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新歌舞伎座「陽だまりの樹」 [観劇感想(その他)]

2012年5月14日(月)
新歌舞伎座「陽だまりの樹」
12時 3階1列センター


原作は読んでいません。あらすじを看板で読んだだけで出かけました。
ポスターがとても素敵なので、「これは見たいなあ」と。(ポスター重要!)

ちょっと展開が遅いところもあったけれど、原作がしっかりしているのか
ストーリーが骨太でしっかりしたテーマがあり、共感できる。
主人公2名(医者と下級武士)のそれぞれに思い入れ出来る・・いいわ!
男の友情の物語ですね!こういうの、嵌ると(それぞれに共感できると)感動する。

二人から想われるお寺のお嬢さんがいたが、この人は演技がいまひとつでしたので
恋愛は於いといて(あまり無かったし)、男の友情話として堪能しました。

この作品、音楽が素晴らしく壮大でよかった。
音楽聴くだけで盛り上がれるほど。大志を表現するのに、音楽の効果も大きかった。
そしてラストシーンの桜吹雪が素晴らしい。なんと美しい。
カーテンコールもあり、舞台らしくて嬉しかった。







「陽だまりの樹」 原作:手塚治虫、脚本演出:樫田正剛


原作読んでないので何ですが、チラシのあらすじとちょっと違いました(笑)
二人の出会いのところ。まあ些細なことらしいので、どうでもいいです。
とにかく二人が偶然出会って・・というのが大事で、実は恋敵ってことで、
日本の行く末を考える立場が違う二人が、それぞれの考えるところを理解し、
それぞれが出来ることに力を尽くし、やがて激動の時代へ・・と言う話。

良作♪ テーマがイイ。2人の男の描き方がイイ。ふたりがイイ男なんだよね。
だから惹かれる。思想に共感する。行動に感動する。
W主演の扱いだったけど、主役は手塚良庵で、超強力な2番手が伊武谷。
手塚良庵が3枚目風で、伊武谷がバリバリ2枚目風の役作りだから、難しいけど。
もちろん3枚目でもとってもいい男でカッコいい!2枚目のほうは言うまでもなく。
3番手は勝先生!凄くイイ役で目立つ。手塚父もいい味出してたし、二人とも可愛い。
妻を亡くして自暴自棄で雇われ刺客になった方も、若手筆頭と言う感じで勢いがある。
敵役も明確であった。憎たらしいラスボス井伊直弼&漢方医の頭は二人それぞれの敵。
さらに敵側に与する玉屋の2代目のいやらしさ、エロい通訳の外人。
味方では、医者の弟子2名、幇間2名、通訳護衛2名とそれぞれ見せ場が有る。
結構役が多かった印象。出演者21名ほとんど役があったのでは?と思われる。


男はいい。だが。
周りにいる女が添え物っぽかったのが、やや残念。(まるで植田景子脚本のようだ^^;)
なんか「使い捨て」というと表現が悪いが、男が行動するための/決断するための
エピソードの道具扱いで、強烈な意志を感じる男たちに比べ、存在感が弱く感じたのかな。
二人から想われるお寺のお嬢さんがヒロインだけど・・・印象に薄い。
これは濃い演技の主役2人に霞んでしまった感じ。もっと印象に残る超美少女で
しっかりした演技の役者じゃないと難しいかも(そんな人いるのか^^;)
チラシではその対にあるのが、筆頭芸者の花影アリスさん。でてきた瞬間分かった。
なんか「猛き黄金の国」の紺野まひるさんに似てて・・所作は綺麗で美人だ。
ヒロインのお嬢さんは伊武谷寄りなので、芸者アリスが手塚寄りかと思ったが。
ラストシーン近くでは「おお?!」と思ったけど、それ以上何もなかったので残念。
この芸者が、男みたいに強い意志を持って生きていたら、もっと面白かったのに。
他の芸者さん2名もとってもいい役をしていたし、重要だった。
芸者3人とっても良かったのに、書き込み方が少なかったのかな~。


大変ヅカファン的発想で恐縮ですが、W主演のバウかDCが似合いそうだが、
本公演でもOK(登場人物多いから)、植田景子脚本でやればいいな~と思った。
男の友情モノですが、ここは正塚先生ではなく景子先生で華やかに萌えたい。



<手塚良庵>(上川隆也)
カッコいい!手塚家は代々医者なのですな(と今更なことをスミマセン)
命を預る医者の使命が良く表現されていた。熱い男だ。己に正直と言うか素直と言うか(笑)
男にも惚れる女好き。人間が好きなのね、と思う。強い人なんだな。こういう男、好きだ。
ただ・・あんなに芸者遊びしながら、本命は清楚なお寺の娘というのは、
なんだか許せんものがあるな(怒)。それ以外は大変好人物でした。
上川さん、台詞の声がよく通る。とても聞き取りやすいの。動作も大きいから3階から
見ていてもはっきり分かる。父とアドリブ入れまくってたり、楽しい役でした。
カッコいいし、上手い役者さんだなあ~と思います。


