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宝塚星組「The Lost Glory~美しき幻影~/パッショネイト宝塚!」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚星組「The Lost Glory~美しき幻影~/パッショネイト宝塚!」
2014年7月29日(火)15時 2階14列センター


「轟さんが出るなら見てみたい」と母が言うので、一緒に行きました。
星を見るのは安蘭さん以来とか? そんなに見てなかったのか。
ずっとずっとただひたすら雪ファンの母です。

私は星なのであまり期待せずにいたのですが(大失礼)、お芝居が凄い良かった!
轟マジックというのか、轟さんと景子先生が相性がいいのか、とてもよかった。
轟さんの「男役の魅力」が全開で(いま背中で語れる男役が絶滅危惧種かも。
未涼さんも今回で退団だし・・・あとはOSKの高世さん?・・・って劇団が違うわ)
それに対峙する2番手 柚希さんが悪役の魅力全開に(トップには出来ない役周り)
ヒロイン歴の長い長い夢咲さんの始めての当たり役!?というほど役にぴったり嵌ってて。
(失礼。『ナポレオン』のジョセフィーヌも似合ってましたね)
真風さんは時代を担う新進男役という雰囲気で貫禄も出て頼もしく、かっこよく。
とてもとても感動した。お話はまあ有名なシェイクスピアの「オセロー」だし、
というよりサスペンス2時間ドラマみたいだったけど、破綻してないし面白かった。
なにより轟さんの男役芸の全てが見事に表現されてて、柚希さんの悪役が素晴らしく。
「これ」がやりたいから、轟さんに来てもらったのね・・・と納得した。

芝居の出来具合に比較するからか、ショーがレベルダウンの印象。
凄く踊ってて良かったよ。往年の(最近じゃない)草野先生ショーみたい。
色彩が悪趣味になる寸前で留まっているところが素晴らしい。
ダンスも見ごたえのある振付をがんがん踊り、ラインダンスも凝っていて綺麗。
問題は、歌。もうすこしスタークラスで歌える人がいれば、全然違うだろうなと思える。
スターが順番に銀橋で歌い継ぐところ。普通は盛り上がる場面だと思うのですが、
出てくる人が次から次に・・・・・。もうね、普通の「歌」聞かせて!と懇願したい
レベルだった。途中持ち直すとか、誰かが支えるとかそういうのがなく、
ずーっと・・・って、疲れる。そういえば、これ『ノバボサノバ』のときの感想と同じだ。
メンバーずいぶん替わっているはずなのに、なぜ同じクオリティ?お芝居のときの歌の
上手さは何だったの?アレもと轟効果なの?(轟さん自身歌の方じゃないのに)
期待の礼さんもまだ若いからか、それほどの美歌振りではなかったような。今後に期待。
まだ若いのに使いすぎで、荒くなったりしないように気をつけて、つぶさないで欲しい。
気を取り直し。
真風さんの成長振りに驚いた。お芝居も良かったけど、ショーでも存在感が出てた。
歌頑張ってね・・。
どうでもいいんだけど。
星組は、夢咲さん、紅さん、真風さんと3人同じ2番手羽根なのね。羨ましい。・・・


当然、ネタバレあります。



「The Lost Glory~美しき幻影~」シェイクスピア「オセロー」より
作・演出 植田景子


主人公はオットー、だけど拮抗する主役級敵役がイヴァーノ。
こういうトップ2番手が互角に対峙する作品は昔は良くあった(「黒い瞳」もそうですね)。
最近は見ないですね~私、このタイプのお話大好きなので、凄く嬉しい。
礼音さんがやりたかったんですね?この魅力的でカッコいい悪役を。
悪役は大抵2番手が演じ、「美味しい2番手」といわれ魅力が増しファン倍増の役。
あえてトップ歴が長い柚希さんがやるってことは、中興の時期なんでしょうか・・?
普通は次期トップとなる2番手さんに勢いをつけるために、超魅力的な2番手役を
させるんだけど、・・・・・まだまだなんですね?
そういえば、安蘭さんも『エル・アルコン』で悪役主人公を見事に演じられましたね。
アレは悪役が主人公のピカレスクロマンでしたが、今回はレッキとした悪役、
だから2番手として演じる。そこで轟さんに御登壇願ったわけね。凄く納得しました。
他の人じゃ、柚希さんというトップを相手に、あの役を演じられない。
宝塚のスターシステム上も無理。
轟さんの存在って、こういう使い方も出来るのね・・と改めて感心した。
それに。
轟さんが入るだけでクオリティがあがる(ような気がする)。
お芝居を締めるのね。空気が変わる。
星組のいつもの「○○役をしている▲▲さん」を見るのではなく、
役の人物として生きている! これが舞台を締めるということか。
この存在感は凄いね、本体は小さいのに大迫力、全然小さく見えない。
ラストシーンの「語る背中」は圧巻。男役芸の極みですね。
近年タカラヅカから激減し、絶滅危惧種か?というほど居なくなったタイプだなあ。
私にとっては、カッコいい轟さんが見られ、お芝居のクオリティが高まり
大変嬉しかった。
(ちなみに母は「イシちゃん(轟)老けた・・・」とショックを。何年前と比べてるんだ!?)



