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新歌舞伎座「四谷怪談」 [観劇感想(その他)]

  
新歌舞伎座 八月納涼公演
「四谷怪談/恋祭り 夏祭り 夢祭り~松井誠・池端慎之助
2012年8月7日(火)11時 新歌舞伎座 3階4列センター



やっと一区切りつき、塾の夏期講習が上演時間とぴったりだったので、
ひとり四谷怪談を見てきました。

新歌舞伎座の上町筋(道路側)1階は、主演や主要な方だけ「名前幟」が立つ。
今回は、「松井誠」「池端慎之助」の2種類が3本ずつ。
(主演3本、その他主要な方3人が1本ずつって言うパターンが多い。
まあ宝塚で言う、配役の名前の場所が「波線より上」という方々かな。)

初コラボだそうですが、ほんとうにW主演と言うか・・お芝居はともかく、
ショーのほうは完全に2分割。ややピーターさんが多いかな?(歌えるから)
ショーはピーターさんがメイン、お芝居は松井さんメインという印象。

夏らしく「四谷怪談」だったんだけど・・コメディ???結構笑った・・
冷房が効いてたので、涼しかったけど、怪談という涼しさは特になく。
楽しく笑って暑さ忘れろ!!だったかな。

ショーは、ピーターさん洋物ショー、松井さん和物ショー。なんだこのごちゃ混感。
素晴らしいコラボというか・・なんでもありと言うか(笑) 
ピーターさん、歌が上手い。男の声と女の声の使い分けがすごいですね。
一人デュエット(不可能だけど)して欲しいくらい、声が変わる。
お芝居・ショーとも、共通の人がかなりたくさん出ていて、華やかで嬉しい。
桜乃彩音ちゃんが、メイン娘役の一人で踊っていた。変わらず品が良くて綺麗だ。
突っ込みどころはあるけど、楽しかった。やはり客席は年配者が多いですね・・。

「四谷怪談」
原作:鶴屋南北、脚本:斎藤雅文、演出:竹邑類

物語上の主要な役は、伊右衛門(松井)とお岩(ピーター)。
伊右衛門に恋する吉良家の家臣の娘・お梅(桜乃)とその祖父、乳母。
お岩の妹・お袖(芳本)と夫・七之助?、お袖に恋する中間・直助。お岩お袖の父。
あと伊右衛門の同輩とその小物(お岩と一緒に殺される)、地獄宿の親父?
スミマセン・・・四谷怪談をしっかり読んでないので、登場人物名忘れました。
伊右衛門たちは赤穂の浅野家の家臣、お梅ちゃんのおうちだけが吉良側、と言う設定。
四谷怪談は、忠臣蔵のサイドストーリーとして、スピンアウトした作品なんですよね。

で、お岩とお袖は美人姉妹、伊右衛門は美男。いずれも大変若い。と言うお約束。
・・・これが、割と厳しかった。松井さんもピーターさんも御年を考えると大変若く
美しいです。しかし、実年齢還暦のお岩が、絶世の美女(美少女)で、モテモテって。
オペラグラス使っちゃ駄目だ。だめだ、遠目に見るんだ!!!心の目で見るんだ。
「お約束」前提で話を見よう。これさえクリアできれば、違和感はない。

お岩様には(つまり観客にとっても)敵のお梅お嬢さん、これが彩音ちゃん。
最初のモブシーンから直ぐに分かった(慣れ?)。
武家娘姿も綺麗だ。そういえば彩音ちゃんで和物見たこと無かった。
一度見てみたかったな・・・と思うほど清楚で可憐。
ただお梅様は「器量は良いだけのバカ娘」と称されるので、素っ頓狂な声を出して
「いえもんさま~すてき~きゃあ~♪」とか言う台詞が多い。
でもさ・・町で見かけた伊右衛門様を何年もずっと慕い続けてるなんて、健気じゃないか。
我侭だって、箱入りお嬢様だったらそのくらい普通、素直ないい子よね、と言うレベル。
私はどうしても彩音ちゃん贔屓になってみてしまってた・・だって可愛いもん!!
だから、伊右衛門がお岩様を裏切って、お梅と祝言をというところ・・なんか納得感あり。
だってお梅ちゃん可愛いもん(そればっかり)
でも伊右衛門さまは、ずっとずっと最初から最後までお岩様のほうが好きなんだよね。
お梅は討ち入りのために利用するだけっていうのが台詞にあった。お梅ちゃん、可哀想。。。

