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宝塚花組「PRINCE OF ROSES-王冠に導かれし男-」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚花組「PRINCE OF ROSES-王冠に導かれし男-」
2020年2月2日(火)16:30 バウ 16列下手

花組バウホール公演が当たったので行きました。
ポスターを見たときに一目ぼれしたほどの美しさ。最近ここまで主演の美しさに惹かれたポスターは初めて。さらに演出家デビュー作と見たい理由がいっぱい。

見ての感想は、聖乃さんが抜擢されていてスター路線なのがよく分かったということ。見た目もお芝居も歌も押し出しも、これはスターさんだと思った。これが華があるってことかなと思ったくらい。
後はヒロイン・イザベラの星空さん。初めて見たけどなんとヒロインらしい方。お芝居も高貴な女性として堂々としていて、でも役の持つ初々しい若い女性らしさも感じられ、歌もセリフも全く危なげなく、あのドレスを着こなしていた。すごいですね。娘役2番手のアン・ネヴィルの美羽 愛も。ドレス姿もお芝居も歌も見事。どちらがヒロインでもおかしくない高いレベルの娘役さんの出現に驚いた。

お芝居は、この時代の歴史をしっかり思い出しておかないと辛い。薔薇戦争の超複雑な時代のお話だから、人間関係をしっかり把握していないと、途中誰だが誰だかわからなくなりそう。中性ヨーロッパって、同名の人が多すぎるのだ。今回もヘンリーだらけ。こういう作品こそ、大劇場公演と同じく「人物相関図」可能なら「系図」を付けてほしい(プログラムだけでいいから)。


202002h花ヘンリー7.jpg


バウ・ミュージカル
『PRINCE OF ROSES-王冠に導かれし男-』
作・演出/竹田 悠一郎   


薔薇戦争の時代はよく物語にの舞台になるけど、なかなか簡単に理解できない。それは同名の人が多いから。(以前の宙組作品「SANCTUARY」(元ネタは王妃マルゴ)の時はフランスだけど「アンリ」だらけで参った)
今回はヘンリーだらけ。敵も味方もヘンリー。しかも皆さん、●●公▲▲・◇◇と3つあり、ややこしい。●●で呼ぶ人、▲▲で呼ぶ人、◇◇で呼ぶ人と一人につき3つの呼び名がある。舞台上ではそれぞれ一つに絞ってくれ配慮してくれていたようにも思うけど、他の名前で有名な方(私が覚えている呼び名)だと、「誰?」と私の脳内が混乱した。
2時間では足りません!という感じ。もっと説明があったのに、削除されたのでしょう(多分)。ヘンリー7世が王位につくまでのお話なので、達成感はあった。きっと削られたのは、前半部分。エドワード4世と王妃との結婚のゴタゴタ、その子供たち、グロスター公との確執、クラレンス公の反乱とか、一瞬だった。ヘンリー6世と王妃、王太子とアン・ネヴィルの話もなかった。そもそも、ヘンリー6世とエドワード4世の関係も描かれておらず、彼らとヘンリー7世との関係も説明がなかった。戦いの理由や敵(物語上の)との関係も説明がなく、「お客さん、みんな知ってるよね?」という前提で話が進んだ。
幕間にヘンリー7世の経歴をWebで検索したわ(笑) もう一度勉強しなおしました。「薔薇王の葬列」読み直そうかと思ったけど、なんか人物の描き方が違うのでやめておいた。

竹田先生、もう少しプログラムに書き込みをお願いします。系図と人物相関図は必須です!


ヘンリー・テューダー 聖乃 あすか
ランカスター家(赤薔薇)のペンブローグのヘンリー、リッチモンド伯ですね。(遡ると、「アル・カサル」の主役ドン・ペドロの三女イザベルに!)。長く続いた薔薇戦争という名の内乱を収めて、テューダー朝を開く人物。ヘンリー6世が王太子と一緒に暗殺され、ランカスター家の唯一の王位継承者となり、ランカスター家の生き残りが必死で匿い生き延びる。自分の役割をしっかり把握して、王になるべく、いろいろ有能な騎士たちを配下にしていく。賢く真面目そうな良家の子息という雰囲気が出ているし。この辺りなかなか王子らしくて若くて初々しいのに威厳があって素敵だった。
ヨーク家の内乱とかもあり、ヨーク家の王女エリザベスを王妃にすることで、決着をつけた。物語ではこの二人のロマンスが語られていて、ああ宝塚!と楽しんだ。なんとも宝塚らしいストーリー。衣装も華やかだし、この作品、もうちょっと演出が洗練されたら宝塚の名作として再演される作品だと思う。
聖乃さんは、あの中世騎士の衣装を見事に着こなし、かっこよかった!!なんと美しい騎士様。これが王様なんて国民嬉しいでしょって思う。短髪の金髪がとても似合っていて凛々しかったです。これぞスターのオーラって感じにキラキラして見えました。お芝居も良いし歌も良いし、花組の将来を背負うスター候補なのが私にも理解できた(ごめん、今まではあまり思えなかった、反省している)これからがすっごく楽しみです。


