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宝塚月組「ルパン -ARSÈNE LUPIN-/Fantastic Energy」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚月組「ルパン -ARSÈNE LUPIN-/Fantastic Energy」
宝塚大劇場 2013年7月30日(火) 13時 2階16列センター


すぐに書かないと忘れる・・特にショーのほうを書いていないまま日が過ぎました。
お芝居は帰ってすぐ書いたのでまだ新鮮、でもショーが大まとめな感想です。




やっと月組公演を見に行けました。火曜日なので11時と15時だと思っていたら、
新人公演があるから、13時公演。これならいける!と朝思いついていきました。

感想。「蘇る記憶/月組は若いのねえ。」「中村B作品にハズレなし(私には)」
なにそれ??!!な感想ですね。詳細は下記に。



蘇る記憶・・・

「ルパン」は冒頭の場面の演出や、途中の曲(主題歌?)が「ブラックジャック」やん!!
と大変驚いた。曲なんてほとんど一緒で、びっくり。あれは音楽配信にも出ていないので、
聞き間違いではなく、間違いなく(半分以上)BJの主題歌だった曲。
黒マント、ルパンの影の集団、冒頭の集団反復リフレイン、台詞→歌→台詞の演出。
似てる・・BJ先生とバイロン公爵の会話がデジャヴ?!記憶が活性化しひとり大興奮の私。

正直もう少し変えてよ~大劇場とドラマシティは大きさも人数も違うし。
と思ってしまいました。BJはドラマシティの大きさと人数にぴったりでしたが、
あの演出で大劇場・・となると、空間が余り、人間も余っているのが勿体無い。
ストーリーはミステリー調でなかなか面白かったです。
ドラマシティ公演なら大絶賛だろうな。ただ、役者さんが若い。脚本上では、主役も
後見人達ももっと年長な印象。でも役者さんからは若いイメージがあり、脚本から受ける
イメージと舞台上の人物に、少々の違和感あり。それぐらいかな。後は良かった。

ショーは、これまた「ああ中村B先生・・」というか慣れ親しんだShining Rhyshm か。
見覚えのある衣装も多く、安定した構成の良質なダンシング・ショーでした。
こういうショーは宝塚らしくて大好きだわ。
ただ見ている間は、なんというか、「コマちゃん・・(泣)」という気分で、浸れなかった。
ここも組替えが多すぎて、なんだか分からない状態になってますね。
いまの宝塚はそういうのを志向されてるんですね。



ミュージカル『ルパン -ARSÈNE LUPIN-』
モーリス・ルブラン作「ルパン、最後の恋(ハヤカワ・ミステリ刊/ハヤカワ文庫近刊)」  脚本・演出/正塚 晴彦

上に書きましたが、2月にドラマシティに通った身としては、「ブラックジャック」を
思い出します。冒頭場面から、曲から、黒マントから、演出から、もうバシバシと。
記憶が刺激されまくりました。落ち着いてゆっくり見られないってば。
月組ファンの方なら、雪組の外の公演を見ている人が少なそうなので
既視感に襲われる人は少ないのでしょうか。
まあ身びいきで恐縮ですが、「ブラックジャック」のほうがストーリーは深かった。
やはり90分で纏めたせいか、ちょっと陰謀詰め込みすぎて急いでいる印象があり、
正塚先生はドラマシティで2時間半必要な作家なのだなあと改めて思いました。
あと1時間あれば、きっといろいろな陰謀がもっとしっかり描けたんだろうな。
オックスフォード公と秘書の場面とか、どんでん返しの黒幕の場面とか、
レンヌ公と夫人とハリントン卿の昔話とか。時間があればレンヌ公も出てきた?
ハリントン卿も出てたら、ヘアフォール伯爵の出番も思いももっと描けた?陰謀も?
英国での状況とか、もっと入れたかったに違いない。ああいう陰謀好きそうだもの。
いっぱい設定があったんだ、きっと。原作未読だけどさ。

