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宝塚雪組「ベルサイユのばら~フェルゼン編」 雪バージョン [観劇感想(宝塚)]

宝塚雪組「ベルサイユのばら~フェルゼン編」
2013年4月21日(日)11時 1階25列上手



初日から3日目、やっと見てきました。まずは通常版・雪組バージョンが見たいものね。


感想は「宝塚でベルサイユのばらを見た!」と言えるなあってこと。
なんか一生に一度は体験しておいたほうがいいでしょ?って感じの。
ほら何かの折に「私、宝塚のベルばら見たことあるよ~」「へーやっぱりキラキラしてた?」
「うん豪華だったよ、凄いドレス」「ふーん、一回見てみたいな」って会話ができる(笑)

出演者は熱演でした、あの脚本演出でも。さすが雪組。涙なくしては見られない。

とりあえず、法学の世界を思い出す(大先生がこの世から引退しないと、新説の
法学書が出版できない。法改正できない。現状に合わない妙な法解釈がまかり通る)
少しも早く、ご勇退をご決断いただきたい。切に願う。


以下、苦情とネタバレあります。続きをお読みになる方はお覚悟を。超長いです。

<概要>
『ベルばら』だから、もともと多大な期待はしていませんでしたが、
フェルゼン編というのはストーリー的に大変厳しいのだなと、よく分かりました。
オスカルとアンドレを出さなければまだしも、こちらのバージョンの名場面も必ず入る。
この二人の場面は、フェルゼンとはほぼ無関係。だから感じるぶつ切り感。
そして物語の主役たる王妃マリー・アントワネットの出番の少なさ。
相手が出ないので、恋に狂った男フェルゼンの周りを省みない空回り場面が続く・・
大変カッコいいフェルゼンなのに、これじゃ共感しようの無い脚本。
それでもカッコいいフェルゼンと、凛々しいオスカル、包容力抜群のアンドレは
素晴らしかった。アントワネットも少ない出番で大変良いお芝居を見せてくれた。
『ベルばら』だもの、場面場面を楽しむのが正しい観劇方法なんだ。
しかしさすが雪組、力技であの脚本でも感動させてくれました。



演出はと言えば、カーテン前の説明台詞、2人の説明会話の連続技。
えっと、出演者は何人居ますか?と問いたくなるほどの少人数芝居。(111人だって!)
「よく知られた名場面ダイジェスト」かと思いきや、やたら丁寧な説明の山が長い。
『ベルばら』を知ってる人向けなの?知らない人向けなの?ターゲット不明。
(こういうターゲット不明な説明台詞の連続、動かないストーリーって・・・
封印したいヤな記憶が蘇るじゃないか。)
2幕になり、大勢出てくる場面が入ってきて、ようやく物語が動き出すように感じた。
1幕は壮大な前振りなのだ、2幕万歳。スピード感って大事だなあ。

初舞台生のラインダンスと黒燕尾(オマージュ)にやっとほっとする。
豪華な衣装とセットは良かった。でももうちょっと舞台機構を使って欲しい。
カーテンしか使ってないもん。どんだけ設備の無い劇場で上演する気なのよ?

と、まあ出演者の力量は感じるものの、脚本・演出の力量は全然感じなかったのでした。



「ベルサイユのばら~フェルゼン編」 脚本演出 植田紳爾、演出 鈴木圭


<フェルゼン編の無理>
フェルゼンって、アントワネットあってこその存在だと思うのだな。
どちらかと言うと、アントワネットの視点で描いたほうがカッコいい人物。
孤独なアントワネットの心の支え、王妃と言う甘えが許されない立場に居る女性が、
一人の女に戻って甘え素直な心の内を打ち明けられる存在。大変心強くカッコいい。
でも決して結ばれることの無い恋。誰からも祝福されない恋。
相思相愛なのに、結ばれない悲恋を運命付けられた相手。
悲劇性抜群で、自分に酔ってしまいさらに恋の炎が燃え上がるってば。
フェルゼンは、窮屈な宮殿の囚人アントワネットにとって「白馬に乗った王子様」だ。
心の中で憧れシチュエーションに浸るだけで十分ストレス解消になる(と思うのよ)
国王ルイ16世も、裏表の無いフェルゼンを信頼しているようだし(それだけ回りが
裏表あり人間ばかりなのね・・とルイ16世を思って哀しくなるわ)、心の支えとして
燃える恋心は心の底に隠し、二人(国王夫妻)を支える信頼できる友人として振舞う・・
というのが原作漫画のフェルゼン像だったのよね。王妃の立場からみたフェルゼン。

