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宝塚月組DC「MERRY WIDOW」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚月組DC「MERRY WIDOW」
2013年11月25日〔月〕シアタードラマシティ 25列センター


オペレッタ!!と言う雰囲気の舞台。ストーリーも歌も演出も、オペレッタ。
出演者の歌もオペレッタ。特に北翔さんの歌声は素晴らしい。声量も声質も絶賛する。
そして誰より印象的な大使閣下(星条)。素晴らしすぎる・・ブラヴォー!!
ヒロインの未亡人ハンナ(咲妃)も可憐なツンツン未亡人で歌も良かった。
原作に忠実だから話が古臭い感じなのはしかたないが、破綻してないのは良いこと。
急に思い立って見に行きましたが、良かったです!




「The MERRY WIDOW」 原作レハール 脚本演出 谷正純

ああレハールだあ~という音楽。もちろん原作は見たことない。でも分かるこの雰囲気。
演出は谷先生だったんだな、でも脚本も破綻してないし、誰も死なないし、楽しい。
とりあえず、誰の演出わからないほど、レハールのオペレッタだった。

出演者は、歌が大変だっただろうな~と思う。北翔さんはさすが!主演にオペレッタを
宛てられるくらいだから、言うこと無しにぴったり。素晴らしい声で素晴らしい声量。
聞かせてくれましたわ。次に歌が多いのが、カミーユ役の凪七さん。音程やら声は良い。
声量がもう少しあればなあ・・と言う感じ。ハンナの咲妃さんは、びっくりした。
こういう役も似合うんだ、そして歌えてしまうのね(欲を言えば、純名さんクラスに
歌ってほしいが、まあ今の宝塚では贅沢というもの。このくらい歌ってくれればOKだ)
あとはヴァランシエンヌの琴音さん、うーんもっと上手いと思ってたので、やや残念。
この方もう少し落ち着いた役のほうがいいのかも・・。
この作品を語る上で外せない、一番印象に残る、一番重要な方、大使閣下の星条さん。
もう「Shall Weダンス?」のドニー(夢乃)のような!と言えば分かっていただけるか。
全ての場面を引っさらっていってしまう役ですわ。素晴らしく上手かった。
この方も若いよりこれくらい落ち着いた役の方が嵌るような気がする。上手いんだな~。
今回は北翔さんともどもやりすぎでなくて、ちょうど良かった。

ここまではとても良い感じ。ただ、月組、他の下級生がいまひとつ・・に感じてしまった。
若いのとっても若いの。若い役ならいいけど、若くない役でもなんか・・新人公演を
見ている気分にさせられる場面が多々あり。このお芝居、星条さん(と咲妃さん)が
良かったから、まだちゃんと脇が締まってお芝居に見えたのかな・・と思った。
こーゆーのが通常の月のお芝居なら、まあ私の好みじゃないわあ・・・。
あ、でも『月雲の皇子』のとき絶賛してましたね私。珠貴さんの芝居は好きなのかも。
そういえば、そのときに「可愛い!」と思った朝美さんがあまり演技できる役してなくて
残念だった。あの時絶賛した輝月さんもそれほど演技を見せる役ではなくて。
オペレッタだからかな~主要な役以外が、ややないがしろに・・。。


では個別に。

ダニロ伯爵(北翔
陽気な伯爵。ジャガイモ泥棒退治で手柄を立ててる? 明るいよね~北翔さんにぴったり。
でも意地っ張りなんだ。恋人に捨てられたと思ってちょっとグレたり。でも忘れられず。
なのに意地を張ってしまってさらに抉らせる・・と。国王命令でも大使命令でも聞かない。
頑固だし〔笑〕。なかなか単細胞で意地っ張りで、楽しい人物だった。
ハンナの周りの男たちを追い払っていたけど、メインのストーリー展開に対しては、
カミーユが勝手に動き、大使が勝手に誤解し、周囲が誤解しまくって動き、
ダニロが意地を張ってるうちに上手いことハンナが暗躍して、最後は〔ハンナの〕
思い通りのハッピーエンドに持っていかれたような気がした。実は恐るべしハンナ?!
亭主関白のように見えて、実はカカア天下な家庭が目に浮かぶようです(笑)

北翔ダニロは、もうぴったり。ダニロのキャラクターに嵌ってるし歌も素晴らしい。
実は北翔さんのお芝居の歌って、割と「ちょっと芝居はおいといて、歌います!」と
言う風に感じてしまい、芝居の中の歌は余り好きではなかったのです。
(ショーのときは「うわ、すごーい」と思って聞いてます。ショースターだと思うの)
だから、このオペレッタの持つ唐突感が、北翔さんに嵌ったのかもしれない。
そして今回もコメディだけど、やり過ぎない感じが良かった。ホント良かった。
普通に遣ってて上手いんだから、やりすぎないで欲しいです。


