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宝塚花組「マスカレード・ホテル」初日 [観劇感想(宝塚)]

宝塚花組「マスカレード・ホテル」
2020年1月5日(日)15時 初日 13列

花組ドラマシティ初日を見ることができました。
東野圭吾原作、まだ読んでない。映画見てない。のでまっさらで行きましたが、面白かった!ミステリーだけど、謎解きがメインではなく、イケメン刑事とお堅いホテルウーマンとのテンポ良いけんか腰の会話の楽しさ、相棒の弟的刑事とのコミカルなやり取り、人間模様なお客様との対応、なんかがとても見ごたえがありました。

瀬戸さんはスーツが似合ってかっこいい!!朝月さん上手い。ほんと彼女のホテルマンらしい生真面目な硬さが必須だから、これがないと成り立たない。飛龍さんの芝居の間の良さ。笑いのほとんどは彼が持って行った。素晴らしく上手いわ。柴犬みたいに可愛い。
音さんはさすがの歌と芝居。唸るほど上手い。今回は組長がいいお芝居されてた。汝鳥さんの包容力も効果的。ホテルマンチームのキビキビ動く様子がとっても素敵でした。

202001花マスカレード.jpg

当然ですが、ネタバレ満載なので、ご注意ください。

ミステリアス・ロマン
『マスカレード・ホテル』
~原作 東野圭吾「マスカレード・ホテル」(集英社文庫刊)~
脚本・演出/谷 正純


このお話はミステリーだけど、謎解きはそれほどメインではない感じ。何となく。1幕はほとんど事件の概要説明だけだし。それよりも1幕は、刑事がホテルマンとして潜入する際の軋轢とか葛藤(自分のプライド?)とか、なにより新田氏と山岸嬢のテンポの良い会話が楽しい。あの間髪置かないダメだし、拒否を許さない笑顔とか。朝月さん最高・・!と思える名場面の数々。有能でストイックな刑事が持つ任務への忠実と感覚的な拒絶感が戦う複雑な心境、感情と理性が戦ってる内心とか。見ごたえあるわあ瀬戸さん!この二人の場面で1幕は終わる。もちろん、新田氏の感情が動いていくのがメインな1幕なので、盲目の老婦人への対応や、横暴なおっさんへのの対応とか、お客様とのエピソードも見ごたえ十分。キビキビ動くホテルマンを見ているのも、気持ちがいい。。
ミステリーは2幕。2幕で怒涛の如く進む。頑張るのは、能勢さん。有能ですね、新田氏の指示でバシバシと結果を出していく。この間、警察組織の話とか、ホテル内部の話とか、結婚披露宴への対応とか、サイドストーリーなエピソードも埋め込まれていく。そして満を期しての大女優登場。素晴らしいですね。最後はちょっと詰め込んだ感じがあったけど、エピローグ的なエピソードもきっちり入れてあり、新田さんと能勢さんのやり取りがまた楽しいし、伏線が回収されていくのも快感。さすが東野圭吾先生、素晴らしい作品。谷先生はそれをきっちりと舞台に上げてくれたように感じた。歌劇の舞台用に上手くまとめたなあって思いましたよ。リピート客が多いから、変にミステリーにこだわらなくていいのよ。何度見ても楽しめそうな演出になってたと思います。
今回、私は飛龍さんのお芝居に目が行きました!花組の大きな戦力ですね。

あとホテルの衣装。なんで紫?(宙組でもないのに)。「グランド・ホテル」の深緑の制服衣装のほうがいいな…上品で。私の好みじゃないですね、あの明るい紫の制服。



<警察>
新田浩介(瀬戸 かずや )
警視庁捜査一課の刑事。連続殺人事件の捜査のためにホテルのフロントマンに潜入中。帰国子女で、英語力は英語教師(のたまご)が自信を無くすほどで、秀才でイケメンでエリートキャリアという、何でもそろったヒーローという設定(すごく有能エリートでも変人ではない)。瀬戸さんは背の高いイケメンなのでぴったりだった。最初の長髪よりも、ホテルマンらしくきりりとした髪型のほうが好き。ぶっきらぼうながら、最初はバカにしていたホテルマンの仕事に目覚めていくあたりはさすが。刑事らしさを残しながらもホテルマン化しているのも、上手いわ。歌がすごく良くなられましたね!

