宝塚雪組「るろうに剣心」 [観劇感想(宝塚)]
宝塚雪組「るろうに剣心」
2016年2月9日(火)13時 2階3列上手
「るろうに剣心」は聞いたことはあっても見たことは無い、原作は全く知らない状態。
→観劇後、これは私が高校生くらいなら嵌っただろうな・・と思えた>原作漫画に。
あらすじは劇団HPをちらりと読んだ程度(いつもこの程度)
その状態で見に行きましたが、それなりに原作テイストが感じられ面白かった。
ストーリーはなんとなく分かり、今回の物語上不要なエピソードがキラキラちりばめてあり、
「ああダイジェストなんだ」「実はこの人は重要人物なんだろな」等がなんとかわかる。
私は主人公の剣心さんより、悪役の加納さんのほうに惹かれました。
心情的にかなりぐっときましたねえ。共感性が高い。
彼の抱えるやりきれなさ、ぶつけどころの無い不満、鬱屈、哀しみ。
・・・どうも私は悪役に惚れてしまうようです(笑)
で、加納さんが大変気に入ったので、帰宅後に原作のあらずじを調べてみました。
そしたら!!加納さん居ない・・・。今回はオリジナルストーリーなんですね。
加納さんは「宝塚歌劇版のオリジナル人物」だとのこと。ありゃまあ。でも納得。
だから加納さんだけ、筋が通ってエピソードが纏まってたんだ!?なんて思ったのでした。
今回は小池先生と原作者の解説を読みたくて、久しぶりにプログラム買いましたわ。
そしたら、漫画(アニメ)ビジュアルも載っていてさ~ジェンヌさんの実写度が高いわ~♪
と大変読み応えがありました。ほんとうにビジュアルの素晴らしい組だ。
登場人物が多いので、超長文です・・。
浪漫活劇 『るろうに剣心』
~原作 和月伸宏「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」(集英社ジャンプ・コミックス刊)~
脚本・演出/小池 修一郎
今回は長編原作の小池修一郎潤色作品(『太王四神記』みたいなイメージ)と思ったら、違う。
よく読んだら「脚本・演出 小池修一郎」だった。原作キャラを使ったオリジナル作品。
といっても全くオリジナルではなく、原作の重要設定や重要エピソードをかなり取り入れていた
(のではないかと、原作のあらすじを読んで思った)。
原作の世界観を壊さないで、オリジナルのちゃんとした物語になっているのがさすが~
でも一部演出に、あまり小池演出感を感じなかったのは、大人の事情かな?(推測)。
小池先生の、主人公が歌い上げ、周囲が和していき、それぞれの主張を違う歌詞メロディで
歌いながら、それが重なってひとつの壮大な歌になる・・という盛り上げ演出が大好きなので。
それは残念だが、今回はこの演出でいいです。
(プチ・ガルニエのパーティで少し味わえたし。)
登場人物が多くて大変だけど、とりあえず順番に。
私が書きたい順に書く(笑)
加納惣三郎(望海風斗)
新撰組隊士。島原の花魁に惚れて人の道を踏み外す・・も、当の花魁からは振られる。
そんな精神状態の時に政治体制が変わり、信じていたものすべてが壊れ。
彼にとって世界が崩壊した。
彼はすべてを捨て、自分を裏切ったすべてに復讐するために、新しい時代へ挑戦する。
フランスとの貿易に成功し、作中後半は「貿易商・ジェラール山下」と名乗っておられる。
どんなに世の中が変わろうと、どれだけ新しい世界で成功しようと、
最後まで惚れた花魁・朱音太夫のことを忘れられなかったようですね。
朱音に象徴されるかつて自分が信じ命を掛けてきた世界、それがずっと心の底に鬱屈している。
その苛立ちが、かつて自分が愛したもの、信じたものを踏みにじるような行動を招き、
かつての自分に復讐するように生きている。うーん、つらく哀しい。哀愁を越えている。
過去が重すぎる・・・加納氏の過去はしっかり描かれており、
当時の絶望が分かるだけに、その後の変貌振りが痛々しい。
もし朱音が生きていたら?あの時、彼の思いを受け入れてくれていたら・・?
その後の人生はかなり違っていただろうと思われる。だけど、あの時朱音は彼の思いを拒絶し、
そして彼をそのままおいて世を去ってしまった。だからもう加納の心の中では変化が無い。
ずっと自分を痛めつけるように生きている・・なんと哀しい。
紳士然として丁寧に話しているときも、陰謀を企んでいるときも、復讐を重ねていくときも、
歪んだ欲望を満足させているときも・・ずっと彼の心の悲鳴が聞こえるようだった。
あの時、朱音から、変化する時代からつけられた心の傷がぱっくり開いたままで、
ずっと血を流し続けているように見えた。
やっぱりこういう人物に心惹かれる。いや現実にいたら関わり合いになりたくないけど、
物語の世界だから、私は傍観者だから、だから心から共感して寄り添えるのかもしれない。
そう魅せてしまえる役者の、素晴らしい技量だと思う。
望海さんは、歌が台詞になっていてもしっかりはっきり明瞭に聞かせてくれ、
歌詞の内容はもちろん、歌にこめた複雑な感情もしっかり届けてくれる。
だから余計に共感度が高いのかもしれない。
プチ・ガルニエ(加納邸)での大階段で歌う歌は、本当に素晴らしかった。
新撰組時代の長髪着物姿も素敵でしたが、その後の短髪洋装が大変お似合いで、
かっこ良い。哀愁背負った悪役って、素敵過ぎる。いや素敵に見せていた。
今まで見た望海さんで一番好きかも。
朱音太夫(桃花ひな)
加納の人生を狂わせた美貌の花魁。豪華な着物に薄幸そうな美しさが堪らないですね。
殺人を犯してまで彼女の身請け金を作ってきた加納を、朱音が受け入れていたら
(もちろん、悪いことは悪いと指摘し、弾劾してよいのですが、そこまでしてしまった思い
だけでも受け取ってあげて欲しかった・・超加納寄りな意見ですが)、加納のその後の人生が
全く違ったのではないかと思う。
もう一度見に行って、このときこの場面の朱音太夫の表情をしっかり見たい。
今回私がみた印象では、「驚愕」だけで終わっていた。そもそも桂小五郎が本命で、
加納のことはあまり・・・という雰囲気もあり、加納が哀れになったほどだった。
後々の彼の執着を見るに、朱音のほうもそれなりに加納を愛していた・・と思いたいんだわ。
桃花さんの花魁姿は本当に似合っていて美しい。これは人生狂わせられるよなあと思える。
薄幸そうなところも、庇護欲をそそるよね(変?)