そんでガニマール警部と判事のコンビも、もっと頻繁に出番があったに違いない。
大事件の秘書カーベットの場面、唐突に見せ場だけで、「何?急に??」だったし、
公爵と秘書の表の場面が少なくて残念だった。ついでにヘアフォール伯爵の告白も
唐突だし、最後のどんでん返しもなあ・・・突然ひっくり返りすぎのような。
伏線にかける時間が足りなかったのだと思う。あと1時間必要だった(無理だけど)。
一番「へ?」と思ったのが、黒幕が狙っていたルパンの所持品。あんなの欲しかったの?
なんだか気が抜ける。まるで『ドン・カルロス』の王妃の悩みのようだ。
カーラさ、「私よりこれ?!馬鹿にしないでよ!」と怒っていいと思う・・(あ、不二子だ)。

では人物グループ別に。


<ルパンとその仲間?たち>

アルベール・ド・サブリー兼アルセーヌ・ラウール・ルパン(龍
スラリとしたいい男だね、黒マントに金髪が目立つわあ。裏の顔と表の顔、どちらも
出てきて、それぞれに悩み苦しむ。「最後の恋」という副題と、台詞の端々から
彼はカーラよりずっと年上、結構年配の大人の男だと思われる。
許されないこと(怪盗)をやってきた男だから、少女の後見を頼まれる大人だから、
だからカーラとのことに躊躇するのか・・とも思った。いろんな足かせを感じた。
まあ舞台上では似合いの年頃なんだけどね(笑)
・・今の宝塚には年の差を感じるトップコンビは多いのに、なぜ似合いの年頃の若い
コンビにこういう役を?と悩むわ。原作がそうだから仕方ないけど、それならちょっと
脚色刷れば良いのに。どう見てもお似合いなのに、台詞が年配の落ち着いた男のもの。
龍さんは頑張って大人の男になっていたけど、でも正塚ワールドの屈折した大人の男は
まだ・・と思う。ちと古いけど、安寿ミラさんに嵌りそうな役だ。久世さんでも似合う。
そう、影のある大人の男の役なの。だから持ち味が「陰」の役者に似合う。
私は龍さんの持ち味は「陽」だと思うの。人物設定と台詞に工夫が必要だったよーな・・
ねえ正塚先生。


ジョゼファン(珠城)とマリ・テレーズ(妃咲
ルパンの手下。出てきて重要なことを調べるんだけど、あまり印象に残らず。
今回は3人組のほうがずっと目立っていいた印象。なにせ月組はあまり馴染みがなく
2階後方から見て(多分1階前方から見ても)誰が誰だか全然わからない。元々知らない。
だから後から幕間に配役を見て、やっと「ああ、アレあの人だったんだ」と分かる程度。
なので、前回バウ公演で絶賛した珠城さんに期待してたんだけど、見せ場が少なかった
ように感じたのです。実はまだまだ若手さんなのですね。
しかしこの二人もコンビなんですか?>珠城さんと妃咲さん。


ヴィクトワール(飛鳥)とヘリンボーン(越乃
ルパンの乳母とその夫。夫はいろいろルパンのために装置を作っているようだ。
驚いた。飛鳥さんはすぐ分かるけど、ちょっといつもと印象違うやん?
いつももっと上品な印象なので、下町風の台詞回しにびっくりする。
そして越乃さん、最初わかんなかったよ~! 妻より若く息子かと思ったくらい。
よーく見たら組長だった。もっと強烈な色気のある男役さんの印象があったからか。
このお二人、本当に「いつもと違う」役作りでした。


三人組(綾月・光月・紫門
誰が誰だか全然わからないけど、それぞれ個性が際立ち、目立っていましたね。
面白い3人で、下町の小悪党のリアリティが素晴らしい。正塚作品に良く出てくる
若手枠ですよね。いい味出してたわ~♪