オットー・ゴールドシュタイン(轟)
移民の成り上がり建築王。事業家?設計士? とにかくアメリカン・ドリーム体現者だ。
そしてアメリカ名門の令嬢(しかも娘のように若い)を妻に迎えるという完璧さ。
まさにアメリカの成功者の夢みたいな男だ。(+糟糠の妻を捨てて・・なんてよくある:笑)
その幸せの絶頂で、メリットをとるため何気なく行った人事がイヴァーノの心を傷つけ、
代償として彼から復讐される・・それでも最後までイヴァーノを信じ、すべてが明らかに
なったあとでもイヴァーノを非難しない。ラストの対決場面で、イヴァーノは「復讐して
やったぞ!さあ苦しめ!己の不明を呪え」という達成感から、一気に不安に陥れられる。
結局、イヴァーノはオットーを信じきれなかったところで、負けだった・・という結末。
オットーの大きさ、包容力が決め手ですね。・・さすが轟さんでした。柚希さん相手に、
すべてを包み込むなんて、他の人じゃ無理ってもんよ。
ディアナへの愛情や対応も、大変良く見えた。そしてサムと語らうラストシーン。
圧巻で、文句なし。もう一回見たいくらいだ。私的には久しぶりの轟さんは大満足でした。


イヴァーノ・リッチ(柚希)
同じく移民の子。アメリカで差別されていたところ、オットーに才能を見込まれ彼の
部下として腕を振るう。かなり年下?(の設定に見えた。きっと親子ほど違う。)
新しい会社の社長が発表されるまで、オットーを信じて敬愛してきた。その反動で
彼に復讐する。・・・愛と憎しみは表裏一体ということか。本当に彼はオットーしか
見ていないもんね。柚希さんの愛情にあふれた憎しみは大変素晴らしい演技だった。
いつもの柚希さんとは全然違うような印象。芝居は相手との呼吸だということか。
ラストシーンも見事でした。複雑な心境から、安堵して死ぬまでの表情が・・語る。
柚希さんの代表作になるのかしら?きっとならないと思うけど、私にとっては、
好きな柚希さん役の2つ目だ。(一個目は『スカーレットピンパーネル』のショーブラン)

柚希さんが生き生きしすぎ(笑)悪役が似合うね~
まるでショーブランみたいなお化粧ですが、本当に良く似合う。役割も台詞もどんぴしゃ。
本来こういうタイプの役が似合う役者さんなんですよね。これはトップに回る役じゃない。
だから轟さんが来ないと出来ない役なんだね。よかった、よかった。


ディアナ・キャンベル(夢咲)
アメリカの名門一族の令嬢。オットーと恋に落ちて一族の反対を押し切って結婚した。
もともとあの時代に女流画家として名声を馳せている女性、かなり我が強い。
恵まれた令嬢が、腕試しをして成功した感じかな。同じ成功者のオットーをえらんだ。
イヴァーノに陥れられても、それでもオットーを愛し続けた。彼女が途中で気まぐれな
有閑マダムになってたら、話は終わった。オットーもイヴァーノも救われないまま。
彼女の献身的な純愛が、お話に救いを与えた・・と思います。
夢咲さん、歌が上手い。なんで!と思うほど上手かった。お芝居はとってもよかった。
いつもより三割増に上品に見えた。おてんばな令嬢という感じで。とても似合ってた。
轟さんの指導かな〜とか思ったが、歌までうまくなってて超驚いた。でも芝居だけだった。
大変残念だ・・・


