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四季「オペラ座の怪人」観劇感想 [観劇感想(その他)]

2006年10月19日(水)四季劇場 海「オペラ座の怪人」1階21列上手

四季は久しぶりの観劇です。宝塚のほうが好きなので、「ファントム」は何度も見たのに「オペラ座の怪人」は見ていなかった。昨日ちょうどWOWOWで宙「ファントム」を放送していたので予習?のつもりで見ました。そして今日、四季オペラ座初観劇です。

いやびっくり。私の知ってるストーリーと違う。映画「オペラ座の怪人」と同じ~という感じなんです。映画を見たときも「違う~」と思ったくらい。・・・めっちゃ宝塚基準な頭ですね(笑)。ただ歌は「これ!これが『オペラ座の怪人』よ」と、知っている歌が多く、また皆様とても良い声で、たっぷり堪能しました。
というわけで、私の中のスタンダードは宝塚宙版ファントムですが、多少の?違和感感じながらも一般的な「オペラ座の怪人」(便宜上四季版とします)を見た感想を書きましょう。

四季版では、クリスティーヌとラウル(宝塚はフィリップなので名前も違うや)は幼馴染で、最初から愛し合ってる。ファントムは最初から横恋慕で片思いで、報われない恋に一途なストーカー。そこは哀れ。だけど結構わがままで勝手な、世をすねて犯罪に走るおじさんの雰囲気も。劇中に解説があったけれど、母にも憎まれ見世物として過ごした半生がそうさせているのか。彼は世の中すべてを憎んでいるように思えた。宝塚版が母には溺愛され、父には世の中から隔絶されたところで守られて育ったのとぜんぜん違い、宝塚ファントムの持っていた世間知らずで無邪気な狂気とは違う、もっと暗い絶望からくる狂気が見える。たった一つの希望がクリスティーヌと言うのは同じだけれど。
そのクリスティーヌも、宝塚版ではファントムは彼女と両想いだったのに(誤解で破局したように見えるけど)、四季版ファントムは最初から最後まで、「先生」としか見られておらず・・最後はラウルと幸せになるクリスを見送る羽目に。宝塚版が最後はクリスの腕の中で想いを確かめながら死んでいくのと大違い。書いていて気がついたけど、見ていてあまり同情できなかった四季ファントムのほうが可哀想じゃないか!?なぜ同情できない?

1. クリスティーヌがファントムに恋心を抱いてない。(尊敬はしてるけど。)
2. クリスティーヌとラウルが最初から両想いだから。ラウルも最初からクリス一筋。
3. 「クリスティーヌを成功させてあげたい」より、「自分のために歌え」と言う意図が見えるから。
4. カルロッタが割りといい人だから。

こんな感じかしら。宝塚版ラウル(フィリップ)はほかに恋人いるし、クリスのことは「自分が見つけた歌姫」と言う意識で、当初は本命ではないもんね。四季カルロッタも意地悪じゃないし立派なプリマドンナで、なぜ役を降ろされるのか、いまひとつファントムの台詞に説得力がない。・・ということで、四季ファントムに私は同情できなかったのだと思う。しかし考えたくないが、

5. ラウルが美男で、ファントムがマスクを取ると醜男だったから。(役作りね)

というのが、第一の理由かも知れん・・・。宝塚版ファントムは顔にちょっと傷はあるものの美形だもんね~。「そんなことない」と断言できないところに、ファントムの本当の悲劇があるのでしょう。心の狭い面食い女でごめんなさい>ファントム

あとシャンデリアが三層でとても立派だったし、客席上まで迫ってくるほどすばらしい動きをしていたのに、なんだか「がちゃん。終わり」って落ち方で寂しかった。あれだけのシャンデリア、もっと効果的に使って欲しい。(効果音もしょぼい)

さすが四季!と思ったのは、全員歌が素晴らしかったこと。当たり前だけど、誰も音はずさないし・・はは。(宙ファントムはタニちゃん放出、とうこちゃんと樹理さんを投入と言う裏技を使ったので、素晴らしかったのだと思うのだった・・)

では個別に。

<オペラ座の怪人ファントム(佐野正幸)>
四季ではずっと「怪人」って呼ばれており名前なかったです(可哀想><)。
わがままで自分勝手で思い込みが激しく一途で純粋で世を憎んでいて・・という人物。頭脳は天才っぽかった。芸術の才能もあったようですね。
どうしてクリスティーヌを選んだのかが不明。声がよかったから? 
「自分の思い通りにならない外の世界」と「自分の思い通りになる中の世界(オペラ座)」のはずだったのに。結局何一つ彼の思い通りにはならず・・。最後はラウルを助けクリスを一緒に外の世界へ逃がす。この場面、怪人の苦悩が見えてとっても切なかった。でも・・ラストシーン、彼はどこへ消えたのでしょう。どこかに彼を受け入れてくれる世界があることを願っています。
関係ないけど、ファントムは左利きだった(左利きには天才or変人が多いと言うが:^^;)。
仮面つけてるときは結構かっこよい素敵なオジサマ風でしたが、仮面とると・・なんか「怪人」になってしまいました。すごい役作りです感動しました!!(宝塚では不可能^^;)

