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OSK 「カルディアの鷹」 [観劇感想(OSK)]

OSK 「カルディアの鷹」
2014年2月22日(土)15時 大丸心斎橋劇場



すごい重厚で凝った話。よく2時間にまとめたね~。
ストーリーも役者も大満足。もう一回今度はじっくり見に行くぞ!と決意した。

主要人物それぞれにエピソードがあり、それが複雑に絡み合いながら、話が進んでいく。
恋愛要素はもちろんサスペンス要素もファミリー・ドラマの要素もあり。
なかなか重層構造。そして役者の力量が高いから、レベルが高い!
今回はダンスは少ないけど、若手が頑張ってる。(真麻さんのダンスが見られないのは残念)
歌は高世さん悠浦さん、牧名さんが聞かせてくれる。
城月さんの台詞なしで表現する優雅な動きが美しい。
歌の人だと思ってたけどダンスもいいのね。
なにより・主人公はカルディア女王だ。間違いない。そして助演女優賞はベルガ様。
折原さん&白藤さんのこの二人がすごい迫力で怖かった。ええ、本当に凄すぎるのよ。
真麻さんは黒い役も上手いなあ。豹変振りが素晴らしい。
苦悩顔が絶品な愁いを秘めた高世王子様、悠浦王子はかなり若い純粋な王子さま、
明るくて頼もしい虹架ルカお兄ちゃん、復習に燃える翼ベイン兄ちゃん、
悪の手先として生きる男愛瀬ウォースラー氏は、実は・・?な男。美味しいよな。
まあ少ない人数とは思えない迫力でした。舞台研修の90期8人が頑張ってたから、
全然スカスカに見えなかった。もはや戦力ですね。


ネタバレあります。ご注意ください。







じゃ印象に残る方から順番に(当然この方から・・)


カルディア女王ロザリア様(折原
物語上の主役。この人が邪教に奪われた王国を取り戻し、自らの意思を通したために
恋人を失った長男と和解するまでの話(だと感じだ)。次男が長男と同じ状況を
作り出し、彼女自身がとても後悔した「あのときの決断再び・・・!」という
シチュエーションも、彼女が主役だと思う所以。長男の恋人は戻らないけど
長男は新しい希望を見つけ、次男のときは決断を誤らず、長く続いた「生贄を捧げる」
という王国の暗黒時代を払拭し、息子たちの力と自らの手で新しい時代を切り開いた。
彼女はこれから名君と呼ばれる素晴らしい統治者となるだろう・・。
弟王子が後を継ぐのは数十年後かな(笑)
すごい迫力で力強い女王様だ。慈愛に溢れながらも厳しく、素晴らしい為政者になる
素質があるわ。・・優しい息子たちは二人とも父親似に違いない。ロザリア様自身
どこか外国(大国)の皇女だったのかしら?王者の役割っていうのをかなり意識して
いたことから、大国でそういう帝王学をしっかり教え込まれたような気がした。

折原さん、素晴らしかった。美しく威厳があって、孤独な女王様。
若くて美貌なので、あんな大きな息子たちがいるようには見えないや・・とか
思いましたが、なんのその。立派に母に見えました。


兄アスラン王子(高世
もともと堅苦しい王家の暮らしが性に合わないタイプの青年だったんでしょうね。
平民の友人と恋人を得て楽しく暮らしていました。が、ある日恋人を生贄にされて、
心を閉じた王子様。それ以降笑顔を忘れ、ずっと苦悩してます・・うおお似合う。
しかしなんで一人だけハプスブルク帝国軍人のような服装と装備なのかは謎。
親に反抗しているのね?カルディアの砂漠の文化を否定してるんだね?(と思おう)
自分は悲恋に終わったけど、弟の恋には協力し、結局長くこだわりのあった母とも
和解出来ました。でも国は出て行くんだよね・・つまり最初から王位は要らなかったんだ。
だから、父王亡き後自分がさっさと王位を継いでいろいろ改革しようと言う気も無く、
家出同然に外国で戦ってたんですね・・と分かった。自由人なんですね。

高世さんの苦悩顔をたっぷり堪能できました。素晴らしいわ。全然笑わない王子が
最後に笑うところが最高に効いてる。いや~萌える設定ですね(笑)


弟シムール王子(悠浦
かなり若い純粋な王子様。なんか幼くて純真でまっすぐで可愛いのよ。
恋人のナディアは年上の彼女だよね?絶対にカカア天下になるのは目に見えてる。
だってナディアはあの威厳たっぷりな女王様に、馴れ馴れしく、いえ親しげに
普通に話しかけられる大人物なのだから。(だから女王も嫁と認めた気がする。
ほら気が優しすぎる王様になりそうでしょ、シムール君は。だからしっかりした
強い女が王妃として支えなきゃ、王国が危ないもの。ナディアは嫁合格だったのね)
優しくまっすぐなので、恋人が生贄にされるなら自分も一緒に死んでやる!って・・
なかなか行動力がありましたね。この子も王位を継いで何とかしようと言う気概は
無いんですよね・・女王様の悩みが分かる気がする(母として)。
美しい王子様でした。衣装はカルディア風で、母にも従順だったんだなと思いました。
そんな少年らしい幼さの見えた彼が、ラスト兄に任された「任務」を遂行して
凄く大人の男になりました。ラストの黒衣装のシムールはかっこよかったわ~♪
なんか一人だけ5歳くらい年取った感じ?