カーティス・ダンフォード(真風)
ディアナの親戚のやはり上流階級の息子。政治的に有利だから、オットーは彼を社長に
抜擢した。まだまだ若い未経験の男に、出自がいいというだけで重要な役をつけた。
それでイヴァーノが切れたんだよね・・・。
前半は、ぼっちゃんぼっちゃんしてて、簡単に陥れられたりして、情けないけど。
後半は「これじゃだめだ」とかなり自覚して積極的に仕事をしている。すごくいい。
彼も立派なビジネスマンになり、出自にふさわしい「命令を下す立場の男」に成長。
結果的に、イヴァーノはカーティスの両親に感謝されることになったような(笑)
彼とミラベルの関係も、最初からずっと伏線があり、最後は余韻を起こして終わる。
ミラベルの役割が、カーティスには重い。二人のラストシーンは、名場面だった。
私はこういうのが好き。往年の柴田先生の作品みたいで。
真風さん、2番手役という感じ。カッコいい。ぼっちゃんから陥れられて目覚めていき、
一人の男としての成長が見られた。すごくすごくイイ男。スターのオーラが出ている。
今回ものすごく成長を感じた。ロビーの写真をみたら、下から2つ目なんですね・・・
そんなに若かったのか!!と驚愕。もう長年立派なスターをやってるイメージだった。
今回のお芝居の真風さんをみていたら、本当にスターらしいスターなので、びっくりよ。


ロナルド・マーティン(紅
ディアナの絵画の家庭教師で、元恋人、彼は「身分違いで引き裂かれた、
今でも愛し合ってる」と思い込んでいるが(煽った奴がいるが)、ディアナの方は
「子供の頃のこと、恋愛と誤解してたのよ」とすっかり忘却の彼方(ヒドイ)。
まあ男と女にありがちとはいえ、身分の差も考慮するとかなりひどい状況だ。
それを、イヴァーノがあおり立て、結局ロナルドは破滅する。
そしてイヴァーノはロナルドに復讐されるのだ・・これは想定外だったようですね。
窮鼠猫を噛むという単語を教えてあげたい。いえ自分がネズミの立場(オットーが猫)
だと思ってたようだけど、ロナルドにとっては彼が猫だった。それが誤算。
かわいそうな人でしたね・・・

紅さん、この役はどちらかという芝居のうまい上級生がやるような役で。
インパクトはあるけど、かっこいいわけでなく、ラストシーンまで全然目立たない。
正直ウォールストリートの群集の中では、埋もれて分からなかった。
気の弱い庶民の絵画教師に徹し過ぎなのか(演出のせいかな)本当に目立たない。
その分ラスト‘窮鼠猫を噛む’の場面のインパクトが増大する訳だが。
お話的には大変良いが、2番手スターとしてはどうなんだろ?という役だったと思う。

紅さんも歌が・・の人だけど、お芝居の方はいい歌を歌ってた。「おお巧くなって!」と
感動していたのに、ショーではいつも通りに戻っていた。なんで・・?
紅さんのお顔は、お化粧で化けやすいお顔なのかもしれないけど、
こういう平凡な男の役をすると、本当に平凡になってしまって
わからなくなるということがわかった。


パット(礼)
ウォールストリートの靴磨き。そこの少年リーダー。かなり歌う。いっぱい歌う。
あまりのソロ場面の多さにびっくりした。ロビーの写真の一番下の子にこんなソロ。
どんだけ星は歌える人が不足しているのか?。
礼さんはお顔が童顔だから、少年役がはまる。しかし少年以外が??という感じ。
すごく上手かった。少年は。


ミラベル(綺咲)
田舎少女がみた大恐慌の始まり、それを彼女の視点で語るところが、状況説明に
なっていて、素晴らしいなあと思った。そして、「それでも希望を失わない姿」
カーティスとの余韻を残すさわやかなラストシーンがこのお芝居の清涼剤のよう。
可愛いですね。歌はいまひとつな印象がありますが、かなり可愛い。


