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宝塚月組「ON THE TOWN」梅芸 [観劇感想(宝塚)]

宝塚月組「On the Town」
2019年8月7日(水)12時 梅田芸術劇場 3階4列


月組の半分、こちらを先に見ていました。東京は見ていないので、大阪キャストしかしらない。しかも役替わりのBバージョンだけ1回見ました。えー酷評です。野口先生に、言いたいこといっぱい。なので、あとは要注意で。



「大昔のブロードウェイ・ミュージカルだなあ」としみじみ。良くも悪くも単純なストーリー(物語を重視しない)で.、登場する女性は頭空っぽ。華やかな大人数のダンスシーンで魅せるショー作品。確かに、今回見て「これ半分ショーやん」と思いましたわ。
野口先生のショーは好きなのだけど、「1940年代・アメリカ」だけがテーマだとしんどい。ネタも尽きるわ。もっといろいろ場面転換して、曲調も変えて、装置や衣装も変えて(ここ重要)、イメージを好きに作れたら、もっといいショーになるのに(ショー作品じゃないけど)。あまりの制限に、野口ショーの面白さ半減。かといってストーリーを楽しむものではないし・・・という感想です。

大好きなジェンヌさんが出演していれば、「〇〇さんが舞台にいる~♪」と楽しむことができるだろうけど、ストーリーに深みもないから、役者さんの演技を楽しむのにも限界があるわ。
なんでこれを東京・大阪と長期間上演しようと思ったんだろう・・と思ったくらい。
同じブロードウェイでも、「20世紀号に乗って」は、古さがノスタルジックに味付けされていて楽しかったのに(登場する女性に人格があったのが大きいかも)。本作は脚本演出の縛りが厳しいのか、・・・演出家はちゃんと仕事してよ!と思いました。

201908月オンザタウン.jpg


ブロードウェイ・ミュージカル
『ON THE TOWN(オン・ザ・タウン)』
“ON THE TOWN”
Music by LEONARD BERNSTEIN
Book and Lyrics by BETTY COMDEN and ADOLPH GREEN
Based on a Concept by JEROME ROBBINS
潤色・演出/野口 幸作


というわけで、「ショー要素が強い作品だから」とショー作家の野口先生が担当されたのかもしれませんが、肝心のショー場面も単調な印象だったし、その他の全部についてのタカラヅカ用潤色が弱かったので、私はあまり楽しくなかった。(調べたら「20世紀号」は原田先生だった。私やっぱり原田先生がすっごく好きかも・・?)

そういえば、映画のストーリーそのままで面白くなかった「ローマの休日」も田淵さんでしたね。
(→ごめんなさい、野口先生とごっちゃにしていた。面白くなかった野口作品は「パルムの僧院」だ!でも以下の文章はそのまま合うのでそのまま残しておく)この方は、潤色が下手なので(言ってしまった・・・)オリジナル・ショーと、小箱でのオリジナル作品のほうが良いではないかと思う。オリジナルが大事な演出家なのよ。「A-EN」はすごく良かった!。
野口作品について回顧しても話が進まないので、個別に。しかし役も少ないねえ。


ゲイビー【ニューヨークに24時間の上陸許可を得た海軍水兵】珠城 りょう
可愛い水兵の制服を着ている。ほぼずっと。トップスターなのに着た切り。最後のフィナーレだけ、将校の軍服だった(いきなり出世したのか!笑→なんかラストシーンが「トップ・ガン」で笑った)。
珠城さんは水兵さんより将校のほうが似合う。貫禄あるし、押し出し良いから。あまりオロオロするコミカルな役は似合わないような気がするのだが・・結構多いよね。いまはマフィアスーツが超似合う望海さんがいるから仕方ないかも、だけど、本来マフィアスーツが似合う人だと思う。善良そうに見せて、思いっきり悪い破滅する男の役なんか見たいのに、全然ない。若い未熟な男の役より、成熟した老練な悪い男が見たいのよーと常々思っているが、全く叶わない。
おいといて。今回のゲイビーは、地下鉄のポスターに一目ぼれしてその娘とデートするために会いに行くという、現代ではヤバい人。個人情報保護法とかストーカー規制法とか、そういう概念がない時代の話だ。まあ緩い時代とご都合主義で上手くいったけど、結局一夜限りの恋だったのかな。夢夢しいショー作品だから、ストーリーは「ショー場面」を入れるための方便なんだね、と感じた。
上に散々書いた通り、可愛く明るく軽い珠城さんは、私の好みではなかったです。