だが逆にフェルゼンから見ると、「フランス王妃」という立場の夫の居る女性に恋をする
なんて、虚しいだけ。成就はありえない。それどころか、この恋は彼女の立場を悪くし、
二つの国家(フランスとオーストリア、ついでにスウェーデン)の関係にも影響する・・
それなのに、諦めきれない。回りは全て敵ばかり。・・こっちも悲恋に酔ってるね。
(普通は冷静になって、彼女の立場を思いやり理性ある行動をすべきだよなあ)
フェルゼンの立場からこの恋を語ると「いい大人が、なに初恋に暴走してんの?」
「自分の立場と彼女の立場、考えてみ?」と諭したくなる。
でも諭されても(実際メルシー伯爵やオスカルに諭されてる)、「一人の女性として、
自由に恋も出来ないなんて、可哀想じゃないか!」と立場を無視した反論をする始末。
「こりゃあかんわ・・」とメルシー伯爵は唖然としただろうね。
そんなに一人の男と一人の女として恋を貫きたかったら、平民として駆け落ちしてくれ、
と周りの人は思ったでしょう。自力で稼げよ、国庫から資金一切使わないでよねって。
ということで、フェルゼンの恋の苦悩を前面に押し出すと、あまりかっこよくない。
共感できない男になってしまう。
(原作で)フェルゼンがカッコいいのは、アントワネットの立場から見ているからよ。

まあ大変無理のある脚本でした。フェルゼン主役は無理。
かつて見た宙組フェルゼンとアントワネット編は、ほぼアントワネット(花總)が
主役でしたが、まだ筋が通っていたと思う。当然だわ。
もうちょっと主役に共感できる話を書いて欲しい。
だいたい『ベルサイユのばら』ってマリー・アントワネットが主役だと思ってたくらい。
次がオスカルでしょ。フェルゼンとアンドレは、彼女たちが居てこその存在だってば。


<歌詞にも意味を>
正塚作品では歌詞にはたっぷり意味が込めてあり、じっくり聞いていると感慨深い。
比べるのも何ですが・・・「愛」「愛」言っていればいいとか思ってません?
プログラムにある歌詞全体を読んでても全く意味がないように思える。
私にはさっぱり愛のイメージが読み取れない。「愛に帰れ」ってどういう意味だろ。
猿じゃないんだからアイアイばかりでなく、もっと言葉を尽くして欲しいです。


<劇場の舞台機構を無視しないで>
カーテン大好きなんですね。しょっちゅうカーテンが閉まり、その前で説明台詞。
出演者は1~3名。大抵2名。専科のおじさまがた大活躍。
専科だけあって、ほとんど動かないんですよね・・立って話するだけ。
この劇場には、素晴らしい各種の盆とかセリがあったはず。
先月見た『オーシャンズ11』では大活躍していた盆とセリ、
幕を使わないあの流麗な場面転換はどこへ? 別の劇場を見るよう。
さらには照明も、「点く」「消える」の2種類しかない。
『ドン・カルロス』でみた効果的な照明による場面転換は?効果は?
余韻も何もあったもんじゃない。ここは舞台機構の無い田舎町の公民館か集会所?
そのくらい哀しい舞台の使い方でした。


<衣装は華麗でほっとする>
衣装くらい華麗じゃないともはや「ベルばら」ではありえん。
今回も華麗な衣装に満足はした。フェルゼンの衣装は凝ってるねえ。凄いわ。
宮廷場面が多くて、華麗なドレスに典雅な宮廷服が見ごたえあり。ああ良かった。
あとはアンドレが主役クラスの役者じゃないからか、衣装が普通で嬉しい。
アンドレの衣装が派手に豪華だと「平民の癖に、勘違い野郎め!」に見えて嫌なのよ。
アンドレは影なんだから、控えめがヨロシイ。
(ということは、他組トップ特別出演の公演が怖いなあ)