ガニマール警部(星条)とフラヴィ予審判事(憧花
空気を換える場面転換係りのコメディ担当コンビ。正塚作品には付き物ですね(笑)
ガニマール警部と男口調のドレス判事のコンビは大層笑わせてくれました。
しかし欲を言えば、場面の空気を変えすぎ。もう少し控えめでもいいかな・・と。
ガニマール警部が押しだけでなく、引けたらもっといいのに!と思いました。


<カーラ側の人々>

カーラ・ド・レルヌ(愛希
フランスの大公のお姫様、実はイギリスのお姫さまでもある。今回の主役といっていい。
彼女を中心に話が回る、と思ってたら実は?というのもありますが、この「実は」は
私は不要だったのではと思ってます。彼女を巡る陰謀だけで十分、これ以上は詰めすぎ。
お陰で怒涛の解決編がまああわただしいこと。一同を集めて「では」ケースなら
最終的な謎は1つなので良いけど、今回は謎が多重構造になっており、
どんどん話が転がるので、解決をつけるのが大変な展開だった。陰謀多すぎ。
カーラは可憐で可愛い少女でした、大人になりかけの少女。アルベールに憧れるけど
自分の立場を知っているから、言い出せなくて。そういう可愛いところもあるお嬢さん。
健気だし、なかなか性格も頭も良いようで、みんなが可愛がるのも頷ける。
(ただ、カーベットがどうしてあれほど惚れたかは謎だった、唐突過ぎるわ・・)
ラストは幸せになれたようでよかったですね。こういう可憐な少女が、大人の男を
押し切るのって、萌えますわ。年の差カップル万歳って感じ。(今回は違うけど)


<後見人>
ドナルド・ドースン(凪七
イギリスから来た人。大変重要な役で、ストーリー上では2番手かと。
しかし目立たない・・なぜ?というほど目立たない。無難な後見人に成りすまして
いるんだけど、成りすましすぎで馴染みすぎ。それが前振りならラストもっと豹変すべし。
あまり冷酷にも有能にも見えず。お坊ちゃまがお父様に言われて頑張ってるみたいだった。
圧倒的に若いのよ!!ストーリー上のドースンは、もっと陰謀炸裂のしたたかで裏表あり、
キャリアを積んだ大人の男(推定)。凪七さんも髭つけて頑張ってたけど、でも若い。
(あの髭、宙の「逆転裁判3」で見たけど、若者髭で可愛かった印象が残ってるしね)
この役、若くていい人に見えたらアカンやろ・・と思ってしまいました。
所作とか台詞まわしとか、もっと研究して欲しかったです。
ドースン役って、すごい印象に残るラスボス的ないい役なんだと思うんだ・・。


ヘアフォール伯爵(美弥
カーラの後見人はみな若い。最初は4人とも「花婿候補」かと思ったほどだ。
でも話を聞いていると、全員、後見人だと分かった。なんか拍子抜けだ。
それほどみんな若いんだわ。ヘアフォール伯爵も若くて、細くてカッコいい。
だから本当はメッセンジャー兼ボディガードですといわれてもなあ。ピンと来ない。

ロッジ(煌月
ごめん覚えてない・・彼だけ陰謀から遠かった? ほらなんか陰謀を告白しないと!(笑)


<婚約者>
オックスフォード公(宇月
イギリス国王の甥で王位継承候補。すごい印象に残った。頼りない変な感じを出そうと
してたのかもしれないけど、カーラがいやいや婚約したのがすっごく分かる(ごめん)。
そしてカーベットに頼りきりというのも、言動や態度から彼の人物かがよく分かる。
本当はもっとカーベットに頼っている場面が見たかった。
それがあれば、彼がカーベットの死を嘆くのが、それを聞いているカーラの横顔に
浮かぶものが、もっともっと鮮烈に客席に分かると思うの。
オックスフォード公は、多分脚本通りの人物に見えた。とても印象に残りました。