ほんの一場面の出番ですが、私には大変強烈に印象に残る、物語上でも重要人物でした。
桂小五郎(蓮城まこと)
朱音を身請けした?維新の立役者のひとり。
加納のことは視界にも入ってなさそうだったのが・・。
かなり年齢が上な感じもして、朱音と加納が丁度良い年齢に見えた。
彼が加納をライバルと認めていれば、いえ、加納のほうからすれば、
朱音をめぐって争ったという記憶があれば・・また彼の人生も(以下同文;こればっかりや)
こちらも一場面の出番だが「桂小五郎」という名前で察しろということなのでしょう。
この場面はしっかり作ってあったけど、もっともっと見たかったです。
蓮城さんは今回で退団。桂小五郎は印象的な役ですが、出番が少なすぎる・・。
もう少し観たかったというのが本音です。
緋村剣心(早霧せいな)
主人公。大変複雑な過去を持っており、激動の時代にその経験から、
「不殺」の誓いを立て、「人斬り抜刀斎」と異名を持つ剣豪でありながら、
間抜けを装い飄々と生きていく道を選び、新国家運営には関わらず、
下町で市井の人々の人情に囲まれて生きる。
それはそれで素晴らしい生き方・・・私は、力があるなら、
こういう時期の国家形成に尽力して欲しいなあと思うが・・ま、そこは人それぞれだし。
トラウマが大きすぎるのかなと。
しかしながら、結局社会の中の矛盾や、そこから発生する犯罪、そして自らの過去と対峙していく
羽目になっている。それでも飄々と生きていく、風のような人物。
だと私は感じたのです。原作は読んでないから、脚本からのイメージです。
抜刀斎としての緋村と、剣心としての緋村の落差。多分、どちらも彼の本性だけど、
抜き身の刃のような非情の剣豪と、逆刃の剣を持ち命を奪わないと誓う飄々とした男と、
カマイタチとそよ風のような相反する存在。それが一人の人物の両面として彼を形成する。
そこで生じる彼の葛藤やら、思い、悩みを感じて、共感できると思うのだが・・。
物語中でもその2面性を出す場面が多々ある。
今回、「カマイタチ」は剣心の影という別の存在(永久輝)が担い、「そよ風」の剣心だけを
早霧さんが演じていた・・・ように感じた。相反する矛盾する特徴を持つ人物だからこそ
複雑な心理があり、その葛藤が観客を共感させると思うの。でも、今回は別々に演じられた。
だから共感性が低かったのかも(私にとって)。
そよかぜ剣心が「間抜けを装う」という設定なのは頭では分かってるけど、
でも間抜けじゃない剣心が別人物(影)だから、どうも・・・。明るいとぼけた味は
早霧さんの持ち味で、とても似合っていて生き生き見える。
(「ハウトゥーサクシード」のバドとか、ルパン三世とか今回の「そよかぜ剣心」も
とても持ち味にあっていて嵌っている。ビジュアルも素晴らしい!)
だが。
早霧さんの剣心は、2面の切り替えと背負っているものの重さが・・見えにくかった。
もちろん「私には」ですよ。
影も使うのはよいけど、影は影で、主人公ひとりで「カマイタチ」と
「そよかぜ」をみせて欲しかったと思う。これは小池先生に言うべきかな。
(でもポスターのカッコええ緋村は、抜刀斎ーカマイタチのほうですよね)
と、書いてしまった後ですが(すみません)、実は歌詞や台詞が聞き取りにくいので
(これも以前からだが、私の耳は早霧さんの声と相性が悪いようだ)、
もう一度じっくり観なければ、言い切れないかな~?と思う。
もう一回見に行くのでそのときに確認します~
神谷薫(咲妃みゆ)
明るい下町の道場主。まだ若そうなのに道場主ということは、かなりの腕前なのか?
(原作のあらすじをみると、そのようだ。だが舞台を見ていると、そうは見えない・・・可愛すぎる)
気が強くて、正義感が強くて、とても健全な精神の持ち主。だから剣心が惹かれ、安らぐ。
「小町」といわれており(自称だが:笑)美女ではないがそれなりに可愛い。
以前の妻・巴さんが美人系なので、違うタイプが剣心も心理的によかったんだろうなあと思う。
ただ・・この物語限定で見るなら、剣心が心惹かれるのは分かるが、加納さんが心惹かれる
のが分からない。朱音さんも傾国の美女系だから。いや剣心と加納の好みのタイプは合うのかも
しれないが、薫ちゃんはどちらの好みとも違うように見えた。うーん、だから良かったのかな。
とりあえず、「ゴージャスな芥子の打ちかけ」は薫にはあまり似合わない。柄が大きすぎる。
朱音には似合いそうだが、薫にはもっと可愛い小花のほうが似合うだろうって思うのであった。
脚本家の意図することわかりますが、朱音と薫の相似が出てきてないので、このエピソードは
無理設定ではなかろうか?>小池先生。
私は咲妃さんは、こういうちゃきちゃきした女の子より、しっとりした姫ほうが好きかな。
(基本的にこういう元気系のヒロインは得意ではないのかもしれない・・)
薫にももっとしっとり場面があればよかった・・が原作にないなら無理だもんね。
明神弥彦(彩みちる)
可愛い少年、元スリで、剣心に助けられ、薫のところで暮らす事に。超重要人物。
「主な配役」に掲載されていても不思議ではないほどの出番と役割。
(『黒蜥蜴』の小林少年のようだ)
娘役さんが演じているのだが、女の子には見えず、ちゃんと少年に見える。
わざとらしさがないのが良いわ。期待の娘役さんなんですね。
相良左之助(鳳翔大)
似合いの役割といいますか、最近「鳳翔さんのはまり役」タイプの役ではないかと思います。
(夢乃さんがいたら、この役似合いそう~って思った。この路線の継承者なんですね)
登場の仕方が歌舞伎調で、えらく凝ってるなあと思っていましたら、その後ずっと出ずっぱり。
弥彦くんと並んで、重要人物ですね。(原作あらすじ読むと、彼のエピソードがたんまりありそう!)
