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映画 「天地明察」 [映画鑑賞]

映画「天地明察」
2012年9月19日(水)なんばパークス 



思っていたよりずっと面白かった。わくわくドキドキはらはらした。
江戸時代初期に数学がとっても進んでいたことにも感動。
この時代からすでに民間学問が驚異的にハイレベル、庶民の教育レベルが高い。
こう考えると明治維新の後の近代化は分厚い下地があったんだと理解できる。
とにかく「偉大な事業を成し遂げる日本人(チーム)」とか
「技術の追求には侵食忘れ妥協なし」というプロジェクトXのような展開というか。
もう江戸時代(多分それ以前)から、日本人だなあ・・・と思える映画だった。
副題が「プロジェクトX 江戸時代偏」でも全く違和感が無い話だった。
これも高校生あたりに見せたら、理系離れが減少するのでは?
数学の魅力(魔力?)に取り付かれた人々が、チームワークをもって困難に打ち勝ち、
様々な分野の多くの人の支えで偉業を成し遂げるのお話だもの。
海外でも公開して欲しい。どんな感想か聞いてみたい・・。


ネタバレ有です。



「天地明察」 



原作がしっかりしているからか、いくつもの人間関係をきちんと描いていた。
後でよく考えたら、登場人物がとっても多い。俳優さんもビッグネームが多い。
なのにみんな印象的で、心に残るエピソードがある。悉く主筋に絡んでいるのも見事。
この人物整理とエピソードの組み方は素晴らしい!と私は感動した。

映画の感想だけど、今回異様に長い。それだけ感じるところがあったのか。
私プロジェクトXも結構好きで見てたもんなあ・・・男性視点でみれば最高だもん。


安井算哲(岡田准一)
主人公。典型的な日本人技術者。こういう人は現代でもいるはず。企業の研究室に。
NHKプロジェクトXにいっぱい出ていた。仕事に熱中し、信頼厚い仲間と命を張って
「世のためになるものを、心血注いで開発する。」というスタンス。見たことあるよ。
日本を良くするためには、命も、生活も、家庭も何も惜しまない。

最初はプロの碁打ちとして出てくるから、総髪のポニーテール。途中で会津公から
刀を貰って武士になると月代姿。意外と月代のほうが凛々しくて似合う・・。
一心不乱に計算する様子は凛々しいし(オタクっぽいが容姿が良いので凛々しく見える)
天文観測で、先達の二人に素直についていくところは、とっても可愛い
神道の師匠をはじめ、会津公や水戸公という大物に可愛がられているのも良く分かる。
素直で純粋で、ほんとに可愛い・・天才なのに努力できるし、他人の話をまっすぐ聞くし。
素直な専門馬鹿ってこういう人かも(失礼→でも成功するのはこういう人だよな)
「安井算哲」さんは、家庭面でも(優柔不断がたたって時間がかかったけど)理解ある
良い奥さんをもらえたから幸せだ。本人の人柄かよき友人&協力者にも恵まれた。
暦を作りあげ、それが採用された日は、嬉しかっただろうなあ・・と思う。
この時代から、こんなに実測して計算して、とそういう事実を知って私は驚いたが、
普通にやっているので、きっとそれ以前の時代から複雑な計算や実験、実測をしている
文化が背景にあったのだろうなと思う。日本の文化、すごくレベル高いのでは?(今更)。
小学校くらいから、もっとしっかり実験教育を取り入れて、無名の偉人の後をたどり、
その偉業を教えるべし!・・と思いました。



<後援者>
会津公 保科正之(松本幸四郎
この方を見ると、わー時代劇だ~♪と思える>幸四郎様。濃いお顔だ。演技も濃いけど。
算哲が天文の道に目覚めるきっかけを作ってくれた人。人物選定眼がある人ですね。
もともと彼を京都からつれてきて、自宅で天文観測やらせてあげて、さらに大抜擢。
会津公も偉大な人だったなあ。


水戸公 水戸光圀(中井貴一)
その会津公のあとを受けて、算哲を支援し続ける人。お部屋がいつもとっても洋風で
椅子とテーブルで洋食食べてるし、衣装も派手で・・織田信長イメージだった。
水戸光圀のイメージ一新! 若いころはこういう人だったんだろうな~チョイ悪親父。


星観測隊 建部伝内(笹野高志)&伊藤重孝(岸部一徳)
北極星観測を託された国内随一の天文学者・・かな。どちらも長年の友でライバルと
いう感じがとっても素敵。その二人が揃って、抜擢された優秀な若者を可愛がる様子も
これまた素敵。地位を脅かす存在として苛めてもいいのに(いかんが)、諭して教えて
未来を託して・・。二人の友人関係も憧れるほど素敵だったけど、若き後輩に対する
態度も素晴らしかった。こういう先達がいるといいなあ。


山崎闇斎(白井晃)
京都で最初に算哲に天文の楽しさを教えた人。その後もずっと支援し続け、
師として導き続け、最後は命をかけて、優秀な弟子に偉大なことを成し遂げようとする
覚悟を見せた。風貌はアレ(インチキ学者風)だけど、偉大な人だったのだなあ。



