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BSP「零式艦上戦闘機」 [観劇感想(その他)]

BSP「零式艦上戦闘機」
2018年7月21日(土)11時 グランフロント大阪ナレッジシアター 


前回「新選組」を見て感動し、次の公演も見に行こう!と心に決めて、
無料メールサービスに登録した。
案内が来たので、次の公演も見に行ってきました。

今回もすごかった。衣装は一種類、セットと装置もなし。小道具すらほとんどない。
使うのは人間の肉体と照明だけ。
それだけで、飛行機(ゼロ戦))の開発から空中戦、艦隊を使った戦争まで表現してくれた。
驚きました!ここまで人間の肉体だけで表現できるんだって。
若い男性だけなのに、小道具も衣装もメイクもなしに、老人を表現。
演技力というより表現力が素晴らしい。
ダンスは変わらず、すごいレベルで踊り倒してました。
DVDも欲しいけど、やっぱり生の舞台が一番、良さを味わえると思う劇団です。


201807BSPzero.pngBSP
零式艦上戦闘機
脚本・演出・照明:大塚雅史


今回は1時間45分で休憩なしの3話構成。
第1部 零戦を世に生み出した、飛行機設計士・堀越二郎。
第2部 ミッドウェー海戦にて孤軍奮闘した、名将・山口多聞。
第3部 特攻隊史上最高の戦果を上げた、第二御楯隊。
三つのエピソードに焦点を当て、零式艦上戦闘機の誕生から終焉までを描く。
戦場に、勝者はいない。・・・というのが公式HPの説明。この説明を見るとタイトルロールのお話、つまり主役は「零式艦上戦闘機」ですね。これも(いろいろな)人間で表現していた。
今回プログラムを買いそびれたので、手元にない。なので役者さんがよくわからない。
(買おうと思ったんだけど、終演後は役者さんが売店に立つので、出遅れたため長蛇の列で気力なく諦めた。)

衣装は簡単。HPにあるタンクトップと上着にパンツという全員同じ簡単なもの。それにスカーフがつくくらい(これで敵味方を識別するのだわ)人数少ないから、スカーフの色(2色くらい)で中国軍機になったり米軍機になったり。単純でも、わかりやすい。

照明は効果的。いつもながら、綺麗に動いて、背景と装置の役割をする。人間の美しい肉体を後ろから効果的に照らし、下から上から、いろんな風景や装置になる。BSPの照明は本当に秀逸。映像や装置の代わりまでするのだから。

脚本。今回は休憩なしの1時間45分+アフタートーク15分(全公演)
3話構成で、1話が33分でフィナーレちょっとという感じ。
第1話がゼロ戦の開発。堀越さんという実在の設計士が、海軍の望む最高の戦闘機を作るお話。そしてそれが戦争(日中戦争)に使われ、素晴らしい性能を示すけれど・・というところ。
第2話は、ミッドウェー海戦。こちらも実在の司令官と旗艦・飛龍の艦長、飛龍の航空部隊の話。日本海軍最大のミスでその後の戦争の行方を決めたといわれるミッドウェーです。日本にとっては悲劇なので、ラストは悲劇なのですが、明るく清々しい。
第3話は、知覧の特攻基地。「永遠のゼロ」も舞台になっていた若年兵の航空士官のお話。これこそ悲劇にしかならないのですが。。。

プロローグとエピローグは、特効の生き残りが、記者(?)とパイロットと3人で南の島を飛行機で遊覧している場面。現代ですね。時代が違うのに、自然とプロローグ1~3話エピローグを繋いでいるところが秀逸。演出が上手い。1~3話は、ちゃんと人力で「第1話」とか言ってくれるし親切。

第1話
一番感動したのが、飛行機の設計を人力でやるところ。最初は大人数で大きな飛行機を作っていて、だんだんと軽量化を進めるに従い、人数が減っていく。最後は一人が「ちん」と小さくすっとしている。そのどれもがちゃんと開発中の試作機に見えるところが凄いのよ。
このお話が一番夢があって明るい。「プロジェクトX」みたいな雰囲気も感じられる。日本人って、昔からものづくり、開発・改善が好きなんやな~って思えるエピソード満載。
やっとできた零銭が戦いに使われることのみが哀しそうだった。