ただ、今回の作品ではそれほど役割がなかった・・かも。ちょっと残念だ。
原作的に、出さなくてはならない人なんだなあと思いました。
高村恵(大湖せしる)
会津藩の御殿医のお嬢さんで医者。今回はキーマンとなる重要人物。
彼女が居ないと、武田氏も加納氏もお金が動かないもんね。「蜘蛛の巣」という名のアヘン。
それが大変重要なアイテムで、それを握っているのが恵さん。
結構な美女で、蓮っ葉な物言いだけど(お嬢様のはずなのに)、根はよい人そうだ。
恵さんをみていると、「薫ってさ、からかうと面白いよね」と相槌を打ちそうになる(笑)
剣心の、「カマイタチ」のほうも「そよかぜ」のほうも知っているっぽく、それゆえに
彼に惚れてしまう・・?いい女だわ。
せしるさん、これで退団とのこと。絶品の美女役者だったのに。
これから誰がクセの強い美女を演じるのだろう・・・?と心配になるほど。
男役時代は大変可愛らしい男役さんで、(因縁のRSFながら)握手していただいたのが
一番強烈な思い出。女役に転じてからのほうが当たり役が多かった印象。
こういう強烈な女役(しかも美女)というのは、なかなか居ないので貴重でした。
恵のような、「黒髪ストレートが似合う美女」だよ!?そうそう居ないって。
斉藤一(彩風咲奈)
新撰組三番隊長!実は地味にカッコいい斎藤さん。明治になってからも国のために活動する
決意をし、かつての敵の配下に入ってまで「日本」の国づくりのために尽力する・・・。
彼の中では、筋が通ってるんです。本作では「悪・即・斬」で端的に表現されてました。
(悪・即・斬のテーマソング、なぜか石川五右衛門を思い出してしまったわよ)
私、かなり好きな人物です。その斎藤さん、原作も本作でもヘビースモーカーで、
ぶっきらぼうで、「いいやつ」なんですよね。誰に何を言われてもどんな状況になっても、
たとえ時代の大きな変化の中であっても揺るがない、「信念」がある強い男。
彼の強さを加納さんや剣心さんが持っていたら、また話が変わるというほどの、強さ。
冷たいほどの冷静さを失わない男、己の信念にだけ従って迷いなく生きる人物。
主人公二人の対比となる人物だ。またカッコいいんだよね~煙草が似合う大人なの。
(しかし現代は煙草にかなりうるさくなってるので、上演が大変だろうな・・)
ちょっとひねた少年役が似合う人だと思ってましたが、ほんま、大人の男もできるように
なったんですね!大きくなったねえ(親戚のおばさんのような感想だ)
ということで、果たす役割からも斉藤さんが三番手の役だと私は理解した。
銀橋ソロも堂々としっかり聞かせてくれて、大きくなったよ、咲奈さん(嬉涙)
剣心の影(永久輝せな)
剣心のところでも少し書きましたが、剣心の「カマイタチ」な側面を表現する存在。
江戸時代(遊郭の場面)で、剣心は青い着物を着ている。「敵」を斬りまくる抜刀斎だ。
明治になってからは赤い着物。「おろ~」なんて可愛くうろたえている。
だが、「影」はずっと青い着物のまま。回想シーン担当のように出てくるけど、「影」は
非情な抜刀斎のまま・・・「不殺」の誓いを立てた剣心を揺さぶる存在、過去のトラウマそのもの。
冷酷で、非情で、天才剣士というのも納得する冴えた空気をまとった男でした。
本来(物理的に無理な場面も多かったけど)、この空気感の違いを一人の人物が切り替えて
出せたら、凄く重く濃い話になったと思う。(原作ではきっとそうなんだと思う)
これは舞台という制約のためか、小池先生の計算違いか・・はたまた、剣心と影を同一人物と
して見れない私の不心得か。もう一度見に行くべし。
永久輝さん、カッコええ~って初めて思った。いままであまり印象になかったの、ごめんね。
今回新人公演主演なのですよね。
日ごろ「影」を演じている人が、光を演じるとどうなるのか、観てみたいわ~と思いました。
武田観柳(彩凪翔)
不動産屋というか地上げ屋? 大層な成金で「お金大好き」というのがビシバシ伝わってくる。
ある意味、彼も確固たる信念の元に生きる男といえよう。
それに成金といっても、田舎もん丸出しのぽんぽこなおじさんではなく
(私の成金のイメージ間違ってる?)金縁めがねに洋装のスラリとしたかっこよさを持つ
趣味の良い成金なんですよね。(ってこれは 彩凪さんだからか?)
彼が居ないと話が全然進まない超重要人物。物語を進めてくれる人。
ただ、信念がアレなんで、敵も味方も安心してられない。いつ裏切るやらわからんもん。
筋は通ってるんだよね・・お金第一。そのコミカルなまでの役作りが大変魅力的だった。
なんか憎めないの。ガトリング砲の歌(自作か?)歌ってたら、もう可愛くて可愛くて。
彼の妄想に全員が出てきて、一曲歌うなんて、まあなんて楽しそうなんでしょう!