能勢(飛龍 つかさ)
新田の部下で相棒。派出所の警官から、刑事になったばかり。新田妹の写真に一目ぼれして、あの高スペックの新田先輩に遠慮なくまとわりついていく可愛いわんこ風。でも熱心で有能。
もうこの物語のアクセントというか、結構重要な役割をしているのに、笑いで場面転換する役割もきっちりこなしていて、最高。芝居の間とかセリフのいい方とか、本当に素晴らしかった。飛龍さんこれからもっと活躍してほしい。歌も上手いし!私も懐かれたい!と思いました。きっとちゃっかり美人の妹さんをゲットして、新田さんの義弟になるでしょう。歌いそうで歌わないとかストレスなので、ちゃんと一曲上げて欲しい。

稲垣(和海 しょう)
捜査一課の課長。アウトロー気味の新田は逆らうし、上からの亜命令があるし、ホテルには気を遣うし、中間管理職ですね。有能だけどスタンドプレイが多そうな新田君を持て余してました。栗原さんと話したら気が合うかもしれない。ま、普通のサラリーマン風の公僕という感じ。

本宮警部補(羽立 光来)
客の振りしてロビーで張り込み中。新田氏と親しそう。ちょっと豪快なキャラクターが、新田氏に遠慮しなくて友人関係になれるのか?と思った。腰は軽くて有能そうだし。この方がいるのに歌なかったわ、残念。


<ホテル・コルテシア東京スタッフ>
山岸尚美(朝月 希和)
ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク。超優秀な女性で、新田刑事の教育係。ホテルマンとしてのプライドがものすごい。こういう人のいるホテルに泊まりたい。このプロ根性に、新田氏も敬意を表したようですね。キビキビとして気持ち良いし、優しい笑顔も作り物ではなく心からの笑顔、とても感じの良い女性です。
朝月さんと一緒にいる長身男役というと、彩風さんだと思ってしまう私。まだしばらく慣れなそう。この方可愛いしお芝居上手いし歌もいいですよね。重要な役をこなす娘役さんです。貴重な戦力よね・・。

藤木総支配人(汝鳥 伶)
すべてを飲み込み、ホテル業務(と評判)に影響のないよう、それでいて善良な市民として警察の捜査に全力で協力している人物。鷹揚で懐が深いと感じる。さすが「責任者」という貫禄ですね。捜査一課長よりも人物が大きそう。新田氏も総支配人には一目置いて素直に従ってましたね。
谷先生の主張(お説教?)は全部藤木総支配人のセリフでした。分かりやすい。

杉下キャプテン(帆純 まひろ)
ベルボーイのキャプテンとして、お客様の荷物をお部屋にお届けする。大変美しく、あの制服も似合って印象的。ただ物語的には特に役割はない。帆純さんの美しさを堪能するのみ。

久我(冴月 瑠那)
フロントマネージャー。ホテル側で、総支配人の意を汲んで部下を動かす人。管理職らしい動きでした。でもホテル場面は総支配人が美味しいところを全部持って行ったので、いるだけになってしまったような・・・。

あと山岸さん以外にフロント係が何人かいたと思う。仁科さん(高山さんから電話もらう人=糸月雪羽さん)もフロントにいるのでフロント係ですよね。あと澤村さん(詩希すみれさん)。好みで可愛いので、顔がわかる。男の人もいた。メイン場面だからかフロントが多い?あとの方は分からないけど。ハウスキーパーとか3人も潜入しているのに、ほとんど出番ないし。


<ホテルの客>
栗原健治(高翔 みず希)
元予備校教師。新田さんに絡みまくる嫌な客。実は新田さんの高校時代に教育実習で遭遇。彼の英語力に自信を無くして、人生を誤った気弱な人。今回の新田氏との出会いで、思う存分嫌がらせできたし、本人から謝罪してもらったので、過去を吹っ切れたかな?田舎で塾の先生かなんかできたらいいね。
高翔さんは芝居の人ではないと思っていたのですが、今回は凄く良かった。悪役をしてもなんか人が好さそうに見えるのですよ、いつも。だけど今回は、ただの悪役でなく、憎たらしい役ですが、心に鬱屈した思いを抱えた複雑で卑小な中年男。もう素晴らしかったです!

