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宝塚雪組「ファントム」新人公演 [観劇感想(宝塚)]

宝塚雪組「ファントム」新人公演
2018年11月27日(火)18時 2階7列上手


雪組の新人公演を見ることができました。
本公演が「音楽の申し子」と「天使の歌声」を具現しているので、
新人公演は新人公演らしい感じでしたが、レベルが高かったと思います。
あの難曲をきちんと歌った主役の綾さん、本役さんよりセリフっぽい歌い方でした。
天使の歌声に近い見事な歌の野々花さん、今まで見たクリスティーヌでも絶品。
縣さんはかっこよくて優しい父で、後半の低音の歌が良かった。
なによりカルロッタの羽織さん、素晴らしかったわ。上手い。
ショレの陽向さんも二人そろってお芝居が上手くて楽しくて
このご夫婦が上手いと芝居が締るんだ!ってことが分かりました。
歌は今回の本公演には及ばない感じですが、新人公演もレベルは高い。
役作りもお芝居も、とても良かったです。頼もしいですね!

2018111雪新公.jpg


三井住友VISAカード ミュージカル
『ファントム』
脚本/アーサー・コピット 作詞・作曲/モーリー・イェストン
潤色・演出/中村 一徳 新人公演担当/竹田悠一郎


休憩なしの2時間で2幕をぶっ通し。少し省いてましたが、ほとんど全部あったように思う。ファントムは1幕ラストと2幕冒頭が同じ場面だから、休憩なしの通しでも違和感がないですね。

「ファントム」は改めて難曲の名曲ぞろいだと実感しました。本公演では難なく歌えているので(今回は!ですよ~過去はいろいろあったしのを思い出したわ)忘れていましたが、さすが1回限りの新人公演、冒頭はみんな音を探る感じで1音1音一生懸命歌っている感じがありました。外れてはいないのだけど、慎重に歌ってるなあって感じ。この緊張感が新人公演らしくて良いのですよ。
でも2幕を過ぎて後半は、もうそれがなくなり自然にお芝居としての歌になっていました。エリックとキャリエールの銀橋からの怒涛のクライマックスは、若くてもさすがプロだわ~って思いました。お芝居としての盛り上がりが凄くて。新人公演でも涙が出る場面に仕上がっていました。
殺陣は「だんどり・・」って思う感じが最後まで抜けませんでしたが、これは場数をこなさないと、自然な感じにはならないので、仕方ない。でもあとは素晴らしく完成度が高かったと思います。
雪組の若手さん、先が楽しみですね。


ファントム・エリック(綾凰華)
最初の登場、なんとなく凰稀かなめさんを思い出してしまった。なんでだろう?お顔の感じというかお芝居の感じというか、醸し出す空気が似ていたのかも。歌いだしは音程を慎重に歌ってましたが、だんだんと緊張が取れて後半に行くに従い、歌も芝居も素晴らしいものに変わっていきました。すごいなあ!と2時間の変化が劇的で、綾さんの可能性と実力を拝見しました。
このエリックは子供っぽくて純粋で、素直な好青年。冒頭のプケーの場面では後悔を感じたし、カルロッタ襲撃を決意する場面で初めて得た「愛する人」を守るために手を汚すことを決めた、強い意志を感じました。結構細かくお芝居されてましたね。
ラストのキャリエールとの場面は、縣さんとは息も合い、感動させてくれる場面に。その後のクライマックスから死までの彼の覚悟と哀しみ、愛が伝わってきました。
声がちょっと平坦なのが残念、もう少し艶が出たら最高の歌になると思いました。
最後のご挨拶では、長の学年で成績トップゆえご自身で全部あいさつされており、そりゃあ責任も半端ないだろうし、プレッシャーはいかほどのものかと思いました。まだ自分では足りないところ出来てないところが感じられたのか、「次はもっと」という決意表明のようなご挨拶でした。感情的にもならず冷静にそう語る姿を見て、まだまだやるねこのお人!って思いました。


クリスティーヌ(野々花ひまり)
「天使の歌声」というセリフが不自然ではないカテゴリーに入る歌声だったと思います。過去このセリフに疑問符が付くクリスティーヌが多々存在したことを思えば、十分「天使の声」です。本公演の真彩さんが「天使の声」に納得できる歌声だから、そこには及ばなくても素晴らしい歌声でした。ビジュアルも可愛いクリスティーヌだったし、お芝居は絶品。『義経妖狐』のマサコ役が上手くて初めてお名前を意識しましたが、やっぱりお芝居は上手い。ファントムの素顔を見せてと懇願したのに本能で拒否してしまい、それを後悔していることがとても感じられました。ラストシーンは感動的に仕上げてくれて、エリックとクリスティーヌの愛を感じることができました。この方、十分真ん中ヒロイン行けると思う。