<伊武谷万二郎>(吉川晃司)
無骨で愚直な下級武士・伊武谷万二郎様。ひょんなことから手塚良庵と関わったばかりに、
いろいろと大変な目にあいますが、それで目覚めたこともあり。
ちょっと人生変わったりしました。基本、不器用です。
こういう寡黙なカッコいいサムライに、女は弱いのだな。特にお嬢さんは。
最終的には悲劇に突っ込んでしまいましたが(やっぱり不器用)、イイ男でした。
吉川さんは舞台で始めて見たような気がする。立ち姿や殺陣はカッコいい。腕が綺麗。
ただ台詞が聞き取りにくくて参った。ぼそぼそ話す台詞が多いんだと思うけど、
ぼそぼそでもこっそりでもひそひそでも、3階で聞き手取れる役者さんもいるから、
ぜひとも頑張っていただきたく思います。
台詞が通らないと、3階で見てると表情全部拾えないから、話に付いていけなくなるの(泣)


以下、プログラム買ってないので、チラシの写真で推察しました。役名も記憶頼り。
違ってたらごめんなさい。


勝海舟(瀬下尚人)
勝先生・・・軽い、軽いわ!とっても軽く日本の未来を見据えている人。
幕臣なのにこのくらい柔軟な人で無いと、あの時代の舵取りは難しいのかなと思わせる。
重要場面で、重要台詞をさらっと話して去っていく。
と思えば、主役二人を前に、舞台奥から幕府内の話を暴露する。すごいオジサマでした。
この役者さんも声が通る。軽くて薄っぺらいのに、重みのある内容。難しいのによく・・。
日本の未来は明るい!と、手塚先生と勝先生の存在でそう思えました。


雇われ剣客のお侍(岡本健一)
蘭方医の失敗によって、妻子を亡くした方。恨み骨髄。死に場所探してたんですね。
なまじ剣の腕が立ったのか、雇われ刺客として生きてしまいました。
この人も人間の弱さ、小ささ、哀しいところが見えて、ただの悪役ではなかった。
主役二人の意志に影響を与える存在でした。顔もいいし、立ちまわりもきれいでしたわ。


手塚お父さん(石蔵三郎)
お父さん!!!「この親にしてあの息子あり。」を地で行くような関係でした(笑)
ここの診療所、楽しそう。しょっちゅう宴会あるし(笑)金回りいいのか?
上川さんとのぐだぐだのアドリブがあって、会場大爆笑でした。いいねえお父さん。
ちょっと台詞聞こえないときもあったのが残念です。


おせき(高野志保)
ヒロインなのに、幼な過ぎたのが残念。もっと大人の美女設定でもいいのでは?
しっかりしたお寺のお嬢さんなら、違う展開もあったような気がする。
この子が子ども過ぎて弱すぎた。強烈な主役2名に挟まれるには余りに弱い。
ま、現実にはあの時代にいた普通の少女像なのかなと思います。
私の好みではなかったです、スミマセン。


芸者・浮舟(花影アリス)
筆頭芸者で、いつも「しーっ!」とでてくるお姐さん。首が細くて芸者衣装が似合う。
小さくて可愛いイメージのある方でしたが、すっかりお姐さんですねえ。
この役ももっと強い女なら(芸者なんだしさ)、展開が違ったと思うのだわ。
大人しくて綺麗なだけの、花を添えるだけの存在だったのが残念。
2幕の終盤、普通の着物で診療所に来たときは、「おお、来るか」と期待したけど、
来なかった。言われるがままお手伝いして終わった・・・実に残念だ。
もっと手塚先生を押してあげて欲しかった。女の立場から伊武谷さんを諌めて欲しかった。
花影さん、声が弱い。姐さん芸者なんだから、もっとドスの効いた声のほうが好み。
声はやっぱり可愛らしかった・・・。


玉屋の二代目
いやらしいエロエロ若旦那。この時代、一番強いのが豪商だもんね。
倒れる寸前の「陽だまりの樹」に与するとは、先見の明が無い(笑)
三野村利左衛門(三井財閥)やら岩崎弥太郎(三菱財閥)をごらんよ(っと違う話だ)
金の力で幕閣を支配し、国の将来を考えず自分のエロい望みを達するとは、
潔いほどのヤな奴だ。この粘着質の演技がたまらなく上手かった。
「なよなよ」という形容詞がぴったり。しかも弱い。お約束だ。素晴らしいぞ!