彩凪さんも立派になったなあ~こういうコミカルな小物役も的確にこなしているのを観て、
またまた嬉しくなりました。
四乃森蒼紫(月城かなと)
う、美しい・・・!何かゲームのイラストかと思ったわ。なんてカッコいいのでしょう。
一人だけ白のロングコートにスラリと身を包み、冷たく冴えた美貌。表に出ない日陰の実力者、
滅びた集団の最後の首領。・・・たまらんアイテムが山盛りじゃないか。
部下たちはみんな由緒正しき黒装束なのに、自分だけ真っ白な目立つロングコート(しかも洋装)
だとか、そういうのが気にならないほどの、かっこよさだった。
この男も信念がありますよねえ。部下に対する責任感も、優しさも、冷酷さも併せ持つ。
過去への不満、鬱屈、やるせなさ。新時代のことは分かっているけど、やりきれない思い。
消化し切れなかった自分たちの存在意義。いろんな思いを抱えて、それでも部下を率いて
前に進まなくてはならない人物。
いや~これは惚れるわ。出番は多くないけど、要所要所に出てきて、かっこよく決めて去る。
なにこの好感度アップな登場は!次代を担うスターなんですね!
この作品で、間違いなく月城さんのファンが増えたでしょう。ここにも1名(笑)
いやもともとお芝居上手いし、歌える正統派美形だし、好きだったよ~だけど四乃森さんは
有無を言わさぬビジュアルと役設定が、あまりに嵌っていて、これは堕ちるね。
山県有朋(夏美よう)
維新の元勲。いろいろと矛盾や不満を理解しながらそれでも、「最善」を尽くすために
たくさんのものを飲み込んでベストを尽くす男。いい男だよ。
だから斉藤さんみたいないい男が部下になってくれるんだなあ・・と思わせる器がある。
夏美さんは上司役が多いが、似合うんですよね。上司といっても、哀愁の上級中間管理職ね。
井上馨(美城れん)
維新の元勲、山県さんとほぼ一緒に出てくる。二人の会話で、時代背景やら状況を
説明しているような気がした。最初、美城さんが出演されているのを知らず、
「アレ誰?上手いなあ」と思った。雪組で上手い役者はほぼ知ってるのに、誰?若手!?
と思ったら、やっぱり専科さんだった。(実は比留間組長を見て思ったんだけど)。
比留間喜兵衛(美城れん)
神谷氏と組んでいるヤクザ。組員のへつらいぶりが見事であり、神谷さんにどれだけ
資金援助してもらっているのか、もう目に見えるほど。金の前にヤクザの面子が潰され
てますが、それが明治というものなのですな・・ちょっと悲哀を感じてしまう。
で、彼の指示の下、薫の道場を立ち退かせるために頑張ってる。
そうそう弥彦もこの組の下っ端でスリをしていたっけ。手広いですな。
井上馨と二役ですが、全然別人物。最初誰だかわからなかった。でも上手いなあと。
さすがの美城さんですね。
比留間伍兵衛(香稜しずる)
組長の弟で、「偽抜刀斎」を演じていた人。黒い着物はかまに黒覆面で、誰だか全然
分からなかったよ・・・香稜さんも目立つ二役しているけど、やっぱり別人。
偽抜刀斎だって、身のこなしが綺麗ですね。
瓦版売り(真那春人)&新聞売り(久城あす)
江戸から明治の街中で、人々が時代の変遷を説明してくれる。その中心人物がこの二人。
二人とも歌うまいし、いい声だし。説明が分かりやすいわ。
久城さんのほうは声に特徴があるから、すぐ分かる。
この人の声、大好きなのだ(そう未涼さんの声に一番近いと思うの~)だから歌があって
本当に嬉しい。もっともっと歌って~と思う人No1です。
真那さんはこれまた芝居が上手いし、もっと出番があってもいいと思う人。
今回は、明治の人々の場面のこの新聞関連以外は、四乃森さんの部下でしたが、
あの部下・・・、首領のカッコいい衣装に比べ、顔が隠れる「お面」が許せないのでした。
四乃森さん、部下にも近代的なカッコいい衣装をあつらえてあげてください!
最強の軍団もいいけど、最美の軍団を目指して欲しいです(笑)
とりあえず、このお二人はもっともっと使って欲しい役者さんです。
雪代巴(星乃あんり)&清里(縣千)
剣心のトラウマ。自分が殺してしまった妻とその元婚約者(こっちも殺した)。
剣心の頬の二つの傷はこの二人が付けた傷。ここが剣心の心の一番深く重いところ。
だけど、なんとなく・・加納氏の心の傷に比べて、インパクトが薄かった。
2つの場面に分かれていたからかな? 原作では超重要事項だから、ダイジェスト感が
出てしまったのか?(加納のトラウマエピソードはオリジナルだから、入れやすかった?)