ジェラルド・キャリエール(縣千)
出てきた瞬間、かっこいい!って思いました。キャリエールはスタイルのよい素敵なおじ様になのね。縣さんのキャリエールは、心に何か引っかかっている支配人、という感じ。有能なやり手支配人というより、地下に隠した息子が気になっている父という面が勝っているように感じた。
前半はちょっと心配した歌ですが、後半はどんどん良くなっていったように思います。


シャンドン伯爵(彩海せら)
可愛い伯爵でしたが、もっと美しくなれる人だと思うのでメイクがんばって~って思いました。あと今回のメンバーでは一番歌が心配になったので、こちらも。初演が安蘭さんだったからか、かなり歌で見せ場が多いんですよねシャンドン伯爵。良い場面でソロが多いので、聞かせどころ。


カルロッタ(羽織夕夏)
上手いわ~歌もお芝居も、もうとっても上手くてカルロッタが芝居を締めていたように感じたほど。貫禄で勝負する歴代のカルロッタではなく、茶目っ気のある舞咲さん風で、なんか憎めない。それでいてちゃんと意地悪してくれる。今回初めてお名前を意識した方ですが、本当にうまかった。

アラン・ショレ(陽向春輝)
カルロッタを熱愛する夫ですね、彼女のために支配人の地位を手に入れた感じがする。小物でありながら、虚勢を張ってキャリエールに対抗するよう砂などとても上手い。これはファントムが嫌がるだろうな~っていう人物、きっちり仕上げてこられましたね。上手い。今回で退団てもったいないわあ。

ベラドーヴァ(有栖妃華)
天使の歌声。プリマドンナだというのが頷ける可愛らしい容姿と天使の歌声で、エリックを包み込んでいました。有栖さんも歌が良いわ。

ジャン・クロード(鳳華はるな)
唯一の善良な人である楽屋番。本役の奏乃さんの包容力と慈愛までは無理ですが、とても好人物として舞台のまとめ役を頑張ってました。ちょっと声が高めですが、良かったです。

ガブリエル(彩みちる)
若い音楽教師で、女優たちのお姉さん的立場の人に見える。あまり年上に見えなくて、可愛い女優の一人、女優の取りまとめ役みたいな感じでした。

ソレリ(潤花)
美人女優です。明らかに顔で採用されていると思った。とても美人で目立つのですが、歌うとあららという感じで。美人だから歌を頑張ってほしい方です。

ルドゥ警部(諏訪さき)
貫禄がありますね。警部は不穏な場面と大捕り物の場面しか出てこないのですが、ちゃんと指揮官として堂々と見えました。

リシャール・オベロン(星加梨杏)
劇団員で唯一見せ場があるのが、オーベロン様の歌ですね。目立ってました。


従者(星南のぞみ・希良々うみ・汐聖風美・日和春磨・琥白れいら・稀羽りんと)
ダンサー選抜なのは本公演と同じかな。今回従者で取っても目立つ男役さんがいた。汐聖さんか日和さんだと思うのだが、若手はあまりわからなくて。かっこよかったわ。


今回は2階からみたので、セットや背景の映像、そして舞台上の照明がとてもきれいでした。これはいいな~すごく美しく計算された舞台ですね。衣装も素敵だし、歌も良かったし。本公演の壮大なセットや照明、照明に負けていない新人公演でした。




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hanihani

従者、カッコよかったですよね。
顔立ちがくっきりと派手目で髪が金髪なのが日和くんです。
ダンスうまいし、本公演でもアンサンブルとかで頑張っています。

今回は娘役さんが2名おなじようにいましたが二人ともとても良かったと思いました。

カルロッタのはおりんは、声楽の成績も素晴らしいですし
ダンスもうまくて、難しいのに頑張っていましたよね。
バウの「ヨシツネ」のときに狐3匹の中にいて、いつも舞台にいたのですが、
その居方を工夫していて名前を覚えました。

夫の陽向春輝くんも完全に自分で作ってきていて最高に面白かったと思います。芝居がうまいよ。
新公まだあと1年あるのになぜやめてしまうのだ(泣)

東京公演では全員がさらにパワーアップしてくると思うと
本当に楽しみです。
by hanihani (2018-12-19 13:38) 

えりあ

あの目を引く従者、日和さんでしょうか!?すっごく気になったかっこいい男役さん。素敵だったので覚えて帰ろうと思った方です。次の公演でチェックしたいです。
カルロッタとショレのご夫妻が、新人公演もすごく上手くて。羽織さん「義経」の映像見直してみますね。ありがと!陽向さんの退団は本当にもったいないですね。私はこの新人公演で初めて「おお!」と認識したのに。。。。

まだ東京もありますね。若者は進化が目に見えるので、両方見ると楽しみが倍増しますねー。
by えりあ (2018-12-21 00:51) 

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