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京都先斗町「鴨川をどり」 [観劇感想(その他)]

京都先斗町 鴨川をどり
2016年5月11日(水) 14:20~ 普通席2300円+お茶席700円


今年は先斗町の「鴨川をどり」に行きました。
4月に祇園の「都をどり」の前を通りがかった際のあまりの人の多さにめげ、
そうだ!先斗町もやってたぞ~と思い出し、雨の降る寒い日にわざわざ行きました。
ま、仕事帰りですが。

雨の先斗町でも人がいっぱい。あの細い路が。そして外人がいっぱい。
白人さんが多い。小雨の中、おそるおそる先斗町のお店でお昼を食べ、
そして2階の桟敷から見ました。(一度桟敷って座ってみたかった!)
1部は『源氏物語』から「葵」、2部は東下りという物見遊山風のちょっと笑えるショー
要素が強いもの。どちらもストーリー性が高くて、面白かったです。
今回、私には(全然別件で)忘れられない観劇になりました。

「鴨川をどり」2016

1部源氏物語の葵上、日本人なら誰でも知ってる(はず)。結構本格的な芝居。休憩7分で
2部は、先斗町のお姉さんが旅にでて、鴨川から大井川まで行って戻ってくるという
ちょっとショー仕立ての笑えるつくり。

台詞が多いし(1部ストーリー性高いし、2部は台詞で笑うし)日本語が分からないと
難易度が高いのでは・・?と客席の外国人の多さにちょっと心配。
2階桟敷から見ていると、半分くらい外国人なんじゃ・・?と思えるくらい。
しかも、白人が多い(これは「都をどり」でも思った。平日の昼だしねえ)

場所は「先斗町歌舞練場」。そうOSKが時々公演をする劇場だ。だから中身知ってる。
前の端っこは奥が見えない。首が痛い。なので、2階席希望・・そしたら桟敷席だった。
切符売り場のおばちゃんがくれたのは、「桟敷」と書いた座席券。
私は「桟敷」って座ったことがないので、わくわく行き「うわあ♪広い、足伸ばせる♪」
と喜んでいた。ら、案内してくれた客席係さんが、「4人席ですので、相席になるかも~」
というようなことを。この狭いスペースに4人・・・ご冗談を!無理無理。
と真剣に受け取ってなかった。どうみても「2人」が限界よ、このスペース。

最初は、ひとりで足を伸ばして荷物を置いて、かなりゆったりと楽しんでいた(開演前)。
だが、開演時間が迫るにつれ、周りの桟敷席も埋まっていく。まあ2人連れが多い。
私は油断していた。すると案内のお姉さんが、一人の白人青年を連れてきた。
「コンニチワ」とにこやかに、私に微笑みかけ、隣に。・・・うわあ!と内心大騒ぎ。
ってか、狭いよ!!彼は靴を脱いで、リュックを抱えてそっと進入。神妙に座る。
すごく気を使っていたが、彼が気を使う以前に、脚の長さが入りきらんって。
物理的に無理やん・・というスペース。とりあえず、足を伸ばしてくつろぐ私を見て
同様の体勢をとる彼(本当は正座だ。小さな日本人4人が正座しないと入れない広さ)
「狭いですよね・・リュックはひざの下にどうぞ」と、英語でなんていうのか、悩んだ。
まあ何とか・・と思ううち、もうお一人、今度は日本人のおじさんが登場。
私の後ろ。えええ!!狭すぎっ。2階の桟敷席(4人席)がほぼ4人ずつ埋まっていく・・。
本気で「4人席」だったのだと気付いた。あわてて正座する私、隣で小さく胡坐をかく青年。
幕が開いた。


