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BSP「新選組 宵ノ章」 [観劇感想(その他)]

BSP「新選組 宵ノ章」
2018年1月24日(水) 19時 大阪グランフロント・ナレッジシアター  段上がり下手



先日見に行って「嵌りそう~」と思ったブルーシャトルプロデュース。
後半の2話『新選組~宵ノ章』を見てきました。

嵌る。これは「暁ノ章」と「宵ノ章」の両方を見なければ、価値半減だと思う。
綿密に計算された舞台構成、観客は記憶力を駆使して、
場面とセリフと人物の動きを脳内に記憶しておく。
次の話には、同じ場面を違う人物から見た構図で再現される・・
いえ、場面が積み重ねられていく。私は全感覚を研ぎ澄まして記憶する。
4話全部記憶していれば、面白さが4倍になる。間違いない。

初めて見た劇団にも関わらず、役者を全く知らなくても登場人物がすぐにわかる。
きっと役者が観客に見分けがつくよう工夫をしているんだろうな。だから戸惑わない。
鏡の動きの美しさ。殺陣のスピード感。もう感動するしかない。
息を止めてみていたような気分。本当に素晴らしかった。

計算し尽くされた緻密な脚本と演出、寸分たがわず演じて魅せる役者の技量。
これは私の好み、ものすごく好み。嵌る、間違いなく。
帰りに過去作のDVD買ってしまったくらいよ。
これからしばらく過去作を見るに違いない。
あまり数がないのが救いなのか残念なのか。
これからの味わう「感動」を思うと、ワクワクしてます。

201801BSP新選組 裏.jpg


ブルーシャトルプロデュース
「新選組~宵ノ章」 土方歳三の憂鬱、沖田総司の純愛


「暁ノ章」を見て、これはすごいな~と思い結構嵌りかけた。
でも前回はパンフレットも買わず(私は通常買わない)、物販売り場を覗いて終わり。
そして今日、「宵ノ章」。これは衝撃だった。3話を見ただけで、もう危ない。
たった10分の休憩時間に物販売場を見に行ってしまった。
時間が無くなり、結局終演後に買うことにして客席に戻る。そのころにはもう「買うぞ」という決意が固まっていた。だがまだ私は甘かった。
第4話。クライマックスの「池田屋事件」。これを見ずに嵌るなんて甘いわ!
と1時間前の私に言いたい。それほど素晴らしかった。
1~3話がすべてここに収斂していく。ただ伏線を回収してまとめだけの話ではなく、沖田総司自身が主役の第4の物語ももちろんしっかり語られている。
殺陣の凄まじさ。岡田以蔵役を殺陣師の方が演じているのもあるけど、素晴らしい殺陣を見た。これほどのスピード、高さ、迫力は初めて。さすが男性!(いままでで一番感動した殺陣がOSK「真田幸村」の夏の陣の場面なもので・・・)

4話全部見て、主役が吉田稔麿であることが分かった。そして総合テーマ。各回テーマはあるけど、4話を貫く総合テーマがわかった気がする。人と魔物。人であるものとないものとの違い。武士とは正義の味方、憧れの存在のはず、でも実態は魔物だった。人の命を奪う魔物。その事実に対する葛藤。太平の世が続いた江戸の末期だから、命をやり取りしていた戦国の時代の「武士」なら悩むことはなかったことに苦悩する。(戦国時代は、他人を斬るときに悩んでたら己の死が待ってるものね)
武士に一番純粋に憧れを持っていただろう土方が一番苦しんでるように見えた。苦しみ続ける、最後まで。一番純粋に悩んで、最後まで駆け抜けた。
同じ苦しみを持っているけれど、背負うものが大きい近藤は、迷い葛藤を弟子たちに悟られないため苦しむ。
芹沢は魔物に呑まれ、魔物として生きた。殺すことに快感を得る魔物になったことを自覚して苦しみながら。
沖田は悩んで苦しんで、魔物になって、戻って、反対にあるものを求めようとして・・・真理にたどり着く。でしょうか。

長々と書きましたが、もう全く違ったらごめんなさい。一度しか見てない一観客の解釈なので、すみません。最近で一番考えた舞台です。でも、まだまだ考える余地がありそうだし。
脚本演出の大塚先生、話を聞きたい!・・と思ってプログラム買ったんです(笑)まだパラパラしか見てませんが、あんまり載ってないような。こういう脚本・演出大好きなのです。

そして演出の技術面のほう。1~4話全部手法が違った(と思う)。第1話(近藤)が心の声=分身との会話で進む形式、第2話(芹沢)は歌がはいるミュージカル的、第3話(土方)が仮面の群像に囲まれ鏡的な動きによる意識下の世界を表現した感じ、第4話はダンス・アクション、殺陣。もちろん全編にダンスやアクション、いろいろな技術が詰め込まれてあったけど、私は上記の4つを感じたのでした。これも違ったらごめんなさいね~

とにかく、もう終わるころにはこの作品そしてこの作品を生み出した劇団に嵌っており、即刻売店に行き、パンフレットとDVDを購入したのである。・・嵌ると行動早いな>私。

私が見た回は「アフタートークショー」があり、少しの時間役者さんのお話がありました。まあOSKなどでよくやってる形式。まったく役者さんを知らない私にも、お話の内容はよくわかり、また楽しかったです。初見の客への配慮も素晴らしい!

