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OSK「レビューin Kyoto」2022京都四條南座 [観劇感想(OSK)]

OSK「レビューin Kyoto」2022京都四條南座
京都四條南座
2022年7月10日(日)11時:2階7列、15時:3階1列
2022年7月13日(水)11時:1階2列

第一部『ミュージカルロマン 陰陽師』
OSKの久しぶりのお芝居なのでとても楽しみにしていました。
「陰陽師」です。OSKでは定番らしいけど見たことが無いと思うので。
ちゃんとお芝居で良かった!楊さんはイケメンで人間味ある清明だし、
翼さんの親友感がいい。敵役の登堂さんと椿さんが上手い。すごく上手い。
娘役ダブルキャストも4人全部見れた。それぞれ良かった。
私の好みは、舞美いばら姫と唯城密虫かな。

第二部『INFINITY』
ショーは松竹座以来ですが、やっぱり荻田ショーは歌劇らしくて良いですね。
楊さんのダンスは素敵だし、翼さんが歌いまくりでいい声してました。舞美さんの美脚や、愛瀬さんの渋い歌声、椿さんと壱弥さんの絶品デュエットと楽しませていただきました。

202207南座陰陽師ミニ.jpg

OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビューin Kyoto」
第一部『ミュージカルロマン 陰陽師』:原作 夢枕獏「陰陽師」シリーズ(文藝春秋刊)より
作・演出 北林佐和子
第二部『INFINITY』:作・演出 荻田浩一


『ミュージカルロマン 陰陽師』

私は原作も読んでないし、3月に同じ南座で同じ原作の『陰陽師 生成り姫』公演も見てない。安倍晴明の話は知っていたのですが、いろいろなバージョンがあるようですね。
今回は、W主演のような演目。
清明と蜜虫、博雅と茨姫。この2組が軸で動くイメージ。基本、男の友情がメインですが、ヒロインの茨姫を愛する博雅(激しい)、そして密虫を愛でる清明(薄め)の関係が描かれている。面白いのは、トップの相手役が2番手?娘役で、2番手の相手役がトップ娘役。ヒロインはどちらもWキャスト。そこに、ヒロイン茨姫の兄・酒呑童子とその首魁である蘆屋道満が絡んでくる。やがて政権を握る藤原道長や、古参の式神を動かし、主要キャスト全員が成長していくラストに向かう。全員が成長しているところが凄い。たった60分で、なんと良くまとまっている脚本だ。
衣装は異世界風(特に鬼さんチーム)で、ちょっとゲーム世界のよう。演出や構成、照明はとても素晴らしかった。これは良い作品、もっと見たい。


安倍晴明(楊琳)
陰陽師。陰陽寮の長官。冷徹で人嫌いの陰陽師なんだけど、式神といるときは、楊さんらしく人間味があって暖かさを感じる。人間の友達がいない彼に、やっと友達ができる!と不安で心配しつつ喜ぶ本人(清明)と、手放しで喜ぶ母のような常盤。その友人・博雅に術を使って式神を作って見せたり(超嬉しそう)、面倒ごとを助けてあげたり(実は自分への恨みが発端だったが)。喜怒哀楽が顔に出る素直な博雅のストレートな反応と、その反応にツンデレな対応をする清明。とてもキュンキュンする二人の関係だ。常盤がお母さん気分になるのもわかる。二人を見るときは、母気分の常盤に感情移入してみていた。
蘆屋道満との対決を経て、茨姫の件を解決し、二人はともに成長する。清明の闇が光になったというのは、清明が人間の感情を理解し手に入れたのでは?なんて思ったりした。
楊さん、灰緑がかった黒の長髪に白い衣装がかっこいい。ポスターの白髪より、濃い色のほうがずっと似合うと思う。なぜポスターもこちらにしなかった!?と問いたいくらい。
お芝居は凄く上手いし、歌も良いし、ダンスはもともと良いし、素敵なトップさんになられましたね。


源博雅(翼和希)
帝の血を引く貴族。笛の名手らしい。平安貴族(しかも高位)なのにストレートな性格で、思ったことが顔に言葉にすぐ出る。だから清明が惹かれる。星が何の生まれが何のと言ってたけどそれは声をかける切っ掛けで、結局、博雅の性格に惹かれているように見えた。
その博雅が一目ぼれしたのが茨姫。彼は影がありながらも明るい性格の良い人が好みなのだろう。茨姫も清明もこのタイプ。相思相愛ながら、いろいろ絡んで悲恋に終わる。悲恋といいつつ、「彼女は幸せに天に上った」と清明に感謝できる心の広さ、公正さ。イイ男ですね。そりゃみんな惚れるわ。
翼さん、すごいお芝居上手い。声の出し方が素晴らしい。歌が上手いのは知ってたけど、芝居の台詞声の素晴らしさ。よく通り良く感情が分かる。平安貴族衣装もお似合いで、かっこよかったです。


