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宝塚月組バウ「月雲の皇子」 [観劇感想(宝塚)]


宝塚月組バウ『月雲の皇子~衣通姫伝説より』
バウホール 2013年5月12日(日)11時 10列上手


素晴らしい! 脚本演出、出演者、装置衣装全て満足。
練りに練られた奥の深い脚本、シンプルながら舞台の高低上下を活用した変化ある装置
それを縦横無尽に活用し場面を作り出す演出、流れるような場面転換、
効果的に絞られた照明の動き、豪華でいて品のある衣装。そして何より、それらを
過不足なく生かして、あの小さなホールに広大な世界を築き、ドラマチックな物語を
描き出した出演者たち。主要人物に声の出来ていない役者も、音を外す歌も無く大満足。

本作品がデビューの演出家と、月組の若手さんたちだけの公演とは思えないほどの
力量を見せていただきました。どちらも先が楽しみで、宝塚の未来が明るくなった気が
するほど嬉しかったです(大袈裟ですね、でも実感なの)。

もう一回みたい!(見に行ったの千秋楽の日のため不可)
東京公演があれば見たいぞ、DVDほしいぞ。
どうして私のほしい公演はDVDが出ないのか(嘆)。
でもこの公演はいつか珠城さんがトップになったら安価版で出そうだからちょっと期待。






「月雲の皇子」 上田久美子


上田久美子先生による渾身の一作という雰囲気が漂っていました。
構想10年(少なくとも5年いってそう)な感じの、練りに練られた拘りの舞台です。
貴方のデビューを待ってました、貴方のお茶会にいって語り合いたい!というほど
私、上田先生のファンになってしまいました。

準主役の穴穂皇子の比重が余りに重くて、最初はW主演みたいだと思った。
1幕は本当にW主役状態。だがやはり主演は主演。2幕から最後まで見て、主役は
木梨皇子だと確信した。これはトップに匹敵する大物2番手がいる場合の公演形式だ。
トップ並みの大物2番手と、そんな大物2番手に食われないトップが必要な公演だ。

最初に見たとき・・花『太王四神記』が頭に浮かんだ。それは演出の方法が、
小池先生に似ていたから。私が絶賛するあの演出に似ている!
小池作品以外では、ついぞ見ることのない私の大好きな演出方法だ!!さらに。
普段の珠城さんを知らないのでなんともいえないが、木梨皇子の台詞回しが
真飛さんにとても良く似ている。衣通姫の台詞回しも、花總さんか桜乃さんか。
穴穂皇子は壮さん風であり。
これは、これは花版『太王四神記』、花『タンゴ・アルゼンチーノ』の世界?
はたまた雪『あかねさす紫の花』、雪『凱旋門』の世界?
なんか・・私のツボにぴったり嵌ったのですわ。

この重厚で複雑な作品は、決して月組の研6初主演の若手さんに宛書きされたもの
ではないだろう。おそらく今ではないいつかの時代のどこかの組、トップと大物2番手、
タカラヅカの典型娘役トップのいる組に、しかも退団公演用に書かれたものに違いない。
(それをモノにしてしまった珠城さんたち役者さんは本当に凄いと思う)
だから、上田先生に聞いてみたい。
「先生、どの時代の誰がトップのときの組に宛書したんですか?選抜ですか?」と。
(いや~私も昔、成瀬さん主演で勝手に宛書小説書いたことあるからさ:笑)
そりゃもちろん珠城さんと月メンバー用にマイナーチェンジはしてるだろうけど。
タイトルの「月雲の皇子」の解説もあったし、宛書きになってたけど。
でも原宛書案は違うでしょ?と私は推定した。思い入れが強すぎるから(笑)
うわあ、語り合いたい。


