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宝塚月組DC「出島小宇宙戦争」初日 [観劇感想(宝塚)]

宝塚月組DC「出島小宇宙戦争」
2020年2月8日(土)15時 初日 ドラマシティ20列上手

谷貴矢先生の作品は、幻想異世界で衣装が独特で、ストーリーは宝塚にしてはぶっとんでるけど破綻していなくて、役者の持ち味を生かした宛書で、好きだ。3作見てファンになった。リリカル異世界SFで私大好きなジャンル。

今回も、主演の鳳月さんのかっこいいこと!ヒロイン海乃さんが魅力的、親友&謎役の暁さん、妖しい黒幕風の風間さん。豪快な光月組長。それぞれの良さが全開になっていて、みんないつもより3割増しに素敵に見える。可愛いうさぎガールズと、アンドロイド風味のメイド嬢。装置衣装照明のすべてが異世界ゲーム風でとても素敵。装置と照明がまたいい味出してるし、音楽は耳に残る曲で印象的。月というモチーフをちりばめまくり、素晴らしい作品になっていました。若い谷先生の作品は、宛書なので再演は考えられない。そこがいい。月組ファンなら楽しめる仕掛けもいっぱいで宝塚ファンなら倍楽しめます♪


なお今回は鳳月さんがカーテンコールで「控えめに宣伝を」とおっしゃっていたので、ネタバレになることは書いてません(つもり)。不思議世界の謎解きをお楽しみください!ってことで、曖昧な感想になってます。

202002月出島.jpg

デジタル・マジカル・ミュージカル
『出島小宇宙戦争』
作・演出/谷 貴矢

タイトルが、韻を踏んでいて言いにくくて楽しい。初日あいさつで組長も噛んだくらいの言いにくさが覚えやすくていいタイトル。もちろんタイトルの上の「デジタルマジカルミュージカル」です。作品はデジタルでマジカルでミュージカルでしたね。で本当に出島で宇宙戦争(それも些細)があったからタイトル通り。役名はいつも通りカタカナ。(タカヤ先生、漢字嫌い?)。良く知っている日本史をベースにした異世界物語。劇団☆新幹線が得意とするシチュエーションですね。新感線よりリリカルで幻想的なのがタカヤ・ワールド。ブラッドベリや萩尾望都の世界観に近いと私は感じる。独特の世界観、見るたびに好きになりますね。
そして座付き作家として素晴らしいのが、宛書。別のキャストで再演が考えられないほど、嵌っていると思う。今回も主演をはじめ、主要キャストの持ち味が生かされ、魅力全開。鳳月さんがこんなにかっこいいなんて!!(ファンの方ごめんなさい。私初めて真ん中にいる鳳月さんを見てそのさりげない真ん中的存在感に感動しました。往年の月組トップスターの久世星佳さんみたいで好みです!)。海乃さん、風間さんは今まで見えなかった魅力が引き出されていつもより倍素敵に輝いていた。光月さんも凄くイイおっちゃんで。メイドやウサギが上品で可愛くて(サイト―先生がこういうの好きだけど、タカヤ先生のほうが品が良くて好みだわ)。過去作もちゃんと踏まえて演出しているのもファンから見ると嬉しい。楽しい。
あと衣装ですね。独特の衣装。これも新感線風だけど、より宝塚的に豪華で可愛い。新感線にはない女子好みの可愛さがあるの。現実にも着物をああいう風に着ることが流行ったら嬉しいなあ~なんて思う。派手な大正モダン柄の着物を、短めに着付けてロングブーツにヘッドドレス。つばの大きな優雅な帽子も素敵。帯にはレースをふんだんに飾って。これパリコレで出してもいいんちゃう(テキトー)とか思った。男性の着物も、鳳月さんのは色は渋い銀とか落ち着いた金なのに、模様や地模様の入れ方やデザインが秀逸で、ダンディでかっこいい。こういう着物を着こなせる男性は粋で素敵だと思う。暁さんのアイヌ風の衣装もかっこいい。髪型もそれに合わせて奇抜で個性的ながら、上品でかっこいいラインを守っている。あれだけ派手で常識破りなのに、ガチャガチャしていなくて、品があるところが絶妙。『義経妖狐』の時も思ったけれど、衣装のセンスが素晴らしい。私の好みだ。