ウォルター・ライマン(十輝
財閥当主で、オットーの父親代わりに支援してきた人。オットーよりかなり年上。
十輝さんのライマンは、貫禄あるけど全然老けて見えない。
轟さんを拾って育てたようには全然見えないぞ(この設定自体が無茶かもな・・)。
もっとちゃん老けて重量感を出して欲しい。かっこいいんだけどさあ。
この人、時代を象徴する人物でしょ。彼の未来志向の強気と現実への挫折が、
かなり重要な時代背景を説明するのだから、それをしっかり表現して欲しいところ。
これがあれば、物語に更に厚みが出て、ホントにこの時代を表現する(宝塚では多い)
名作になったこと確実なのに。惜しい・・本来専科さんに登場願いたい重要な重要な
役所なんだわ。十輝さん・・残念ながら、全然それが感じられなかった・・・。




サム(美城)
オットーの侍従。じいやのような純朴な黒人。最後までオットーが心を許している
唯一の人物。誰に裏切られ誰も信じられなくなったオットーが、唯一信じている人物。
上手いわ、美城さん。ずっとそばにいて、轟さんを見守り敬愛しているのが分かる。
ラストシーン、彼の息子かな、がでてくるところ。サムが轟さんをどれだけ愛し敬い、
また彼の再起を信じているか、未来を期待していることを語るところで、涙でた。
すごい威力だ。ほんとうに演技が上手いなあ。


印象に残ったのはこんな感じ。
時代としては、蘭寿さんの『ラストタイクーン』と同じだが、こっちの方がずっとずっと
100万倍良い→私の好みだってだけかも、ですが(笑)。
蘭寿さんのラスト公演をコレをしてあげれば、よかったのに・・(蘭寿オットーね)
と思ったのだが、イヴァーノ役をできる人が当時の花にいないことに気づいた。
ままならんもんだね。ほかにオットーできる人、もう思いつかないや。



「パッショネイト宝塚!」
稲葉太一

轟さんが抜けるとこんなにもダウンするのか・・という感じ(歌の所為かもしれぬが)。
芝居では、皆歌も結構ヨカッタののに、ねねちゃんも紅さんも。(真風さんは最近良い?)
なのにショーになった途端、なにこれ???の?が飛び交う歌いつぎ。
なんだか、お芝居での「星もすごく進化したんだな」という感動が一気に吹っ飛んだ・・
すみません。やっぱり歌がアカンかった私。

衣装は豪華で、色彩も下品の一歩手前で踏みとどまり大変良かった。
(見たことのある衣装が結構出てた。変な衣装だから印象に残りやすいんだよね。)
セットも豪華で美麗。ダンスはがんがんに踊ってて、これぞ「ダンス」という雰囲気。
ラインダンスも35回も足上げしてる(私のカウントでは)。すごいよ、中村Bショーの
レベルだ。
いろいろ面白かった。ただ歌だ、歌だけなんとかして欲しい。一人だけならOK,
二人くらいならなんとか。でもずっと続くとなると、さすがにきつい。
それが今回の感想。やっぱり星への感想って・・こうなるんかしら?
私の耳と相性悪いな。。。中身についてろくに語ってないですね。プログラム買ってない
ので、記憶だけです。そしてお芝居に全ての記憶容量を費やしたので、ショーについては
このくらいしか書けません。すみません>星組さん。
お芝居だけも一回見たいなあ。


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コメント 2

サスケ

こんばんは、私も轟さん流石と思いましたよー。演技できる人が入るとしまるし、皆も引っ張られてレベルも底上げされますよね。ちえちゃんファンと星組ファンからバッシングされているのが不思議です。
二番てさんが実力がないので、ちえちゃんがやめてしまったらどうなるのか星組ファンは心配じゃないのかなーと思います。
by サスケ (2014-08-03 23:36) 

えりあ

サスケさん

轟さんが入ると締まりますよね。星組さんで不評なんですか?
しかも柚希さんファンからも? あんだけカッコいい柚希さんが見れるのに?
柚希さんも生き生きしていましたし、私は凄く良かったなあ~星組さん、と
思ってました。
組2番手は、お芝居見る限り真風さんに見えました・・紅さんなんですよね。
でもショーみると同格っぽかったし・・・真風さんなら大丈夫だと思いました。私。紅サンにけんか売ってるんじゃないんですが、ちょっと弱いなあとは感じます。でも劇団の考えることは分かりませんし、なんとかなるんでしょう、きっと。このお芝居が不評なら、星組ファンの求めるところと紅さんが合うんだろうなあと思います。


by えりあ (2014-08-04 00:24) 

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