と、演出家への想いは置いといて。
本当に大物トップコンビの退団公演みたいでした。トップコンビが共に華々しく散り、
葛藤と和解の後、残される主役級2番手が、生き残った人々と国を率いていく結末。
この展開、まさに退団公演。退団するトップも次にトップになる2番手も、
どちらのファンも納得して涙できる素晴らしい脚本だ。こういう脚本だと、
トップ交代でも組ファンが残れるんだよね~と思います。
(いえ珠城さんも鳳月さんもトップじゃないし、まだまだ退団されないと思いますが;詫)
私の中では、近いところでは、真飛&壮&桜乃。遠いところでは、一路&轟&花總
(ちょっと変形。なんとなく『二人だけの戦場』か轟版『あかねさす』だな)かな。
この2チームを並べると、なんとなく共通項が分かる(私には>当たり前だ)。


私の勝手な思い込みは置いておいても、この難しい作品に息を吹き込み、
素晴らしい舞台にして魅せてくれたのは、月組のまだ新人公演に出ているような若手さん。
それも驚いた。あまりに上手いお芝居に、上級生が多くて、専科さんもいっぱい出てる
のかと思ったら、専科は夏美さん一人!?最上級生は87期?へー。
私は月組はほとんど見てないので、帰りに珠城さんを検索してみました。
そしたら、まだ94期研6って・・アンタそれ・・うわああ、それであの完成度、凄い。
声も芝居も歌も完璧だ。お顔が好みじゃなかったので全然気にしてなかった方ですが、
凄い好みの役者さんだ。そしてもう一人、いえ二人、絶賛したい。
博徳を演じた輝月さんと、皇太后様を演じた琴音さんだ。まるで人気専科様の貫禄と実力。
主演とこの二人がいたから若手公演に見えず。それどころか大物トップの退団公演に
見えたほどの出来になったと思う。芝居の月組はここにあったのね!


脚本について少しだけ。
これは古事記を題材にしたお話なので、冒頭、蜻蛉が概要をナレーションしてくれる。
「・・ということですが、遠い昔のことゆえ、真実はどうだったのか」という流れで、
『さらっと書かれた事の真相』として物語が始まるのである。素晴らしい幕開きだ。
実際、古事記の物語はどうやって作られたか、何を書き残したか、について
作中に「ことば」という単語を鍵に博徳や皇子たち(木梨、穴穂、大長谷)によって、
語られる。これがこの作品の根底に流れるテーマだ。
口から出る「ことば」、書物に書き残される「ことば」。
日本の黎明期にそれらをどう扱っていくか思案する人々・・・
二人の王位継承や飛鳥と土蜘蛛といった氏族対立にあわせ、真実語り継ぐものとは
何であるかを明確にしていく。そうして古事記が出来たのだと・・ラストに冒頭と同じ
オウナの声で語りが入る。どこにもねじれたところや破綻したところの無い、まったく
隙の無い脚本だった。(宝塚な「お約束」も多く、伏線もきっちり全部回収している!)