カゲヤス/鳳月 杏
幕府天文方の学者。でも宇宙に夢中になり公金で好きに研究をしたために監禁されている(というか引きこもって研究をしている?)。今回「長崎の出島に宇宙人がいる」という噂を解決するために特命を受けて活動する、ところから話が始まる。それ以前に、彼の亡き師匠のタダタカや音信不通の同僚(兄弟子)リンゾウとの過去に確執があり、それも出島でほどかれていく。という重層構造。世界観以前にストーリーもミステリー仕立てで面白い。
このカゲヤスはとってもカッコいい。奇抜な柄の渋い着物に、長い望遠鏡をライフルみたいに掲げてる。髪の色は白が多い銀色ロング。似合う~かっこいい~!
過去の事件の真相や、彼が引きこもるきっかけとなった事件、師匠から彼に譲られた不思議な植物の効用とそれをもたらした師匠の恋人。いや~謎解き面白い。
かなり複雑な要素が絡み合っているのだけど、それが矛盾なくカゲヤスの人格に現れていて、心理がしっかり伝わる。素晴らしいわ鳳月さん。演技力高い。久世さんみたいに、地味目で落ち着いているのに、周りにいる華やかな人が真ん中のいぶし銀を輝かせるみたいなタイプ。そして声がいいねこの人。歌も上手くて。なんだか、久々に、数十年ぶりに、「芝居の月組」を見た気分。私の好きだった月組だ。本作で鳳月さんの魅力に目覚めました。


タキ=カグヤ/海乃 美月
カゲヤスとタダタカに絡む訳あり美女。彼女のファッションが素晴らしい。声もいつもより明るくアニメのお姉さん美女風にしている?硬質でクリアな声が素敵。海乃さんのセリフはとっても聞き取りやすい。
いろいろなミステリーの謎を解くカギを握る美女なのだけど、そのミステリアスな存在がとても見事で、カゲヤスがとらわれていくのが良くわかる。そのくらい不思議で魅力的で、優しくて可愛らしい女性でした。海乃さんは今までも数々のヒロインを見ましたが、今回も秀逸で、代表作の一つに入れられると思う。お芝居上手いし歌もいいし、綺麗だし、いうことないですね。

リンゾウ/暁 千星
カゲヤスの兄弟子。兄というよりほぼ同級生に見える。いや実は年下に見えるのだが・・・彼も年を取らないのか?という容姿。性格のほうも、明るくて元気で要領よさそうでも不器用で、もう若者そのもの。カゲヤスが結構陰のある大人になっているのに、兄弟子のほうはまだ青春真っただ中って感じで、兄弟子ってより弟弟子にしたほうが良かったかも。情熱的に動くしね。ここだけは宛書なのになんで~?って思った。
暁さんは(元気だけど)かなり大人っぽく演技していたと思う。なんか彩風咲奈さんが大人の役をするときみたいなお芝居。セリフ回しが似てるの。
裏表ありの複雑な役で、暁さんはかなり引き出しを増やすような役ですね。心理的葛藤より勢いで乗り切る感じの男に見えたので、裏表がもう少し出たらもっとかっこいいなあと(今日初日だし)。
アイヌの文様をアレンジした長襟の羽織は似合う。あの元気のよい髪型も。でも可愛い。そこが暁さんの魅力でもあり、ネックでもあるのかな。