アイヴィ・スミス【ミス・サブウェイに選ばれた娘】美園 さくら
女優になるためにレッスン中!という感じで、今回ミス・サブウェイに選ばれて第一歩という雰囲気。上昇志向が強そう。この時代に女性が世に出ようと思ったら、女優しかないのかも。派手な露出の多いドレスを着ているし、すべてにおいて売り出し中という雰囲気。計算高いというか頭よさそうに見える。でも作品的には「頭空っぽの綺麗な子(当時の理想のヒロイン像)」として描かれているので違和感ありあり。
その上昇志向の強い彼女が、一水兵と本気で恋に落ちるとは思えない。いくら一途な恋にほだされても、ないと思う。ふたりとも、一夜の恋を楽しんだだけなのかな・・・と後から思う。
しかし!ヒロインとは思えないほど出番がないのに驚いた。そりゃゲイビーとすれ違うのが趣旨だから仕方ないのかもしれないけど、それでもアイヴィ側のストーリーをもう少し入れてあげればいいのに・・と思ったよ。


チップ【海軍水兵。ゲイビーの友人】暁 千星
水兵トリオの中では、一番年下でマザコン風味に描かれている。まじめな僕ちゃん。ママの言いつけ通りの観光をしようとして、年上女性にお持ち帰りされた・・。(これも現在なら犯罪ではと思うんだけどね)。ともかく、チップの存在意義は、「可愛い」なのだと思いました。水兵の衣装が一番お似合い。暁さんに嵌る役。

ヒルディ・エスターハージー【タクシードライバー】夢奈 瑠音
チップをお持ち帰りするタクシー運転手。この時代から女性運転手がいたのか!と少し驚いた。でもクビになって、やけになって、好みの乗客を強引に持ち帰って、ものにした。すごいバイタリティだ。


オジー【海軍水兵。ゲイビーの友人】鳳月 杏
三人の中では一番ワイルドで脳みそ筋肉タイプ。深く考えずに行動していく。それでいて誰かが助けてくれて困らないお得な人生。凰月さんも水兵服が似合うとは言えないけど、頭空っぽの筋肉男に見せていたのは見事。この人も参謀タイプが似合うのにねえ。珠城さんとは合うから、今後に期待。

クレア・デ・ルーン【人類学者】海乃 美月
頭は良いはずなのに、行動に倫理観がない女性。どういう人物造形なんだ・・と驚いた。自分で決めた婚約者がいるのに、正反対タイプの男を連れて帰り、恋人のように。それを婚約者も同席の場でってよくわからない。美人でおしとやかそうだけど、意外と厚かましくてがさつな女性でした。海乃さんにあってるとは言えない。この脚本書いた人、ほんと女性蔑視ですよねー


ピットキン・ブリッジワーク【裁判官。クレアの婚約者】英真 なおき
結構お年上のオジサマ。クレアとはお似合いだったのですが、この人も良くわからない倫理観のようだ。年若い恋人が幸せなら、彼女が愛人を作っても良いの?というそんな葛藤とか何も感じられないし。ただクレアの言う通りに動き、お金を払うだけの存在。クレアが超我儘女で、それに振り回され騙されている老人という雰囲気だった。なんでこれで笑えるの?と見ていて愉快になれないわ・・
英真さんも海乃さんもセリフの間が上手いから笑ったけど。

マダム・ディリー【アイヴィの歌唱指導の教師】夏月 都
明らかにアル中。それでも歌の先生ができるのね。アイヴィは彼女についていても、デビューできそうにないと思う。酒のこと以外何も考えてなさそう。


ルーシー・シュミーラー【ヒルディのルームメイト】白雪 さち花
デブスの男に相手にされないダサ女、として描かれている。取り柄無しという人物造形が酷いと思うの。最後はあまりもののように、裁判官とくっつくように見せているけどさ。

あああ、書いていてまともな登場人物がいないことに気づいた。元の原作がそうだったとしても、書き直してよ~野口さん仕事しろ!それが潤色だ。と思ったのでした。

あと印象に残った人は、キャバレーのウェイターかな。3人ともなかなかイケメンでございました。(ウェイター 彩音 星凪  甲海 夏帆 一星 慧)。それから、コニーアイランドのMCをしていた 蘭世 惠翔さん。可愛いなーもったいない使い方。いやこの作品でもったいなくない使い方の人はいなかった。