イザベル 星空 美咲
後にヘンリー7世の王妃になる。作中は謎の姫イザベル、実はエドワード4世とエリザベス王妃の長女である王女エリザベス。素性を隠し、フランス王の使いとしてヘンリーと会う。その後、父王が亡くなり事態が急変。ヘンリーを王にすべく動くことになる。
多分、父か母の指示で、敵であるランカスター唯一の王位継承者の動きを見に来たのかと思う。本来なら、イザベルの弟(2人いた)が次の王位継承者だから。でも弟たちも父に相次いで叔父リチャードに殺された(らしい)。叔父が王位を継いだ時にわかったのか。そこで行動が180度変わった。ヘンリーの人柄に触れ、彼が王の器であることを知ったのも大きいと思う。悪政を強いる叔父リチャード三世からイングランドを取り戻すには、このランカスターの王子を王位につけること、それにはヨークの王女たる自分しかないと。もちろん可憐な乙女として素敵な騎士様に惚れてただろうしね。
可憐で初々しい乙女ながら、高貴な王女らしい気品があり、とても美しいお姫様でした。ドレスの着こなしも綺麗だし、美人で、歌もお芝居も申し分ない。本当にヒロインでした。プログラムの写真が一番下でびっくり。1ページあっていい役割よ。


グロスター公 優波 慧
グロスター公リチャードで、かの有名なリチャード3世。エドワード4世の弟で、本来王位には届かない人。だけどいろいろあってかなり屈折し、コンプレックスの塊。美しいエドワード4世に対し、醜いせむし男だといわれてきてますもんね。頭は良かったようで、結局王位を手に入れた。だがそれまでの生き方の所為か、味方が少なく、有能な人物はみなヘンリー・テューダーの味方となって敗北。最後まで憎い悪役という存在でした。
最近リチャード三世の見直しというか、本当は良い王様だったのでは?なんて話が多くて、優波さんの「完全な悪役」という役作りはびっくりした。演出家の指示かもしれないけど、もっと彼なりの政治理念のあるリチャードでもいいかも。本作では、ヘンリーの敵だからか、完全に排除しなければならない悪者として描かれていた。優波さんがそういう憎々し気な人物に作っていた。リチャード3世は完全に2番手だけど、もっと美味しい2番手になれる役なのになあと思った。



アン・ネヴィル 美羽 愛
リチャード三世の王妃だけど、その前はヘンリー6世の王太子エドワードの妃、彼が暗殺されて後、実家に戻ってリチャードと再婚。クラレンス公の妃はアンの妹だ。ヨークもランカスターももともと親戚だから、血縁が入り組んでる。本来なら、ランカスターの王太子とヨーク側のキングメーカー・ネヴィル公の娘アンが結婚して、戦争が終結するはずだったのかな。でも王と王太子が殺され、ランカスターは滅びる寸前となり、アンは戻って幼馴染のリチャードと再婚した。
本作のリチャードはかなりの悪役に作っていたから、アンが可哀そうに見えた。彼を愛しているのに、兄たちへのコンプレックスで支配欲に駆られた夫からは愛されず・・という感じ。
美羽さんもまだ3年目かな、すごい実力で驚きました。美人だ。
今回は、ヒロインと2番手娘役という主要な娘役が2年目3年目と今回初めて見た方々で、花組の底力を知った。


ヘンリー・スタッフォード 希波 らいと
バッキンガム公ヘンリー・スタッフォード。リチャード3世の臣下だったけど、ヘンリーの味方。結局リチャードに暗殺される。本作では、ヘンリーのために命を投げ出した好人物。かなり印象が良いかっこよい役。粋なイケメンでほんとにかっこよかった。


<ヨーク家>
エドワード4世 羽立 光来
白薔薇ヨーク家最後の王様。クラレンス公ジョージと、グロスター公リチャードの兄、エリザベスの父。結構チャラい美形だったと勝手に思っていたが、本作では貫禄のある王様だった。羽立王なら、弟たちに足元を掬われることもなさそうに見えるが、何かにおびえてた感じ。もう一度みて確認したいわ。