というわけで、行ってよかった。お財布がすっからかんになりましたけど、新しい「感動」に出会え、さらなる感動に出合える予感が得られた。大収穫。良かった。


いろいろと覚えることが多すぎ、記憶容量がパンクしたようなので、覚えているところだけ書きます。3話と4話について。

<ストーリーについて>
土方歳三の憂鬱
暗い。一番暗い話だった。なにせ己の暗部、意識下との対決で話が進む。狂気といっても良いくらいの土方内部での戦い。それが仮面の群衆と、鏡になったダンス。→技術的には一糸乱れぬ、まさに鏡面に映る動きのごとき。素晴らしかった。大感動だわ。(OSKや宝塚でもめでたい時に、「三面鏡」(「三番叟」というらしいが)の場面があるけど、それの拡大版?)
記憶しながら緻密に練られた話を追うのにいっぱいいっぱいなのに、技術的にも見たいことが多すぎて、目が足りぬ。複数回見ろってこと?DVD買えってこと?と突っ込みたい。
土方さんの話は、他の人があまり記憶にない。自己との戦いだから? 立川さんだけ記憶にある。
土方さんのお付きとして、彼が投げかけることがば土方に与える影響もあり、大きな存在だった。もう一人は源さん。大人の落ち着きと諦観が土方に与える影響も。あれ、立川(若者)と源さん(老練)は、時を超えて土方さんの内面の戦いに影響していたのかな。この第3話は深すぎて、一回見ただけでは作者の意図にたどり着けないような気がする、私には。
あとは長州組が大活躍!桂小五郎が面目躍如という感じで、やっと活躍。吉田稔麿との対比がとても印象的。吉田の冷徹さ、たぶん頭脳明晰でリーダーシップもあるんだろうな、ついていきたくなる、でも何か言っていることが可笑しい・・・というところと、桂小五郎の、正論を言っているのに聞いてもらえない焦燥がなかなかに面白かった。役者さんの演技力が高いわあ。


沖田総司の純愛
殺陣。池田屋事件は殺陣の見せ場そのものもだけど、それに関連する出来事全部に凄い迫力ある。これだけだと殺伐とした舞台になるのですが、そこは「あかり嬢」と総司の穏やかな心の動きが添えられ、緩急をつけている。山南さんとの会話は、魔物を拒絶するという一つの生き方が表現され、実は一番鮮烈な生き様を示している。近藤局長も芹沢局長も、土方副局長も、天才剣士沖田も、誰も取りえなかった答えですもん。山南さんは、穏やかに、時に倦怠感をもって語りますが、一番苛烈な回答を出してきたと、私は思いました。その山南さんと沖田さんをつなぐのが、あかり嬢。女形といってよいのでしょうか・・・?可愛らしいです。所作が完全に娘役。膝折れも見事で、違和感がない。声が少々太いのが気になりましたが、それ以外はこれといって思うところがない娘役さんですわ。女性が演じても『娘役』は作らなきゃならない存在、男性が演じてもいいやんね~と思えました。
もう一人、違う回答を導き出した人物。きっぱりとした性格で悩まなかった・・いえ迷いを出さずに内面に閉じ込めたまま強固に表装していたのが斎藤さん。維新後も一番長生きし、明治政府に警官として奉仕した、ということを知っているので、なかなかに感慨深いセリフが多かったです。あまり語らない人ですけど。
そして池田屋での、土方沖田と吉田との壮絶な戦い。吉田の信じたこと、考え、それが。
他者の命を何とも思ってない。彼も魔物の一種じゃないの?とか思って、彼らの戦いを見ていました。
あとね、以蔵さまがさすが。殺陣師だけあって、動きが違う。みんなすごい動きですが、以蔵の動きは違う。結構体格がよいのに、バレエダンサーのように軽やかに斬る。本領発揮されてる場面は、目が釘付けでした。