では出演者について。


木梨軽皇子(珠城
冒頭に簡単にナレーターが説明してくるので、出てきたときから彼が何者か分かる。
典型的な皇子様で、平時には素晴らしい統治を行う王になるだろう資質を持つ。
戦時には愛しすぎ優しすぎ苛烈になれないため王は向かない・・という人物。
冒頭場面からずっと、彼(と弟・穴穂)の性格が分かるエピソードが続き、すっと
物語に入れる。1幕の木梨皇子は、書いたとおりに頭脳明晰で優しい君主を予想させる
素晴らしい資質を示していた。弟や姫や愛する人々を思った優しさゆえに全てを失い、
そして土蜘蛛たち虐げられた人々への優しさゆえに戦いに立ち上がる。
彼は2幕ではかなり荒々しい様子で出てくるが、彼の行動は決して矛盾していない。
そこが素晴らしいのだわ。
聡明さゆえ、この戦いに敗れることを彼がわかっているのが客席から見て取れる。
それでも戦いに立ち上がるのは「土蜘蛛とさげすまれている人々に誇りを持たせ、
彼らは決して生まれながらに虐げられる存在ではない」ことを教えるため。
人権という言葉は好きではないけれど、これを彼らに自覚させ目覚めさせたことは
彼らにとって敗戦以上の大きな意義があったと思う。このときは負けても、また次に
理不尽な弾圧に立ち上がろうという人々が土蜘蛛の中から現れるだろうから。
そういうことを全て計算して、木梨は負けを承知で武力闘争に立ち上がったのだと思った。
さらに、そういう土蜘蛛達の姿を、ヤマトの大王たる弟に見せることで、ヤマト側の
意識も変えさせようとした。弟の聡明さ、本当はどんな人物か良く知っているから、
己の命をかけて弟にそれを教え、弟に殺されることを選んだ。
弟も最後には分かってたと思う。武力が苦手で戦いを厭わしく思っていた兄の
一見不可解な行動の意味を理解した。だから今も変わらず優しい兄を殺したくなかった
けど、兄の思いと意図を理解したから、大王として反逆者を殺さなければならなかった。
・・この場面、二人とも上手すぎ。ここに書いたことが全部客席に伝わってくるんだもの。
周囲ほとんど泣いてたよ。
木梨皇子は、悲劇の最後でしたが、本人的にはかなり満足して亡くなったように見えます。
残された穴穂皇子のほうがよほど苦しそうに見えて。

珠城さん、今まで全く知りませんでした(大失礼)。
というか「ロミオとジュリエット」「ベルサイユのばら」と一本モノの役無しが公演が続き、
下級生を認識できる状況ではなかったですね>月組さん。
今回のバウホールを見て、私は月組に誤った認識を持っていたことを深謝します。
『芝居の月組』は生きていたのね!私が好きだった頃の月の雰囲気がここにあった、と。
もうとっくに息絶えたかと思ってました(失礼)。本当に嬉しかったです。
プログラムを見ても、ほとんど名前を知らない人ばかりでしたが、これから見に行きます。
珠城さんは超注目株。お顔は好みじゃやいのですが(しつこいですね、スミマセン)
台詞の声の出来上がり方、素晴らしい歌声、細かい情感の伝わる芝居と、三拍子揃ってる。
素晴らしい実力者ですね。私の中では、すっきりした香寿さんという感じです。
次の大劇場でも大活躍を期待したい・・が、別働隊に上級生が大量でしたね。。。



穴穂皇子(鳳月
準主役クラスの大役・穴穂の皇子は、兄木梨とは対照的に、武勇に優れ時に苛烈になれる
戦時の王に相応しい人材。でも兄とは仲が良く、小さいときから兄を慕い、
兄が王になったら自分は得意の武力で兄を支えよう!とか思ってることがよく分かる。
この仲の良い兄弟、普通ならどんなに画策しても、兄に不足があれば弟が補うからと
決して弟は王位を受けないはず。だがだが、ここにも素晴らしい仕掛けがあるのだ。
その大事な局面で、実は父親が渡来人だという出生の秘密を明かされるのだ。
その父の画策に操られ、彼もまた優しさをもつ普通の青年だから、自分を思う実父を
見捨てられず、結局兄を裏切ることに。・・ここの心の動きも素晴らしかったわ。
そうして自棄になって兄を流罪にし、自分は王位を継ぐ。あとは着々とヤマト統一のため
自分に課せられた役割=統一のための戦いをこなしていく。
やがて兄の反乱と妻の裏切りを知って、怒り狂って兄を責め滅ぼそうとするが、実は!
・・という兄の心を知って・・・この当たり本当にこの人追い詰められて可哀想になる。
武力的に追い詰められているのは兄のほうなのに、精神的に追い詰められているのは
弟だと、見ていて分かるのだ。結局彼は兄の思いの全てを受けとり、兄が愛した姫の眠る
海へ、兄の亡骸を沈める・・そして自分はまた、勝者として記録を重ねていく。
兄への思いを、美しい物語に偽り記録して。

