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宝塚宙組「白夜の誓い/PHOENIX宝塚!!」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚宙組「白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―/PHOENIX宝塚!! 蘇る愛」
2014年11月14日(金)1階28列センター


凰稀さんの退団公演だし、先日のバウ『サンクチュアリ』が結構良かったので
題材良さそうだし、華やかそうだし~と、淡い期待を抱いていきました。が。


以下、大変辛口なので御注意下さい。私の感性的に受け入れられないテーマだったので
(お芝居もショーも。というか宙組コンセプトが)もう文章に嫌悪感出てしまってます。
宙ファン、凰稀&緒月コンビファンの方はお読みにならないでくださいませ。



それでも良いなら覚悟を決めてどうぞ・・・ネタバレあります。<全体感想>

見終わって感想。「・・・原田さん、ちょっといいかしら?」って感じ(笑)
なんなんこれ?いわゆる【やまなし・おちなし・いみなし】を二重の意味で表現したの?
宙組はこういうのを楽しむ組なの?実はとんでもなく奥が深いの???と、しばし悩んだ。
ヒロインは間違いなく緒月ヤコブですね。グスタフとヤコブの愛憎劇ですよね?(真剣)

役者は、まあ真ん中付近(凰稀・緒月・実咲・朝夏・寿)は良いものの、後は何というか。
脚本の曖昧さと複合して、あまりの薄さに何がなんだか良くわからなかった。

ショーはお芝居に輪を掛け、私の感性や体質が受け入れられないものがあり、ぞわぞわ。
大介先生にしては色彩のセンスがいまひとつで、私の好みと合いませんでした。
もう少し衣装のセンスがいいと思ってたんだけどなあ。
「すごい歌!」「ダンスすごっ!」と言う人も見当つからず(すみません)、中心付近で
一番いい歌歌ってたのが、朝夏さんと実咲さんだ。・・・次回からのお楽しみでしょうか?
印象に残ったのは、凰稀さんの七変化ファッションショー(大変身?)場面と、
最初の場面で、実咲さんが桜乃彩音さんに見えたくことくらいかな(お化粧そっくり)。
ショーでもトップ娘役は緒月さんでしたね・・・もう何も言うなってことですか。
そーですか。私はこういうのあまり・・男の友情系は好きだけど、男の愛憎系はどうも。
はっきり言って、苦手です。

なのに平日なのに立ち見でてるよ!・・・ファンはこういうのがお好みなんだ。
トップ退団公演だものね。



ミュージカル
『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』
作・演出/原田 諒


上にも書いたけど、なんというか『大作のダイジェスト予告編』みたいな気分。
映画の予告編とか、漫画の次巻の予告とか。2時間の映画を、印象的なカットと
台詞だけを集めて1分くらいにして上映するアレ。漫画だと次の巻の印象的な
台詞とカットをちりばめて並べた最後の<次巻▲月発売>って1ページ。そんな感じ。
「おお!波乱万丈で面白そう~全編みたいわ」って思ったよ。・・これ全編なんだけど(笑)。
どうも場面場面のぶつ切り感が激しく(暗転が多い)、2~3人が入れ替わり立ち代り
説明台詞を話していく。舞台上にはいつも2~3人しか居ない。動きも少ない。
エピソードは多いんだけど、繋がってない印象がある。つまりそれぞれのエピソードの
印象的な場面(台詞)だけを編集したかのような印象を受けた。

時代は『ベルサイユのばら』と同時代。衣装は一緒でいいよ豪華だもの。
でも背景セットまで『ベルばら』と一緒にしなくても。なんでイマドキ「書割」なの?
植田大先生の演出じゃないんだから、映像とか立体セットとか効果的に使えばいいのに
なぜ全部「書割」?? よけい薄っぺらくみえてしまうでしょ・・。
そうなの薄いの。主役の凰稀グスタフと相手役の緒月ヤコブはいい、良くわかる。
さすが主役の二人はお芝居も上手い。ソフィア王妃(実咲)も心境変化がいい感じだし、
朝夏リリホルンは苦悩する理由に共感できないだけで、芝居はとても良く、苦悩がわかる。
あとはクランツ大臣(寿)とテッシン伯爵(汝鳥)くらいかな。
この当たりまでは、人物の背景が(一応)見えた。それまでの人生とか考え方が、見える。
でもこれ以外の人々は、それが見えない・・私には見えなかった。
特に、エグモント伯爵夫人(伶美)。あんな美味しい役をなぜあんな平板にしていまうのか。
ニルス(七海)も、単純すぎないか・・。他の皆様もなんか薄い。まあ出番無かったけど。
私が宙組の若手さんを知らないというのも大きいと思うのですが、台詞のある人でも
その「人物」が見えないのだわ~作り込みが薄いのかな。あっさりめ?
(大昔、宙組で『砂漠の黒薔薇』という作品があり、あの時も、盗賊たちに個性が無くて
出番以外は生きてないみたいだった。その盗賊のなかで樹里さんだけが際立って生きてて、
人物背景が見え、舞台で見えない部分の人生や生活が想像できた記憶があるな~
あんな感じ。って全然たとえになってないですね。すっごい古い話:笑)
まあ普段芝居の濃い~雪組ばっかり見てますから、薄めに感じるのかもしれません。
そうなると好みの問題ですね。しかし、エグモント伯爵夫人とニルスは勿体無い。