未亡人ハンナ(咲妃
貧しい農園の娘、で大富豪銀行家と結婚して1週間で未亡人。夫が亡くなってどのくらい
経つのでしょうね? 喪服着てないし、それを非難されてないから、1年以上前?
→ダニロさ、彼女が未亡人になってから何してたん?(とか思ってしまいました)。
カミーユに「奪い返しに行け!」と既婚女性を奪いにけしかけてたけど、自分の恋人は
すっかり独身に戻っていたのに、どうして奪いに行かなかったのか・・?疑問だ。
まあいいや所詮はオペレッタ。
で、ハンナ、可愛かった。パーティ場面なんかは、大富豪の未亡人と言う余裕たっぷり。
でも、ダニロと二人になると、貧しい庶民出の娘という必至な感じが出てて・・この方、
芝居、上手いと思うわ。いや「月雲」で絶賛したけど、本当にヒロインタイプだ。
月組のほかの娘役さんの芝居、若い娘の役ではみんな「キャンキャンしててうるさい」
お芝居をする・・・そう花組へ組替えしたばかりの頃の蘭乃さんのようなイメージ。
そんな中で、咲妃さんだけが落ち着いた緻密な芝居をするから際立つのかも。
咲妃さんがヒロインに相応しい芝居が出来ることは確か。まあ全部私の感覚ですが。
もうちょっと月組の若い娘役は全体的にしっとりした繊細なお芝居をして欲しいな、
と思うのでした(私の好みの話だけどね)。
咲妃さん、美人だし(可愛いタイプじゅないのが好ましい)、品のあるしっとりした
娘役さんなので、これからも期待したい人だ。


ツェータ大使閣下(星条
ポンテヴェドロ王国の駐フランス大使閣下。この方がいないと話が始まらず、進まず、
この方が動かないと、話は終わらない。もうラストのあたりは独壇場でしたね!
一人カワイソーな結末になってたけど、その哀愁漂うお姿も素敵に感じるほど。
58歳でしたっけ?落ち着きがあるのにお若くてダンディで素敵な大使閣下(絶賛だな)。
地位も身分も手にいれた大人の男。ダンディな容姿に、情熱的で真摯な愛情表現。
「ねえ、ヴァランシエンヌ、私はカミーユより大使閣下の方がいいと思うわ!」と
言う友人が居たのではないかと・・そしてヴァランシエンヌも、そういう思いが
欠片もないとはいえないのではないかと・・思うのでした。大使閣下、カッコいいのよ!
年の差なんて、気にしなくてOKなほど、好条件があると思うんだよね。
なので最初、カミーユの態度は、「未練たらたらストーカー?」としか思えなかった。
だって大使閣下はカッコいいし、ヴァランシエンヌは嫌そうじゃないもん。
大使閣下の楽しい誤解と素直な反応には、大層楽しませていただきました。
本当に、素晴らしいです。ラストシーンは、大使閣下に釘付けでした。

星条さん、凄く凄く上手かった。ほんとドニー(Shall we ダンス?)のように、
場面を掻っ攫うんだ。いつも「ちょっと遣りすぎでは・・」とか思っていたのですが、
今回は年配のオジサマ設定だったからか、やや大人な反応が、素晴らしいタイミングの
素晴らしいお芝居でした。思いっきり笑わせていただきました。オペラグラスはずっと
大使閣下でしたわ>私。


大使夫人ヴァランシエンヌ(琴音
カミーユの恋人だったけど、彼を自立させるために別れを決意、求婚してくれていた
ツェータ閣下と結婚した。のに!またまたカミーユが現れ熱く愛を語るので・・と。
結局カミーユを選びました。(私は大使閣下の方がいいと思うのよ~>要らぬお世話)
ちょっと賢そうな感じがするので、いろいろ悩んで道を選んだのに、簡単に変更するのが
納得いかないような雰囲気がある・・いや全然尻軽じゃないし、真面目そうだから。
カミーユも変わった(らしい)ので、カミーユと幸せになれたらいいですね。

琴音さん、確か歌が上手い印象があった。今回も綺麗に歌っていたけれど、高音だからか
いつもより迫力がないような気がした。もっとドスの効いた歌のほうが得意なのかな。


詩人カミーユ(凪七
パリの伊達男、というか気弱な詩人?「詩が売れて困るなあ~はっは」って風ではない、
(花組『愛と革命の詩』で学んだ。詩を売るには愛想が大事!)どうやって生計を立てて
いるのか謎・・見た目からすると、どこかのブルジョワのお坊ちゃまなのかも。
あまりガッツがありそうに見えない。ガッツのある詩人なんて居ないのかも知れぬが。
ひょろっとした見た目通り、正攻法でぶつからない。なんとも絡め手で復縁を迫る。
(私の好みじゃないわあ、やっぱり大使閣下の方が性格も顔も好みだ>どうでもいいね)
彼としては、彼女と二人夫に撃ち殺されても本望なのかしら?一緒に死ぬのが美学とか?
コメディ・ワールドのお陰で生き残れましたが(笑)→シリアスなら二人とも死んでるね。
・と言うほどのドラマティックな設定ではないですか。
こやつの所為でいろいろ騒動が起こっているのに、何もしない。
流されるま。状況に、己の感情に。ずっと流されて行動しているだけ。
カミーユ君、愛に生きるのも良いが、もうちょっと真剣に「自分の」人生を考えたまえ。
と言っておきます。