剣心のトラウマが、少し軽く見えてしまったのが残念。時間が足りなかった・・。
でもここを本気でやったらあと3時間は必要そうなので、納得しておく。
清里の縣さん、初めてお名前を書いた。精への執着を剣心に見せた人物
として、あの最期は印象的でした。
セバスチャン(香稜しずる)
最後はこの人。プチ・ガルニエのモブかと思ったら、いつの間にやら重要人物。
大活躍じゃないの!加納邸では我が物顔で歌声を聞かせてくれたし、歌えるのは強いなあ。
セバスチャンさんが廊下の隅で神谷氏と密談(買収)するのが想像できて、とても面白かった。
(何気に雇用主の加納氏を裏切ってるんだよね・・・やるなあ)
ここまででも2回名前が出ている人がちらほらいますが、この作品、えらくバイトが
多いお芝居で、この人数でもまだ足りないのか??というほど
いろんな人がいろんなところに出ている。特に目立ったのがこのお二人。
奏乃はると氏 島原銀杏屋の亭主、おでん屋、清里さんの上司、赤べこ店主・関原さん。
朝風れい氏 島原の客・錦銀の旦那、そば屋?、アヘン中毒の人、オムレツのシェフ。
プログラム無しでも分かったわよ。すっごく目立つんだもの(私には)。
ふたりともお芝居上手い~別人になりきってるけど、私にははっきり分かるのだ(笑)。
お二人とも歌も素敵だし~♪で。今回奏乃さんには、島原でソロが少しあってうれしい。
原作も面白そうですが、長そうなのでもう年だし忙しいしちょっと読めない。
今回は原作の映画版みたいな位置づけでしょうか。
よくある「映画用オリジナルストーリー」とか。本作品だけ観ても十分楽しめました。
もう一回見に行くので、今度は疑問点をしっかり見てみようっと。
2016年2月9日(火)13時 2階3列上手
「るろうに剣心」は聞いたことはあっても見たことは無い、原作は全く知らない状態。
→観劇後、これは私が高校生くらいなら嵌っただろうな・・と思えた>原作漫画に。
あらすじは劇団HPをちらりと読んだ程度(いつもこの程度)
その状態で見に行きましたが、それなりに原作テイストが感じられ面白かった。
ストーリーはなんとなく分かり、今回の物語上不要なエピソードがキラキラちりばめてあり、
「ああダイジェストなんだ」「実はこの人は重要人物なんだろな」等がなんとかわかる。
私は主人公の剣心さんより、悪役の加納さんのほうに惹かれました。
心情的にかなりぐっときましたねえ。共感性が高い。
彼の抱えるやりきれなさ、ぶつけどころの無い不満、鬱屈、哀しみ。
・・・どうも私は悪役に惚れてしまうようです(笑)
で、加納さんが大変気に入ったので、帰宅後に原作のあらずじを調べてみました。
そしたら!!加納さん居ない・・・。今回はオリジナルストーリーなんですね。
加納さんは「宝塚歌劇版のオリジナル人物」だとのこと。ありゃまあ。でも納得。
だから加納さんだけ、筋が通ってエピソードが纏まってたんだ!?なんて思ったのでした。
今回は小池先生と原作者の解説を読みたくて、久しぶりにプログラム買いましたわ。
そしたら、漫画(アニメ)ビジュアルも載っていてさ~ジェンヌさんの実写度が高いわ~♪
と大変読み応えがありました。ほんとうにビジュアルの素晴らしい組だ。
登場人物が多いので、超長文です・・。
浪漫活劇 『るろうに剣心』
~原作 和月伸宏「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」(集英社ジャンプ・コミックス刊)~
脚本・演出/小池 修一郎
今回は長編原作の小池修一郎潤色作品(『太王四神記』みたいなイメージ)と思ったら、違う。
よく読んだら「脚本・演出 小池修一郎」だった。原作キャラを使ったオリジナル作品。
といっても全くオリジナルではなく、原作の重要設定や重要エピソードをかなり取り入れていた
(のではないかと、原作のあらすじを読んで思った)。
原作の世界観を壊さないで、オリジナルのちゃんとした物語になっているのがさすが~
でも一部演出に、あまり小池演出感を感じなかったのは、大人の事情かな?(推測)。
小池先生の、主人公が歌い上げ、周囲が和していき、それぞれの主張を違う歌詞メロディで
歌いながら、それが重なってひとつの壮大な歌になる・・という盛り上げ演出が大好きなので。
それは残念だが、今回はこの演出でいいです。
(プチ・ガルニエのパーティで少し味わえたし。)
登場人物が多くて大変だけど、とりあえず順番に。
私が書きたい順に書く(笑)
加納惣三郎(望海風斗)
新撰組隊士。島原の花魁に惚れて人の道を踏み外す・・も、当の花魁からは振られる。
そんな精神状態の時に政治体制が変わり、信じていたものすべてが壊れ。
彼にとって世界が崩壊した。
彼はすべてを捨て、自分を裏切ったすべてに復讐するために、新しい時代へ挑戦する。
フランスとの貿易に成功し、作中後半は「貿易商・ジェラール山下」と名乗っておられる。
どんなに世の中が変わろうと、どれだけ新しい世界で成功しようと、
最後まで惚れた花魁・朱音太夫のことを忘れられなかったようですね。
朱音に象徴されるかつて自分が信じ命を掛けてきた世界、それがずっと心の底に鬱屈している。
その苛立ちが、かつて自分が愛したもの、信じたものを踏みにじるような行動を招き、
かつての自分に復讐するように生きている。うーん、つらく哀しい。哀愁を越えている。
過去が重すぎる・・・加納氏の過去はしっかり描かれており、
当時の絶望が分かるだけに、その後の変貌振りが痛々しい。
もし朱音が生きていたら?あの時、彼の思いを受け入れてくれていたら・・?
その後の人生はかなり違っていただろうと思われる。だけど、あの時朱音は彼の思いを拒絶し、
そして彼をそのままおいて世を去ってしまった。だからもう加納の心の中では変化が無い。
ずっと自分を痛めつけるように生きている・・なんと哀しい。
紳士然として丁寧に話しているときも、陰謀を企んでいるときも、復讐を重ねていくときも、
歪んだ欲望を満足させているときも・・ずっと彼の心の悲鳴が聞こえるようだった。
あの時、朱音から、変化する時代からつけられた心の傷がぱっくり開いたままで、
ずっと血を流し続けているように見えた。
やっぱりこういう人物に心惹かれる。いや現実にいたら関わり合いになりたくないけど、
物語の世界だから、私は傍観者だから、だから心から共感して寄り添えるのかもしれない。
そう魅せてしまえる役者の、素晴らしい技量だと思う。
望海さんは、歌が台詞になっていてもしっかりはっきり明瞭に聞かせてくれ、
歌詞の内容はもちろん、歌にこめた複雑な感情もしっかり届けてくれる。
だから余計に共感度が高いのかもしれない。
プチ・ガルニエ(加納邸)での大階段で歌う歌は、本当に素晴らしかった。
新撰組時代の長髪着物姿も素敵でしたが、その後の短髪洋装が大変お似合いで、
かっこ良い。哀愁背負った悪役って、素敵過ぎる。いや素敵に見せていた。
今まで見た望海さんで一番好きかも。
朱音太夫(桃花ひな)
加納の人生を狂わせた美貌の花魁。豪華な着物に薄幸そうな美しさが堪らないですね。
殺人を犯してまで彼女の身請け金を作ってきた加納を、朱音が受け入れていたら
(もちろん、悪いことは悪いと指摘し、弾劾してよいのですが、そこまでしてしまった思い
だけでも受け取ってあげて欲しかった・・超加納寄りな意見ですが)、加納のその後の人生が
全く違ったのではないかと思う。
もう一度見に行って、このときこの場面の朱音太夫の表情をしっかり見たい。
今回私がみた印象では、「驚愕」だけで終わっていた。そもそも桂小五郎が本命で、
加納のことはあまり・・・という雰囲気もあり、加納が哀れになったほどだった。
後々の彼の執着を見るに、朱音のほうもそれなりに加納を愛していた・・と思いたいんだわ。
桃花さんの花魁姿は本当に似合っていて美しい。これは人生狂わせられるよなあと思える。
薄幸そうなところも、庇護欲をそそるよね(変?)