鳳月さんもスミマセン初めて見ました。珠城さんに比べると、まだ声に若さが見え、
台詞がすべるところも多くて、聞き取りにくかったかな。
もう少しはっきり台詞を伝えられたらもっと素晴らしい役者になる方だと思います。
声は悪くないし、歌もきちんと聴けました。(この組、若手さん皆歌上手いですね)
まだ若いんですよね。見た目は綺麗だし、期待してます。


衣通姫(咲妃
古事記では同母の兄と・・ということになってまして、現代人からすると、
大変気持ち悪い関係なのですよね。しかし!そこは素晴らしき上田先生、実は・・と
彼女は木梨と穴穂が拾ってきた孤児という設定に変わっていた。
(二人は滅ぼされた土蜘蛛の村からこの子を拾って、でも親に怒られるからお庭で
拾ったことにしてましたね。でもあのお母様にはバレバレでした。きっとあの村へ
見学に行ったときも、後方にお母様のつけた護衛がいたと思います:笑)
本人は土蜘蛛の娘だということは最後まで知らなかった様子。それだけ愛されていたの
ですねえ。上品で可愛らしく、でも小さな頃はお転婆に兄たちと一緒に走り回ったのが
伺えて、とてもいいお芝居でした。愛されて育ったことが分かる、木梨があれほど
愛したのが分かる素敵なお姫様でした。
最後はかなりあっさりとしていて、場面と時間の関係から彼女の死の場面が無くて残念。

咲妃さんも初めて見ました(こればっかり)。宝塚の典型娘役という雰囲気ですね。
あっさりしたお顔、上品で高貴な雰囲気を漂わせ、豪華な衣装に負けない気品と美貌。
でも押し付けがましく前に前に出てくる様子は見せない、あくまで女らしく控えめ。
ほかの役を見たことないので知りませんが、今回は私絶賛します。
歌も上手かった。これだけ歌えたら十分。透明感のある声で、デュエットもきちんと
出来ていて、申し分なし。この人もトップになるだろうなあと思いました。


以上、主役3役。いずれも素晴らしい出来。(鳳月さんの台詞滑りだけかな、難点は)


身狭村主 青(夏美) 渡来人、政策アドバイザー
堂々の専科様。実はこの人がいてあんなことしてたから、『太王四神記』に見えた(笑)
でもただ陰謀をめぐらせただけの悪人ではない。彼自身の背景が簡単ではあるが語られ、
彼の半生がいかに過酷であったか、彼の辛さ、彼がこの国に賭ける想いが伝わる。
だから、思いがけず得た息子である穴穂の成長を見守り、支援してきたのだ。
その集大成として、大王の位を与えてやりたいと思ったのね。この人の行動も、決して
自分のためだけではないのが分かるので、ただの悪人に堕ちず気分悪くならない。

いやあ陰謀させたら天下一品、素晴らしいです。しかも夏美さんの濃いお芝居を
きっちり受けて返せる人材が多くて、本当に驚きですわ。


博徳(輝月) 渡来人、学校の先生
今回の最優秀助演男優賞はこの方。ほとんど知らない月組で、この人だけは覚えていた。
ロミオとジュリエットの大公様。星より雪より素晴らしい私の一番好きな大公様。
今回も裏切りませんね、専科の夏美さんを相手に一歩も引かないどころか、さらに超える。
そんなお芝居をされていました。渡来人としての哀愁と、新しい国に賭ける期待、
木梨と穴穂という優れた二人の皇子への師匠としての愛情、大長谷という出来が悪いけど
素直な皇子への師匠としての愛情、どちらも見えて、本当にいい先生だなあと思う。
でも優しいだけではなく、厳しさも、冷徹な目も併せ持つ傍観者。
この物語の底に流れるテーマ「ことば」を語るのはこの人。まさしくキーマン。
主要な場面で、テーマに関わる言葉を、主要人物に投げていく。素晴らしいわ。
そして年を取る場面も自然に年をとっている。見た目だけではないの、声から違う。
素晴らしすぎる演技力に、今すぐにでも専科に行けば、引っ張りだこだろうなと。

