SSブログ

宝塚雪組「ドン・ジュアン」ドラマシティ [観劇感想(宝塚)]

宝塚雪組DC「ドン・ジュアン」
2016年7月11日(月)13:30 シアタードラマシティ 21列センター


雪組ドラマシティ公演。前評判も高かったですが、実際に見るとさらに良い!
チケット買っておいてよかった!!と心から思いました。
楽曲が素晴らしく、演出も凝っている。それを歌いこなす素晴らしいキャスト。
こんな短期で終わるにはもったいない公演。もったいないお化けが出るほど。
いつか再演があるのでは?と心ひそかに思っている。可能なら今回のキャストで
大劇場で再演をお願いしたい公演・・いつか。期待してます。

実は見たのが遅かったので、もう一度見たい!もうちょっと確かめたい!と
いう個所が何か所もあったのに、もう見れなくて。後悔しきり・・・。

201607雪ドンジュアン.jpg


ミュージカル
『ドン・ジュアン』
«DON JUAN» un Spectacle Musical de FELIX GRAY
International Licensing & Booking of «Don Juan» NDP Project
潤色・演出/生田 大和


海外ミュージカルなんですね。日本初演なんですね。
「ロミオとジュリエット」の初演・星組を思い出しました。
(だから本公演を期待するのだ・・)

海外ミュージカルらしく、曲が大変凝ってる。ほとんどの台詞が歌。
それをきちんと歌いこなす。全員が!素晴らしい。これぞ歌劇団。
あの歌姫、美穂圭子さんの歌が浮いていない。突出してないのは嬉しい驚き。
望海さんが上手いのは承知だったが、期待以上。一番驚いたのが彩風さん。
こんなに歌が上手かったのか!!!美穂さんと、望海さんと対等に歌ってる・・
全く見劣りしない。前作「るろうに剣心」から、すごくかっこ良くなったと
感じていましたが、それは継続中。やっぱりかっこいい。なんていい男になったのか。
「ブラックジャック」の頃は、すねた不良少年が似合っていたのに、まったく
イイ男になったもんだと、ちょっと感動する。永久輝さんも、出てきたとたん
目を引いた。こちらもカッコよくなったわあ。
有沙さんの上手さ(歌も芝居も)は十分ヒロイン。Wヒロインだと感じた。
ヒロインの彩さんもヒロインらしい娘役で、きちんと歌えていて楽しみな方。
特筆すべき方が、亡霊・香稜しずる様。影の主役といってよいほどの活躍。
その存在感、自由自在。いつのまにこれほどの役者さんになられたのか・・。

演出も。回り舞台を生かした演出で、セットは簡単なのに、舞台が回転するたび、
がらりと雰囲気が変わる。ダンスのフォーメーションも凝ってたと思う。
いつもより迫力を感じた(あまり揃ってなくても迫力が違う!)
タップが多用されていて、なかなかスパニッシュの雰囲気を色濃く醸し出していた。
いい演出でした。衣装は宝塚っぽかったけれど、中身はあまり宝塚っぽくない。
良い意味で宝塚を超えた演目だと感じた。いろいろすべて、ほぼ大満足。

