしり構える女性陣(梨花先生と早花先生)と違い、想定外の出来事に結構右往左往しているように見える。久城さんは心配そうな顔をすると絶品なので、おろおろと動いているだけで、「ああ、予想外の大事件が起こっていて収集つかず大変なんだな~」と共感できる。それでもパニックにならず、最善の対応を考えて動いているんだろうなあと思えるところに好感が持てる人ですね。
今回歌がほとんどなくって残念、私は久城さんの声が好みなんです。


リシャール【団員男】煌羽 レオ
劇中劇「カルメン」では赤い衣装、オーベロン様の役ではソロもあり、大変目立つ役。花組では未涼さん、望海さんが担った歌が得意な若手登竜門のような役だと思っていたのだが・・煌羽さん、「凱旋門」もそうだけど、若手スター役が続いてますね。歌の人でもなく、この学年で、一体何があったんだろう?と素朴な疑問です。

セルジョ【団員男】永久輝 せあ
「カルメン」で真っ白な軍服を着てセンターで踊るというダンスの得意な若手登竜門役。白い軍服が似合い過ぎて、ドキドキしました。踊るとさすがの切れの良いダンス、素晴らしい。劇団のスターダンサー、王子様みたいでした。セリフが全然なくてちょっと残念ですが、白軍服のセンターは大変インパクトがありました。

ラシュナル【団員男】綾 凰華
「カルメン」で青い衣装の役。リシャールとセルジョと3人が目立つ役なので、期待の若手枠。綾さんもかっこいいです。が出番があんまりない・・。


ソレリ【団員女】彩 みちる &メグ【団員女】潤 花
シャンドン伯爵がナンパしてきた劇団員。特にこの二人が目立つ美女。女性劇団員がシャンドン伯爵のサロンと化している・・パトロンってこういうこと?いや彩凪伯爵は、美人の劇団員がいれば客入りが良いだろうと頑張ってスカウトしているのだろうと思います。


<外部の人>
モンシャルマン【文化大臣】透真 かずき
買収されそうなうさん臭さが全開のあの髪型。胡乱な態度、ショレ氏とは良いコンビに見えます。責任逃れも得意技みたいで、いろいろ命令しつつ、上手いこと逃げているので、これが大臣にまで出世してきた彼の処世術なのかな~って思いました。


ルドゥ警部/真那 春人
まじめで仕事熱心な感じで、まじめに誘拐犯の不審人物(ファントム)を逮捕しようと追っています。真摯に仕事をする彼に対するキャリエールの複雑な顔が、見落とせない。キャリエールの態度は挙動不審だと思うけど、ルドゥ警部は追及しないのよね~ラストシーンのあの立ち回りと、キャリエールの態度、犯人エリックの態度とセリフから、彼らの関係に何かあると察して、結構温情的な態度をとってくれている。何気に人情刑事なのだ。


<回想シーン>
若かりし頃のキャリエール/永久輝 せあ
「若いころ」といわれて納得できる感じ。永久輝さんと彩風さんって雰囲気が似ているように思った。どちらもダンサーだから?かな。この若いキャリエールは、もう「お前がすべて悪いのだ!!」という感じが満載で、見習のくせにプリマドンナを恋人にして、既婚なのを隠して恋人に子供を作って。ベラドーヴァのあの絶望。さらに彼女が異形の息子を生むと、子供の顔を見て驚く(おい!って感じだが、正直なのでよろしい)。狂った恋人と異形の息子をどうするのかと思えば、なんと職場の地下に隠す。隠し続ける。これは保身と見た。
分からないのは、息子が8歳になるまで母が生きていたのに、ジェラルドが父だと知らなかったこと。母はなんといっていたのだろう?ジェラルド自身は「異形の子の父」であることを認められずに逃げていた、のは確かだと思う。この人、逃げてばかりだから。異形の子を殺してやることもできず、ずっと閉じ込めて育て、物質的には不自由させず好きにさせる。いいのかわるいのか、わからない。ただ逃げ続けていたらこうなったのだろう、という気がする。若いキャリエールはずっと逃げていた。
最後の最後にやっと自分の罪と対峙し、母似の優しい息子は彼を許してくれた。