では出演者を。

フェルゼン(壮
華麗な衣装が似合うわ~壮さんのベルばらではアンドレかアランのイメージが強い
んですが(つまり衛兵隊の制服姿)、豪華な宮廷服も似合いますねえ。
でも私も「王妃様が一番好きな竜騎兵の軍服」が一番お似合いだと思います♪ 
フェルゼンについては上に書いたので、省略しますが、
そんな情けない男でも(ごめん)かっこよかった。
スウェーデンの国境破りの立ち回りや「行け行けフェルゼン」の場面では生き生きして
凄くかっこいい。鞭が似合うのは知ってたけど、素敵。この場面がイイって初めて。
今度は壮さんで冒険活劇がみたいわ。


アントワネット(愛加
なかなか出てこない・・ものすごい重要な役なのに。ラブラブ場面がほとんどなくて、
出てきたと思ったら、いきなり別れを告げられて。なんか可哀想。
一幕ラストのフェルゼンと王妃の不倫を裁く異端審問会(のようなイメージ)で
隣の夫(ルイ16世)や宮廷人を意識して冷静さを保ちつつ、内心おろおろしているのが
とても可哀想で印象的。恋する女性でありながら、王妃の立場に揺れる女心?
そして次の出番が、革命後の牢獄の場面。えらく場面飛ばしてるね・・飛びすぎ。
ここではオーストリア皇女としてフランス王妃として誇り高く死のうと決意する
一回りも二回りも大人になったアントワネット。1幕とは別人。
(それだけに以前のままの恋する少年なフェルゼンがイタイ場面だ>脚本上)
「何日も食べてない」割にはちょっとふっくらしすぎてましたが(失礼)、それでも
お芝居は良かった。恋に逃避した幼い日々は過ぎ、王妃の誇りと悲壮感が漂うラスト。
素晴らしい! あゆちゃんがこーゆーお芝居も上手いとは!(大失礼ごめんね)
このラストシーンは、本当に素晴らしいね。ここ照明と装置がやっとお仕事するし(笑)
豪華ドレスが似合いますね、和服よりずっと似合う。

ところで。あの牢獄の場面、いつから人形が定番で出るようになったんでしょう。
たしか原作では、最後の場面は愛用の櫛とリボンをロザリーに形見としてプレゼントし、
誇り高く刑場へ、ロザリーはそれを胸に抱いて涙を堪えて、見送る・・だったような。
今回のアントワネットが櫛で髪を梳いていたので、「もしや!?」と期待したが、
やっぱり物持ちのいいメルシー伯爵と人形だった。しかもなんで男の子の人形なんだろ?
普通、女の子はお姫様人形で遊ぶよね? あの人形はアントワネットの王子様か・・
フェルゼンは取り上げられた人形の代わりだったという示唆? そう考えると深いのかも。
それはそれで人形と一緒に残されるフェルゼンが哀れだ・・。気付かなそうだけど。



オスカル(早霧
女々しくない凛々しいオスカル。というか、男役まま?という低い声に男らしいしぐさの
の美貌の女性オスカル様。オスカルは男として育てられた凛々しい女だから、それでいい。
早霧さんのオスカルはイメージ通り。それだけに「今宵一夜」の場面でイキナリ女言葉で
女しぐさにならないで欲しい。(脚本演出が悪いんだ!!!)
このオスカルとアンドレなら「アンドレの妻と呼ばれたいのです」とは言わない。
「私の夫になれ!」でいいと思う。アンドレも喜びを隠して苦笑しつつ「わかった」と
言って、アンドレを押し倒すオスカルを、下から優しく抱きしめてあげそう(わあ~)
いや妄想失礼。だがこの二人の関係ならそのほうが似合いそうなんで。
そういう場面でも男っぽく凛々しい、恥ずかしさを命令口調で隠すオスカルが良いなあ。

早霧さんのオスカルは大変美しい。男装の麗人。美貌の女戦士。まあ素晴らしい!
女性にしては声が低めな感じですが、アンドレが魅惑の低音なので、それもOK.
歌は・・・・(すまぬ、いつも通りの安定した不安定さかと)ですが、未涼さんとの
デュエットは美しい。前から思ってたけど、音月さんと歌うと良かったし(美海ちゃんも)
これからも未涼さんとデュエットして欲しいです。