ほんの一場面の出番ですが、私には大変強烈に印象に残る、物語上でも重要人物でした。
桂小五郎(蓮城まこと)
朱音を身請けした?維新の立役者のひとり。
加納のことは視界にも入ってなさそうだったのが・・。
かなり年齢が上な感じもして、朱音と加納が丁度良い年齢に見えた。
彼が加納をライバルと認めていれば、いえ、加納のほうからすれば、
朱音をめぐって争ったという記憶があれば・・また彼の人生も(以下同文;こればっかりや)
こちらも一場面の出番だが「桂小五郎」という名前で察しろということなのでしょう。
この場面はしっかり作ってあったけど、もっともっと見たかったです。
蓮城さんは今回で退団。桂小五郎は印象的な役ですが、出番が少なすぎる・・。
もう少し観たかったというのが本音です。
緋村剣心(早霧せいな)
主人公。大変複雑な過去を持っており、激動の時代にその経験から、
「不殺」の誓いを立て、「人斬り抜刀斎」と異名を持つ剣豪でありながら、
間抜けを装い飄々と生きていく道を選び、新国家運営には関わらず、
下町で市井の人々の人情に囲まれて生きる。
それはそれで素晴らしい生き方・・・私は、力があるなら、
こういう時期の国家形成に尽力して欲しいなあと思うが・・ま、そこは人それぞれだし。
トラウマが大きすぎるのかなと。
しかしながら、結局社会の中の矛盾や、そこから発生する犯罪、そして自らの過去と対峙していく
羽目になっている。それでも飄々と生きていく、風のような人物。
だと私は感じたのです。原作は読んでないから、脚本からのイメージです。
抜刀斎としての緋村と、剣心としての緋村の落差。多分、どちらも彼の本性だけど、
抜き身の刃のような非情の剣豪と、逆刃の剣を持ち命を奪わないと誓う飄々とした男と、
カマイタチとそよ風のような相反する存在。それが一人の人物の両面として彼を形成する。
そこで生じる彼の葛藤やら、思い、悩みを感じて、共感できると思うのだが・・。
物語中でもその2面性を出す場面が多々ある。
今回、「カマイタチ」は剣心の影という別の存在(永久輝)が担い、「そよ風」の剣心だけを
早霧さんが演じていた・・・ように感じた。相反する矛盾する特徴を持つ人物だからこそ
複雑な心理があり、その葛藤が観客を共感させると思うの。でも、今回は別々に演じられた。
だから共感性が低かったのかも(私にとって)。
そよかぜ剣心が「間抜けを装う」という設定なのは頭では分かってるけど、
でも間抜けじゃない剣心が別人物(影)だから、どうも・・・。明るいとぼけた味は
早霧さんの持ち味で、とても似合っていて生き生き見える。
(「ハウトゥーサクシード」のバドとか、ルパン三世とか今回の「そよかぜ剣心」も
とても持ち味にあっていて嵌っている。ビジュアルも素晴らしい!)
だが。
早霧さんの剣心は、2面の切り替えと背負っているものの重さが・・見えにくかった。
もちろん「私には」ですよ。
影も使うのはよいけど、影は影で、主人公ひとりで「カマイタチ」と
「そよかぜ」をみせて欲しかったと思う。これは小池先生に言うべきかな。
(でもポスターのカッコええ緋村は、抜刀斎ーカマイタチのほうですよね)
と、書いてしまった後ですが(すみません)、実は歌詞や台詞が聞き取りにくいので
(これも以前からだが、私の耳は早霧さんの声と相性が悪いようだ)、
もう一度じっくり観なければ、言い切れないかな~?と思う。
もう一回見に行くのでそのときに確認します~
神谷薫(咲妃みゆ)
明るい下町の道場主。まだ若そうなのに道場主ということは、かなりの腕前なのか?
(原作のあらすじをみると、そのようだ。だが舞台を見ていると、そうは見えない・・・可愛すぎる)
気が強くて、正義感が強くて、とても健全な精神の持ち主。だから剣心が惹かれ、安らぐ。
「小町」といわれており(自称だが:笑)美女ではないがそれなりに可愛い。
以前の妻・巴さんが美人系なので、違うタイプが剣心も心理的によかったんだろうなあと思う。
ただ・・この物語限定で見るなら、剣心が心惹かれるのは分かるが、加納さんが心惹かれる
のが分からない。朱音さんも傾国の美女系だから。いや剣心と加納の好みのタイプは合うのかも
しれないが、薫ちゃんはどちらの好みとも違うように見えた。うーん、だから良かったのかな。
とりあえず、「ゴージャスな芥子の打ちかけ」は薫にはあまり似合わない。柄が大きすぎる。
朱音には似合いそうだが、薫にはもっと可愛い小花のほうが似合うだろうって思うのであった。
脚本家の意図することわかりますが、朱音と薫の相似が出てきてないので、このエピソードは
無理設定ではなかろうか?>小池先生。
私は咲妃さんは、こういうちゃきちゃきした女の子より、しっとりした姫ほうが好きかな。
(基本的にこういう元気系のヒロインは得意ではないのかもしれない・・)
薫にももっとしっとり場面があればよかった・・が原作にないなら無理だもんね。
明神弥彦(彩みちる)
可愛い少年、元スリで、剣心に助けられ、薫のところで暮らす事に。超重要人物。
「主な配役」に掲載されていても不思議ではないほどの出番と役割。
(『黒蜥蜴』の小林少年のようだ)
娘役さんが演じているのだが、女の子には見えず、ちゃんと少年に見える。
わざとらしさがないのが良いわ。期待の娘役さんなんですね。
相良左之助(鳳翔大)
似合いの役割といいますか、最近「鳳翔さんのはまり役」タイプの役ではないかと思います。
(夢乃さんがいたら、この役似合いそう~って思った。この路線の継承者なんですね)
登場の仕方が歌舞伎調で、えらく凝ってるなあと思っていましたら、その後ずっと出ずっぱり。
弥彦くんと並んで、重要人物ですね。(原作あらすじ読むと、彼のエピソードがたんまりありそう!)