<友人>
本因坊道策(横山裕)
最初に本気の勝負をけしかけた人。この人は碁敵で、碁を通して算哲を知っていた。
そして算哲と一緒に碁の世界を変えた人(算哲は天文の世界に行ってしまったけど)。
スッとしたクールな見た目に反して、かなり熱い男で気の強いアイデアマンでしたな。
最後まで算哲の友人であった。態度も見事。


関孝和(市川猿之助)
算術家。すっごい天才?数学オタク?
現代にいたら、どこかの大学の隅っこで一生計算してそう。もちろん独身(ごめん)
どうやって生計たててるの?と思ったら、マニア本出してたんですね。
こんな数学のマニア本が売れるなんて、日本の庶民ってすごいなあ・・と思った次第。
会津の天文基地で暦を検討したとき、どうして彼をスタッフに加えなかったのか、
最後まで謎。身分?・・分からないわ、あのときに参加してもらっておけば、
失敗しなくてすんだのに。次に彼の研究成果を貰ったときも、呼べば?と思ってしまう。
ま、いろいろしがらみがあって、難しかったのかと理解しておいた。
猿之助さんさ、最初ね、香川照之さんかと思ったの。
あの衣装に風貌、香川さんの正岡子規『坂の上の雲』を思い出した。似てた・・。


村瀬兄(佐藤隆太)
同じく気のいい和算家。こちらは私塾を経営し、子供から大人にまで数学を教えている。
実験したり、問題を出したり、関さんよりかなり社交的。でも奥さんいないんだよね(泣)
気のよい男なのに、惜しい。妹が嫁いでいなくなったら一番困るんじゃ?困らないの?
・・・家事もできるんだな。料理=理科実験の人かも。(私は夫によく言われる)
ますます嫁が遠のくね。


安藤有益(渡辺大)
会津藩の天文方。会津屋敷にいるときに算哲の面倒を見ているお世話係?
藩主が眼をかけてる優秀な若者らしかったが、藩士だけあって型破りなことができず、
算哲のサポート役に徹してましたね。


土御門さん
京の都にいる陰陽師集団(既得権益集団)のなかで、ただひとりの算哲の味方。
最後の勝負のときは、公家側をはっきり裏切って算哲側に立って応援した。
意外としっかりした、流されない人。現状を打破したいと思ってるけど
なかなか自分ひとりでは何もできず・・で古くから知ってる算哲に賭けた、かな。
どうでも良いが、公家の化粧はコワイです、表情が読めません~。



<敵 妨害者>
宮栖川友麿(市川染五郎)
今回のはっきりした敵は、都の陰陽師集団。この方はそのリーダー格。
公家らしくネチネチと嫌がらせをする。そのさりげなさ。陰湿ないじめ?
さすが代々の公家は違うわ~と唸らせてくれる。結局、負けたんだよね・・
でも、シラッとした顔で「大和暦はよろしゅおじゃると申しておりました」と
帝に推挙してそうだ(笑)
公家の化粧って人相変わるから、誰?と思ってたが、さすがに染五郎さんは分かった。
似合うとはとてもいえない顔だが(せっかくの美男が:泣)、あの芝居はよかったよ。


<ヒロイン>
村瀬えん(宮崎あおい)
最後になってしまったが村瀬先生の妹。神社で掃除をしているので神社の娘かと
思ったけど、和算家の子だったのね。お兄さんは和算家の中ではまともそうだけど、
食事中に本を離さないとか、道に座り込んで計算するとか、徹夜で式を書くとか、
そういう異常な行動に理解があるところを見ると、和算家の実態が分かるような(笑)
だから、普通のおうちに嫁にいったら駄目なんだね。
気の合う人と回りくどかったけど結婚できてよかった。算哲さんからのプロポーズも、
言うとおり待ってたら、おばあちゃんになりそうだったよ。自分から言って正解。
算哲さんって数学者兼天文学者だけあって、気が長い・・年単位で話するんだわ。
よく付き合えたと思います。それだけで偉い。幸せに暮らしたんだろうね。

宮崎あおいさん。童顔だ。全然年取らない。冒頭の18歳くらいからずっと同じ?
そういえば以前『篤姫』をチラッと見て、「この人は少女時代担当で、そのうち
大人役の女優に代わるんだろうな。少女時代長いね・・」と思ったのを思い出した。
岡田さんと並ぶと、大変現代的な美形カップルに見えましたが、よかったですよ。
お芝居は好き嫌いあるかな・・・あの数学熱中男に囲まれるので、「えん」は
あんな感じの茫洋タイプの女性でもいいかもしれぬ。




ああ珍しく長く書いてしまった。面白かったんだな、それぞれの人物にかなり
キャラクターがしっかりして、それぞれエピソードがあって。
個別に書いてないけど、建部さんの助手とか、碁の師匠たちとか、
ほかにも印象に残る人いっぱいいて。
日食が起きるか!?とかにドキドキする要素もいっぱいあって、スリルも味わえる。
この原作が売れたの分かるわ。読みたくなったので、しばらくしたら読んでみよう。


遊び倒した2週間がおわり、いよいよ来週からお仕事です。
ああ楽しかった。

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