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宝塚花組 「ラスト・タイクーン/宝塚夢眩」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚花組「ラスト・タイクーン/宝塚夢眩」
2014年2月23日〔日〕15時 1階17列センター


蘭寿さんのサヨナラ公演!というので行きました。が。
『ラスト・タイクーン』素敵!感動した!という方は、お読みにならないほうが
良いかと思います。私はもともと斉藤ショーは感性に合わないし・・
今回、生田脚本とも合わないことが分かったわ・・って内容です。
蘭寿さんの退団公演がぁ・・・・っ。


では。ネタバレありです。





これ基本ストーリーは『失われた楽園』(真矢みきさんの花組)と同じなのね。
私は『失われた楽園』の方が好きだ。
演出は凄く華やかで滑らかで良かったけど、脚本が全然。矛盾してるとか
倫理観がない、とかではない。そいういう最低ラインはクリアしているけど、
なんか登場人物に共感できない。行動に納得がいかない。誠実に見えない。
うーん・・・ストーリーはいいのに、心境や行動に共感できないのは致命的。
こんなにもやもやするなら、(私はもともと小池先生が大好きだけどさ、)
普通に『失われた楽園』の再演のほうが良かったと思った。私は、ですが。
生田さんとは感性が合わないようです。あとラストの蘭寿さんのソロ、長すぎ・・。
天国での独白歌が延々と続くと、もうええやろ!って思ってしまいます・・。
なんか未練たらしく見えるから、死後の歌は少なめにお願いしたいです>演出家へ。

ショーはこれまた斉藤さんらしく、ごちゃごちゃしたショーです。
ずーッと中詰めが続いている感じで、落ち着かない。最近はこういうの流行?
それでも『ミスティ・ステーション』の3倍、『ロイヤルストレートフラッシュ』の
50倍は良かったです。蘭寿さんがかなり意見を言ったのかな?と思いました(笑)。
まあ蘭寿さんに歌多すぎ・・と思いましたが、衣装の色や場面など、斉藤ショーに
しては落ち着きが見られました。明日海さんと望海さんが歌うとほっとしますね。




「ラスト・タイクーン ―ハリウッドの帝王、不滅の愛―」
~F・スコット・フィッツジェラルド作「ラスト・タイクーン」より~脚本・演出/生田 大和


酷いこと書きましたが、共感できない点が多すぎて>この脚本。

まず主人公のモンロー・スター氏(蘭寿)。余命いくばくも無いのを知ってて、
既に結婚が決まってる女性に横恋慕して「結婚してください」って言うの・・?
強引に口説いても、半年後には彼女は未亡人よ?その後どうするつもりだったの?
さらに。後でフォローしてるにしても、強引過ぎる仕事の進め方、あれじゃ会社幹部は
困るし、現場スタッフも困るだろ。ホントに「才能」を振りかざして我がまま放題の
迷惑な奴!・・・に見える。彼の仕事の主張場面は、どうしてもブレーディや
脚本家エンジニアの立場に共感してしまうわ。彼の「強引さ」が魅力に見えない。
蘭寿さんはスーツが似合ってかっこいいのに、魅力的に見えないなんて・・悔しい。
(蘭寿さんのスーツものは好きなのに!強引さより優しさの似合う人なのに。
あの方になら強引な優しさが出せるのに、なんで一本やりの脚本なんだよ!!!)
折角の「大人の男・蘭寿とむ」を生かせてない・・とか思ってしまいました。
スーツ姿が絶品なだけに、あの脚本が悔しくて・・・張り倒したいくらいだ。


そしてヒロインのキャサリン(蘭乃)。無一文のときに救ってもらい、生活を共にしてきて
いざ結婚というときに、もっと金持ち男に強引に言い寄られ、あっさりと世話になった
昔からの恋人を捨てる・・なんかヒドイ女だ!と思ってしまう。
特にその彼が仕事が上手くいかなくて荒れているなら、支えてあげたら?と思う。
それをあっさり捨てるって。なんつー冷酷で打算的な女!と見えるのが致命的では。
「亡くなった奥さんの身代わりでもいいの、私は金持ちの妻になりたいのよ!」
としか思えない。・・・まあどっちもどっちで、お似合いと言えばお似合いなんだな。
蘭乃さんの現代モノは苦手だ・・・声も芝居もキャンキャンしている。
これは『愛のプレリュード』から変わってない。洋風時代物なら美しくて素敵なのに。