ベラドーヴァ/朝月 希和
歌が上手い。ベラドーヴァは歴代上手いけど、クリスティーヌが上手いから初めて、エリックの気持ちが分かった。以前は、「ママの歌は上手かったのに、クリスティーヌの歌と似てるって、耳大丈夫か」という気持ちで見ていたから。今回はクリスティーヌのほうが上手いくらいで、エリックが熱心に教えたんだろうなあと感動できる要因となっていた。
ベラドーヴァは、キャリエールと恋をしなければ、もっと幸せに生きられただろうに、本当に悪い男に引っかかったと思う。怪しげな薬草を飲んでいた、というセリフがあったが、これは堕胎しようとしていたのか?その薬草のせいで、エリックは異形に生まれたのだろうか?とか考えてしまった。ぼろぼろになって薬草を買っていたころから、もう狂っていたからと思う。でも、生まれた異形のエリックを「可愛い」と思い愛し育ててきたところは、優しく慈愛深い立派な母。彼女に8歳まで普通に愛され育てられたから、エリックがあんな境遇でも(あんな父親でも)好青年に育ったんですね。と思いました。エリックがマザコンになるのは当然です。


幼いエリック/彩海 せら
可愛い。ちょっとくらい顔に傷があっても可愛い。素直で賢そうだし。しかしママが亡くなったのが8才なら、ジェラルドと呼んでいるおじさんが父だってわからないか? ママはジェラルドをなんと説明していたのだろう?疑問はそこだけ。本当に可愛い子だった。


<ファントムの従者>
沙月 愛奈/笙乃 茅桜/鳳華 はるな/諏訪 さき/眞ノ宮 るい/縣 千
従者という名の孤児院が、超絶の選抜ダンサーチームになったのが、演出上の一番の変更かもしれない。人数が6人に厳選され、「浮浪者を集めた」のは同じだけど、女の子も2人いて、いかにもそれらしい。全員の動きが美しく、エリックの分身、コロスのような役割も果たしていた。
ダンサーの中では、体格の良い諏訪さんが目立つ。あとかっこよさで縣さんも。眞ノ宮さんが可愛い。女性二人がリーダーっぽいのが、なんだか萌える。以前の演出では「いたの?」という感じで、舞台が暗くて黒い衣装の人がたくさんいるという認識でしたが、今回は大活躍。6人しっかり見わけがつくほど活躍していました。ダンスのレベルも上がり、見ごたえのある従者さんたち。一度では見切れないので、何度かみたいです。


<フィナーレ>
シャンドン伯爵が女の子を侍らせて銀橋ソロ。彩凪さん、がんばってー!という気分。声が全然伸びないので、ちょっとしんどい。
ラインダンスは三色旗でレトロな衣装が可愛い。時代に合った感じの衣装で、でも振付は新しくてなかなか素敵なラインダンス。
梨花組長がソロで銀橋、陽向さんがエスコートして銀橋を渡る。異動退団の餞別ですね。
大階段の男役ダンスはフォーメーションがかっこいい!!全体を上から見たい場面。さすが中村B先生という感じで、ショーらしい。娘役のダンスもかっこいいタイプで素敵。
デュエットダンスは赤の衣装。真彩さんのドレスが凝っていて綺麗。襟元が翻るのがイイ。
最後はパレード。一本ものなので衣装で。エトワールは愛すみれさん。
従者(縣さん)と青い闘牛士(綾さん)、白い王子様(永久輝さん)、ショレ氏(朝美さん)、シャンドン伯爵(彩凪さん)、キャリエール(彩風さん)、クリスティーヌ(真彩さん)、ファントム(望海さん)の順でした。Bパターンはどうなんだろう?見てみたい。

1本もので暗い場面が多いからと思っていましたが、全然睡魔に襲われなかった。演出も映像も凝っていて、さらに歌の圧が凄い。エリックとクリスティーヌの歌声の持つ力が目に見えるようなパワーを感じるの。キャリエールも、カルロッタも、役ぴったりに歌っていて、本当に良い公演でした。あとはキャリエールのかっこよさに目が離れない。咲奈さんはここんとこ一作品ごとにかっこよさが増してるような気がする。
もっともっとAもBも両パターン、いろんなところから見たい公演です。すでにチケット完売みたいだけど、簡単にチケット取れないのも納得だ。




過去のファントムの感想も検索したら出てくるので、お暇ならどうぞ~


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中村Bではありません。
by お名前(必須) (2019-01-26 01:18) 

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