SSブログ

宝塚花組「セニョール クルゼイロ」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚花組「セニョール クルゼイロ」
2018年5月11日(金)14時30分 バウホール 9列


ダンスが凄い!!「ダンスの花組、ここにあり」って気分。
こんなに激しく凝った振り付けのダンス、久しぶりに見た。
ダンスのOSKのダンス特化公演レベルの難易度に見える。
何場面かのダンスシーン、息をのんでみてましたもん。
場面終わると息を吐きつつ、全力で拍手だ。こんなのいつ以来?

水美さんのかっこよさと言ったらもう!!
端正佇まい、ダンスは最高で、歌も上手くて芝居も良い。
これであと声が低くて渋みと色香が出ると完璧な私好み。
もともと好みのタイプだったけど、今回「圧倒的な主役」を張っている姿に
その存在感に、さらに惚れ直した。

今回、稲葉先生らしさ全開のバウ作品で、花男の魅力全開なショー公演で、
いろいろと思い出しまくりましたよ。フィナーレそのまんま同じなんだもん・・

いい作品だった。これも何回も見たい、通いたい!
以下、ネタバレあります。

201805花クルゼイロ.jpg
バウ・ラテングルーヴ
『Senhor CRUZEIRO(セニョール クルゼイロ)!』
—南十字に愛された男—
作・演出/稲葉 太地


2幕もので、1幕が芝居、2幕がショー。大劇場公演と同じ構成。大劇場の通常版であるお芝居とショーの主役をできるのはトップだけ。だから(現在のとこ)トップスターではない水美さんが主演する芝居とショーの2本立ての作品って、超希少価値。特にショー作品の主演ってなかなかないし、トップスター以外に回ってこないことが多いから、水美さんが主役のショーが見られて、本当に嬉しい。

水美さんファンの方には怒られるかもしれないけど、私が好きになるスターさんはトップにならなかった方が多く、つまり主演しているショー作品がない。直近の大好きスター未涼亜希さんもそのひとりなんだけど、主演のドラマシティ公演「ブラック・ジャック」とバウ公演「インフィニティ」を2本立てに見立て(4幕になる。長い)トップスターしかできない「芝居&ショー1本の公演」だと思って楽しんでいる。それで満足なのだ。(その前に好きだった成瀬こうきさんには、見返して心から堪能できる映像がないんだから~涙)
水美さんは芝居&ショーの1本の主役が今作品で果たせて、本当に嬉しい。将来、スカイステージにてこの作品の映像を入手したら、大満足して堪能するに違いない。。。といいつつ先は何があるかはわからないし、とりあえず私はこの作品が大好きで、水美さんに惚れ直した!ということ。

稲葉先生らしい、とても幽玄で雰囲気のあるセットと照明。装置がいい仕事するんだ~!稲葉先生の装置の使い方は大好きだ。色彩も綺麗で好み。衣装も見たことがあるものが多かったけど、場面に合っててセンスが良いチョイス。照明も良い仕事をしていましたわ。
ポスターも素敵。

お芝居は、なんとなく正塚作品を思い出す感じのストーリーで、65分であっさり目にまとめてくれていて良かった。こういう重めのテーマは、ショー風味で演出するほうが良いということが新たな発見だった(>正塚作品に、一度稲葉先生も共同演出者として入ってほしいくらいだ)こういうテーマのお芝居でも演出は荻田先生を思い出すわあ。要するに私好みね(笑)


フィナーレの衣装、インフィニティのフィナーレと同じやん。アカペラっぽい歌で、順番に全員水美さんととワンタッチしてから出てきて・・・って思い出しまくってしまいましたよ。水美さんまだまだ退団しないだろうに、なんでか込み上げてきたじゃないか。



【第1幕】お芝居
クルゼイロ 水美 舞斗
ブラジルの地方都市にいる上昇志向のある普通の少年、ちょっと貧しい目? 南十字星が輝く夜に生まれて、その加護があると信じ、都会で一旗揚げるため頑張ってる。
仲間4人と「セニョールクルゼイロ」というグループを組んで、ヒットを飛ばす有名芸能人となる。しかしながら、心臓を悪くして先がなくなり、「忘れられる」のを恐れ、毎日のようにスキャンダルのネタを提供し注目を集めようとしている。頂点に上り詰めたいと、仲間の誤解をものともせず、焦って行動していた。が結局、体を悪くしたのを仲間に知られ、心配する彼らを振り切って逃げる。なぜ逃げるのかな・・と思うけど、弱くなっていく自分を見られるのが怖かったのかなと。仲間の足を引っ張るのも嫌だっただろうし、今の強くて輝いている自分しか見てほしくなかったから。その自分だけを覚えていてもらいたくて、仲間をそのままに逃げたんだと思う。哀しい気持ちだけど、理解できる。
そして南に流れてブエノスアイレスでタンゴダンサーしている。ここでは仲間は作らない。誰も知らないうちに、ひとりでひっそり消えるために。
最期の時、仲間たちが頂点を極めているのを聞きながら、死を迎えるんだ。ひとりで。
望んだ通りだけど、覚悟もしてきたけど、それでも最後は怖くて逃れたくて足掻いて、抵抗して、そして受け入れている。この場面の生と死の群舞、クルゼイロを挟んだ白の天使と黒の天使との戦いは、ものすごく見ごたえがあった。水美さんの表現力もすごい。
ラストシーンに迎えに来たのは昔の恋人、故郷で別れてきた恋人。なんとなく、現実世界では彼女は他の男と結婚してもう子供も2~3人いそう。もちろん彼のことは忘れてないと思うけど、彼女は現実に生きなければならないから。だからクルゼイロも故郷には帰らなかったし。幻の彼女は少女時代のまま迎えに来たのだと思う。
ああ、書いていて荻田作品のような構成でもあったなあと思った。ひとつひとつの場面に、セリフにはない膨大なメッセージが込められていて、観客はそれを受け取り各自読み解く。
稲葉先生も水美さんも、みんなすごい。

