「開演ベルは殺しのあとに~刑事X華麗なる事件簿」作・演出 北林佐和子
上に書いた通り、探偵と犯人の心理的な駆け引きがメインな倒叙式ミステリー。
ジェイ(桐生)が犯人なのは、登場場面から分かる。最初の場面で彼は塀の中。
塀に放り込んだのがエックス(楊)刑事だと嘆きますから。
そのエックス刑事の映像での紹介がまた長くて。へ~?と思ったほど。
綺麗な映像でしたけど、ジェイはこんなにもエックスに興味ありありなん?と。
疑問に思うほど。そんなにエックスが気になってるの???
(大人の事情を考えれば、その後長~く楊さんは出番がないので、
最初に大サービス映像が付いたのでしょう(推定)
それに、これチラシの写真やあらすじ、CMをみたときは、「楊さん主演!?」と
思ったほどでしたが、今日実際に舞台を見ると、やっぱり
桐生ジェイが主役でした。)
倒叙式なので、ジェイの心理を追うことになるんですよね、見ているほうは。
だからエックス刑事が、いろいろと追い詰めていくほどに、ジェイを見てしまう。
彼はいまどういう心境だろう・・ってね。桐生さん、追い詰められて、でもそう
悟らせないように普通通りに振舞おうとする態度、行動、話し方・・・ずっと追ってると
あれほど尊大で大胆に振舞いながら、実は小心者なのだ(クレアが実際にそう証言する)
と分かるのよ。さすがだなあ、桐生さんの演技力!素晴らしいわ♪
そして無邪気に追い詰めていく
エックス刑事(楊)。
子供のような無邪気な態度と話し方。それがグサグサ突き刺さっていく様は、
子供の持つ純真な残酷さを活用したのかと・・
言葉の刃でめったぎりにされる桐生ジェイが可哀想なほど。
暗い過去を背負ってて、その所為で刑事になったりといろいろ重い背景がありますが、
2幕でいきなり告白されて・・なんか、ここクライマックス?と言う盛り方があったのが
エックスの過去を話す場面なんですよね・・そこにもちょっと違和感。
つまり真のラストシーンが(ジェイが観念するとこ)これ↑に比べて、すごくあっさり・・。
ラストがあっさりしすぎ。もっと戦え!>ジェイと思うのだな(私の個人的希望)。
ここがクライマックスでしょ~って。実は犯行が暴露されてほっとしたなら、
塀の中であんなに嘆くなよと。なんとなく、最初と最後が繋がらない。
エックス刑事は可愛かった。全く刑事に見えないけど、凄くかわいい。
楊さんの魅力全開。あの可愛い少年のような衣装と台詞が似合うのは君しか居ない。
話をお芝居に戻すと。ちょっと気になったところは他にもある。
ジェイがマリリンを殺すとき。黒手袋して肩から首に手を掛けたから、
てっきり絞め殺すと思ったら、暗転。銃声!・・ええ?銃なんか!!と地味に驚く。
後で発見されたら、自殺に見えんだろう・・?もっと考えて~と突っ込んだ。
それに殺したことが確定されなかったから、「もしかしてマリリン生きてる?」と
2幕も舞美さんが活躍する展開を予想したりもした。(死んでたので出番が・・涙)
そしてラストに。エックスに嵌められて、死体を埋めた場所に戻るんだけど。
(まあ「犯罪者は現場に戻る」そのままですな。)
・・・アンタは死体が腐敗すると言うことを知らんのか!!!と問い詰めたかった。
皮膚が見えるわけないだろ!!と。3ヶ月以上たってるんだから。
(服装から真冬には見えないしね)
まったくもうこの子は!物書きの癖にモノを知らないね!
カマ掛けられてんのよ、アンタ。しっかりしなさい。(は!共犯者の心境だ)
すっかりジェイの味方ですね~私。突っ込みたかったんです・・。
ジェイの
元妻クレア(朝香)。大女優ということだけど、女優らしくないね。
ジェイを愛する一人の女。打算とか自分の出世とか、あまり考えてなさそう。
落ち目になったら潔く引退しそう。よろこんで専業主婦になるようなタイプの女でした。
だからジェイがどうにもならないところに追い込まれた際に、彼女を頼り、
彼女も彼を受け入れかばったのが理解できる。この夫婦、ずっと支えあってれば
幸せになれただろうに。クレア、離婚したことを後悔してそうだったもの。
絶対にジェイが離婚を言い出し、勝手に出て行ったに違いない!
大女優というオーラやプライドの高さは全く感じさせず、それよりも慈愛やら
ホンワカした仰々しい物言いから、俗世を超越した何かを感じた。
この人も普通じゃないよね・・・。やっぱり「さすが大女優」というべきか。
そしてヒロインであり物語を動かす
マリリン(舞美)。
彼女が「普通」なら、この悲劇はなかった。
マリリンが真剣にジェイを愛してなければ悲劇はなかった。
ジェイってば、クレアとマリリンと、彼が見つけた女は二人とも、彼を真剣に
愛してくれてるよ・・この世界で、珍しいんでは?>ジェイは女を見る目があるね。
彼女のサクセスストーリーはまあよくある話。そして彼女の言動が物語の鍵になる。
・・・んだけど、私、彼女の言動がそんなに支離滅裂とか筋が通ってないとは思えない。
普通にありがちな話に見えてしまって。だからエックスがジェイを追い詰める根拠に
なったことに、あまり納得できなかった。もっとマリリンが変だったら・・共感できる?
