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宙組「Never Say Goodbye」観劇感想 [観劇感想(宝塚)]

2006年4月28日(土)宝塚大劇場1階22列センター

久しぶりの大劇場、そして雪組時代からずっと見てきた和央さんと花總さんの退団公演。
よかった。ものすごくよかった。もう一回みたいけれどチケット無理そう・・。

<素晴らしかった!>
*まずストーリーに説得力があり、ほとんど破綻がない。
*音楽が力強く繊細に美しく
*群集が(宝塚でも久しぶりの群集!!)美しく踊る
*登場人物が生きている。格好いい(容姿もだけど生き方がね)

この4つが揃えばもう言うことないですね。全編歌ということで、ちょっと心配していた方(そうタニちゃん^^;)もなんと「上手に」聞こえたほどの出来上がり。最近宙組は登場人物が少ないような気がしていましたが、結構スターがいるじゃないですか。
演目自体は、『レ・ミゼラブル』を思い出した(←最高に褒めてる)。これ、東宝で本当の男性でやっても成功しそうだと思う。というか、ぜひ観たい。宝塚のあとは、ぜひ東宝へお願いします。

<不満な点>
*退団公演なのに(しかもこんな長期コンビ)、その余韻に浸れるところがなかった。
→主演した作品の主題歌だけで「さよならショー」が3時間くらいできるトップコンビなので、普通のショーならそういう心配りがあるだろうなあ~と思うと、ちと残念。この演目では難しいよね。それは納得してる。ちょっと書いただけ。
*退団公演なのに、次期トップが出演していない。
→上で書いたことと一緒だけど、「宝塚らしさ」が、ないのですよね。古いファンの言うことかもしれないけど、「このトップさんでこんな公演あったね、あの時は・・・・(感動も一緒に思い出す)、そして次はこの人へと受け継がれるのね!(感動と期待→続けて応援するわよ!)」というのが、最近の宝塚から消えてしまった。
なんか、全然違う組から縁のない「落下傘トップ」というものができてしまい、それが主流なのかも?というくらい。組がえしてからトップというのは、とてもいいことだと思う。でも「せめて2番手からは組配属しておいてほしい!!」―――違和感あるから。
今回だって、普通に見てれば「次は、タニちゃん(大和)トップであひるちゃん(遼河)2番手、るいるい(紫城)娘トップなのね。」と思える布陣である。合っているのはるいるいだけ?
それでなくても組み替えやら特出が多くて、誰がどの組なのか覚えにくいんだから、せめてトップと2番手くらいはなんとか組固定して欲しいです。

ではストーリーに戻り。敬称略です。

<ジョルジュ(和央)>
自分の生きる場所を探していた有能なカメラマン。ちゃんと過去も語られ、現在の生き様が理解できる。なぜパリでカメラマンをしていたか、なぜハリウッドへきたか、なぜスペイン内戦に身を投じ、命を懸けたか。人物が見え、彼に共感できた。
最後によい役が回ってきて本当によかった。雪組の若いころから見ているので、ダンスの人というイメージがあったのだけど、芝居も歌も素晴らしかった。最後にダンスがあまり踊れなくて残念でしたが、それを上回る「よい作品」「よい人物」にめぐり合えて、和央さんの代表作になるジョルジュだったと思います。主人公的には正塚作品ぽい・・でも小池先生でよかった。探し方が積極的だから(演出も小池演出の方が好き^^;華やかだもん)
和央さんで印象に残ってる役は、意外だけど「アリスの招待状」。コミカルな役がうまい人だったのに、トップになってからはシリアスばっかりだったなあ。1つくらいコメディ観たかった。あとエルマーも歴代で一番印象に残ってる。

<キャサリン(花總)>
アメリカの結構いい家に生まれて、そこそこ努力しまじめで才能のある女性シナリオライター。こちらも直接は語ってなかったけれど、生い立ちが見える設定で、花總さんの生真面目なところが似合っていたと思う。(個人的には花ちゃんは「歴史の転換点にいる高貴な女性」役が好きですが。)アメリカにいるときは生意気で嫌な感じがしていたのですが、スペインに行き、内戦の中でとても成長していく。最後は本当に「強い」女性になりアメリカへ戻っていった。再婚せずひとりで子供を育てて、社会的な活動をしたのでしょうね。
花ちゃんの声質は、この役にあってないと思う・・・というより、今回あまり宝塚チックな声が求められない舞台、いわば「外」の舞台みたいな感じでしたので、宝塚娘役の声が美しい花總さんには、つらかったのかな。「ナターシャ」のときも思ったけれど、地声の歌がきれいじゃなくて、裏声?(作り声?)の歌が本当に美しい声だから。今回は娘役でも地声に近い歌い方をしていたように思えた。ま、最後の役が合わなくても、代表作が多い人なので(笑)大丈夫です。
私の花ちゃんベストは、1位:雪エリザ、2位:メルトゥイュ夫人(仮面のロマネスク)、3位:宙マリーアントワネット、ですね。次が額田女王とライラ(二人だけの戦場)かな。
今回和央さんがあまり踊れなくて、昔々「歌い上げる一路さんの周りでくるくる回ったり反ったりして踊っていた花ちゃん」を思い出し、少しだけ懐しくなりました。
ところで、孫娘も2役やってたけど、全然必要性がないのでは? 孫娘は花影アリスちゃんにでもやらせてあげればいいのにと思った(似てるし)。