それとも、あの山場が曖昧な脚本では、なかなか難しいのかもね(笑)
どこが最大の山場かわからなかったくらい。テーマが判らなかったの。
で、ラストシーンを見てプロローグを思い出すに「これはグスタフとヤコブの愛憎物語ね」
とやっと判ったくらい。冒頭はエグモント伯爵夫人の比重が重そうだし、ソフィアや
エカテリーナ二世の二人だけの場面(長い)なんてあるし。
政略結婚の正妻と本当に好きな愛人の恋愛物語?(例『琥珀色の雨にぬれて』)と思ったり、
宮廷革命や途中の結構長い海戦の場面から、グスタフの王としての自立独立がテーマか?
(例『太王四神記録』)と思ったり。でもやっぱり最後までいくと、いろんなエピソードは
みんな「ヤコブ」に繋がってて、ラストシーンからすると男の愛憎物語だったのね(笑)
となった。(事例を思いつかない!斬新なのか。あ『愛のプレリュード』が近いかも。)
とにかく、見ている間なかなかテーマが判らなかった。

簡単にまとめると。基本は『ベルばら』ベースに、メインテーマは『太王四神記』風。
途中、『銀河英雄伝説』になって(ラインハルトになるんだ。キルヒアイスも居るしね)、
で、『黒い瞳』のエカテリーナとマーシャの場面が入る感じかな。私の印象(笑)
書いて並べると、なんて散漫な~
あと台詞が結構、大仰なの。グスタフとヤコブ、リリホルンあたりはナチュラルだけど
後の人はなんかベルばらみたいな台詞回しに感じた。汝鳥さんの効果も大きいが(笑)

豪華で華やかでとっても美しいです。それは保証する。ストーリーとテーマと、
主要人物以外をを気にしなければ、十分に宝塚気分を味わえる作品ですね。
(ただ私はこういったことを気にするタイプなので、「原田さん、ちょっと」となる:笑)


では個別に。

グスタフ(凰稀)
スウェーデン国王。皇太子時代に身分を隠してパリ留学、父王の死の知らせに急ぎ帰国。
危うく親ロシア派に王位を奪われそうになるが(危機1)、急いで帰国したのでクリア。
だが即位のときに親ロシアのデンマーク王女ソフィアとの結婚が勝手に決められていた。
次にはついにロシアと組んで不正を働いていた重臣クランツ大臣との戦い。内密のはずの
クーデターは内部に入った裏切り者のために事前発覚し幽閉される(危機2)だが、
先祖の剣をなんとなく見つけ、再クーデター成功。勢いに乗ってロシアに海戦を挑み
(危機3)パリ仕込の新たな戦術で勝利!ついでにロシアの臣従か脱出。
フランス革命に乗じてパリ時代の恋人を救出&国家予算の使い方(軍事強化に回さず
オペラ座建設に力を入れる)をの2点を中心にヤコブと対立しついに決別(危機4)
グスタフのやり方が気に入らない一派にヤコブが勧誘され、彼に暗殺される(危機5)
こんな感じ。90分の間にグスタフの危機は5つもあって、そのどれも「なんとなく」
クリアできていく。いや5つ目についにクリアできなくてエンドになるのだが。
5つの危機はどれも均等に配分されてて、解決方法も「なんとなく」という雰囲気。
だから盛り上がりが無く見えてしまうのね。特に危機1&2は敵が同じクランツ大臣。
だが前半であっさり勝ち(急いで帰っただけで勝ち、神様に祈って先祖の剣を見つけた
ら、皆が従ってくれて勝ったとか、・・盛り上がらん勝ち方)、危機3は4に繋がるけど、
やり方を巡ってヤコブと対立するので、ヤコブが敵になっていく。危機3の勝利方法は
もう「ラインハルト様!!」という感じだしね(笑)ヤン・ウェンリーなら、感心して
解説するだろうけど、反対しないはずなのにね(大笑)・・敵だけど。この海戦は華やかで良かった
んですが、もうちっと映像を使ってもいいのにな~と思いました。
ここで自信をつけたグスタフは、自分のやりたい放題にやってしまい、頼られなくなった
ことでグスタフの愛を失った(と思い込んだ)ヤコブに愛憎の果てに殺される・・と。
危機3~5はヤコブが敵なんだね。1と2では強力な味方が、3~5で敵になる。
ある意味すごい展開だけど、平板に唐突に進んでいくので、テーマがぼやけたのかも。
(ヤコブの)愛と裏切り、愛が憎しみ変わるまで・・・そんなストーリーなのか。
グスタフは、ヤコブの深いところが理解できなかったんだね。愛人も王妃も好きだし、
でもそれとは違う次元でヤコブのことが好きだったのに、判ってもらえなかった。
彼の正妻ソフィア王妃と愛人エグモント伯爵夫人のこと、ヤコブは好いてなかったけど、
グスタフの態度見ていたら、一番好きなのはヤコブだったと判るのにねえ。
もういっそ、ラストシーンもヤコブの腕に抱かれて死んだほうがすっきりしたかも・・
とまで思うのであった。