曲だけ聞いても満足度が高いので、全編の実況CDが欲しいと思いました。



ドン・ジュアン(望海風斗)
スペイン貴族の息子だが、世の中を舐めてるのか、自堕落な生活を送るプレイボーイ。
前半は、なぜカルロのような良い友人がいるのか悩むほど。妻のエルヴィラが哀れすぎ。
大切に思うものは何一つなく、気ままに手に取り、飽きたら捨てる。そういう人生。
それが許されてきた人物。手に入らないものも何もなく、欲しいものは何もない。
努力などせずとも、すべてが彼のものになったんだなあ・・と思われる。
それが!騎士団長に呪いをかけられて、愛を知る。
ドン・ジュアンとマリアが急激に恋に落ちるさまは、ほとんどロミオとジュリエット。
周囲で見ていて、「なぜそこまで???」と思うのだが、今回は騎士団長の亡霊さまが
暗躍しておられるようだ。ドン・ジュアンが心の底で求めていた、理想の女性を
紹介した(前に連れてきた)んですかねえ。
束の間の幸せののち、傲慢な彼が己の罪を知る日が来る。それがラストの決闘場面。
このあたりのドン・ジュアンの心理は、なかなかに複雑で、亡霊の示唆が見事。
ドン・カルロと亡霊の二人が両側から、ドン・ジュアンの良心に攻撃をかけるような。
この二人の心理戦、そして直接対決するラファエルからの圧力。強烈な心理への攻撃。
目が足りなくて一度で全部見られなかったので、DVDが出たらじっくり見なくては、
と思いました。

望海さんはこういう色悪というか、悪い男が似合いますね♪ 
王子様が似合うタイプも好きですが(最近は:笑)、元々私はこういう
「悪いとわかっているのに惹かれる男」ができる方に弱いんです。
その方に、あんなに歌われてしまっては、堕ちないほうがおかしいですよね。
あんなに激しく感情を乗せていい声で歌われ、千秋楽前日だったのに、あの声!
喉がお強いのか、自己管理が完璧なのか。両方だと思いますが、さすがです。
もともと好きでしたが、すごくすごく好きになりました。


ドン・カルロ(彩風咲奈)
ドン・ジュアンの友人。同じ階級の、とても真面目で普通の好青年。
あの自堕落なドン・ジュアンと一緒にいて、それでも全く染まらないところは
彼もかなり自我のしっかりした人物。だからドン・ジュアンも何かといいつつ
友人として付き合っているんだろうなあ、と思う。
彼がエルヴィラに抱える思いは、一言も台詞にありません。
でも見ていてわかる。周囲のだれもが気づかない思いだが、客席には伝わる。
ドン・ジュアンに対する行動も、友人として真剣に彼を思っている・・
そこにある複雑な感情は、表出しない。ドン・カルロは善良なる人物。
その彼が、ドン・ジュアンを追い込んでいく・・素晴らしい演出。

彩風さんのソロから幕開き。1幕も2幕も。それが揺るぎない良い歌声で、
最初誰かと思ったくらい。堂々と朗々と良い声で歌ってくれた。
その後も、望海さんや美穂さんと渡り合う歌。それが全く引けを取らない。
もともと雪組の中では上手いほうだと思ってましたが、ここまでとは。
と私は大変うれしくなりました。
そしてお芝居も。「パルムの僧院」の時は、主演ながら共感できず、あまり
カッコよく見えなかったのですが(ごめんね)、今回はとてもいい男に見えました。
複雑な心理も、いろいろな場面の感情も、ちゃんと客席に伝わってきて。
この作品の2番手はかなり重いと思いますが、十分に役割を果たしておられた。
本当に、見る間に急成長!という気分です。重い役目が担える方になりましたね。


エルヴィラ(有沙瞳)
ドン・ジュアンの妻。自称かと思っていたら、貴族の娘でちゃんと結婚している。
修道院にいた貴族の娘を連れだして結婚しておいて、あっさり捨てたのか!!と
その罪の重さに愕然とするわ、ドン・ジュアン。それでも少しも悪いと思わない
態度がまた・・・エルヴィラの焦燥感と絶望感がひしひしと伝わってくる。
エルヴィラが、夫の行動と態度にどんどん追い詰められ、狂気を帯びていく様子が
また素晴らしかった。もとは純粋な少女だっただろうに・・彼女の狂い方が
堕ち方が、そしてそれをなんとか救おうとするドン・カルロが。
こちらの二人も見ていたかった。複数回見に行ってたら、こちらの二人を
じっくり見る回を作ったに違いない。それほど見ごたえがあった。