アンドレ(未涼
包容力抜群の大人の男アンドレ。オスカルとほぼ同じ年齢だけど、精神年齢はずっと上。
平民の身分で貴族社会に属し、愛する女性(オスカル)の傍でずっと守っているのに、
彼女からは恋の対象とは思われていない、恋愛対象であることすら告げられない、
という辛い立場が彼の精神を成長させたのか。
・・っていうくらい、大人。オスカルがフェルゼンに恋したのも、いつも傍にこういう
全てを受け止め包んでくれる冷静な大人の男が居るのが当たり前だったから、
正反対の「思ったら即行動」な少年のように熱い心を持つ男に惚れたのね~って思う。
いやーこのアンドレ、包容力を絵に書いたような男でしたな。
1幕では、オスカルに対し物分りのいい頼りになる兄の様に接している。
2幕で、自分の気持ちに気付いたオスカルから、「私を好きか?愛しているか?」と
問われ、「愛している」と応えさせられる・・見ているほうが恥ずかしいわ(笑)
おいおいオスカル~この冷静な大人の男に、こういう台詞言わせるって、アンタ天然Sね!
と確信した。そーゆー邪気のないSオスカルにも付き合ってあげる懐の深さ(?)。
ずっと耐えてきたMな男だし。まあなんだ、お似合いだ。
そうそうフェルゼンが、ジェローデル報告「オスカルはアンドレと一緒に死んだ」を
聞いて「オスカル、可哀想に」を連発するが、可哀想じゃないですよ、と教えてあげたい。
オスカルも初恋から冷めて、いつも傍に居る青い鳥のような存在のアンドレと幸せに
別世界に旅立ったの・・って感じだから>ジェローデル、説明が足りんぞ!

未涼さんのアンドレ、どんなかな?って思ってたら、包容力溢れる大人なアンドレで
なんか「そうよアンドレって、オスカルの影なんだよね」と思い出したわ。
オスカルの傍に居て本人が意識しないまま守り続け(身体的にも精神的にも)
影のように寄り添う存在なんだわ。久しぶりに原作が読みたくなった。
今回はマロングラッセが出てこなかったのも、アンドレにとって良かった。
原作のマロングラッセは嫌いじゃないけど、宝塚のマロングラッセはねえ・・・。
とにかく、私は感動したの。包容力に溢れる大人アンドレ~素敵だ。好み。
去年1年、父王やら牧師父やら兄役をやってきたからかしらんね>あの包容力。
ただ、「ベルばら歌舞伎」な仰々しい台詞回しは・・私は好まない。が仕方ないね。
通い詰めた先々月の『ブラックジャック』。あんだけナチュラルなお芝居を、
心情をしぐさで表し、内心は別!ってお芝居をさり気にしていた役者なのに・・って
思いました。このアンドレ、それでもしぐさ表情で、内心を語ってました。凄い。
(今日はずっとアンドレばっかりオペラグラスで追ってましたから~:笑)
そろそろ「ベルばら」も歌舞伎から離れて欲しいもんです。


ジェローデル(夢乃
熱い男ジェローデル大活躍。ほんっと思ったらすぐ動く行動力あるし、精神的にも
肉体的にも強いし。こんなに強くて熱いジェローデルはじめてみたわ。
ジェローデルは優雅な倦怠感がある典型貴族男じゃなかったっけ??
オスカルが最初毛嫌いしてたような記憶がある・・(ああ原作読み返したい)
このジェローデルなら、オスカルが惚れてもおかしくないぞ。
フェルゼンに「王妃様を助ける手伝いをして」と突撃訪問する行動力からすれば、
別にフェルゼンが居なくても、一人でも王家奪還作戦が成功しそうな気がした。
ジェローデルは、国王一家を助けたかったんだよね。
だから国境で「王が処刑された」と聞いて、もう急がなくなった。
急いで助ける必要がなくなったから。(だからフェルゼンは一人馬車をとばしてるのか)
あのあとジェローデルはどうしたのか?って考えてしまい、・・・絶望のあまりドイツに
渡り、それから300年を生きてバイロン侯爵になったのだ、で納得しました(笑)
しかし、ヴァレンヌ逃亡事件はどこへ行った?(大笑)