ただ、今回の作品ではそれほど役割がなかった・・かも。ちょっと残念だ。
原作的に、出さなくてはならない人なんだなあと思いました。
高村恵(大湖せしる)
会津藩の御殿医のお嬢さんで医者。今回はキーマンとなる重要人物。
彼女が居ないと、武田氏も加納氏もお金が動かないもんね。「蜘蛛の巣」という名のアヘン。
それが大変重要なアイテムで、それを握っているのが恵さん。
結構な美女で、蓮っ葉な物言いだけど(お嬢様のはずなのに)、根はよい人そうだ。
恵さんをみていると、「薫ってさ、からかうと面白いよね」と相槌を打ちそうになる(笑)
剣心の、「カマイタチ」のほうも「そよかぜ」のほうも知っているっぽく、それゆえに
彼に惚れてしまう・・?いい女だわ。
せしるさん、これで退団とのこと。絶品の美女役者だったのに。
これから誰がクセの強い美女を演じるのだろう・・・?と心配になるほど。
男役時代は大変可愛らしい男役さんで、(因縁のRSFながら)握手していただいたのが
一番強烈な思い出。女役に転じてからのほうが当たり役が多かった印象。
こういう強烈な女役(しかも美女)というのは、なかなか居ないので貴重でした。
恵のような、「黒髪ストレートが似合う美女」だよ!?そうそう居ないって。
斉藤一(彩風咲奈)
新撰組三番隊長!実は地味にカッコいい斎藤さん。明治になってからも国のために活動する
決意をし、かつての敵の配下に入ってまで「日本」の国づくりのために尽力する・・・。
彼の中では、筋が通ってるんです。本作では「悪・即・斬」で端的に表現されてました。
(悪・即・斬のテーマソング、なぜか石川五右衛門を思い出してしまったわよ)
私、かなり好きな人物です。その斎藤さん、原作も本作でもヘビースモーカーで、
ぶっきらぼうで、「いいやつ」なんですよね。誰に何を言われてもどんな状況になっても、
たとえ時代の大きな変化の中であっても揺るがない、「信念」がある強い男。
彼の強さを加納さんや剣心さんが持っていたら、また話が変わるというほどの、強さ。
冷たいほどの冷静さを失わない男、己の信念にだけ従って迷いなく生きる人物。
主人公二人の対比となる人物だ。またカッコいいんだよね~煙草が似合う大人なの。
(しかし現代は煙草にかなりうるさくなってるので、上演が大変だろうな・・)
ちょっとひねた少年役が似合う人だと思ってましたが、ほんま、大人の男もできるように
なったんですね!大きくなったねえ(親戚のおばさんのような感想だ)
ということで、果たす役割からも斉藤さんが三番手の役だと私は理解した。
銀橋ソロも堂々としっかり聞かせてくれて、大きくなったよ、咲奈さん(嬉涙)
剣心の影(永久輝せな)
剣心のところでも少し書きましたが、剣心の「カマイタチ」な側面を表現する存在。
江戸時代(遊郭の場面)で、剣心は青い着物を着ている。「敵」を斬りまくる抜刀斎だ。
明治になってからは赤い着物。「おろ~」なんて可愛くうろたえている。
だが、「影」はずっと青い着物のまま。回想シーン担当のように出てくるけど、「影」は
非情な抜刀斎のまま・・・「不殺」の誓いを立てた剣心を揺さぶる存在、過去のトラウマそのもの。
冷酷で、非情で、天才剣士というのも納得する冴えた空気をまとった男でした。
本来(物理的に無理な場面も多かったけど)、この空気感の違いを一人の人物が切り替えて
出せたら、凄く重く濃い話になったと思う。(原作ではきっとそうなんだと思う)
これは舞台という制約のためか、小池先生の計算違いか・・はたまた、剣心と影を同一人物と
して見れない私の不心得か。もう一度見に行くべし。
永久輝さん、カッコええ~って初めて思った。いままであまり印象になかったの、ごめんね。
今回新人公演主演なのですよね。
日ごろ「影」を演じている人が、光を演じるとどうなるのか、観てみたいわ~と思いました。
武田観柳(彩凪翔)
不動産屋というか地上げ屋? 大層な成金で「お金大好き」というのがビシバシ伝わってくる。
ある意味、彼も確固たる信念の元に生きる男といえよう。
それに成金といっても、田舎もん丸出しのぽんぽこなおじさんではなく
(私の成金のイメージ間違ってる?)金縁めがねに洋装のスラリとしたかっこよさを持つ
趣味の良い成金なんですよね。(ってこれは 彩凪さんだからか?)
彼が居ないと話が全然進まない超重要人物。物語を進めてくれる人。
ただ、信念がアレなんで、敵も味方も安心してられない。いつ裏切るやらわからんもん。
筋は通ってるんだよね・・お金第一。そのコミカルなまでの役作りが大変魅力的だった。
なんか憎めないの。ガトリング砲の歌(自作か?)歌ってたら、もう可愛くて可愛くて。
彼の妄想に全員が出てきて、一曲歌うなんて、まあなんて楽しそうなんでしょう!