ああ個別に書こうと思ってたのに、書けない。ストーリーのところで、色々書いたけどまたまだ足り無いけど、書けない。


前に書いてない「主役」以外の方について
立川主税(松田大輝)第3話土方さんの話では大活躍、若さがいい雰囲気。
井上源三郎(青木威)同じく土方さんのところで、心の負担を分かち合う方。
桂小五郎(山本健司)長州藩の良心のような描かれ方。良いこと言ってるのに、みんな吉田さんに従い、彼の言うことを聞いてくれないという・・。のちの木戸孝允と思えば、なんだか不憫だ。
岡田以蔵(ドヰタイジ) 人斬り以蔵そのまま。彼は魔物。迷いがない。
あかり(石田直也)彼女も人外の存在のように淡く漂う。見事な娘役さん。
山南敬助(戸倉有貴)私には大変な印象を残した方。
斎藤一(中内天摩)なんだか目立って仕方ない、静かで目立つ。

他の人もいっぱい見たかった。書きたいことが一人に3行はあったと思うに、記憶がついてきてない。みんな3回くらいは通ってるの?ファンの方に聞きたい。
一日に暁と宵の両方を見たいけど、その日は完売なんだね~みんなわかってるんだな。
とっても残念だ。見たかった・・・DVD買うしかない?(笑)


アフタートークショー
桂小五郎役の山本さんが司会で、「あかり、近藤、吉田、沖田、山南」という5人が出演。「土方さんみたいな上司怖い」とか「BSに土方みたいな人がいたら?」とか。土方役の田中さんが「拷問の場面は実は気持ちはこんな感じ」と、吉田さんで実演。その際、当初は隣で向き合ってたあかりちゃんを使ってと思ったけど、「女の子にできない」と吉田さんで実演。「可憐な娘役さんは大事に愛でる」というのは、どの劇団でも共通なのだと知った。
山南さんと沖田さん、そしてあかりちゃんの三角関係は、三角ではなかった様子。山南さんのお話が興味深かった。あかりちゃんは、綺麗な女ものの着物のおかげで役に入りやすかった、自然に膝折れやら所作が変わると説明。普段男役の方が娘役をやるのは大変だといつも聞いているので、元が男性ならより一層大変だろうな・・と思ったけど、嬉しそうだった。吉田さんがトップスター(?)らしく綺麗にまとめて終わり。
桂小五郎さん、司会上手いわ。私も楽しめたくらい、初心者への配慮がありました。


とにかく、気に入りましたので、また次の公演も行くと心に決めました。
アンケートにしっかり住所氏名メールアドレスを書いたほど。

そうそう終演後、売店に行くと、さっきまで舞台に立っていたイケメンのお兄さんたちが売り子になっていた。驚いた・・私の席は出口に近かったので、すぐに売店に行けたので気付かなかった。が、そういえば前回そういってたなと思い出す。
緊張して買えないやん・・と思いつつ、財布から札が消えるほど買ってしまった。
ただし、イケメンだったのは確かだが、私はどなたから購入したのか、わからない。
とても素敵な笑顔で勧めてくれたので、記憶が飛びました(まだもともと知らないけど)。
その丁寧な対応がとても嬉しかったことだけ覚えてます。

気分転換と老後の楽しみがまた一つ。

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beer edamame

初めまして!
いつも読ませて頂くだけですが、今回は本当にお礼が言いたくて。
エリアさんの感想を読んで興味を持ってBPS見に行きました。一幕観て、面白いーと思って幕間に何気なくポスターみたら!大塚さん演出!
若い頃にはまった劇団の主宰者さんなんです。舞台から歌劇に興味が移ったので疎遠になってました。
二幕見始めると確かに大塚テイスト!エリアさんが印象を持たれた照明とか、群唱とか。

素晴らしいお兄さん達との出会いとともに、再会の縁を頂いてありがとうございました。

BPS、私も見続けてしまいそうです。パンフは残念ながら完売でした(;_;)
長文失礼しました。
by beer edamame (2018-01-28 20:49) 

えりあ

beer edamameさん

わあ嬉しい!ありがとうございます。大塚先生(づかファンなので先生呼びしてしまうが)ってこういうテイストなんですね。照明と場面転換の人物の動きに圧倒されました。本当に素晴らしい!最近の過去作見ると全部この方が演出されてるみたいで。これから順番にDVD買おうと思ってるんです。楽しみ~

私も素敵なお兄さんたちと出会えて嬉しいです。これからもまた見に行くと思うので、よろしくお願いします♪♪♪ 
パンフ完売とは残念・・売り子のお兄さんの素敵な笑顔に買ってしまう人も多かったのでは?(笑)でも完売もわかるほど写真集のようなパンフでした。

歌劇(宝塚とOSK)とBSP、ビールと枝豆も大好きです!
また語りに来てください~お待ちしてます。
by えりあ (2018-01-28 21:49) 

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