<セニョールクルゼイロのメンバー>
アクルックス 飛龍 つかさ
ガルックス 聖乃 あすか
ミモザ 一之瀬 航季
パリダ 翼 杏寿
まとめてごめんのセニョールクルゼイロのメンバー。圧倒的主役のクルゼイロの他では、一番出番が多かったような気がする。とにかく幕開きのダンス場面が素晴らしかった。こんなダンスは久しぶりだ。本当に度肝を抜かれてしまったわ。目が釘付けで、オペラグラスが使えない。
ダンス選抜メンバーなんだろうなあとか思いました。
飛竜さんはイケメンだし、聖乃さんはスターっぽい(よくわからん表現ですみません)。一之瀬さんはシュッとして綺麗。翼さんは熱さがいい。
この4人、いつも一緒に出てくるし、それぞれ役名あるんだから、呼び合ってよ~!と思いました。

カルロス 舞月 なぎさ
マネージャー。彼だけがクルゼイロの事情を知ってる。詳しくは知らないけど、知らないと困る立場だからな。グループ全員が彼を頼りにしているのがわかった。

ロベルト 冴月 瑠那
医者。出番は少ないけど白衣を着ているのでわかりやすい。思い入れのある医者というわけではなく、クルゼイロが掛かっている医者という立場。だからクルゼイロとマネージャーに意見を述べるのみ。

<人外>
フロールプレータ(黒い花) 白姫 あかり
ルアブランカ(白い月) 華雅 りりか
どちらも片方だけ羽がある。天使の羽。白天使と黒天使。生と死の象徴。このお姉さま二人がずっと象徴的に出てきて、クルゼイロを翻弄する。彼の内心、心の奥の葛藤を表現していた。すごいですお姉さま!!この役を若手にせず、お姉さまにしたところが良いわ。


<記者たち=パパラッチ>
アントニオ 綺城 ひか理
サンドラ 新菜 かほ
フランシスカ 若草 萌香
ソニア 糸月 雪羽
リタ 朝葉 ことの
パパラッチという役だったが、記者さんたちで、クルゼイロのグループの記事を書いている。黒一点というのか、アントニオ綺城さんが目立つ。パパラッチ女子たちからは、ぼろくそに言われてますが結構イケメンだし、目立つよね。全員にソロあり。私にはアントニオ以外は区別がつかず。

<ブエノスアイレス>
バルバラ 舞空 瞳
ブエノスアイレスに逃亡したクルゼイロがパートナーにするタンゴダンサー。美人!クルゼイロが訳ありなのを感じている。でも深くかかわれない。
舞空さん、すごく大人っぽい美人。スラリとしていて綺麗だ。下級生なのに、プログラムでは白姫さん華雅さんと並んで舞台衣装写真だったのもわかる。次世代ヒロイン娘役さんなのでしょう。ダンスも素晴らしかったし、これは期待できる!

セシリア 咲乃 深音
タンゴダンサーの客で、バルバラがクルゼイロが踊っているところを、「私と踊って」と横取りしていく強心臓の人。セリフの声がとても綺麗だったので印象に残った。(ショーのほうで一曲もらっていたので、歌が上手いのね。声がいいわ)

ミゲル 千幸 あき &エマ 凛乃 しづか
タンゴダンサーの二人。エマはクルゼイロがブラジルの有名アイドルだったことを思い出せないって言ってた人だと思うんだけど。タンゴ場面は短くて、いろいろ記憶できてない。

<故郷の人>
ビアンカ 城妃 美伶
恋人。故郷で少年少女がサッカーに興じている回想風の場面に出てくる。幼馴染で美人で何でも分かってくれる人。クルゼイロが故郷を出なければ、彼女と結婚して家庭を持っていたと思われる、そんなタイプの女性。しっかりした良い奥さんになりそう。
でもクルゼイロは家庭を持つことを捨てて、夢を追った。ビアンカもそれを認め応援した。
二人の人生はそこで別れたと思う。クルゼイロにとっては、「恋人」と呼べる人は、生涯かけて彼女一人だったと感じた。

ルイス 碧宮 るか
故郷の友人、サッカーして楽しそうだった。彼はクルゼイロと違って故郷を離れなかったのかな。・・といいつつサッカー場面は人が多くて動きが激しいので、誰が誰やら。ボール係が良い味出してましたな。


このショー風のお芝居、かなり好きだ。稲葉先生の作品作りもセンスも好み!