長倉麻貴(音 くり寿)
3度出てくるが、全部違うという素晴らしき演技力の女優。片桐瑤子(盲目の老婆、夫想いの老婆)、そして・・・という女優。原作からなにかが端折られたのか、きっと高度に計算していたであろう彼女の計画(動機も)が結構ずさんに見えたのが残念。逆恨みすぎる。栗原さんもそうだし、自身の気づかないところで恨みを買ってるから注意しましょう!というのがテーマか?と思うほど。原作を読んでみたいと思った。
音さんは歌も芝居も狂気も上手いですね。老け役が得意の女優と言われて納得する芝居の上手さ(これも劇中劇というのだろうか?)。「36歳で老け役が得意な女優」にしては、素顔が童顔でしたけど(笑)
音さんがいるのに朝月さんも戻して、贅沢すぎませんか?花組さん・・って思いました。

柳原(和礼彩)
ホテル内の日本料理店で接待の予定があるのに、まだチェックインできていないお客様。新田さんがホテルマンとして最初に対応する客。焦ってますね~多分もっとお願い口調になると思うのですが、新田さんの横柄な対応にムカついて、けんか腰になったという感じでしょうか。最初は普通に言う方が、新田さんの非常識(ホテルマンとして)がより明らかに見えると思うんですが。何度もこのホテルを仕事に使っている人じゃなさそうだし(常連なら、ホテルの料理店の方でも対応できるし、それを知ってるよね)、焦ってパニくっていたところにあの対応でキレたのね、と。接待なら領収書が必要だし、宿泊費と交際費は別だから部屋付けにしないほうが良いのに・・と余計なお世話なことを考えてしまった。

古橋(侑輝大弥)とユカリ(桜月のあ)
1着2万円するバスローブ盗難の容疑者(笑)。前回はバスローブをうまく盗み出し、今回はそこを逆手にとって「盗みの容疑をかけられた~!」とごねて慰謝料をもらう予定。結構頭のいいチンピラだ。しかしながらフロントに現職刑事がいたために見破られてしまい、ただの贅沢(彼女と高級ホテル宿泊しかもバスローブ未使用)という結果になってしまい大出費ですね。山岸さんに呼び止められた時からわくわくドキドキしているのが小心者っぽくて楽しいカップルでした。


高山佳子(咲乃 深音)
土曜日にホテルで結婚式を挙げる女性。ストーカーがいる。このため第4の被害者になると想定されて、結婚式は警察に厳戒される。舞台の上では、いつも楽しそうに結婚式の話をする若い女性としてしか出てこない。普通のOLさんが結婚式を楽しみにしている様子が良かったです。この平凡な幸せを守ってあげなくては警察じゃない!って気分になりましたわ。あと、歌わせてあげて欲しかったなあ。歌はほぼ音さんなんだもの。


森川寛子(鞠花 ゆめ)&ニット帽の男(南音 あきら)
訳ありセレブの連れの女客とセレブ芸能人。怪しい。あからさまに不審。これは疑うなという方が無理。面白かった。というか普通、フロントで2名とか言わないの?

<フィナーレ>
プログラムにはなかったけど、ちゃんと歌劇なのがついてました。飛龍さん!能勢さんは二番手役だよね~と思ってたら、フィナーレで全員紫のなか一人キラキラ紫衣装でした。やっぱり2番手。あの活躍だものね、嬉しい。プログラムの写真も、二番手扱いしてあげて欲しいところ。プログラムの写真、衣装と違うやん~って。ただでさえ分かりにくいのに、衣装が違ってさらに分かりにくいわ・・・。まあ間に合わなかったのねと納得してる。プログラムもかさばるし、時間内ならデジタルで売ってほしいなあ。
瀬戸さんと朝月さんは白衣装。やっぱりすらりとかっこいい。瀬戸さんのスーツ姿はいいし、歌劇の正統派衣装はとてもよく似合う。髭のオジサマも大好きなので、これからもバンバンやっていただきたいけど、スーツ姿も見たいわ~。トップが若いコンビになるから、オジサマ役として美味しい役をしていただきたい。(私の理想は、「ドン・カルロス」でトップと同期なのに父親役をした三番手さん。その後は「フットルース」でヒロイン父。どちらも物語上のキーマンの堂々2番手役。老け役をかっこよく素敵に、重要な番手スターが演じられると、物語が面白い!こういうのを期待してます。瀬戸さんに期待大だわ!)

まだプログラムについて言うけど、配役があまりに簡単な説明すぎて、若い人がわからない。せっかく人数う少ない公演なのに、しっかりと役がわかるように書いてほしいわ。大野先生ほどとは言わないけど、もう少し説明を入れて欲しいのです。谷先生お願いします!しっかりした原作物語があるときの谷先生はあたりで、いい作品になるのですから。

とても楽しかったです!ミステリーなので、2回目に見たらまた違うところが見えるかな?と2回目観劇もできるので楽しみ~。



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