お岩様のご面相が崩れていくところ・・そして亡くなられてから・・・
お岩様の亡霊が出てくる場面全部に、なぜか笑いが。いいのか???
確かに突然だし、ピーターさんって根が明るいのか、陰気で陰惨な雰囲気がなくって。
凄惨な容姿で恨み言ってるのに、どこか明るいお岩様・・・。(演出も唐突で笑いを誘う)
私は笑っていいのか戸惑ったが、1階席のファンの方々が盛大に笑ってたし、
後のショーのMCで「お岩役、恐かった?え、今のほうがコワイ?まあ失礼ね」とか
楽しく話されていたので、良いか。(確かにあの年齢性別であのスタイル&肌艶はコワイ)

ストーリーは四谷怪談ママって感じでしたが、もともとがつじつま合ってないのか、
「へ?」がいっぱい合った。だが歌舞伎調の台詞で聞くと許せる気がしてくるのが不思議。
そうそうなぜか山場の台詞がぜんぶ歌舞伎調。疑問をねじ伏せる力技かね。
ラストシーンは、「地獄で幸せになってくださいね、お似合いです」って感じで終わった。

狂言回しが3名居たけど、ちょっと声が通らなくて、役割が果たせてない印象。
3階奥まで声を届けて欲しいの(1階前方ばかり相手にしていた印象あって・・寂しいわ)

お岩&お袖姉妹の父は、なんか意固地と言うか・・頑固な年よりは耄碌爺より始末に悪い
一度思い込む(誤解)と、「どうしようもないね(お手上げ)」な描き方。同情されないね。
伊右衛門を悪者にしないためか?(この作品での伊右衛門、全然悪者じゃないもんな)

お袖を慕う中間の直助だって、なんでお袖の夫を殺したとばれたのかが全く不明。
白を切れる状況だと思うが・・それにお袖も、直助と嫌々結婚したような台詞が
あったけど・・仲良さそうに見えたのに、関係性が分からん。
お岩様、結局、妹もとばっちりで死なせてしまったの?アレは呪いに関係なし?
(それより前、なぜ病身のお岩様と赤子を、妹が看病&育児してあげないのかも不思議・・)

あの赤ちゃん、どうしたのかな?母親と一緒に殺したの?(それなら伊右衛門は鬼畜だね)
それに・・赤ちゃんがずっと赤ちゃんのままで、時系列がさっぱり分からなかった・・。
あの地獄宿の主も、いつの間にかお岩様にお仕えしてるし、人間関係が複雑すぎる。
なんか悪い人かと思ったら、全然そんなことなくいい人だったしねえ。分からん。
出てくる人みんないい人なの?悪い人いないの?(文部科学省のゆとり教育かよ)

唯一悪者扱いされていたのが、吉良家家臣の一家。つまりお梅さんの家族よ。
でもあのお爺様とお梅ちゃん、全然悪くないよね。ただの孫娘に甘い爺様なだけだ。
浅野の遺臣だけど正規採用しようとしてるし、結婚だって伊右衛門が「お岩は逐電した」
とか嘘言ってるから、お梅ちゃんとしては「お岩様、ヒドイね!」ってなるよ。
うーん、こうなるとただ純粋に伊右衛門様を慕っていたお梅様が余計可愛くなるねえ。
陰謀図ったのは、乳母の独断(お爺様も知ってたかも知れぬが)で、お梅は知らないし。
なのに、お岩様の呪いで一番に一家全滅。なんか可哀想。
乳母の言動も謎なんだけどね。なんで毒薬ってバラすの?意味ないやん。頭悪すぎる。
この乳母のせいで、悲劇が起こった気がするくらいだ。

なんという偏った感想でしょう(笑)
でも、これお梅が彩音ちゃんじゃなくても、そう思ったと思う。

照明さんがいい仕事をされていて、とっても効果的でした。
大道具も凝ってたけど、恐さが全然なかったのは、3階席後方で見ていたせいかも。
納涼っていうか、館内寒いくらい涼しかったけど、笑って楽しかった。