彩凪さんも立派になったなあ~こういうコミカルな小物役も的確にこなしているのを観て、
またまた嬉しくなりました。
四乃森蒼紫(月城かなと)
う、美しい・・・!何かゲームのイラストかと思ったわ。なんてカッコいいのでしょう。
一人だけ白のロングコートにスラリと身を包み、冷たく冴えた美貌。表に出ない日陰の実力者、
滅びた集団の最後の首領。・・・たまらんアイテムが山盛りじゃないか。
部下たちはみんな由緒正しき黒装束なのに、自分だけ真っ白な目立つロングコート(しかも洋装)
だとか、そういうのが気にならないほどの、かっこよさだった。
この男も信念がありますよねえ。部下に対する責任感も、優しさも、冷酷さも併せ持つ。
過去への不満、鬱屈、やるせなさ。新時代のことは分かっているけど、やりきれない思い。
消化し切れなかった自分たちの存在意義。いろんな思いを抱えて、それでも部下を率いて
前に進まなくてはならない人物。
いや~これは惚れるわ。出番は多くないけど、要所要所に出てきて、かっこよく決めて去る。
なにこの好感度アップな登場は!次代を担うスターなんですね!
この作品で、間違いなく月城さんのファンが増えたでしょう。ここにも1名(笑)
いやもともとお芝居上手いし、歌える正統派美形だし、好きだったよ~だけど四乃森さんは
有無を言わさぬビジュアルと役設定が、あまりに嵌っていて、これは堕ちるね。
山県有朋(夏美よう)
維新の元勲。いろいろと矛盾や不満を理解しながらそれでも、「最善」を尽くすために
たくさんのものを飲み込んでベストを尽くす男。いい男だよ。
だから斉藤さんみたいないい男が部下になってくれるんだなあ・・と思わせる器がある。
夏美さんは上司役が多いが、似合うんですよね。上司といっても、哀愁の上級中間管理職ね。
井上馨(美城れん)
維新の元勲、山県さんとほぼ一緒に出てくる。二人の会話で、時代背景やら状況を
説明しているような気がした。最初、美城さんが出演されているのを知らず、
「アレ誰?上手いなあ」と思った。雪組で上手い役者はほぼ知ってるのに、誰?若手!?
と思ったら、やっぱり専科さんだった。(実は比留間組長を見て思ったんだけど)。
比留間喜兵衛(美城れん)
神谷氏と組んでいるヤクザ。組員のへつらいぶりが見事であり、神谷さんにどれだけ
資金援助してもらっているのか、もう目に見えるほど。金の前にヤクザの面子が潰され
てますが、それが明治というものなのですな・・ちょっと悲哀を感じてしまう。
で、彼の指示の下、薫の道場を立ち退かせるために頑張ってる。
そうそう弥彦もこの組の下っ端でスリをしていたっけ。手広いですな。
井上馨と二役ですが、全然別人物。最初誰だかわからなかった。でも上手いなあと。
さすがの美城さんですね。
比留間伍兵衛(香稜しずる)
組長の弟で、「偽抜刀斎」を演じていた人。黒い着物はかまに黒覆面で、誰だか全然
分からなかったよ・・・香稜さんも目立つ二役しているけど、やっぱり別人。
偽抜刀斎だって、身のこなしが綺麗ですね。
瓦版売り(真那春人)&新聞売り(久城あす)
江戸から明治の街中で、人々が時代の変遷を説明してくれる。その中心人物がこの二人。
二人とも歌うまいし、いい声だし。説明が分かりやすいわ。
久城さんのほうは声に特徴があるから、すぐ分かる。
この人の声、大好きなのだ(そう未涼さんの声に一番近いと思うの~)だから歌があって
本当に嬉しい。もっともっと歌って~と思う人No1です。
真那さんはこれまた芝居が上手いし、もっと出番があってもいいと思う人。
今回は、明治の人々の場面のこの新聞関連以外は、四乃森さんの部下でしたが、
あの部下・・・、首領のカッコいい衣装に比べ、顔が隠れる「お面」が許せないのでした。
四乃森さん、部下にも近代的なカッコいい衣装をあつらえてあげてください!
最強の軍団もいいけど、最美の軍団を目指して欲しいです(笑)
とりあえず、このお二人はもっともっと使って欲しい役者さんです。
雪代巴(星乃あんり)&清里(縣千)
剣心のトラウマ。自分が殺してしまった妻とその元婚約者(こっちも殺した)。
剣心の頬の二つの傷はこの二人が付けた傷。ここが剣心の心の一番深く重いところ。
だけど、なんとなく・・加納氏の心の傷に比べて、インパクトが薄かった。
2つの場面に分かれていたからかな? 原作では超重要事項だから、ダイジェスト感が
出てしまったのか?(加納のトラウマエピソードはオリジナルだから、入れやすかった?)
剣心のトラウマが、少し軽く見えてしまったのが残念。時間が足りなかった・・。
でもここを本気でやったらあと3時間は必要そうなので、納得しておく。
清里の縣さん、初めてお名前を書いた。精への執着を剣心に見せた人物
として、あの最期は印象的でした。
セバスチャン(香稜しずる)
最後はこの人。プチ・ガルニエのモブかと思ったら、いつの間にやら重要人物。
大活躍じゃないの!加納邸では我が物顔で歌声を聞かせてくれたし、歌えるのは強いなあ。
セバスチャンさんが廊下の隅で神谷氏と密談(買収)するのが想像できて、とても面白かった。
(何気に雇用主の加納氏を裏切ってるんだよね・・・やるなあ)
ここまででも2回名前が出ている人がちらほらいますが、この作品、えらくバイトが
多いお芝居で、この人数でもまだ足りないのか??というほど
いろんな人がいろんなところに出ている。特に目立ったのがこのお二人。
奏乃はると氏 島原銀杏屋の亭主、おでん屋、清里さんの上司、赤べこ店主・関原さん。
朝風れい氏 島原の客・錦銀の旦那、そば屋?、アヘン中毒の人、オムレツのシェフ。
プログラム無しでも分かったわよ。すっごく目立つんだもの(私には)。
ふたりともお芝居上手い~別人になりきってるけど、私にははっきり分かるのだ(笑)。
お二人とも歌も素敵だし~♪で。今回奏乃さんには、島原でソロが少しあってうれしい。
原作も面白そうですが、長そうなのでもう年だし忙しいしちょっと読めない。
今回は原作の映画版みたいな位置づけでしょうか。
よくある「映画用オリジナルストーリー」とか。本作品だけ観ても十分楽しめました。
もう一回見に行くので、今度は疑問点をしっかり見てみようっと。
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