通訳の外人ヒュースケン氏
誰かわからない・・が日本人だった。ええけどさ。(ヒュースケって聞こえて、
最初「ふうん飛雄介、日本名があるのだな」と思ってしまった・・わーん、ばか~)。
ほんとの外人連れてきたらいいのにとちょっと思ったのでした。
なんか「うそ臭い外人」そのままで笑っちまう(^^;)
エロ通訳は最初から「女くれ~」と騒いでいるから、芸者を連れて行ってあげたら
良かったのに・・・と思ったが、この時代の芸者も断るだろうし、そこを何とか!
で国のために身をささげる覚悟をする芸者ってあったら、また面白い展開だったのにね。
芸者役の女役者さんたちも生きたのに。惜しい、実に惜しい展開だ。
・・・あまりに我慢させるから、あんな事になるんだよ>伊武谷さん。
とか思ってしまいました。スミマセン。



こんな感じ。端の端まで役が付いてて、見せ場があって。本当に楽しかった。
2時間半、たっぷり楽しみましたわ。暗転の多さと暗転時間の長さは、
「新歌舞伎座だし・・」とやや慣れてきました。「忠臣蔵」よりずっと早いし。
それに暗転の間、あの壮大な音楽が流れているから、ここは音楽を堪能する時間と
割り切って楽しんでいた。音楽が凄くいいんだわ!


<音楽!!>
今回凄く印象的で、壮大で盛り上がる音楽だった。サントラ欲しい!と思うほど。
帰ってチラシ見たら「音楽:玉麻尚一」とあった。やはり!好きです、玉麻先生。
本気でサントラ欲しいよ~音楽配信とか玉麻曲集CDがほしいわ。


<ポスターの効果>
新歌舞伎座は駅から家までの途中にあるので、看板やポスターは毎日目にする。
だから「おお!」と目を引くポスターは、しっかりみる。
3ヶ月先の公演までポスター(あるいは看板)があるので、目に入る。
やっぱりちょっと凝った芸術性の高いポスターは、立ち止まっている人が多い。
私もじっくりと見たりして・・で、いつ行こうかな~と考える。
やっぱりポスター重要だわ。今回の「陽だまりの樹」や8月の「十三人の刺客」は
凄く目を惹く。柱いっぱいの巨大ポスターにしたときに、カッコいいのだ!
おばさんもおじさんも、おばあさんもおじいさんも、高校生も立ち止まって見る。
逆によくある歌謡ショーっぽいゴテゴテポスターはあまり関心を惹かない気がする。
天童よしみさんのときはお芝居をメインにしたすっきりしたポスターがいい感じでした。
・・・とまあ、ポスターを見て「見る見ない」を決める人も多そうなので、私にとっては
ポスターの出来が観劇回数に関係しない宝塚も頑張ってほしいなあと思うのでした。


<今回の客層年齢>
今回の客層は、いつもよりやや若い、4~50代が多いって感じでした。
ちょっとおしゃれな感じのご婦人が多かった印象。3階も結構埋まっていた。
楽屋待ちしている人も(気候もいいし)多い気がする。比較的若い人が多い。
(家に帰るには楽屋口の前を通るので、心ならずも日々観察しているのだ(^^:)
やっぱり、上川&吉川ってカッコいいよね~♪


<カーテンコール>
今日は1回公演だったからか、3回もありました。
桜吹雪の素晴らしいラストシーンのあと、舞台に貯まった濃桃色の花びらが積雪のよう。
出演者が挨拶して通るので、逆T字に足跡道ができる(笑)。3階から良く見えました。

上川さんが「20日までやってますから、また来てね」みたいな挨拶をされ、
ふたりで「どん」「ぴよん」をやってました(芝居を見たら分かる:笑)

ラストに吉川さんが、お辞儀を早めに切り上げて手を振ってたら
上川さんに「こらっお辞儀しなさい!」とたしなめられてて(笑:可愛いわ)
でも上川さん、3階の私は吉川さんが上向いて手を振ってくれて嬉しかったの~。
みんなお辞儀してたら、頭の後ろしか見えんのよ(苦笑)
だから、芸者花影さんのうなじばっかり見てました。

フィナーレ(一人ずつ挨拶)とカーテンコールがあるのは嬉しいな。
これでお芝居おわり!あ~満足♪って思えるから。

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コメント 2

hanihani

上川&吉川だもんね~

私も観たかったです。

で、瀬下さんも誉めてくれて嬉しいです。

コンボイからの長い付き合いのある方でして・・・

近頃コンボイにめっきりいかなくなってしまいましたが。

宝塚につぎ込みすぎなのと、コンボイなのにお値段が高くなりすぎでして。

ファンクラブ会員でコンサートも満員って

どこのジャニだよと。

秋は「中村美津子」公演ご一緒しましょう(笑)
by hanihani (2012-05-21 10:47) 

えりあ

hanihaniさん

こんばんは。格好良かったですよ~
千秋楽の日の出待ちは、若い女性がいっぱいの凄い人だかりでした。

コンボイは噂には聞いていますが、一度も機会がなく・・
とてもお芝居の上手い方でした。空気を作るのが上手いのかな?

新歌舞伎座ラインナップも、かなり楽しいですね!
by えりあ (2012-05-21 19:55) 

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