夢乃さんもお芝居がいいね。こういうジェローデル像ははじめてみたけど、なんか
納得できる。スウェーデン国境での立ち回りは素晴らしく強くて、感動したわあ。
行け行けジェローデル!!!って応援したくなりました。



ここまでで主要な人物終わり。あとは固体識別がつくほど出番があった人。


ベルナール(彩凪
新聞記者で黒い騎士だったけど、その件はまったくなし。革命に燃えてたけど、最後は
「なんか目指してたのと違う~?」と軌道修正を掛けようとしてあがく(結局は失敗)。
それを姉さん女房のロザリーに「考えが甘いわ!」と言われてしまう始末(カワイソ)
ベルナールってなんか未涼さんなイメージがあって(壮さんがアンドレなように)、
もうちょい大人な男という固定観念があったのかもしれない。
ロザリーが姉さん過ぎるのかもしれない。
ちょっと若造っぽいベルナールさんでした。もうちょっと屈折感が欲しいな。
たしか原作では、結構アンドレ寄りというか、アンドレと分かり合ってたような気がする。
今回接点なし。残念。
彩凪さん、見た目すごくカッコいいね。黒い衣装が似合ってた。
黒い騎士姿もみたかった。まあキラキラ宮廷服も似合いそうですが。
きらきらの似合うベルナール・・なんか違うよーな。


ロザリー(早花
若造ベルナールに対し、落ち着いた姉さん女房なロザリー。
純情可憐な若い娘であったのは過去の話、いまは分別ある理性的な大人の女。
革命を生き抜く力強い妻ですね。・・・って原作ロザリーにそんなイメージないんだけど。
ラストの牢獄の場面も、落ち着きがありすぎ。このロザリーなら失言しないし、
疑われる行動もしない。全て計算ずくって感じ。
まあ最初からずっと「こうなった以上、王妃を王妃として誇り高く死なせてあげるのが、
アントワネット様にとっても、フランスにとっても、最善の道」と心得て行動して
いる様に感じる。実は一番本質を見抜いている人だったかも。慧眼ですね。

なんだかえらい知性が勝ったロザリーでした。なぜこの役をこんなに落ち着いた上級生に
と思わないでもないが、ジェローデル同様、新解釈ロザリーならそれも一興。


アラン(彩風
アランって、フランス衛兵隊の荒くれ男達のリーダー・・だと思っていた。
このアランは衛兵隊たちのリーダー(統率者)というより、代表というか学級委員?
(適切な表現が思いつかぬ)
この前見た月組『ベルサイユのばら~オスカルとアンドレ編』のアランと違い、
隊員たちは、オスカル隊長に従っていた。(月の衛兵隊は星条アランに心酔し従ってた)
このアランは隊員達の心境を取りまとめ、代表として上層部?に訴える立場に感じた。
荒くれアランのイメージからすれば、ちょっと弱かったのね。
原作のアランは、月のアランに近かったように記憶しているので、まあこれも
新しいアラン像かもしれない。(アラン主役は御免蒙りたいので、控えめな方がいいや。)


プロバンス伯爵(奏乃
冒頭から目立つ目立つ。なんか意地悪な物言いが多くて、兄を陥れ王座を狙ってる!
というのがよく分かりました。後のルイ18世ですもんね。本当に王座を奪っちゃった人。
1幕ラストのフェルゼン帰国報告を利用した、王と王妃への鋭い詰問には、
「異端審問長官、再び・・・?」と思い出してしまいました(笑)
ああ、この方が王位を継ぐ兄なら、フランスの運命も(世界史も)違う結末だったかも。
しかも、2幕には市民として三色旗を振ってらっしゃる。あんなに目立つ人をこんなに
目立つ2役で使うとは!と驚きましたわ。まあ革命を利用して兄から王座を奪った方
なので、街で三色旗を振って民衆を煽るのは当然かもしれない。
主要な役(5名)以外では、一番の活躍ぶりでは? 
専科のオジサマたちの説明台詞のお相手を一手に引き受けていましたが、やはり上手い。
この方も無くてはならない名脇役者だと思います。