ショー「恋祭り 夏祭り 夢祭り」
構成 松井&池端、 演出:竹邑類


冒頭は、まるで宝塚のショーのようだった。衣装もセットも人数も。
彩音ちゃんともう一人のヒロインが二人Wヒロイン風に踊って、みんなで踊って。
そしたら・・・いきなり、日本人形登場。松井誠さんの女形姿。まあ美しいこと。
あの伊右衛門様とは思えない女っぽさ。すごいや。(ちょっとゴツめの)美女に見える。
ラップ風に踊りながら、着物着付け、帯ちゃんと綺麗に結んでる!!すごっ!!
鏡もなしに動きながら、一人で、帯が仕上がる・・。スゴ技を見せていただきました。

その後にピーター様登場、専属?男性ダンサー2名と踊りまくり歌いまくり。
すごいねえ、あのスタイル、肌。明日がお誕生日で還暦だってご自身発言だが、
ほんとびっくり。デビュー44年目だって? (そりゃ客席も高齢化するって)
驚くほど美しいスタイルと、輝く肌でした。化粧は濃かったけど、綺麗ですよ。
歌う歌う。あの声、声量。えっと還暦?本当に?って感じですわ。驚いた。
大阪の方なんですね。楽しいMC(お墓の話だったけど:笑).もうファン大喜び。
声が、お岩様を演じていたときと全然違うの。お岩様は女声をすごく作ってたんだ・・
そして後に、越路吹雪メドレーを歌ったときも、また声が違う・・別の女声、七色の声?
いやあ、驚きました。やっぱりメインで歌う人は声が大事だ。

次に松井誠さんの男役バージョン。でも和服。
周囲に二人の娘役(彩音ちゃんともう一人)はドレスで踊る。
彩音ちゃんはピンクのドレスで可愛い(実は大人っぽいほうが似合うのに~と思う)。
今回の彩音ちゃんは、可愛い女の子イメージで扱われていた。ドレス捌きが美しいね。
彩音ちゃんが、真飛さんにいつもしていたように松井さんに寄り添う・・違和感。
違う!!!単に見慣れてないだけだが、女形姿の美しい方でもやっぱり男性だった。


松井さんは、紋付袴姿で扇子片手に、タンゴを一人で踊っていた。なぜか合う?
ここでも照明さんが素晴らしいお仕事ぶり。一人に見えないほど綺麗な照明効果。
しかし、ほんとにまあ何でもありなんだな・・・。

松井さんとピーターさんが並んだ。
えええ、ピーターさんのほうがかなり大きい。
「伊右衛門さま~」と恨めしそうに、ラメラメ紫の豪華ドレスで出てきたのだが・・
でかい。「生まれ変わって、こんな大女になっちゃった」とご自分でおっしゃってたが。
いや、大きい人だったんだ。なんと素晴らしい膝折れ術だ>娘役に学んで欲しいぞ。
松井さん曰く、「良い意味での化け物って、あの人(ピーターさん)ですよね」と。
もう完全同意だ。松井さんもすごい化けるけど、ピーターさんの化けっぷりには驚愕だ。
(でも実を言えば「四谷怪談」は30年前に見たかったかも)

ピーターさん、そのままシャンソン。「シャンソンイタコです」と言いながら
「越路吹雪さんに降りてきてもらいます」と違う声でメドレーを歌う。
パダムパダムもあって、イントロだけで分かるな(これは音月さんの歌声が定番>私)

最後は、総踊り。彩音ちゃんたちも出てきて、全員で踊るフィナーレ。
まあ普通の舞台風フィナーレ。休憩30分を含め3時間半でしたが(新歌舞伎座は長い)
涼しくて、楽しかったです。やっぱり「節電は劇場へ」ですな。




当日書いてたけどアップが後になりました。(宝塚とOSKを先にしてしまった)
PCが定期健診に行くので、明日から一週間PC使えません・・
今からバックアップ作業~大変だ。
というわけで、ここも一週間夏休み、いただきます。

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