<クリスティーヌ(沼尾みゆき)>
えらく力強いクリスティーヌ。これがホントなのかもしれないけど。代役の場面でも堂々と歌って認められるし、何よりファントムの仮面を力ずくで取ってしまうところに驚いた。
・・沼尾さんお化粧がいまひとつ。プログラムの写真だと結構綺麗なのに、舞台で見ると写真よりオバサンに見えたのが残念。もうちょっと可憐な方がいいと思うなあ。

<ラウル・シャニュイ子爵(北澤裕輔)>
背が高くて美形でお金持ちの貴族で、優しくて勇気があって愛情深くて・・と最高の条件を背負っている方(笑)。ちょっと非力だけどそのくらいは許容範囲。 うーん、ファントムも恋敵の条件が良すぎて可哀想だ。この条件では、並の男では到底かなわないよ。
宝塚版よりずっと出番が多く、役割も大きい。
北澤さんって、すっごくかっこよかったです!!!オペラグラスで追っかけました。はい。

<カルロッタ(種子島美樹)>
イメージどおり。自信たっぷりの歌姫ですよね。とっても良かったです。
舞台を下りるのも、復帰するのも自分なりの信念があって決断しているように見えた。立派なプリマドンナですよ>カルロッタ様。

<メグ・ジリー(宮内麻衣)>
可愛い! メグはクリスティーヌのお友達なのですね。代役のときも彼女が推薦してあげているし、成功したときはお部屋まで行って喜んでいる。いい人だ。・・ファントムはどうしてメグを選ばなかったのだろう・・。やっぱり声?(メグも可愛いと思うのだけどね)

<マダム・ジリー(秋山知子)>
怖かった・・。杖もってあの声でダメ出しなんてされたら、泣きそうですわ。
マダム・ジリーはファントムとどういう関係なのか、わかんなかった。でもなんか秘密を共有してそうな雰囲気が漂いまくっていました。もうちょっと解明して欲しかった(私がわからなかっただけかも?) 孤独なファントムの唯一の理解者という感じでした。

以上、いつもながら長い感想でした。岡幸二郎さんのCDの「オペラ座」聞きながら書いてます。
気分乗って書きましたが、宝塚版見てなきゃなんだかわかんない感想ですね・・。
私はやっぱり宝塚版のストーリーと演出のほうがドラマチック(少女マンガチック?)で好みだとわかりました。たまに四季みると、宝塚とも東宝とも違って面白いです。


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コメント 4

*Leo*

初めまして。
私も最近同じ作品を見たのですがちょっと物足りなかったです。
宝塚のファントムを見たくて母がいつも見ているスカパーの宝塚チャンネルを時々のぞく毎日です!
by *Leo* (2006-10-20 00:43) 

えりあ

ryoleoさん、長文お読みいただきありがとうございます。
四季のは一度みたらそれで満足・・物足りないといえば物足りないですよね。
宝塚ファントム、一般的な「オペラ座の怪人」とは違いますが、絶対お勧め!
スカパーならそのうちきっと放送があります(しばらくは無いみたいだけど)お見逃しなく~。
by えりあ (2006-10-21 19:01) 

tarou

たからづかファントムは、実は、イギリスでミュージカル:オペラ座の怪人(Phantom 'of' the Opera;今でもブロードウェイでロングラン中;劇団四季のもこれ)の制作が進むのに対抗して、アメリカでやはりブロードウェイ用に制作準備が進められたシナリオです。しかし先に完成したイギリス版が思いのほか大ヒットしてしまい、製作者はミュージカル化をあきらめ、テレビ局(アメリカABC)にTVドラマ用としてシナリオを売った。で作られた3時間ほどのTVドラマがやはりオペラ座の怪人(Phantom 'at' the Opera←つづりに注意)。実はこのドラマ、93年の年末に、NHKが総合TVで2夜にわたって放映しました。わたしがオペラ座の怪人ファンになったのは、はじめて見たこのTVドラマ版があまりにすばらしかったから。歌劇ファウストが使われクリスティーヌの歌声がステキで、もちろんファントムの悩める人間性が同情を呼びつつ描かれて。。その後、ミュージカルはもっとステキだろうと翌年ブロードウェイまで行って見たが、すばらしいと思ったのはロイドウェーバーの音楽だけ。ストーリーは完全にドラマ版=宝塚(見てないけど..汗)のほうがいいと思う。。オリジナルTV版の録画あります。。どうしても見たければ言ってください。男性の御友人宅にでもコピーお送りします(笑
by tarou (2007-03-17 18:59) 

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バカにはウェバー版のオペラ座の怪人は無理だよ
by お名前(必須) (2017-04-12 00:52) 

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