悠浦さん、またソロがありまして、恋人を思って切々と歌う・・・いいわあ。
しかし高世さん悠浦さんは男役さんだけど、繊細で美しい声をしているので、
折原女王や白藤教祖のドスの利いた娘役の声に、どっちが男役の声や~と
思ってしまったことも。でも美男(役)の美声が聴かせる歌は最高に物語りに酔えるので、
もっともっと聞かせて下さい!!


兄の亡き恋人アーシェ(城月
儚く美しい女性。幽霊としてしか出てこないけど、どうやら生きているときから
儚げで大人しい感じの女性だったみたい。多分、女王様とは正反対のタイプ。
だから女王は交際に反対だったんだな・・・当時は皇太子はアスランだろうし。
なので息子の頼みを聞いてやらなかった。無意識下で「この女が居なければ・・」と
思っていたかどうか。だからその結果、女は居なくなったけれど息子も失った・・
ロザリアは後悔しただろうなあ。そしてアーシェも。自分は死んでしまったけど、
死んだようになった恋人を見て、死に切れなかったんでしょうね。だから幽霊。
アスランは霊能力もあるようですな(だから余計に立ち直れなかったような・・)
そのアーシェ、幽霊ながら大活躍し、クラウディアに上記の点(アスランが
過去を引きずったままで幸せになれない)を指摘され、成仏(?)しました。
恋人のことを第一に考えアスランに献身的な愛をささげた女性でした。

城月さんの声は美しくて好きなのですが、今回はほとんど声が聞けなかった。
歌もなし。でも、逆に動きの美しさを堪能できました。台詞無しで、動きだけで
感情を伝え、物語を進行させていくのって、すごいなあ・・・!
美しいし申し分ないヒロイン2でした。


兄の心を融かした巫女クラウディア(牧名
アーシェの霊が見える不思議な力を持つ種族の娘さん。アーシェよりはかなり
積極的で強い。だからこそ傷心のアスランの心を開くことが出来たと言える。
何とか族という霊能力?のある種族の末裔で、完璧なお天気予報ができるらしい。
まあ砂漠では重要なことですよね。で、妹と共に監禁され、その能力をスーラ教の
ベルガに悪用されている。だが逃げ出したところでアスラン(正確にはアーシェ霊)と
出会い、運命が変わる。彼女の人生もなかなかドラマティックです。
アーシェと違い強い生命力があり、でもアーシェのような献身性と神秘性を持つ
クラウディアに、アスランは心を啓き、やがて大事に想うように・・いい話だ。
律儀なアスランのために、アーシェは最後にクラウディアとの橋渡しをするし
いい人ばっかりだよね。クラウディアとアスランは、市井で幸せに暮らすのかな。
なんかスーラ教のあと、クラウディアの能力を生かすため、新たに神殿で暮らしてそうな
気がする・・まあそれもいいかも。

牧名さんはソロがあった。この方も美声なんですよね~
ほんと歌う人がみんな上手くて声も美しくて嬉しい。


兄の部下で親友ルカ(虹架
明るく元気な友人。力強いし、彼を見ていると、昔はアスランも明るかったのでは?
と思う。平民らしい図太さと、王族に仕える誠実さ、軍人としての律儀さを兼ね備え
なかなか有能な人物。妹思いだしね~妹の方が強そうだけど(笑)
こんなにいい奴なのに、彼女無しのまま。可哀想・・そのうちいい人が現れる・・
ような気もしないや(笑)アスランの隣家で「いい人」のまま終わりそう(ごめん)

常にアスランの傍にいて、彼の気持ちを汲んで動くような役。なかなか出番が多く
目立つ役でした。アスランとの対称がとても良かったわ。


その妹踊り子ナディア(和紗
弟王子の恋人になる宮殿の踊り子さん。年上の恋人か?かなりしっかりした
芯の強い女性だ。それは恋人だけではなく、対兄でも、対女王でも見られる。
どちらかというと女王様と同じタイプの女性。弟は母と同じタイプの女を選んだな。
この人なら、優しくて頼りない王を支える力強い王妃になるであろう・・と、
母女王は二人の結婚に賛成した要素も、あるような(笑→いや重要なことだ)
生贄にされるときも、ウォースラーが「味方だ!振りをしろ」と囁かなければ
彼をぶっ飛ばして逃げ出しそうに見えた。助けに来たシムールは、一緒に死ぬ!とか
言ってたけど、ナディアはシムールを連れて逃げそうな(強そうだから)。
その前にいろいろ起こって助かったから未遂に終わったけどね〔笑〕
彼女なら立派な王妃になるでしょう。・・・シムール頑張れよ(笑)