茨姫=茨木童子(舞美りら/千咲えみ)
鬼の首領である兄妹の妹。主義主張のために蘆屋道満と手を組み鬼になる。だが完全にそれが正しい行動とは思ってないようで、悩みや迷いが見える。そこへまっすぐな博雅と出会い一目惚れ。結局、彼のおかげで(清明の力で)本懐を遂げることが出来、成仏できた。
とても可愛らしい娘さんで、情もあり(全然鬼らしくない)心が揺れているのが分かりやすい。
舞美いばら姫は黒髪ストレートで凛々しさもあり、酒呑童子の前では姉っぽくも感じる。しっかりして、兄を叱咤激励する感じがあるのだな。恋心もかなり情熱的で、動きが激しくてかっこよかった。似た者兄妹という感じ。
千咲いばら姫は、くるくる黒髪で可愛らしさが強いめ。兄を心配する妹という感じが強いような気がした。恋も控えめで、兄の信念のために恋は断ち切らなくては!と思っているのがわかる感じ。でも隠し切れない情熱を博雅に引き出されたように見えた。

蜜虫(実花もも/唯城ありす)
藤の花の式神。清明が創った。生まれたときからとっても可愛がっている。博雅と出会い楽しい気持ちで創った式神だからか、素直で愛らしくて明るくて可愛らしい。だから余計に清明も可愛いんだろうね。博雅の影響を受けたのか、正義感も強く、博雅が大事にしている(=清明にとっても大事)な道長を守るために力を尽くして消えてしまう。清明は止めたけど、そこで止まらないからこそ、蜜虫が可愛かったんでしょうね。
実花蜜虫は、割としっかりしていて式神としても有能そう。清明の式神として役に立とうとしている感じかな。唯城密虫はただひたすら愛らしい。清明が悲しむのが嫌だからつい身体が先に動いてしまったという雰囲気。
どちらも健気で可愛いので、清明もそりゃ可愛いでしょうって思いました。見た目は唯城さんのほうが好み。あの紫の衣装が似合ってました。

酒呑童子(椿りょう)
茨姫の兄で、蘆屋道満と組んで世直しをして、一族の居場所をこの国に作ろうとしている。間違った?騙された?革命家なのかな。素直そうだから、蘆屋さんからしたら簡単に手玉にとれたんでしょうねえ。自分でも薄々気づいたから、酒浸りになったのかもしれない。間違いを認められないタイプか。配下の手前はかなり気丈にしているし、信頼も厚そう。妹の前だけ、ちょっと弱音を吐いてる。妹が大好きで、第一義には妹のための革命闘争なのかな~って思った。しっかり者の妹も、お兄ちゃん大好き妹も、どちらにもいいお兄ちゃんしてました。椿さんて、どちらにとっても下級生なのに凄いですね。声もいいし、歌もいい。動きも鬼らしく不自然な動きもあって(魂取られてるから、ままならないのかな)人外感が良い感じでした。長身に大槍が映えますね。

蘆屋道満(登堂結斗)
清明に陰陽寮長官を取られたのが大変悔しそう。そのために鬼の兄妹を唆して、転覆計画を練り実行に移す。実力は大変あるようですが、執念深くて陰気。根暗ですな。実は(根がまっすぐな)酒呑童子は彼が嫌いだったのでは?と思う節もある。もちろん道満には「好きな人」なんて居ないので、酒呑童子も嫌いでしょう。そんな考えで行動するから、最後にはすべての人から敵認定されてました。
登堂さん、すごい迫力。上手い。台詞の声がイイ。間がイイ。ほとんど動かないのに、このラスボス感。裾が長い動きにくそうな衣装が大変お似合い。やっぱり芝居の人ですね。今回の助演男優賞だ。

藤原道長(愛瀬光)
道長さまがまだ天下を取ってない時代の話。ですがすでに貫禄十分。人情もあり良い政治をしそうな気配を感じる。声も態度も落ち着いていて、頼れる感がバシバシ出ている。
最後に、茨姫や鬼一族を救ったのは、彼の言葉。それを導き出したのは、博雅の熱意と、清明の術。道長さまも懐の大きな方でした。
愛瀬さんはこういう高貴で有能な方の雰囲気が実に上手い。おっとり穏やかにしているのに、迫力(気迫?圧力?)を感じるなんて。辞めないで欲しかった。こういう方には長く居て欲しい。お芝居の幅が広がり深みが出るから。

倫子(遥花ここ)
道長の正室。今回は最愛の妻という位置づけ。博雅の親戚なのね。相思相愛カップルがここにも!ってご夫婦でした。夫を思い行動するなど勇気もある。鬼に攫われたりと結構大変な目に合ってましたが、気丈でさすが道長の正妻。
遥花さんの退団。この方もおっとり奥様が似合う方でしたので、残念です。

常盤(城月れい)
松の式神。清明のお母さんみたいな感じで彼を見ている(と感じた)。彼女も清明が大好きなのだけど、お友達ができたときの喜び方や、彼がしっかり仕事をしているときの嬉しそうな表情からは、どうしても「母」が見えてしまって。小さい時から見ていたんでしょうねえって。一番感情移入してしまいましたわ。
城月さんの声。本当に式神のように透明で綺麗な声。「はい」という一言の台詞でも、人外の雰囲気が漂うとは。お姿も松の髪飾りが似合ってお綺麗です。