凪七さん、難しそうな歌がいっぱいありましたね。凄い音程だった。感動的。
あとは北翔さんレベルの声量があれば、オペラ歌手みたいな感じになりそう。
ちょっと線が細いけど、詩人らしくて良かったです。まあ私の好みとしては、この役
もうちょっと意思的行動を表現したほう、もっともっと美味しくなる役だろうな~っと。
ポスターに載っているから2番手役だと思うけど、大使閣下に存在感負けてるよーな。
なんつーか、宙組な感じのさらりとしたお芝居だった(何それ?ですね)


ここまでが主要キャストかな。

あとは。ダニロの従者ニエグシュ(暁)。ちょいときついこと書くけど・・ごめんね。
「15年お傍に仕えて」って台詞。なに?15年、生まれてすぐからかよ!って
言ってしまいそうなほど、若い。あの若い従者、台詞からしたら設定はかなり年長。
なのに若い、少年以下、ほんとに素だった。声も台詞回しも行動も、言われた通りの
台詞をしゃべり、いわれた通り動いているような・・どういう人物かさっぱり不明。
プログラムを見ると、かなりの下級生。
なぜこの出番の多い役を?と疑問を感じる抜擢だった。
大使閣下の執事?(不明)も若かったけど、もう少しお芝居になっていたかな。
なんだか、こういう付き添い役がしっかりお芝居が出来ないと、冷めて浸れなくなる。
主要クラスの舞台レベルが台無しじゃ・・とか厳しいことを思ってしまいました。
(若い少年従者設定でもいいのにね、設定変えてあげればいいのにさ。)
場面ごとに、すごいレベル差のある公演でした。ジェットコースターみたい。
若手場面は「頑張って台詞しゃべってます、踊ってます」っていうのが伝わってきて。
まだまだ若いのだろうけど、とりあえず「役作り」頑張ってほしいなあ~と思いました。
演出がついてるんだから、谷先生はこういうところをきっちり見て欲しいもんです。


あとは大使館にいるご夫妻3組、クロモウ参事官(輝月)&オルガ(夏月)が渋い。
背景が見えるような夫婦がいいね(二人とも上手い)。
ご老人夫妻の奥様(白雪)はやっぱり上手いわ。老女役が上手いのも凄いよね。
残る1組のはあまり印象に残らず。うーんあまり特徴なくて覚えられない(ごめん)。
表面的に騒いでるだけなのと、役の背景が見える人が混在してて、なんかカオス・・。
スペイン外交官カスターダ子爵(煌月)、ベルギー外交官サン=ブリオシュ(紫門)、
楽しい二人組。私はサン=ブリオシュさんのほうが好みだ(誰も聞いてない)。
まあどっちも同じように迫って同じような行動とってましたね。それが楽しいんだけど
もうちょっと違いがあってもいいのかな~なんて。
今回はやたらCANCANの場面があった。なんかCANCANばっかり見てるな最近。
そのCANCANを踊る男女、特に真ん中のダンサー・マヌー(貴千)すごいわ。
昔の風花さんを思い出した(扱い的に。技術はわかんないが、くるくる回ってた)
CANCANダンサーの中では、朝美さんが綺麗だった。実は、『月雲の皇子』で注目
してたから、今回探したけど、ちょい役。綺麗だしお芝居よかったから今後に期待だ。


終演後のアンコール。今日はマヌー(貴千)さんの誕生日だそうで。
ダニロさんから、紹介があり、大使閣下から母国語でお祝いの言葉が贈られた。
閣下はポンテヴェドロ語で、熱いメッセージを。(英語のように聞こえた→流暢だ・・・)
だがダニロ君は、「すみません、勉強不足で、何をおっしゃったか分かりません」と
白状し(君も母国語のはずだ:笑)、閣下の従者に通訳を依頼。その通訳が見事。
あれが即興なら凄すぎる頭の回転だ。
多分、事前に閣下と打ち合わせがあったものと思われるが、素晴らしかった。

楽しい舞台をありがとう!突然思い立って出かけたけど、チケット取れてよかった。
行って良かったわ♪

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ゆっこ

いつも楽しく読ませていただいています♪今回初めてコメントさせていただいたのは、私も同じ公演を観劇していたからなんです!北翔さんが素晴らしかったのはもちろんですが、咲妃さんが上手くてびっくりしました☆私は遠野あすかさんを思い出したのですが…どうですか?
by ゆっこ (2013-11-30 18:49) 

えりあ

ゆっこさん

ありがとうございます。遠野あすかさん!思いました。書こうかと思ったんですが、今回は遠野さん風のお芝居でしたけど、前作(月雲)のときは花總さん風で、なかなか芸幅の広い人でですね。咲妃さんはこれから期待したいヒロインだなあと思います。北翔さんはさすがですよね!ぴったりすぎて宛書作品かと思うほどでした。
by えりあ (2013-12-01 14:04) 

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