第2話
ミッドウェイ海戦の日本海軍の艦隊のお話、司令官と艦長、そして艦上飛行隊のお話。零戦からそれを乗りこなす人々、ゼロ戦を使った作戦へと進んでいく。ミッドウェー海戦をこの人数で装置も映像もなしに見せてくれたのが凄いと思った。「海戦」だよ?宝塚でも新感線でも、装置と映像を駆使して見せる場面。それを人力と照明でって・・やればできるもんだなあと感動した。
飛行隊と艦隊との連携や、司令官の苦悩など、わずか30分ほどに凝縮され、それでいて分かりやすく伝えたいことを伝えている。日本軍にとっては悲劇で終わるのですが、すべてを送り出したあとの最後の司令官と艦長の会話がほんとうに清々しかった。笑いなら目が霞むような、胸が痛くなるようなラストシーン。

第3話
これはさらにもっと悲劇の色が濃くなる。知覧だっけ、映画「永遠のゼロ」でも舞台にもなっていた。まだ十代の若い学徒出陣の飛行兵に、飛行訓練をさせる。人間がやるのだけど、ヘタにやったらお笑いってところを、「飛行機を操縦しているように」見えるように演じていた。これもすごいね。回転したり、木ノ葉おとししたり、平面飛行などいろんな技が見える。運動神経万全の役者さんが、斜めになったりしくじったり・・で未熟な飛行状態をみせる。優等生と教官はさすが。やがて、飛行兵から、特攻兵へと変わっていく。志願といいつつ、ほとんど強制。いやだなんて言えない雰囲気。それでも正直に生きたいという人、特攻として役目を果たしたいという人、若者の心理と葛藤が吐露される。命がかかった議論だ。所々で口を挟む悟った老人二人が上手い。演出も演技も。
結局、最後は悲劇。
夏は太平洋戦争ものを見る機会が多いので、私にとっては真夏は戦争の季節だ(表現が可笑しいな、戦争ものを見る季節、というべきやね)。太平洋戦争を扱う日本の作品は、いつどれを見ても、悲劇だな・・・と改めて思ったのでした。


今回は最後列で見ていた。小さい劇場だし~とオペラグラスを持参しなかったので、細かくは見えなかった。誰が誰だか衣装でもわからない。でも役者はわからなくても、登場人物は区別がついた。(実を言えば、役者では、中内天摩さんだけわかったのだな。目立つのか、私のこのみなのか)。前回「新選組」で覚えた主役級の人は出てなかったし、まだ見るの3回目だし。
でもストーリーがわからなくなることもなく、役者は役に入っていた。もちろん役を消して、背景や装置にもなっていた。すべてが人力。すごい劇団だ。



アフタートーク
7月21日(土)11:00 山本誠大・石田直也・新 正俊・(司会)田渕法明
私が見た回はこの3人のトーク。各話の主人公だということ。(プログラム欲しかったなあと思う。上記の感想の中には、このトークショーで聞いたことも入っているかもしれない。この後忙しくて感想半分書いて残りは10日後に書いてるから。)
そこで知ったのは、ゼロシリーズというものがあり、本作は何作か目ということ。そうだったのか!過去作は知らないんだけど、3話目の主人公は伝統ある名前(BSPの創作人物)らしい。あとの2話の主人公は実在の人物だけど、3話目は伝統ある架空の人物とか。それを若い役者さんが演じるので、大変緊張したという話を聞いた(宝塚の「ベルサイユのばら」のオスカル役をやる役者から聞くような話だった)
あと覚えているのは、「(11時公演では)16時公演のことは忘れて!エンジン全開で」という話。エンジンを2つも3つも駆動して演じているとか?見ていてもわかる凄く激しい動き、プロローグから全開でしょ。一日2公演お疲れ様だ。短期公演しか無理だろうと思う(OSKの公演にも思うが)。でもピシッとそろった編隊飛行にも見えるダンスは、感動的でした。
せっかくのトークを詳しく覚えていなくて残念。3人のお話も、司会の田淵さんもとても上手くて楽しかったのに、私の記憶容量が少なくてスミマセン。
あれだけ踊った後、すぐにトーク。待ち時間なかった。さらに終演後売店にも立ってらっしゃるよ!ほんと体力大丈夫?男性ってこんなに体力あるものなの??と普段は女性だけの劇団しか見ないので疑問に思うほどでした。

次の公演があれば、また見に行こうと思います。
そして今度こそ「新選組」のBDを購入したい。まだ出てなかったの・・開演前に張り切って買おうと思ったのに。びっくりして今回のプログラム買うの忘れた。時間かかるんだねえ。




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