そうえいば、亡くなった妻ミナ〔蘭乃)。別に出さなくていいと思うのだ。
観客に想像されるだけのほうがイイと思う。だって。。。
「偉大な女優だった」という前の妻がさ、大道具係から抜擢されるところと、
華やかなパーティにでているところしかなかったから、
死後にみんなが「素晴らしい女優だったミナ!!」って賞賛して持ち上げても、
「彼女、それほどでも無かったよ。大道具さん出身でね、1作当たっただけだよ」って
思ってしまったから。キャサリンと全然違うところなかったし。(蘭乃さん二役とはいえ)。
まあここの演出もかなり不満でしたわ。

映画会社幹部のブレーディ氏(明日海)。
会社のことを考え、組織の輪を見出し、経理や人事を敵に回すモンローを追い出す。
そこまでは一見筋が通ってそうなんですが・・。仕事関係ではいいのよ。
ただ。娘セシリア(桜咲)止めろよ。完全に公私混同してるぞ>ばか娘。って思ったの。
労働問題を大学で勉強してて、人権が、労働が、とか言ってる割に、最終的には
「パパの権力」を振りかざし、それで解決しようとするブルジョワのお嬢さん。
大学は遊びに行ってるんですね、ちょっとしたパパへの反抗なんですね。
娘にあんなに「パパに言いつけてやる!」を連発されるとは、どういうご教育を?
その一点で社会人失格。モンローのことを言う資格ないんでは。娘の暴走止めてよね。
馬鹿娘を追いかける脚本家ホワイト(芹香)も、思いっきり「権力のある重役の娘」を
追いかけているしねえ・・どんだけ「パパの権力」を乱用してきたんだろう。
この娘の暴走を誰も止めないのが不思議だった。そういう時代だったのだろうか。
(もちろん明日海さん、桜咲さんや芹香さんのせいではありません。脚本演出のせいです。)
明日海さんの髭って超意外でしたが、結構似合ってますね。若くて可愛いと思ってたけど
意外に髭スーツが似合うかも!・・とても大学生の娘が居る様には見えなかったけど、
動きやしぐさや態度や声やそういうのを何とかすれば・・・今後が楽しみってことに。


エンジニアのブロンソン・スミス氏(望海)。
仕事では奴隷扱いされて(主観)、恋人は取られて、踏んだりけったりな人。
なのにモンローを撃ったりしないのね(いえ思い出して;笑)。普通に善良なのね。
きちんと筋を通して、会社と交渉しようとしたりしているし、なかなか論理的。
それでも心弱ることもあり、恋人に弱みを見せたら、冷たく振られて。可哀想・・。
彼はこの後どうしたのかな?共産主義まっしぐらかもしれない。赤い闘士になってそうだ。
キャサリンには、スミスの方が似合うと思うなあ・・ホント。
望海さんは濃いしっかりしたお芝居されるし、歌は聴かせるし、いいわあ。
最後、彼が殺ってくれると思って期待してたのに(残念)。


ブレーディ(娘の件以外)とスミスの二人はまだ共感できないことも無い。
だが、現場スタッフも、ストして要求通して、なのにモンローが現れて演説ひとつ
ふっただけで、和解を持ちかけた会社側をあっさり裏切り、モンローに付く。
なにその手の平返し?あんたらも矛盾だらけでは・・何がしたいの?と唖然とした場面。
君たち単純すぎる・・もうちょっと考えないと、騙されるよ?と心配になるほどだ。
こんなスタッフで、限られた予算と時間のなかで製品(映画)を作らなければならない
会社幹部に同情してしまうわ。皆さん自由な芸術家なのね~?金より芸術なのね?
雇用関係にあるプロの職業人ではないのね?・・・めんどくさい人々だ。
もういっそみんなフリー契約にして、どんどん経費切れば?と思った。
芸術を追求したければ自分でスポンサー探して資金集めてよ・・とかね。
ああ、いかん、つい経営サイドで思考するから、なんかもやもやするのかも知れない。

一番納得できたのがロンドンから来た脚本担当の小説家ボックスレー氏(華形)かも。
(なぜハリウッドに来たのかが疑問だが。報酬は良かったようなのでそれかな)
映画に興味なくて、映画の脚本を馬鹿にしていた彼が、モンローに出会い、現場を見て
やがて映画の魅力に気がつき、真剣に脚本を書く・・それはとても良かった。
彼がモンローを支持するのは納得できる。ボックスレーのエピソードだけは、やたらと
丁寧に描いてありましたね。また華形さんお芝居上手いしねえ。
ただ、彼のエピソードが全然モンローに影響を与えないところが哀しい・・。

