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映画「ジャンゴ~繋がれざる者」 [映画鑑賞]

2013年3月6日(水)

映画「ジャンゴ~繋がれざる者」TOHOなんば


なんか主題歌が「懐かしのマカロニウェスタン」と言う雰囲気満々で、
60年代とか70年代?の映画のよう。(いや詳しく知らないが)
内容は濃い。いまのアメリカはこういう映画が作るようになったのかと感慨深い。

ウェスタン映画らしく、撃ち合いの場面も多く、登場人物がいっぱい死んでいくが、
まあこんなものか。
自我を持ち、黒人も人間であると意識しだしたジャンゴという人物に焦点を当てた、
南北戦争前夜のお話・・としてみると大変興味深い。
なにより予告にあった「リンカーン」という映画の壮大な前章かと思うほどだ。
あの時代、こんな感じだったのか・・と、大変感銘を受けた。


ネタバレあります。


では登場人物をメインに書きます。
少ないけどかなりしっかり描かれているから印象に残った。



ドクター・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ
なぜかとても印象に残る、「いい人」。ヨーロッパから来たドイツ人だからか、
奴隷制度が悪であることを理解し、黒人を人間としてみている。
だからジャンゴの信頼を尊敬を得、友情を築けた。
なぜか正義感から賞金稼ぎをしているような気がするほど。志半ばで倒れた風で残念だった。
だが彼が仕込んだジャンゴはしっかり後継者になったようだし、少しは心残りはないかも。


ジャンゴ・フリーマン(ジェイミー・フォックス
黒人奴隷だが、かなり男気のある人。もともと農場奴隷として育てられたようには
見えない頭の良さ、体力も度胸もある。ムッシュ・キャンディではないが
「1万人に一人のニガー」と言えよう。多分「黒人は奴隷」が可笑しいと気付き、
人間として自我を持った初期の子黒人、彼らのような人物が増えない限り、
南北戦争があったとしても奴隷解放は無かったと言えるのではないか? 
対照的なのがスティーブン。「風とともに去りぬ」の世界そのまま、
自分が黒人奴隷であることを忘れ、人間扱いされない同胞(黒人)よりも、
黒人を人間扱いしない白人の旦那様のほうを大事に思う黒人。
こういう黒人が沢山いたら、そりゃ奴隷制度はなくならないわ。
主人である白人よりも罪が重い。
ジャンゴは南北戦争を北部勝利に導き、その後のアメリカの基礎を作った
名も無き多くの黒人の代表かも・・と思いました。


ブルームヒルダ(ケリー・ワシントン
屋敷内で働く奴隷なのね、見た目が美しく教養をつけられお客様の前に出しても良いように
教育された奴隷。ジャンゴと結婚?して大変な人生を送る羽目になった。
だがラストシーンを見るに、もともと行動力のあるタイプ。
元の持ち主(ドイツ系)がかなりいろいろと教えていたのでは。
まさに「風と共に去りぬ」な時代だけど、オハラ家でも黒人奴隷を乱暴に扱う場面は
無かったし(まあお嬢様だし)黒人乳母が結構偉そうにしつけていた。
きっとブルームヒルダはこういう教育系の黒人使用人として育ててたのだろうなあ~
だが何らかの事情で元のドイツ人に売られてしまったのが悲劇か。
もしそのままドイツ人のおうちの黒人使用人として暮らしていたら、
「幸せな黒人奴隷」として何の疑問も抱かず、ドイツ人主人のお嬢様(想像)に忠誠を
尽くして生きていったかも。キャンディ家のララ嬢に仕える屋敷内黒人メイド頭のように。


ムッシュ・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ
南部の大農園のぼっちゃん。いかにもそれらしい。死ぬまで戦わせるような遊びをしたり、
気に入らないと簡単に残酷に殺すし、黒人を人間だと思ってないのか!と思いきや、
執事のスティーブンの言うことは素直に聞くし、黒人乳母やら黒人愛人やら、
屋敷内の黒人には割りと素直で親切。彼の中では2種類の黒人がいるようだ。
だがその2種類は白人の扱いが異なるだけでもともとの「黒人」というジャンルでくくると、
彼にとっては「なぜ黒人は私たちを殺さないのか不思議でならない」となるのだろう。
同胞にこんなに残酷なことをして人間扱いしない、いわば「敵」なのに、
なぜその自分を可愛がり忠誠を尽くすのか、不思議でならないだろう。
とても印象的で象徴的な台詞だった。
最後、執拗に握手を求めていたが、あれ、ドクターが握手に応じていたらそのまま返して
あげてそうだ。それで満足するような割と普通の人っぽい>対白人、対屋敷内黒人使用人には普通に常識のある人に見えるから。なんというか、闘犬が趣味の金持ち坊ちゃんって感じ。
この犬が黒人なだけ・・彼の感覚では、農業奴隷は労働力に過ぎず、
趣味の奴隷は獣と同じなんだ。


その家の黒人執事スティーブン(サミュエルLジャクソン
この映画を見たあと、「あんな広大なアメリカ大陸。なぜ南半分を黒人国家として
独立しなかったんだろう」と思った。よく考えれば、可能だったんじゃない?
2つに割ってもあの広さなら十分国として成立する。でも黒人国家は出来なかった。
北部の白人がいろいろな考えから奴隷制度を廃止し、南部と戦争して勝利したから。
その際もその後も南部は黒人国家として独立せずに、北部の白人国家の支配下に入り、
その後100年も黒人大統領は出なかった。なんてこった。
普通、南部の虐げられた黒人は解放のために自ら奴隷制度廃止運動を起こして
独立戦争をしないのか? 南部の土地から白人を追い出そうとしないのか?
自分達の国家を作ろうと思わなかったのか?
思わなかったんだろうなあ・・とスティーブンを見ていて回答が分かった。
彼は満足している。白人の主人に仕えることに、この南部の名家を支える家を仕切る
使用人として誇りを持って行動している。虐げられて虐殺されていく黒人は、
自分の同胞などとはこれっぽっちも思っていない。これが南北戦争が必要だった理由。
南部に黒人国家が出来なかった理由。

いや実際はどうだか知らないけれど、大変参考になりました。
「リンカーン」も見に行きたくなりました。

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