前回知ってたけど、この方、まだ95期研5って・・サバ読みすぎ(笑)って思うほど。
既に研20といわれても納得できる演技力。研5に10足してもここまで出来ない人も
いるだろうに、本当に凄い。期待の大型新人だ。大抜擢も納得よ。プログラムだって
夏美さんの横に大きな写真でいいと思う。トップスター路線でなくても、こういう
大型新人も大事にしてほしいと、心から思うのでした。



皇太后様(琴音) 木梨と穴穂の実母
最初出てきたときから、「出雲綾さんがいる!」と思いました。あの張りのある美声、
高貴な人特有の命令する厳しい声音、思わずひれ伏してしまうような威厳。
それでいて厳しい中にきちんと優しさと思いやりが見え、愛を知る人だと分かる。
病身の大王の妃として国を守り、二人の皇子と母として息子を愛し見守り、
養い子の姫への細やかな愛情まで、本当に慈愛と威厳に溢れた素晴らしい皇太后様。
やんちゃな息子達の行動は多分全部把握してたでしょうね。蜻蛉との会話で分かりました。
「土蜘蛛の村が燃えた日、ススだらけの赤ん坊を連れて帰ってきて」という台詞に、
二人には気付かれないようこっそり警備をつけ、二人の嘘を知りつつ騙されてあげ、
二人が拾ってきた女の子を実子として愛して育てた・・慈愛の母だ。
さらい拾った姫が土蜘蛛の子だと知っているので、彼女を守るため三輪山の巫女に
逃がした・・と配慮が行き届いている。この慈愛の母と、厳しい皇后(皇太后)という
相反する資質が、見事に彼女の中で矛盾せずひとりの女性になっている。
素晴らしいとしかいえません。まだ若いんだよね(こればっかり)
歌も上手いので、いつかゾフィー皇太后やカルロッタ様を見てみたい。
期待の大型女役さんですわ。


蜻蛉(夏月) 衣通姫の侍女
衣通姫についてずっと守っている。皇太后様から全てを聞かされているらしいので、
実は皇太后様の腹心ですね。この方も、皇太后様への忠誠、衣通姫への愛情、それらが
とても見事に見えました。また年齢を重ねていく様子が自然で、でも年齢が感じられて。
こういうお芝居、若手さんでは年月の経過が見えなくて嫌なのですが、・・見える。
子供が大人になるのは簡単にわかりやすいけど、大人がさらに年齢を重ねるのが見える
なんて!!本当に驚くほどの演技力に感動してました。>ここ大人チームみんなね。
あと冒頭と最後のナレーターも蜻蛉でしたね。おっとり昔話を語るいい声でした。


ここまで専科(嘘・・でも専科としてもいいほど実力者ぞろい)。



大長谷皇子(朝美)二人の弟
木梨と穴穂の弟。多分母が違う。皇位継承は最初から二人に絞られてるし、後3人いるが、
上の二人、中の二人、末っ子と母が違うよう。上の二人の母は皇后だから特別ですが、
この大長谷の母もかなり身分ありそう。でも年が離れているし、本人は王位継承には
全く関係ない、優秀な二人のお兄ちゃん大好き♪という雰囲気なので、愛される末っ子を
満喫している様子(笑)。どちらの兄からも可愛がられてますね。
漢字が全然読めませんが、それでも博徳先生には愛されてるのが分かるほど可愛い。
2幕で大人になってますが、まだ可愛いがられてる感じです。
(いや役者さんが可愛いのかもしれんが)
この弟がいて、全てを失った穴穂の心が少しは潤うような気がします。

可愛い。最初出てきたとき、赤いリボンをつけて頭の両側に三つ編み撒きつけたような
髪型に、可愛い少女かと思うほど。愛される末っ子というポジションにぴったりだ。
大人になってからも凛々しいんだけど、かわいさが残る。末っ子ポジションにぴったり。
本当は凄い美人さんですね。イケメンというより美人。これだけ役にぴったりというのは
お芝居も出来るんだ・・と思います。もっと見てみたい人ですね。
今回、お顔では一番目を引いた美形でしたから♪