そしてモンローのラストも納得いかない。飛行機事故って・・。
そして天国に行ってから、延々と地上を見ている=延々と続く蘭寿さんのソロ。
歌が売りのトップさんなら納得できる。だがなぜ蘭寿さん・・ちょっと辛かったです。
そして余りに地上を思って長々と歌っているので、さよなら公演の寂しさ余韻と
いうより、「モンローさんさ、ちょいと未練たらしいのでは・・」となる物語の
ラストシーンではないかと思います。もうちょっと最後は前を向いて欲しかった。
1回しか見ていないので思い違いもあるかもしれないけど、こんな印象でした。
もう一回見る気力ないです。「復活」見直そう。あれのほうがまだ良かった。
一番良かったのは「オーシャンズ11」だったかも。





メガステージ
『TAKARAZUKA ∞ 夢眩』
作・演出/齋藤 吉正



メガ・ステージって何・・?まあ何でもいいけど、余り覚えてない。
覚えているのは、ラストの黒燕尾の大階段。シンプルな何も無い黒燕尾。
蘭寿さんにとても似合い、蘭寿さんの黒燕尾ラストダンスを正統派に踊る。
これだけ覚えていたらイイ。そんな印象を持ってみた記憶があります。
ああ花組の黒燕尾だなあって。

あとはなんか蘭寿さんがいろんな衣装を着てきて。ハプスブルクの王子様とか。
いろいろ目まぐるしく衣装を替えてこられた印象。
そのほかに記憶にあるのは、明日海さん望海さんが歌うとほっとしたこと。
望海さんは声も良いし、歌う機会が増えて嬉しい。明日海さんとも合うし、
とても良かった。この二人なら安心して聞ける・・・。



なんて感想でしょう。もう斉藤作品は好みに合わない。
蘭寿さんのラストなら、もっとアダルトムードを出せる演出家で見たかったなあ・・・。


読み返すと、お芝居もショーもひどい感想ですね。
蘭寿さん、お疲れ様でした。ダンスの上手い男役を極めたジェンヌさんのラスト公演は
ジェンヌさんの魅力を見せることを第一に考える演出家で見たかった・・。
そして蘭乃さんはまた残るのね・・・。

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パクチー

おっしゃるとおり!!
3回も観てしまったのですが(頑張ってチケットをとりすぎました)、
初見でめったに寝ることはないのに、最初から寝ていました。

「君を手に入れるのは大変だった」みたいなことをモンローは言うのですが、「全然苦労なんてしていないじゃん、いつ苦労したの???」ということばかりで、薄っぺらな作品だと思いました。
大事なところが全部、言葉だけで片付けられてしまっているせいか、登場人物が唐突に動いている感じがして、話に入っていけません。
それぞれに細かく設定がされているみたいです。
例えば、芹香さんが演じたワイリー、彼がモンローについていかなかったのは、セシリアがモンローにふられてボロボロになったのでそのことに腹を立てて反抗しているためだそうです。でも、そんなこと、観客にわかるはずもなく、それをふまえて演技しなきゃならない生徒さんも気の毒だと思います。演出家は自己満足で作るのではなく、観客にはどう観えるのかを考えてほしいものです。
「仮面の男」の感想を読んで、えりあさんのブログを知りましたが、今回もよく言ってくださったと思います。

ショーも、作品自体は?がつきますが、今の花組はどんなショーでも、
それなりに見せてしまう力があると、感心しました。
by パクチー (2014-03-03 22:38) 

えりあ

パクチーさん

そういえば、モンローのセシリアに対する対応も酷かったような・・ホワイト君とかそのあたりもドラマがあったんですね?全然わかんなかったわ。「仮面の男」みたいな気持ちの悪さは無かったけど、誰にも共感できない、言葉がうすぺらい脚本ですよね・・。真飛さんの「愛のプレリュード」も大概な脚本でしたが、サヨナラ2作続きでこんな感じの花組が可哀想。
仮面のときも思ったけど、プレリュードも思ったけど、事前に誰かが脚本チェックしないんですね(してアレかも?:笑)

ショーはね、RSFの50倍は良かったですよ!ちゃんと見せ場があって魅せてくれたと思います>花組さん。お芝居のもやもや感が強烈過ぎてショーを覚えて無かったです・・
by えりあ (2014-03-04 22:10) 

パクチー

追伸
私、「失われた楽園」大好きなんです。
その中でも、愛華さんと美月亜優さんの銀橋の場面は、歴代№1の好きなシーンです。観劇後、家に帰って録画してある「失われた楽園」を繰り返し観てしまいました。
同じ素材なのに、どうしてこうも違うのか・・・。
by パクチー (2014-03-04 22:50) 

えりあ

「失われた楽園」名シーン多かったですね。私はラストシーンが印象に残ってます。ほさちちゃんを迎える歓声を聞きながら死んでいくみきさん・・あのせつなさったら!感動のラストシーンでした。・・同じ題材とは思えないですってば・・素材も大事だけど、料理法って超重要!!
by えりあ (2014-03-05 21:32) 

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