前半は、エルヴィラが大活躍で、歌いまくりで、その歌が見事で。
有沙さんは芝居も歌も素晴らしく上手いのは知ってましたが、さすが!
これは絶対にWヒロインといってよい役だと思いました。
プログラムの写真、小さすぎ!(カルロも、エルヴィラも1ページでいい)


マリア(彩みちる)
彫刻家という職業を持つ自立した女性。平民だと思うけど、自分の力でやりたいことを
やっていて、なのに誰もがうらやむ恋人は「仕事を辞めろ」という。それを周囲も
当然のこととして受け入れろという。「仕事を続けたい自分は間違っているのか」と
思うも、とても言えない。この時点で、マリアは自分をだましている。
そんな時に、ドン・ジュアンと出会う。彼のどこに惚れたのか。
恋人のラファエルも普通のまじめな男性なので、常識外れのドン・ジュアンに
自分と同じものを見つけて惹かれたのかなあ・・・と思った。
こちらももう一度見て確かめたいところ。
マリアが、ドン・ジュアンに「愛」を教え、「人間」としての理性と尊厳を
知らしめた・・それゆえに、彼は罪を自覚することになるのですが。
マリアはドン・ジュアンには「運命の女」だったんですね。
マリアはこれからどうやって生きていくか? ラファエルとは結婚せず、
彫刻家として、自立して一人で生きていくと思う。自分を偽らず、自分の罪を
自覚して、それを背負って生きていくと思う。強い女性だ。

彩さん、可愛いヒロインタイプの娘役さんですが、凛とした品があってよいですね。
お芝居はうまいと思っていましたが、上手かった。
舞台化粧をした横顔が、桜乃彩音さんに似ているような気がして、望海さんと
二人でいると、しっくりくる(見慣れた感じか?)私の錯覚だと思うけど、
彩音ちゃんは好きなタイプの娘役さんだったので、ちょっと嬉しい(歌えるし)


ラファエル(永久輝せあ)
マリアの恋人の兵士。平民だね、前線に送られて、友人はみんな戦死。
彼だけが死線をくぐって生きて帰った。戦地に行く前は意気揚々としていたのに
戦場の悲惨さを知り、社会の不公平を知り、傷ついて帰ってきた。
そしたら、唯一の希望の光だった恋人は彼を裏切り、
別の男(彼ら平民だけを死地に追いやる貴族だ)と暮らしている。
そりゃあ怒り倍増、絶望して自暴自棄にもなりますね。
その怒りに火をつけたきつける同じ狂気に取りつかれた女性(エルヴィラ)もいるし。
ということで、せっかく助かった命を捨てでも復讐してやる!とばかりに、
ドン・ジュアンと戦うことに。(ドン・ジュアン、現役の兵士より強いって、あんなに
だらけた生活してるのに、どんな天才なんだろうと思った。やっぱり貴族だから?)
彼の、何度も何度も心臓が止まる時まで立ち上がり、戦うという気力(執念だな)も、
ドン・ジュアンを追い詰めた一つ。いえ、最後の切り札。

永久輝さん、幕開き最初に見たとき「柚希さんがいる!?」と思ってしまった。
なんか雰囲気が似てて。ぱあーっと華やかなの。こちらも驚くほどかっこよくなった。
身のこなしは軽くてかっこいいし、あの華やかさが男らしさと結びついて、すごい
スター性を放っていた。歌も、あのメンバーの中でちゃんと歌っていたし、これは
とても期待のできるスターさんだ。彩風さんといい、雪組の将来が楽しみ!!