その秘書トニー・カーベット(沙央
表向きはオックスフォード公に支える忠実な秘書。しかし実は? という人物。
彼のなんだかすさんだ雰囲気がなかなか素敵で。もっと表と裏の切り替えを見たかった。
なぜオックスフォード公に仕えているのか、なぜ陰謀に乗ったのか。屈折した生い立ちが
あったと思われる。こういう役、正塚先生が好きそうだから出てない設定多そう(笑)
沙央さん、こういう役久しぶり。雪組ラストのほうは可愛いめがねっこ役が続いてたから。
シヴァーブリン少尉(黒い瞳)を思い出したわ。こういうやさぐれた男も似合うね。
しかし沙央さんは年配役もできるのに、なぜ若い役に?と思わないでもない。


<傍観者>

モーリス・ルブラン(北翔
ずっと舞台に居る。でもルパン以外には見えない、話せないという設定。
なんというかスカーレットⅡ(風と共に去りぬ)とも違う、ルパンの心の声ではないし。
この話、現実では、ルパンの家の書斎で、ルブランが質問し、ルパンが回想しながら当時を
思い出し語りする・・それ(ルパンの回想)を観客に見せてくれているという設定だ。
ルブラン氏は、好奇心旺盛な作家で。事件が全部終わった後日に、なぜか真相に近づき、
ルパンの伝記を書くために(ほら伝記ってやっぱり若者が書いてもらうもんじゃないよ)
彼を取材しているのだ。だからお話はルパンの回想をルブランが聞くという形で進む。
そういう設定なので、ルブランは、ちょいちょい合いの手をいれ、話を促す。
それがガニマール警部といい勝負なくらい、場面の雰囲気を変えてくれる。
それはいいのか悪いのか分からないが、もう少し抑えていたほうが私は好みだ。
まあ彼らが抑えすぎると、聞いてるほうが睡魔に襲われる危険はあるが(笑)
北翔さんの持ち味も「陽」なので、龍さんと二人、暗い舞台に陽の二人という組み合わせ、
それが正塚ワールドとあってるかと言われると、是とは言い難いが、大劇場公演なので
二人の明るさは良かったと思う。
ルブラン氏も結構名のある大作家風で、お髭もあった様に思うが、若いわ>精神的に。
月組って若いのね・・・。



グランド・レビュー『Fantastic Energy!』作・演出/中村 一徳

ダンシングショーだった。凄い踊りまくっていた。最初の衣装は好みではないが、
途中の衣装はどれもみんな好き。懐かしいエキサイタープロローグの衣装や、
ゴールドスパークの赤い鳥の衣装なんかも見かけた気がするが、まあ上手く使って
いるなあと思いました。愛希さんが踊りまくり、みんな激しく踊っていて、
とても見ごたえあり。そういう場面は北翔さんが目立ってました。

北翔さんはやっぱりショーで輝くスターさんですね。歌もいいし、踊りもいい。
龍さんは、往年のトップスターのように、最後に登場!という感じ。良いですね。
特に印象に残ってるところは無いけど、素敵なショーだったと思う。

ラストの黒燕尾。あれ、沙央さんがなんか小さくて驚いた(驚くなよ:笑)
そして繊細で上品な雪組の黒燕尾を踊っていた。でも周囲が違うから、
なんか地味に見える・・私はそーゆーの好きだが。
しかしこのときほど、「雪に居て欲しかった」と思った場面は無い。
黒燕尾が一番組カラーが出ると思うのですわ。
まあ北翔さん(月宙)、凪七さん(宙)、美弥さん(星)と、それぞれの黒燕尾がばらばら
だったような気がしたので、なんともいえないし、私は沙央さんを見ていたからなあ。

とりあえず、北翔さんが歌いまくり踊りまくり、愛希さんが踊りまくっていた印象。
そして最後にばーんと龍さんが出てくるの。そしてカオスな黒燕尾。
・・・面白かったです。中村B先生のショーは好みだわ。

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