マリリンの言動は至極真っ当で・・だから、ジェイが短慮に、エックスが不思議ちゃんに
見えてしまうのだ(これは完全に脚本の所為ですけどね。もっとマリリンをめちゃくちゃ
我がまま女に見える変な言動をする女にしておかないと、説得力ないわ~いい子やん)
でもなんで、ラストのメモ、肩ヒモのところに隠したの?(それは見えていた)
「犯人はジェイ」とでも書き残したのかと思ったぜ。・・まだ殺されてないか。
あの内容なら、隠さなくてもいいじゃないか? いやむしろ見せるべきだ。・・謎だ。
舞美さんのダンス場面は、見ほれました。素晴らしい曲線美!!!(私、脚好き?)
黒髪ショートカットに、すらりと伸びた長い足。人形のようなプロポーション。
あれで人気でなかったら可笑しいよな~と言うほどのダンサーでしたよ。
あとはマリリンファンの
投資家ロッシュ氏(愛瀬)。マリリンのファンだから
マリリン主演のお芝居のために大金を投資するという、ファンにしてみれば
羨ましい立場の方。いいなあ・・私も言ってみたいと思いつつ彼に憧れた(邪念だ)
しかし成功した大金持ちで、若いしカッコいいし、マリリンが何で嫌うのか分からない。
服装の趣味がマフィアみたいだから?(失礼)
マリリンが言えば、彼なら舞台を映画に変えてくれるよ。そんな人でしょ・・?と
これまた思ってしまいました。マリリン断る理由なし(笑)
結局、クレアで舞台を作ってくれた大変ありがたい人だしね。
ミュージカルファンの大金持ちってありがたい存在ですなあ・・。
ジェイじゃなくても彼を狙ってる演出家は多そうだ。モテモテだしね~ロッシュ氏。
そしてもう一人は
ハンク警部(緋波)。エックスの上司で、彼の面倒を見ている保護者。
あんなみょうちくりんな刑事の面倒見られるのは君しか居ない!と署長丸め込まれた
人のよい警部さんという雰囲気だ。人情派ですよね~影に日向にエックスをかばってるし。
彼のことをよく理解している。ただ、あまり何もしないのが勿体無い。緋波さんなのに。
またしても私案ですが、ロッシュとハンク、配役が逆の方が面白いのでは?なんて。
ロッシュ氏がマリリンが嫌うのも分かるギラギラのエロおじさんで(緋波さんごめん)、
エックスの面倒を見るのは、彼の亡き兄と似た年頃の、兄を重ねて見れるような
面倒見のいい中堅刑事(愛瀬)としたほうが納まりがよいかな・・なんて思いました。
たまにはヤラシイ緋波さんを見てたかったり、慈愛溢れる愛瀬さんを見てみたかったり。
わがままですね~(笑)
役があるのは以上。
あとは
オカマの振付師(栞)がいい味出してる。しかし、振付師ってオカマなのか?!
そしてキリリと働くジェイの
マネージャ(榊)女史。
残りの皆様は、ダンサーとして、レビューシーンを彩るのだな。
まあ通常謎解きミステリーじゃないから、証言を取るのも簡単に流されたし・・
出番が少なくて残念。でもダンスシーンは一杯見れたのでまあよしとする。
舞台装置は、謎解きのパズル。1ピースずつ納まるところへ治めていく。
舞台の上に一杯おいてあった、幾何学的な形状の大道具。
例えればテトリスの上から降ってくる形に似ていたが、あれはパズルの破片だったのか。
と後で、プログラムを読んで理解した。そーだったのか。
最後に確かに真四角の枠が出きていた。アレで完成なのね(中身空洞でしたけど)。
途中いろいろダンサーたちが、パズルのピースを運んでたけど、意味があったのね。
全然わかんなかったよ・・。次回見るとき注意してみますわ。
しかしエックスにすごい謎を残したまま終わった。これ続編あるのかしら?
エックスの過去をなんとかクリアにしてもらわないと、寝られないじゃないか。
は!ジェイもそこが気になってるのか。ぜひ今度はジェイに謎を解いてもらいたい。
ハンニバル・レクター博士のように、獄中から謎解きをするの。
いいねえ~(それほど凶悪犯ではないけど、獄中から謎解きするの見てみたい)
後1回見る予定。いっそがしいなあ今週。
読み返したら「刑事エックス」が全部「慶次エックス」になってた・・・私のPCも忙しいね。
2回目見たら謎が解けた!→
『開演ベルは殺しのあとに』私の謎解き をどうぞ~