第1部「源氏物語」より葵上
この世界的に有名な古典文学を知らない日本人は居ないでしょう。
しかも超が付くほど有名な「葵上」だもんねえ。と、私は思っていたし、舞台の役者さん
(お姐さん)の台詞がちゃんと通るので、分かりやすかった。
が、これは私が日本人だからだ。隣の青年は果たして分かるのだろうか・・と少々お節介な
ことを考えつつ、横目で、真剣に見入る彼の心配をしていた。
いまさら説明するまでも無いが、光源氏の正妻・葵上(左大臣の娘)に、光君の愛人の
六条御息所が生霊として取り付き、殺してしまうという段。出演は上記3名のほか、
葵上の兄で光君の親友・頭の中将、お払いの坊さま。あとはそれぞれの侍女たち。
葵上が結構可愛らしく、権高い様子も無く可愛い奥様でさ、余計に御息所が怖くて。
御息所役の方は、かなり鬼気迫っていて、迫真の芝居と踊りであったと思う。
そして生霊(とは思ってないか)の正体を光が気付かないで、妻に憑いた霊と戦う。
だが、戦いむなしく妻は取り殺される。その後自分の愛人・御息所が犯人?と知り、
彼女と別れるまで。秋の風景の中、情感溢れる別れのシーンまでが描かれていた。
(六条御息所は後の秋好中宮の母で、当時幼少の娘の斎宮に従って下がるんだよね・・)
ということで、私は楽しんだ。

幕間。やっぱり気になって、隣の彼にきいてみた「今の話わかった?」
そしたら、やっぱり「全然わからん」というので、「源氏物語って知ってる?」から聞くと、
「知らん。」・・どうやら昨日京都に来て、三条辺りを観光して歩いていたところ、看板が
目に入ってふらりとチケットを買ったらしい・・。日舞見たのもはじめてだって。
この流れでは逃げられないので、拙い英語を駆使して説明しました。
源氏物語と、「葵上」の簡単な人物紹介とストーリー説明。
でもね、英語で説明してたら、なんか・・愛人が嫉妬で妻を殺したという三角関係の
しかもオカルト殺人事件になってしまって・・情緒が無い!!〔私の英語力が無いんだけど〕。
彼は「わかった!!あの寝てた人は殺されてて、それが奥さんで、あとで出てきたのが愛人。
愛人が奥さん殺したんだ」と、そんな解釈ですっきりした笑顔であった・・・。
合ってるけど。やっぱり情緒ない・・。私も悩んだんよ、生霊って英語でなんていうの? 
どう説明しても、ホラー昼ドラ。ラストシーンの秋の風景の意味とか説明できないし、
それにあの場面に漂う空気は、英語にならない。まあ自ら感じてくれただろう(と思う)

幕間には、隣の升席に座ったご夫婦が、抹茶あめをくださった。
彼にもどうぞって。グリーンティキャンディくらいは言える(笑)
私は連れじゃないが、そう思われていたらしく驚きました。最初一人だったやん私!
私の必死の英語・・まさか余裕に見えた~?必死な連れ?(いやちょっと・・助けて・・)

そんな話をしているうちに、7分の休憩はあっという間におわり、2部開幕
三条大橋から先斗町のおねえさん二人が江戸まで旅にでるという設定。
各地をめぐるのだな。いろいろな古典歌舞伎が盛り込んであるよう。
私は歌舞伎は全然詳しくなくて、最近OSKがちょっと歌舞伎を取り入れたりしているので
知ってる程度(どんな知識や)
でも白波五人衆くらいは知ってる。(五人姉さんであったが。)
当然、あの見得は切ってくれる。追いはぎで、「踊って見せろ」だったのが笑えるし、
また姉さん方も踊るし。
大井川では川船の船着場で雨で困る話やら富士山が出てきて、世界遺産認定で遊んだり、
ちょっと笑えて。でも全部日本語。
最後は、手紙が届いて「鴨川をどりやから帰ってきて~」で、江戸に行かずに帰る、と
いう落ち。日本人はかなり笑っていた。が、笑い声は半分だ(だって日本語オンリー)。
大昔ロンドンでミュージカルを見たときとか、英語の講演会に出たときとか、
周囲が笑っているのに笑えずに大変つらい思いをした私。笑いについていけない外国の
方々の姿に己を反映し、ちょっと胸が痛む。
ラストは總踊りで、豪華に華やかに!! てぬぐいが客席に投げ入れられ、盛り上がる。
(が、2階へ遠投する強肩のお姉さんは居ないようだった、残念。)