ブイエ将軍(箙
本作品では、プロバンス伯爵と組んだ悪役。伯爵同様、悪辣な台詞が多いんだけど。
なんか・・今回台詞回しが平坦すぎて、この方こんなに棒だっけ?と驚いてしまいました。
たとえが変だけど、NHK大河ドラマ『風林火山』の緒方拳さんを見たときの印象と同じ。
「いったいどうしたの?」ってことです。
ごめんなさいだけど、これなら専科さんに出ていただかなくて組子にして欲しかった。
蓮城さんで見たかったなあ>髭が似合うし貫禄あるもの。蓮城さんの悪役って好み。


メルシー伯(汝鳥
オーストリアから付いて来たお目付け役。ほとんど役に立たず・・って人(ごめん)
慈愛に溢れ、真剣に心からアントワネットの事を心配して助言し教唆してきた方。
だからアントワネットにうっとおしく思われて敬遠され・・役目を果たせなかった。
このメルシー伯爵はイメージ通り。とても良かったです。
今回3人の専科さんがご出演ですが、納得したのはメルシー伯爵だけでした。

あとね。メルシー伯爵って、パリのフェルゼン邸に窓からこっそり入ってくるのだけど、
私はものすっごっく驚きました。だって、貴族の屋敷に、しかも当主がくつろぐ居間に、
フランス窓からよっこらしょっとガラス戸をあけて、ふらりと入ってくるのよ~
ご老体が!!一人で! ・・・これを見て、ああパリも末期なんだって思いました(笑)。
意外と行動力ありますね。。。もっと早く動けばよかったのに。


ルイ16世(磯野
アントワネット様の夫ですが・・確かアントワネットより1つか2つ年上だったはず。
なのに、このルイ16世は親子ほど違う。お祖父様と孫娘といってもいいくらい。
だから妻とフェルゼンとの恋も「娘のようなもんだから、妻の恋愛も許してあげるよ」と
いう雰囲気が漂っている。なんか疲れて達観して、枯れてる・・・・年寄そのもの。
原作のルイ16世って、今で言うオタクだけどいい人だし、社交的な美人を妻にして
戸惑う内気な若者というところに共感でき、最後アントワネットといい夫婦になるのが
良かったのに。このルイは余りに年齢が離れすぎて、ものすごい違和感。
こちらは香稜さんで見たかった。原作の雰囲気が出たと思うの。
最後なのに・・というなら、メルシー伯爵にしていただき、専科お一人でよかった。


あとはオスカルの姉オルタンス(大湖)が余りに美しいお姉さまで驚き。
オスカルも美女なので、美人姉妹ですね。今回父はでてませんな。
あとはフェルゼンの妹ソフィア(夢華)ですが、妹というよりお姉さまみたいに
しっかりしている。まあ兄があんなならしっかりするわな・・姉設定でもよかったかも。
ちょっと痩せて可愛くなりましたね。エトワールも美しい声でした。今回が初抜擢なら
素直に見ることができるのに(と毎回言ってるな:笑)。

2幕冒頭のスウェーデンの花祭りで「蓮城さん、香稜さん、此花さん、透水さん」が
踊っているのを見て、こんだけしか出番が・・と残念でなりませんでした。
あとBJで感動した桃花さんはどこにいるか分からず、真那さんも、帆風さんも同様。
(まあ今日はアンドレ中心に見てたけど。でもそんなに出番無いから他も見てた。)

どこにいるか分からずといえば、ランベスク公爵。出番、1幕しかない?しかも2場面?
これ・・・役代わりの未涼さん、これだけ? 鳳翔さんだって、衛兵隊のもう1役で
プログラムに載ってるくらいなのに。こんなのあり?なんかね・・・。


<フィナーレ>
というか初舞台生ロケット。初舞台生のロケットは、大抵素晴らしく凝っているもの!
と思っていました。今回は・・なんか簡単そうに見える。いつも3グループぐらいに
分かれて、くるくる回ったり、飛んだりはねたり、難しい技を披露したり・・と
見せ場があるのに、無い。脚上げも少ない。中村B先生のショーのほうがずっと多いぞ。
若さ溌剌!生き生きひたむき!が売り物の初舞台生ロケットなのに。なんか・・
達成感が薄いわ(見ているだけだけど)。時間も短く感じる。幕前説明芝居を削って
ロケットに回してあげればいいのに。