シーボルト/風間 柚乃
長崎にいる異人で「出島」を「DEJIMA」に変えた張本人。なんか異世界の貴公子風で、大変妖しい。赤い巻き毛がとても似合い、一人西洋風のまともな衣装も違和感を引き立てる。彼のセリフ回しは完璧。カゲヤスとの会話は絶品だった。本当にカゲヤスを翻弄し煙に巻いて楽しんでいるような大人の余裕を感じる。姿は少年っぽいのに、老獪な話術がまた幻想的で、感動した。バンバネラみたい。とても優しく聡明なリーダーに相応しい堂々たる人物。でも本当の顔は違う。とっても冷酷非情、なのに情に厚かったり、と一筋縄ではいかない。とても妖しい存在だった。
風間さんかっこいい。芝居が上手いのはもう十分承知。でもいつも驚くほどうまい。そして今回は、「いやん美少年やん」と思った私。こういうのも似合うやん!と新たな魅力。1幕は完全に敵役で、場面をかっさらっていった。しかし!(ここはタカヤ先生に言いたいが、)2幕のラストはあれでいいのか?ちょっと尻すぼみだぞ。最後まで謎のまましたたかに消えて欲しかった。知らない間に消さないで>タカヤ先生。
声も良いし、歌は聞き応えがあって、芝居歌上手いね~って思う。早く主演作を見てみたいと思わせる役者だ。


ヘレーネ/蘭世 惠翔
シーボルトの屋敷のメイド。でも動きがアンドロイドみたい。典型的なメイド服を着た美少女なのだけど、逞しいし、主人を守って戦う忠臣。シーボルトも一番頼りにしているのが彼女。この二人の関係は、台詞はほとんどないけれど、1幕最初からちゃんと見えていて、きちんとラストシーンにつながった。お二人とも素晴らしい。


タダタカ/光月 るう
カゲヤスとリンゾウの師匠。豪放磊落な女好き老人という典型的な老師様。金も好きだし、権力に弱いし、弟子に八つ当たりするし、結構な俗物。でも学問には妥協せず、弟子を心から愛して教育し、誰に対しても誠実な人柄(そうは見えにくいけど)。豪快で憎めない頑固老人。カグヤが惹かれ、カゲヤスとリンゾウが心酔するのもわかる。人として魅力にあふれた人物だった。光月さん、すごく魅力的。代表作に入れていいと思う。

若かりしカゲヤス/蘭 尚樹 &若かりしリンゾウ/柊木 絢斗
若い二人も、成人後の二人と同じ髪の色をしていて、ちゃんとそう見える。同時に舞台に出る場面があるから(回想シーン)違和感がないようにしていた。リンゾウが喧嘩早い町民の子、カゲヤスは思慮深い武士の息子にみえた。意外と出番が多くて目立つ。

タダアキラ/紫門 ゆりや
老中。なんだけどなんか軽い。大丈夫か幕府?と思う(笑)。特命を任命に来たのに、結局一緒に出島まで行ってしまい、妙な洋装に着替えて馴染んでるし。意外と楽しく懐の大きな人物なのかも。でも部下がアレだしなあ~と心配。歌舞伎の隈取メイクが分かりやかったです。あのメイクを考えたセンスもいいわあ(タカヤ先生か紫門さんか知らないけど)。

ヌイノスケ/英 かおと
老中の部下。だが実は!!という人物。彼も二面性があり、主にリンゾウとの場面が黒い。お茶目なメガネの部下という場面と、リンゾウに詰め寄る場面が、本来すごくギャップのあるはず。なのに、黒い場面があまり黒く見えなくて。初日だからこれからもっと変わるかな?もう少し頑張って黒くして~ギャップ萌えたい。という感じでした。

ツクヨ/梨花 ますみ
月の女王様。実は・・な過去をお持ち。「義経妖狐」の時もこういう感じの役で、タカヤ先生は梨花さんの使いどころを良く心得てらっしゃる。白いキラキラ衣装で月の女王様とか、地位が高くて冷たいけどどこか抜けてる実は心優しいおばあ様役が似合うの。