エリザベス・ウッドヴィル 華雅 りりか
エドワード4世の王妃で、エリザベスの母。グレイ兄弟の母。夫が戦死し、エドワード4世の妃になった。いろいろある女性ですが、本作では強烈な母が多すぎて、あまり特徴が感じられなかった。削除された(推定)前半が強烈な存在感なんですよね。


クラレンス公 愛乃 一真
クラレンス公ジョージ。エドワード4世の弟でリチャード3世の兄。公妃はアン・ネヴィルの妹。大変立派な血筋だけど、妻の父に示唆され兄王にとって代わろうと陰謀したことがあり、失敗。エドワード4世から遠ざけられている。そこを弟に突かれて自滅。
ほんの一場面でしたが、気弱なところ、自分で考えないところが表現されてたと思います。彼が亡くなったから、ジョージの妃とリチャードの妃の実家ネヴィル家の莫大な財産を、リチャードが得ることができたんですよねー。兄ばっかり見てたけど、弟にも目を配るべきだったね。

セシリー・ネヴィル 真鳳 つぐみ
エドワード4世たち3兄弟の母。この方も、強い印象がない。多分エリザベス王妃と一緒によく話をしていたような。多分削除されたところに出番があったんだろうな。

ケイツビー 峰果 とわ
リチャード三世のスパイ。なんか黒くてかっこいい。スパイというわけではないんだけど、リチャード3世の陰の部分を担っている感じ。いやリチャード3世は全体的に黒いんだけど、一番信頼され一番黒い部分を任されている人物に見えました。


<ランカスター家>
ジャスパー・テューダー 高翔 みず希
ランカスター家で、ヘンリーの叔父。父代わり。ランカスターの王を出すという悲願はもちろんだが、ヘンリーの器量を見込んで王にしようと頑張っている人。ヘンリー自身の幸せも考えてあげているようで、本当にお父さんみたいだった。
高翔さんはこういう優しいおじさまやくが本当にお似合い。

マーガレット・ボーフォート 春妃 うらら
ヘンリーの母。王位より息子の命を守ることに熱心だったお母さん。優しそう。今回たくさん母が出てきますが、一番優しいお母さんに感じました。

トマス・スタンリー 一之瀬 航季
ヨーク家の家臣だけどヘンリーの忠臣。マーガレットの再婚後の夫。だからヘンリーには義父になるのね。本作では、ヘンリーの即位後に再婚という流れでした。
兄がヨーク王朝の重臣なのに、ずっとヘンリーの味方をしていて、信頼を得ていた。なかなかかっこいい人物でした。でも最初はヘンリーよりちょっと年上くらいに見えていた。まさか義父になるとは。母が若いのかもしれないけどさ。

ウィリアム・スタンリー 芹尚 英
トマスの兄。ヨーク家の家臣だけど、ヘンリーの味方になる。トマスをヘンリーのもとに(ランカスターへ)送り込んだ策士。いろいろ陰謀してそうだけど、国のためには、どちらにどう味方するかを考えている感じの家臣に見えました。

マーガレット・オブ・アンジュー 万里 柚美
ヘンリー6世の王妃。ヘンリーの後ろ盾。ヘンリー・テューダーを一目見て気に入ったヘンリー6世の遺志を継いで、王妃マーガレットが後ろ盾となった。(そういえが息子のエドワード王太子も殺され、結局ランカスターにはヘンリーしか残らず、という話がなかったような)。フランス王家の血も引いてるとかかなり血筋が良く、それゆえ影響力のある女性として描かれていた。本作では優しいおば様という感じでしたね。ヘンリーは血統的に弱いので、マーガレットが後押しすることで王位につけた、という印象も。
万里さんお美しいわ。優雅で気品がある。こういう役はお似合いですね。


リチャード・グレイ 翼 杏寿
トマス・グレイ 海叶 あさひ
エドワード4世の王妃エリザベスの息子。イザベルの異父兄。本作では、ヘンリーの味方になってましたね。やっぱりリチャード三世が敵になったから、敵の敵は味方で、ヘンリーについたのか。出番は少なかったな。削られたのかも。


こんな感じ。もっと役があったけど、後は覚えてなくてすみません。
美しい騎士物語で、宝塚を堪能しました。ついでに、花組の人材豊富にその実力に感動しました。花組も好きだわ~

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