終演後、やはり気になりまた白波五人衆の説明やら、手ぬぐいの説明やら、拙い英語駆使。
その後は、私は急いでいたので、良い旅を~(くらいは英語で言える)と手を振り、
彼は「サヨナラ」と満面の笑顔を見せてくれ、靴を履くのに手間取っていた。


声を大にしていいたい。体格の良い外国人の若者に、桟敷席に4人は無理、物理的に無理。
日本人でも無理。日本のちいちゃなおじいさまおばあちゃまなら4人は可能かもしれないが
若者は無理無理。・・あの席、4人席設定はやめてあげてほしい。もう時代が違うのよ。
私は若者ではない普通の日本人のおばさん。おばさんの中では背は高め。でもつらかった。
更に。私は一年中大判ストールを持ち歩いているが、この日も持ってて良かった!と
しみじみ。だって正座苦しいしタイトスカートだし(仕事帰りだから)、隣に好青年。
ストールひざ掛けがなかったら足が死んでたと思う・・・。


お茶席券が別売りで、かなり時間があったので買っていってみた。
4階という行ったことのない場所だし。基本、「都をどり」と同じだった。
お手前をするお姐さんを見ながら、流れ作業でお饅頭を食べて、大量生産のお茶を
飲み、お皿をいただいて帰るだけ。ここのお皿は、大変品がよろしい品であった。
お土産は特に買うものなし。「鴨川をどり限定品」みたいなのが無かったし・・。

今回はお茶席より、お昼に先斗町のお店に一人でいったことが印象深い。
あのあたりのお店は大変敷居が高くて入りにくい。でも遠くに行く時間もないし、
おなか空いたし・・で英語のメニューがあり、お値段お手ごろなお店に思い切って
入ってみた。カウンターのみ。中途半端な時間のため、客はいない、私一人。
親子丼を注文し、料理人さんと話す。出てきたどんぶりは大変美味しかったし、
料理人さんも楽しかったし、またひとりで行きたいわと思えるお店だった。
ひとつ、経験値があがった気分(笑)こんどOSKの公演のときにも行ってみよう。
そういえば、通りにOSK「紅に燃ゆる」の大ポスターも張ってあった。なんか嬉しい。
あの大勢の外国人サンたち、こっちも見てほしいなあ・・と思った。
あの源氏物語より分かりやすい・・かも。「春のおどり」なら絶対楽しいって。
しかし来月なんて、観光客なら居ないか・・と思ったら、件の青年は「3週間日本に居る」と
言っていたし、結構1ヶ月程度なら滞在するのかも。は!しまった誘えばよかった。
・・・ってそこまで英語できないし、明日から富士山行くって言ってたしね。


ということで、なんの感想か分からない内容になってしまいました。
私は「英語で源氏物語を説明する」という貴重な経験ができた「鴨川をどり」でした。
一生忘れんわ・・・。私の説明を聞いてくれたあのお兄さん、ありがとうね。
源氏物語はホラー昼ドラマじゃないから!幽玄の世界、無常観だから!



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通りすがり

引窓を英訳しているとサスペンス劇場みたいになり、悲しい。逮捕と言う単語は警察じゃないと使えないと言われたり、独訳したら黒子が取れるわけないと言われる。今度は、おかる勘平を仏訳したら、松の間の刃傷が松林に変換され、何故腹を切るのか理解できないと言われる始末。今年の顔見世でかかる引窓においても、諸外国の皆様のツッコミを思い出す事になりそうです。引窓はサスペンス劇場じゃないのよ、思いやりを学ぶ演目であり、引窓の開閉で心情を語ってるんだから。
by 通りすがり (2016-11-14 13:06) 

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