<ヴィセント(大和)>
バルセロナ出身のマタドール。自分の故郷を守るためマタドールを捨て、武器を取る。
とても情熱的なスペイン男で、好感の持てる人物でした。人間的な強さも弱さも出ていたし。チンピラ以外の役ではじめて、大和さんを「素敵!」と思いました(失礼でごめんね)
そして最大のネックだった歌(重ね重ねごめん)、それが今回「気にならない」と通り越し「うまいやん」と思える域に!! 素晴らしい。歌があっていたのか、声量があることもあいまって素晴らしくはっきりと力強く聞けた。もうあなたの歌を心配するのはやめますね。(「エルドラード」のエトワールから、「ノバボサノバ」のルーア神父やら・・忘れられないけど、これからは安心していいですね!)←これでも応援しているつもり(^^;)誰か旧月からトップになって欲しいの(わがままな願いだけど、あの組色をもう一度・・)。

<アギラール(遼河)>
PSUCの幹部。唯一の悪役(ファシストが出てこないから)。スペインをファシストから守る!とかいいつつ、私利私欲に走っている権力の権化みたいな人。こういう人が権力もつと、恐怖政治になるのですね。という見本のようでした。恐怖による支配は、裏切りをもたらすもんです。大変ためになる教訓ですね。
あひるちゃん、なんて成長して!素晴らしくカッコイイ。黒い役がこんなにできるなんて。歌もよかった。昔よく新人公演で成瀬さんの役をやっていたので、お茶会でよく見かけ、その後も気になっていた人(結構好みのタイプだし)。今回おいしい役だったと思う。それを見事おいしく料理していた。もう押しも押されぬスターさんですね!

<エレン(紫城)>
ハリウッドの有名女優。恋人(ジョルジュ)と一緒に映画ロケの下見(兼観光)でスペインへやってきて、破局してしまったちょっと可哀想な人。
女優のプライドとアメリカ人の立場(スペイン内戦は他人事)が、彼女に表現されていた。
るいるい、アニメ声でなくなっている・・・。私がよく覚えているのは「プロヴァンス(紫吹さん主演のDC)」の青年将校があまりにかわいくて士官学校に入りたての少年にしか見えなかったこと、「Blue Moon Blue」のショーで女装して真琴さんと組んだのが可愛かったこと。娘役転向は大成功ですね。背の高い娘役は迫力がでるので、結構好き。アニメ声が気になっていたんだけれど、今回それがなくなっていたので嬉しい。
なんか書いていて、大和さん、遼河さん、るいるいとみんな私がよく見ていたころの月組にいた人じゃないか・・・と気づいた。だから観ていて違和感ないのかもしれないなあ。美郷さんや立さんもいたしね。

主要人物まで書いて、すでにこの長文。その他にも印象に残った人はいたのですが・・

いろいろと見所が多く、群集の場面がとても迫力があってよかったです。何度か「レミゼ」を思い出したくらいです。曲も最高、歌もいい、テーマもいい(衣装代もあまりかからなそうだし:笑)、東宝で再演して欲しい演目です。ぜひぜひ。


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コメント 2

アール

宙組レポ、ありがとうございます(^_-)-☆
作品的には良かったが、
宝塚ファン的には「さよなら度が低い」のかしら?

>古いファンの言うことかもしれないけど
私も「昔はね…」と語ってみたりしちゃいがちではありますが

なんでも昔が良いとは限らない
だからと言って、なんでも新しければよいとも限らない。
「良いところは古くても残して、
駄目なところは変えて新しくする」

今の歌劇団とファンの考える
「残すべきところ」「変えるべきところ」のギャップが
どんどん広がっているように思えるアールであります。

私が東京で観る時に宙組の公演は
どこか変わっていたりするのでしょうか?
by アール (2006-05-01 00:17) 

えりあ

アールさん
ありがと~♪ 作品はよかったよ~♪

昔のいいところは残しておいてほしいのだけど・・
ほんとうにおっしゃるとおり「残す」「変える」の選択がファンの望みと
ずれているような気がしてなりません。まったく同感。

東京公演も見に行きたいけれど、大劇場の平日で立ち見出ているくらい
だから、無理そう・・東京ご覧になったら教えてください。
by えりあ (2006-05-02 14:07) 

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