アルテミス/菜々野 あり &セレネ/詩 ちづる
月からの使者・うさぎちゃん。ピンクがアルテミスでブルーがセレネかな。どちらもフワフワの少女漫画の妖精のような衣装が似合って可愛い。私はブルーのほうが好み。すごい美人やん。女王様に命じられて、カグヤの仕事ぶりを監視しているけど、ほんと「見てるだけ~」というのがまたいい。なんか言われても、任命したのは女王様だしぃ~って言ってるもんね。その無責任感が、可愛い顔に似合う。結構長い時間舞台にいて、主要人物たちに絡みまくる。大変目立っていました。可愛いので目の保養だ。


とこんな感じ。あとの細かいところはよく覚えてない。異世界幻想ワールドが素敵で堪能してました。そうだ、長崎奉行とか、老中とか、もっとおじさん役者が欲しいと思ったかな。オジサン役者が豊富な雪組を見慣れているからか、そこだけ思った。


チケットがあれば何回も見たい世界だった。1回だけでも見れて良かった。やっぱりタカヤ先生の世界は生で見たい。そろそろ大劇場もあるかな~?荻田先生みたいな幻想的なショーを作って欲しい演出家ナンバー1。もちろんDCとかでは物語を見たいけど。

短いフィナーレもついていた。娘役総踊りがとても幻想的で素敵だった。海乃さんだけが白いドレスでとっても美しい。それからデュエットダンス。大人のカップルでうっとりする。こういう大人カップル大好き!!。男役場面では、暁さんと風間さんがキラキラ付。二人とも立派になって!というか風間さんすごい出世では?そろそろバウ主演をみたいわ。その若い二人を両側に従える真ん中の鳳月さんの渋い魅力が、さらに極まる。最後は鳳月さんの長いソロダンスがあり、幕。えらい長いソロダンスやな~と思ってたら、周りの全員が着替えていたのね。パレードは、役の衣装で順番にだったから。ほんとこの衣装は素敵なので、ラストはこれでよかった。

私は大満足。タカヤ先生のファンクラブに入りたい。鳳月さんの魅力に開眼した。風間さんに益々惚れた。月組いいやん~・・とこんな感じでした。

初日なので挨拶あり。組長がタイトル言うだけで客席から笑いが起こるってすごいタイトル・・・それで組長も噛んでしまったくらい笑った。
月組復帰初主演の鳳月さん。やっぱり月組が似合うわ~というか私の知ってる(約20年前の)月組のカラーはこの方が受け継いでいたのね!と思った。最後のご挨拶も大変余裕に、大人っぽく端正で安定のご挨拶でした。


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風太

えりあ様
初めまして、いつも楽しみに読ませて頂いています。
というか共感できるところがたくさんあって、感想が信頼できる方だと勝手に思っているので、記事がupされるのを楽しみに待っております。
私もブログを書いてますが、とっても雑なので(^^;)
出島の記事も大変楽しく読ませて頂きました。
ただ一つだけ。ちなつさんは「凰」月ではなく、「鳳」月なんです。
訂正して頂ければと思います。どうかお気を悪くなさらないで下さいね。
これからも楽しみにしています。
by 風太 (2020-02-17 07:47) 

えりあ

すみませんっ。ちなつさん&ファンの方ごめんなさいです。
鳳凰と打って違う方を消してました(謝)
風太様、ご指摘ありがとうございます。間違えて覚えてました・・・
by えりあ (2020-02-18 23:54) 

風太

えりあ様
ご訂正下さったんですね、有難うございます。
突然失礼しました。
私も「凰」の字を出す時に「鳳凰」と打って鳳を消しているのでわかります。
訂正されたのですから、私からのコメントは不要なので削除なさって下さい。
ちなみに私の娘がタカヤ先生の大ファンです(^_^)
by 風太 (2020-02-19 20:27) 

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