亡霊・騎士団長(香稜しずる)
ドン・ジュアンが娘に手を出したので決闘して、あっさり殺されてしまった方。
それからが本番。亡霊となってずっと彼に付きまとい、復讐する。
ドン・ジュアンにとって最高の復讐になりましたよね。彼の人生を変えた。
何不自由ない精神的不幸の真っただ中にいて腐っていた彼の魂、そこに「愛」という
呪いをかけ、幸福を味合わせ、満足感を抱かせる。その絶頂から、彼に罪を自覚させ、
ほとんど自害のような形で命を奪った。
だが結果としては、彼の魂を救ったのだと思う。
なんとなく、「エリザベート」のトート閣下のように傍にいて、愛していたのか?
ただの復讐には思えなかった。
不気味な亡霊メイクには驚いたけれど(パンフレットで)、実際に見ると、舞台に
素晴らしく嵌っていた。ぴったりだった。
出てくると存在感が凄いが、それをすっと消してしまうこともできて。自由自在。
素晴らしい役者さんだなあ・・・と、主役ドン・ジュアンを操る影の主役のように
思えてしまいました。歌も素晴らしいしね!この方が雪組に居てくださって良かった~


ここまでの方は、メインキャストといってよい方々。
つまりプログラムの写真を大きくしてね!!と思う方です。


ドン・ルイ(英真なおき)
ドン・ジュアンの父。それなりに名門貴族っぽく。彼が、ドン・ジュアンのあの性格を
形成する一端であったのは間違いない。自分に迷惑が掛からなければ、周囲の人が
どれほど迷惑をこうむってもお構いなしなんだもの。そりゃあいかんぜ。
エルヴィラを狂わせたのは、ドン・ジュアンだけではなく、この父も。
ドン・カルロが救えないほど、困った親子だ。
彼と妻のエピソードがあったけど、もう一度じっくり見たい。


イザベル(美穂圭子)
かつてドン・ジュアンを愛した女。いまは賢明に一歩引いている。
年齢からすると、少年だった彼が一時夢中になり、すぐに飽きられたのだと思う。
だけどプライドから「すがりたい気持ち」を認められず、一歩引く形で
付き合っていたのかなあ。折々に、気持ちがこぼれるのが見ていてわかった。

美穂さんがご出演の時って、いつもかなり美穂さんの歌が浮く。突出するというのか。
それが今回なかった。ほかの人の歌になじんでいた。違和感がない。
美穂さん単独でも素晴らしいんだけど、周囲が歌えると、こんなに素晴らしいのかと、
改めて感動した。


パロマ(早花まこ)
ラファエルの戦友の妻。耐える妻の役が似合う方。本当にうまい。
早花さんの、抑えた話し方、耐える女は絶品だと思う。
パロマはマリアの対極にいる女性ですね。その対比、良かった。


騎士団長の娘(笙乃茅桜)
一コマの出番ですが、騎士団長を亡霊にする大事な役目。
可憐で可愛くて誰かと思ったら笙乃さんでした。まあ!


セビリア市長(橘幸)
時々出てきて解説をしてくれる方。
なんだか昔の香稜さんが、よくこういう役回りをしていらしたなあ
と思いながら見てました。橘さんも上手いし。
こういう役者さんも貴重なので、将来に期待。


兵士フェルナンド(煌羽レオ)ホセ(叶ゆうり)マルセロ(縣千)
ラファエルの戦友たち。あと一人誰だろう?わからないわ・・と思ったら
縣さんだった。知らないうちに男らしくなって(変なコメント)。
なんせ未涼さん退団後に台頭してきた方は、あまり見ていないので、すみません。
いや楽しみですね。
煌羽さんは女装が多いですが、美人ですねえ。プログラムも女装だった・・
気に入ってらっしゃる? 美人なお姉さんは好きなので、また見せてほしいです。



と、簡単にまとめました(つもり)。
本当は3~4回、もっと通いたい。だから大劇場で公演してほしい。
こんな日数短かったら(座席も少ないし)通えない。
もっともっと見たかったです。


4月末に花組大劇場の初日を見て以来、久しぶりの宝塚。
でも大劇場じゃないし一本もので海外ミュージカルで
宝塚を見た気がしてない。なんだか凄いものを見た気分。
こういうの、大好きだ。




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。