パロ(晴音)土蜘蛛の少女
2幕で権力からの弾圧に立ち上げる土蜘蛛軍にいる孤児の少女。ここでも木梨はやはり
この子まで死なせてしまうのを哀れに思い、助けようと策を考えている。優しいんだよな。
この子は木梨が好きだったと思う。全然意識されてないのは分かっていても、女として
見られてないのが分かっていても、それでも好きだったんだな・・と分かる。
小さなエピソードがちりばめてあったから。
結局、木梨が愛した女・衣通姫を複雑な思いで守ることになり、木梨の思惑とはずれ、
二人とも殺されてしまう。出番は少なかったけど、印象鮮烈の重要な役でした。
これは2番手娘役の役ですね(笑)
もう少し声のトーンを落としてくれたら・・、ちょっとキンキンしていたのが残念でした。



女鹿(叶羽)巫女
病床の大王の声を聞いて皆に伝える役。この役も「太王四神記」を思い出す。
あったよねえ、こういう役。自分の言葉ではない言葉を伝えるのは大変だけど、
良く通る声で分かりやすかったです。



印象に残ったところを書きました。役者さんが違ったらごめんなさい。
普段見ない方々なので、お顔見ても分からなくて・・プログラムは全部扮装写真に
してほしいですわ。判別がつかないよ~


以上。役者さんも大変素晴らしい。上田先生には大変思い入れのある作品だろうから、
きっとお稽古も厳しかったのでは? 私だったら、初日に自分の作品見て号泣してしまう
だろうなあ・・感動の余り。という出来上がりですもの。
小池演出を思わせる場面が多く、流麗な場面転換も、凝ったセット転換も、
見ていて楽しかった。
オリジナルでこれだけの作品を書いて下さる脚本家の出現に、
私の好みの演出をする演出家のデビューに、「私、上田先生の作品は絶対見に行く!」
と心に誓いました。

もちろん月組の若手チームにも注目です。これからは珠城さん、輝月さん、琴音さん、
朝美さんに注目したい。だからどこで何の役をしているかわかる役をお願いしたいです。

また一番嬉しかったのは、これだけの人数に台詞があり歌があったのに、
歌う人は誰一人音を外さない、誰も耳障りな声ではないこと。
私にとっては本当に嬉しいことです。物語に集中できるから。
演出家を含め、この方々が主要な役を占める時代が楽しみでならないわ。
ああ宝塚の未来も明るいなあ♪ まだまだ宝塚ファンを続けられる希望が見えたわ(笑)



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コメント 7

パクチー

詳しいレポート、ありがとうございます。
これ、観に行きたかったんですよ。
でも、まったく席が手にはいらず、諦めました。
若手のバウなので、早めにスカイステージで放送してくれるだろうから、
それで我慢しようと思っていました。
やっぱり、よかったですか~。
昔もバウの秀作がありましたが、
それも、先生方のデビュー作品に多いですよね。
小池先生の「ヴァレンチノ」
正塚先生の「暁のロンバルディア」
谷先生の「散る花よ、風の囁きを聞け」
景子先生の「イカロス」
(昔のことなのでうろ覚えですが・・・)
今回ポスターもきれいだったし、
そういった意味でも、次回花組のポスターもいい出来で演出家のデビュー作。
期待大ですね。
こちらは、何とかチケットを手に入れているので楽しみです。

by パクチー (2013-05-13 20:01) 

hanihani

えりあさん

チケット押し売りした甲斐がありましたよ(笑)

私は11時、14時半とWでしたが、あれは2回目のほうが
ずんずん心に台詞が届いてきますね。
松葉杖はお姉さんに預けてしまうので、まったく休憩時間は動けない状態で
失礼しましたぁ