【第2幕】ショー

ショーは記憶力が半減するので、覚えているところだけ。

S1 熱帯夜
普通のプロローグっぽい。スターさんが順番に出てきて大勢で歌い継ぐの。楽しかったけど、誰が誰やらわからなかった私・・まだまだですわ。

S2 Beat On Beat 
ノバボサノバの衣装で、南米の市場で楽しく踊る場面。あの衣装で踊るときは結構激しいのだよねーいろいろな小物(バケツやらまな板やら)を使って、楽しく・・と思いきや、最後は人間の体を使った激しく難易度の高そうなダンスになった。すごっ!

S3-4 イエマンジャ~オグン 水の精
振り付け( 森陽子さん )が凄い場面。1幕でも幕開きの私が感動したダンス場面がこの方の振り付けだった。すごいわ!!!
水美さんを中心に、水の精やら水のダンサーが壮絶に踊る。すごい振り付けをすごいカウントで踊る。水美さんをはじめとしたダンサー選抜の動きの美しさにただただ呆然と見つめるのみ。ほんと、腕の角度、足の高さ、指先まで考えた動きが素晴らしい。

S5 JAZZ
舞月さんと咲乃さんのデュエットから。息ができない前場面から、ちょっと休憩させてくれるような、ほっとする歌。咲乃さんは声が良いね、歌も上手くて、もっと歌ってくれてもいいなあと思う声でした。あとは順番に歌い継ぎで、普通のショーらしい場面。

S6 Aranha 
紫の蝶が聖乃さん女装で、水美さんと踊る。歌うのが綺城さん。女装と思えないほど可愛いし、綺城さんの歌が絶品の場面。

S7 約束の場所~フィナーレ
衣装と曲調が「インフィニティ」なので、関係ないのに涙腺が緩んでしまった場面。水美さんは白の衣装だし。でもこういうフィナーレは好き。アカペラっぽい曲から始まって、みんなが順番に歌っていく。真ん中で存在感を出しながら、みんなをまとめていくのが主演の水美さんの役割。普通のフィナーレより真ん中が重い思うのだけど、水美さんは立派に果たしていた。

客席降りが、1幕も2幕もいっぱいあって。何度も通路いっぱい後方まで来てくれて嬉しかった。バウホールは1階席しかないから、置いていかれなくて嬉しい。
客席参加ダンスもあった。練習足りなくて私できなかったよー。お客さんをダンスに誘うには、水美さんはまだ甘さが見える。もう少し強引に釣って誘ってもいいのよって思った。(別の劇団ですが、OSKはバウより小さい劇場が多いので、おいていかれる席がないため客席参加も多い。楊琳さんが客席あしらい上手くてねー知らんうちに乗せられてるから)
客席ダンス指導といえば、「フットルース」の音月さんも上手かった。あれは沙央さんに教えるって設定で練習場面がしっかりあったからかな。とにかく、今回のちょっと多めの振り付けは、あの短時間では私には難しかった・・し、周囲の方々も振りは放置で手拍子していた。そんなもんだよ~>稲葉先生。

という感じで、とても楽しかった。この公演もチケットさえあれば通いたい公演。最近あたりが多くてうれしいな!

nice!(2)  コメント(4) 
共通テーマ:演劇

nice! 2

コメント 4

hanihani

21日に見に行きます。楽しみだ!!
by hanihani (2018-05-19 03:57) 

えりあ

ごめん!もう見たよね。これも良かった~とか思い出しつつ、星組見たりOSKみたりしてました。
by えりあ (2018-05-22 22:26) 

パクチー

うらやましい。
チケットがなくて、諦めました。
テレビで初日映像を見た夫が、「これは、駄目だ。」と主張するので、いったい何がだめなのかを聞くと、「こんなのを未婚の女性が観てしまうと、男はまったく歯がたたない。他のジェンヌさんはかっこいいけれど、タカラジェンヌとしてだ。だけどマイティは男の領分に入り込んで、断トツにかっこいい。こんなのにはまったら、未婚の女性はぬけだせない。」だそうです。
どうやら完敗だと言いたいみたいです。
なんか、既婚の私でもわかる気がする。マイティは危険です。
by パクチー (2018-05-24 20:14) 

えりあ

パクチーさん

ご主人、凄い洞察力(笑)水美さんの危険度、結婚できなくなるかも?という恐ろしさレベルですね。私もこの公演のマイティが凄くかっこ良くて、もっと見たい→本当に早く映像欲しい!→いや生がいい!→ほんま再演希望!と思いました。長期公演は難しそうな体力勝負公演ですので、3日でもいい、もう一回見たいです!!〜未婚女性には危険なので、既婚女性限定で(チケット取りやすくなる?の思惑入:笑)

by えりあ (2018-05-25 10:13) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。