オマージュは良かったです。
でも一緒に行った人(『仮面の男/RSF』『ドン・カルロス/Shining Rhythm』を見た)は、
「最後の黒燕尾は良かったけど、前(パダムパダム)のときはもっと凄かった」と
言う感想でした。私も同感。今回振り付けが全然凝ってないのね。
彼女は、今回は感想は言葉少なで・・「原作読み直したくなっちゃった」だってさ。
違うって言いたいんでしょ~分かるわよ、まったく同意。
前回はあんなに(『仮面』のときですら)「凄い」とか「面白かった」と具体的に
感想と感動を語ってくれたのに。今回は「衣装が豪華ね」しかなかった。
あと大羽根が無いのも、彼女の中では低評価なポイントだったようだ。
やっぱりショー付きがいいね。
とりあえず『宝塚のベルばら見たって言えるね』と、御朱印帳集めで、御朱印がないと
なんか物足りない定番神社かお寺にいったかののような言葉が飛び交ったのであった。



<その他フランス革命の舞台化提案>
『ベルサイユのばら』を見つつ、アランとベルナールの会話に「このあと、彼らの
なかからショーブランやマルグリットが出てくるんだよなあ」って思いました。
一場面が長くてゆったりしているから、思考が飛びまくり(苦笑)
舞台を見ながら、先行きをいろいろ考えてしまいましたわ。
で、どうせやるなら『アントワネットの恋人(ウィーンの密使)』(藤本ひとみ)を
やればいいのにと思い・・。あれ、かなりカッコいいぞ。同じ時代だしね。
(そういえば、あの作品のフェルゼン像は、まさに本作品のフェルゼンそのままだ!)
それより『聖戦ヴァンデ』が面白かったなあ、あれも主役は男3人だし、美形だし、
宝塚化いいんじゃない~ああ途中と結末悲惨すぎるか~とか。思い馳せすぎ(笑)
ヴァンデの主役アンリは明日海さんのイメージかな。
雪なら、やっぱり海洋冒険モノがいいね。『キャプテン・レッド』(藤田貴美)がいいな。
レッド=壮さん、ブラック=未涼さん、ホワイト=早霧さん。わ~似合いそう。
妹姫が愛加さん、姉姫が大湖さん。おおばっちり。小劇場でも良いけど、見たいぞ。
・・・って何逃避してんのよ>私。

あと3回見に行く予定。
行け行けフェルゼンと、凛々しいオスカルと、包容力のアンドレと、熱いジェローデルと
哀愁のアントワネットを見に行きますわ。役代わり版もちょっと気になるし・・。

ああ長く語ってしまった。やっぱりベルばら・・。

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いのっこ

ぐふっ・・・ごめんなさい。
えりあさんが、どんなお顔をしてこのレポ書いたのかと想像すると何だか楽しくて・・・・。きっと、脚本演出には思うところ富士山越えの高さでも、雪組さんの「場面」構築力の高さには感動されたんだろうなあ・・・って。

2回目観たときに思ったんです。
目の前の場面だけに集中しようって。話のつながりなんて(ましてや人物像なんて)考えまい!って。
そうすると、うるうる来ました。
次回は、さらに自分の好みに焦点化して観よっと!

今回もえりあさんのレポに溜飲が下がった思いです!
ありがとうございました。
by いのっこ (2013-04-22 23:12) 

えりあ

先にご覧になったんですよね~おっしゃるとおり、脚本演出には言いたいことがエベレストですわ(笑)
特に鈴木圭先生!!月組のときは仕事してたと思えたのに、今回は仕事してない・・「逆転裁判3」とか「戦国BASARA」とか、やりたいほうに行って、こっちを忘れたな~!!と思ってます。植田御大には、もう何も・・ひとことだけ、「勇退、ご決断ください」です。

雪はみんな力があると思います。本当に勿体無い。次回からは、場面場面を楽しみ、後ろまでじっくり見ようと思います。絶対、後ろに居るときはみんな小芝居しているはずだから。

超長文(A4 12枚!)、ご共感いただきありがとうございます。同意していただいて、私も溜飲が下がる思い。嬉しいです。


by えりあ (2013-04-23 22:39) 

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