私が押し売りするときには、必ずチケット購入くださいね、ふふふ
by hanihani (2013-05-14 10:49) 

えりあ

パクチーさん

そうですよね、デビュー作って力が入るから、記憶に残る名作になりやすいのかも。事例に挙げられた中では「イカロス」しか見ていませんが、会場に薔薇の香が流れるとか確かに気合入ってましたものね。デビュー作は見ておくべしですね。でも次の花バウはまだ取れてない(6月は忙しくて難しそう)ので、何とかがなって見にいけたらなあと思います。


hanihaniさん

いやお誘いいただきありがとうございました。月は知らないのでお誘いいただかなかったら行ってなかったと思います。千秋楽はCS放送があるだろうから楽しみにしてます。
ところで、松葉杖・・大変でしたね。でも松葉杖ついても見に行く価値ありでしたね!!
また良さそうなのがあればお声かけください。素直に従います(笑)
by えりあ (2013-05-14 20:06) 

hanihani

大長谷は穴穂とお母さんが同じ弟なんですって!!
だから穴穂が天皇になって殺されちゃったときに
年の離れた弟で可愛がってもらっていたのですごく怒って
復讐しようとすぐ上の黒?とか白とか二人の兄さんに
話にいったのに、二人ともぐーたらして動かないので
怒って惨殺して、自分が追いかけて復讐して
天皇になったらしい。

なるほど…あの弟なら十分にありうるな(笑)

花バウも良さそうですね、またご連絡いたします。
by hanihani (2013-05-15 14:24) 

えりあ

hanihaniさん

へーそうなんですか。あの皇太后様、大長谷のことは何も言ってなかったので、お母さんが違うのかと思ってました。まだまだ幼い可愛い末っ子なので、王位継承関係は頭に無かったのかも。しかし・・気の荒い子だったんですね(驚)まっすぐというか素直というか・・ストレートな方。大王になっても回りは分かりやすかったでしょうね(笑)


by えりあ (2013-05-16 08:18) 

パクチー

花組バウ、観てきました。
やはり、先生のデビュー作、よいできでした。
先生のやりたいことを全部やりました、という感じで、
観たことのあるシーン、聞いたことのあるセリフがやたら出てきました。
ただ、ドラマに深みがなく感動というものはありませんでした。
(出演者はよくやっていますが、脚本があっさりしすぎ)
主人公が亡くなったシーンでも、場面として盛り上がっているのですが、
(退団公演かと思うくらい)、それ以前に心理的な描写が主人公以外あまりないので、唐突感が否めませんでした。
ラブロマンスも、拍子抜けするくらいあっさりしていて、ヒロインがちょっと共感できなかったです。
とはいえ、幕開きの黒燕尾のダンスや、レビューシーンは美しく、
大劇場でも行けるかも、というぜいたくさでした。
ガーシュインの評伝だと思って観ると、
華やかで、彼の曲が色々なアレンジでちりばめられているし、
素敵な作品だと思います。

私は一幕は忙しすぎて、ついていくのがやっとで、
二幕の主人公が挫折していく過程のほうがよかったのですが、
近くにいた若いお嬢さんは
「一幕は最高だけど、二幕がなんだか暗くておもしろくない」と言っていました。
年齢の差、でしょうか。


by パクチー (2013-06-09 09:44) 

えりあ

パクチーさん

花バウレポありがとうございます。
「やりたいこと詰め込み」はデビュー作なので仕方ないんでしょうね、満を持して!!な気分なのかしら(笑)。でもパクチーさんのご感想を見ていると、なんだかショーを担当したほうが良さそうな雰囲気も・・? バウでショーは滅多に見ないので難しいですが、いつかショーを描いてほしいな、と思いました。ショー作家が減っているから、ショーを美しく華やかに作れる方は楽しみです。

これもデビュー作なので私も見に行きたいのですが、暇が無くてチケットも無くて今回は無理そうです。CSを楽しみに待ってます!
ありがとうございました♪

by えりあ (2013-06-09 10:46) 

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