というわけで、「20世紀号」みたいなのを期待していったら、全然違った。「ローマの休日」も退屈だったがまだ素敵なストーリーがあった、これはそれもない。「パルムの僧院」もいい印象がないなあ。ショー場面は良かったけど日ごろから豪華絢爛な宝塚ショーを見ている客(私だ)からすると、変化がなくて物足りない。今回の月組分割は超シリアスで重厚な「チェ・ゲバラ」のほうがかなり好みでありました。今の月組なら重厚シリアス系統のほうが観たいな。



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hanihani

良かった~
私はこの作品が大嫌いで、この作品のせいでタマさくコンビも嫌いになってしまいました。
いや、ほんとに。

なので、どんなにちなつファンにチケットあるからと誘われてもガンとしてお断りでしたよ。
京都までOSK行ったのに。しかも翌日は帰京するだけで
阪急百貨店で4時間も暇つぶしをしていたのに。

これって、久々に最低の作品でしたね(きっぱり)
まだ東京よりはマシともいえる。とにかくさちかさんの声がうるさい。なつこさんの演技も無駄に鬱陶しい。

しかもたまきファンがキャーキャー騒ぐトップコンビのプロセス
あれ、品位がなくて東京でみたときに目を疑った。
私が見間違いだったか?と2回目はかなり良い席なのにオペグラ
でみて、確認したくらいにひどいと思いました。
さくさくはいまや人気がなくて有名になりつつありますが、
あんなのやらせられていたら、人気出ないよね。気の毒な話。
退団するまでにしろきみちゃんみたいな、力を出してしかも自分にぴったりの作品に出会えるのかは、謎ですね。

たまきさん、なぜこいつを選んだのだ
というのが私の周囲の総評です(笑)

新公トークとか、ありバウトークとか見ていると
あの下から見上げる視線とかないし、口調もきっぱりはっきりしていて、しかも声も普通(いまは結構アニメ声)
さくさくよ、トップ娘になっても普通にしていていいんだってば
と言いたいです。

はるくんが「ゲバラ」で本当に良かった!
いや、あっちも色々とここに書けないことがあったのですが。
by hanihani (2019-08-16 11:30) 

キジ白猫

はじめまして。

わたしもチケットをさばきたい某ファンクラブのルートから「半額で良いから…」とお誘いを受けましたが、お断りしました。
外部公演のファントムと抱き合せ販売したり、本当にチケットが売れなかったんだと思います。

あと、気味が悪かったのが、普段は月組に無感心な他組ファンの人気ブロガーさんたちが、こぞってon the townを見に行き、たくさん記事を書かれている事(しかも絶賛記事を)。

色々と考えてしまいました。
by キジ白猫 (2019-08-16 12:17) 

えりあ

hanihaniさん
お気持ち、わかります。ジェンヌさんに全然あってないし、なんでこういう役をやらせる?という感じのが満載で。美園さんはこれで人気は絶対にでないでしょう・・って役回り。「アルカディア」のヒロインみたいな、きりりとした大人の女が似合いそうなのに(オフでもかわい子ぶりっ子は止めたほうが良いのにね)。なぜか頭足りない役ばかり。珠城さんだって大人が似合うのに、このコンビに充てる作品を間違っていると思う。

by えりあ (2019-08-16 21:07) 

えりあ

キジ白猫さん

こんばんは~「半額」とか出回ってたんですね。私もお誘いを受けたとき「B席でいいです」とお答えしましたが、正解でした。面白くなかった最大の原因は潤色の出来があまりに悪いからですが、そもそもこの作品を購入したことが間違いかも・・。

人気ブロガーさんが絶賛なんですか~へーこの作品で!?何か依頼があったの?と邪推してしまうほど、私にとっては合わなかったわ~(キジ白猫さんもですね、hanihaniさんもだし、少なくとも3名は:大笑)。この感性だからニッチなブログなんでしょうか(笑)でも好きに書きたいので今後もこの方針で行きます!

またよろしければお越しください。コメントも嬉しいです。


by えりあ (2019-08-16 21:18) 

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