妹を失った兄ベイン(翼
冒頭で生贄にされる少女の兄。一番最初に「生贄制度」に疑問を持ち、異議を唱え、
神殿に反抗した男。彼(と妹)の悲劇と悲しみ、怒りを強烈に見せることで、物語の
核心を観客に理解させる役割を感じた。その後は、大切な人を奪われたという
同じ思いを抱くアスランと行動を共にする。神殿を敵として立ち上がる。
民衆がみなスーラ教に心酔しているときに、なかなか反社会的な活動だったと思う。
男気のあるいいいいお兄ちゃんだったんだなあ・・神殿は滅びベルガは破滅したが
それでも妹は戻ってこない。可哀想だ。彼の心理もとても客席に伝わってきた・・

翼さん、去年初舞台なのに、なんかすごい活躍ですね。衣装の着こなしとか、
まだちょっと垢抜けない感じもあるけれど、将来が楽しみな人です。


クラウディアの妹ルビナ(桃葉
霊が見える完璧天気予報の一族の末裔。可愛い妹タイプの妹だ。
クラウディアと同じ能力を持ってそうだけど、重要場面の予言は全部姉が担当。
妹は別の役割が。可愛いところ、人を信じる素直さを活用して、ウォースラーの
心を溶かしました。偉いぞ! 結局ルビナのお陰でウォースラーを味方に出来たので、
スーラ教壊滅のために大活躍したといえそう。なかなかのやり手さんだな・・・
守ってあげたいタイプの典型かもしれない。
とにかく「妹ポジション」で可愛かった。


スーラ教教祖ベルガ様(白藤
すごいすごいぞ教祖様。あの慇懃無礼を絵に描いたような態度、嘲笑的な高笑い、
あの迫力の女王様に対して、あの態度。もう感動的だ。
女二人の会話の場面、視線に火花が見えますって。
女王が主役なら、教祖は間違いなく敵役。最後までふてぶてしい悪役でした。
最後はアスラン王子とクラウディア、そしてウォースラーの裏切りで破滅しました。
しかし一筋縄ではいかない。なんつーか、そのうちするりと脱走して、
名前を変えてしれっと占い師とかやってそう。そのくらいしたたか。

今回白藤さんを初めて意識しました。こんな大役をやり遂げるとは!
女王もだけど、教祖が力不足だったら終わってるもの。大絶賛です!>白藤さん


その腹心ウォースラー〔愛瀬
教祖様に嵌められて弱みを握られ、言うなりに手を汚していた神官。いや~
悪役かと思いきや、実や良い奴で。よく考えたら、彼も教祖の腹心として
かなり悪いことに加担してきたので、普通なら同時に逮捕されるはずが、
途中で真実を知り協力してきたことから、いつの間にか正義の側に立っていた人。
それもこれも全て可愛いルビナのおかげ(?)良心に従ってよかったね。
素敵な恋人と未来を手に入れました。罪は償うといっていたけどさ、
ベルガを崩壊させるときに大活躍をしたので(彼が居ないと追い詰められなかった)
もういいんでは?と思った。まあ彼も有能そうなので市井の薬師とかして
元気に健全に生きて生きそう。

愛瀬さんも良かったわ。前半の悪役っぷりと後半の葛藤、そして行動。
なかなか複雑で面白い人物を良く演じていたなあと思います。


執政官イルハン(真麻
自分の手を汚さず、家族の敵を討つべく王国に不幸をもたらし王家を陥れてきた人。
そのあたりはなかなか頭いいな~と思わせる。女王の側近として誠実に仕える様子と、
裏で本音を語っている表情の二面性が素晴らしい。
善人の振りしたラスボスですよっ!!なんて美味しい・・。
ベルガを上手く操っていたようですが、操っていたのか
利用されていたのかは闇の中・・って感じでしょうか。
最後は操っていたはずのベルガによって牢獄へ。最後の詰めが甘いんだよね。
やはり出自も育ちもいいからか。ベルガは脱走しそうだが、彼は終生牢獄に居そうだ・・
最後も彼だけ牢獄につながれたままの場面しか無くて、なんか可哀想。

しかし黒い真麻さんはめっちゃいい男でしたわ。あのぞろりとした衣装なんで
全然踊ってくれなかったけど、真麻さんの濃~いお芝居を堪能できました。


90期の8名。柱を持ってきたり、それをくるりと回して場面転換とか。
素晴らしい動きをしてくれました。巫女やら兵士やらいろいろ大活躍。
この8名のお陰で、舞台が充実したような気もする。ほんと先が楽しみ。


ということで、私は大満足でした。2時間(+休憩15分)、たっぷりと楽しみました。
構成の凝った多重構造のストーリー、納得のいく人物造詣、スター制度に縛られない
物語本位の出番と活躍。それに応えて端っこの一人まで重要な役をしっかり演じる
レベルの高い役者陣。なんか大満足です。もう一回見に行く。絶対いく!
と決意して帰りました。あ、もちろんプログラム入手しましたよ!
もうちょっと主要人物意外もきちんと紹介して欲しいなあ・・

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