維摩(虹架路万)
文殊菩薩の使い。えーっと文殊菩薩ってローラーコースター?に載っているのでしょうか。常に携帯。そしてセリフが現代のチャラ男。「めんどくせー」が口癖。最初何を言っているかわからなくて???が飛んだ。虹架さん、声が高いの!よく若い娘役の声がキンキンして台詞が聞き取れないわ~ってなるのだけど、男役では初めての現象。超長生きの式神(人外)だからか、いつもよりかなり声が高いですよね。それでいつも通りの勢いで話されるので、最初台詞を聞き取るのが難しかった・・・。いや私の耳と相性が悪いってだけなんですが。
桐生さんを除く最上級生のはずですが、若いわ~可愛らしさを感じるほど若い。今回初めてOSKを見た方が「虹架路万さんっていう方がかっこいい!次のスター?」と聞いてきた。残念ながら今回で退団されるのと説明したら、ショックを受けていた。初見を堕とすショースターさんだ。もったいない。

雫(朝香櫻子)
水の式神。最後の決戦で清明が召喚する対ラスボスの最強の存在。配下が先に多数で踊り、豪華な着物でせり上がり。なんか宝塚の松本悠里先生を思い出させる登場方法だ。最後に出てきて、すべてを解決して去っていくすごい存在だし。さらには、清明が可愛がっていた大事な藤の式神を虹の式神にして返してあげた(切っ掛けいなったよね)。さすが朝香さん。この方、ヒロインからものすごく上手くベテラン専科に移行されましたね。


鬼チーム
酒呑童子の配下の鬼たち。ベースは黒に赤。衣装はゲーム調で異世界風のミニにロングブーツ&ヒラヒラする布過多な黒衣装だ。女鬼が穂香ちゃんと華蓮いろはちゃん。衣装がセクシーで動きがまたネチこいから、凄く魅力的。男鬼の天輝くんがリーダーっぽく、京我くんが身体能力の高い鬼さん。すごい動きをしている。翔馬くんと南星くんは見分けられなかった、ごめん。

道長お屋敷チーム
目立っていたのが、武士の壱弥さん。葵祭でソロを歌ったのも茨姫を斬ったのもこの人。衣装が武士っぽく簡素で凛々しい。ちゃんと仕事してます。そして貴族の知颯さん、なんか目力がすごくて目立つのですぐわかる。

こんな感じでした。面白かった。


『INFINITY』
作・演出 荻田浩一

基本は松竹座で見たのと同じ。朔矢君の場所に天輝さんが入ったなあって思ったくらい。変わったのは天輝さんだけか~って途中まで思ってた(主要どころね)。登堂さんはショーには出てないと思ってたの。そしたら!まるで専科さんのように、終盤に歌いながら別衣装で登場し、1場面歌い上げていた。でも群舞にはどこにもいなかったよね?と思っていたら、フィナーレの部分にだけいた。以前足かどっか悪くして休演されていたし、まだ体調が?。でもお芝居には不可欠な方ですもんね。こういう出方でも全然かまわないので、出てください。


豪華なラテンから始まり、舞台の上下で凄い豪華。この衣装の配色と配置、荻田先生ですよね~。そして特筆すべきは。娘役のスカート裁きが、恐ろしいほど揃っているのがOSKの醍醐味でしょう。これは必見だ。

衣装はみなと同じだけど、動きで目立つ唯城さん。黒のラテン衣装で美脚が素晴らしい舞美さん。同じ衣装の城月さんは足より声ね。相手をする壱弥さんと椿さんの超シンプル黒衣装もカッコイイ。千咲さんは足を出すよりロングドレスが似合う。青が似合う。

南座はお芝居の劇場だから、コンサートホールのように反響しない。その中で、声を響かせていたのが翼さんと桐生さん。二人とも声が凄い。特に歌いまくりの翼さんの美声には驚いた。翼さんに続く歌える若手男役の育成が急務。椿さんと壱弥さんはその他の方では一番歌えるから、ちゃんと場面をもらってたけど、はやく上の二人レベルに達して欲しい。といいつつ、二人の声は合うのだよね。二人のデュエット場面は素晴らしかった。
娘役は城月さんが圧勝。今回涼乃さんが休演だからか、若手美声娘役求む!って気分。千咲さんは似合う歌と合わない歌の差が激しいような気がする。基本は上手いけど、合わないときは合わないなあ・・。唯城さんはダンス場面で目立ったけど、歌はあまりなかったような気がする。実花さんも歌も上手いけど、城月涼乃レベルではない。発掘育成に期待。

あとは楊さんはグレーの軍服風の衣装が超似合うとか(正統派白燕尾も)、翼さんはオリーブの場面の黒コートがイイ!とか。桐生さんはヒラヒラ衣装よりラフな男らしい衣装のほうが見たいわとか。そんな感じで久しぶりの大きな劇場でのショーを堪能しました。

202207南座ショーミニ.jpg

劇場を一歩出ると、祇園祭ですね。
今年は開催の様子、うちの近くの神社は今年も夏祭りが無かったので、がっかりしていた。
祇園祭気分を味わえました。祇園祭の時期の京都は、暑いなあ。





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