ほとんどあらすじ書いてしまいましたな。凰稀さんは綺麗だしお芝居は上手いと思う。
本当にヒラヒラの宮廷服姿が優美で、華麗な軍服が似合っていて、素敵でしたわ~♪
声に透明感が無いのと、歌がやや残念なことを覗けば、素晴らしいトップスター。
惜しむらくは、緒月さんとずっと一緒だったことかな。別々にしていたほうが魅力が
出たのではないかと思うのだけど・・・。雪から星へ異動したときは、柚希さんの後任
だと思っていた(まさか柚希さんより先に辞めるとは)。あのまま星でトップ(緒月さんと
は別々の組)がよかったのになあ・・と改めて思ってしまう退団作品でした。



ヤコブ・アンカーストレム伯爵(緒月)
グスタフのところで語りましたが、ほぼ準主役。いえ相手役という単語が相応しい。
まあヒロインと言っても過言ではない存在。
最初の登場からエグモント伯爵夫人には好意的ではなく、王妃様にも冷たい。
彼女たちはグスタフを奪っていく存在だから?・・と思ってしまうほど、冷淡に感じる。
愛から憎しみへの転換がとても壮絶でした。やっぱりお芝居は上手い!(ストーリーに
共感できなくても、上手いと思う)。いい役者さんだと思います。だけどさ、だけどさ。
何?1.5番手?扱いよすぎだよ!!他所の2番手以上の活躍ぶり、もう唖然呆然。
グスタフとヤコブ以外の場面やエピソードは、目立たせないといけない人のための
場面ってわかるほど違和感があった。二人(いやヤコブの)愛憎だけにテーマを絞ったら
もっとテーマがはっきりして、感動的なストーリーになるかも知れないね。

緒月さんは、お芝居は本当に素敵だ。いい芝居をする。声が悪いのと(割れるよね)
歌が今ひとつ・・ふたつくらいなのと、お顔が真ん中向きではないので、「良い脇役」
と言う役割でいていただけたら、大好きだった。だが宙に行ってからの緒月さんは
ほとんどヒロイン、トップ娘役の役割(2番手以上)を果たしていて、なんだかな~
と違和感を感じて仕方無かった。お芝居だけならまだし、ショーでも素晴らしい破格の
扱い。2番手以上では?と思うほどの待遇に、容姿・歌・ダンスから鑑み疑問符がとんだ。
芝居でいわゆる番手スター以上に大役が来ることは納得できる。持ち味やら演技力やらで
抜擢することはとてもいいことだと思う。舞台の完成度が上がるからね。
でも芝居で大役でも、ショーではそれなりのポジションに行くものではないかと・・。
緒月さんは謎の存在だった。トップ娘役をする脇の男役という前代未聞の不思議な存在。
(トップ娘の実咲さんは歌・芝居に力があり、見た目も可愛いので、余計に不満が溜まる)
でも今回でやっとこの謎の存在も終わり。
私は、緒月さんは凰稀さんとは別々にいたほうが、もっと似合う渋いオジサマ役やら、
光る脇の大役をいっぱい見せてもらえたのではないかと、少々勿体無く思っている。
なにより変なコンビを喜び煽らなければ、こういうややこしいテーマの物語が多発せず
済んだのではないかと・・そう思うのであった。


カール・リリホルン(朝夏)
親衛隊の隊長かなんかだったのか?良く覚えてないけど(ごめん)、クランツ大臣にも
王にも信頼されている有能な人物であることはわかった。それゆえに板ばさみで苦悩
することも。ただ、クランツ大臣に従ったのは、なんか脅迫されている様子でしたね。
その脅迫内容が「父と兄の現在の地位を守る」とかなんとかいう、「へ??」と
いうような内容で、最後まで良く判りませんでした。脅迫の種になるのだから、父と
兄はクランツと組んでなにか不正なことをして地位を保っているのでしょうか?
父と兄の地位を弟が守るものでしょうか? 父や兄が自分で守ればいいのでは?
それでもカールを脅迫するなら、直接父なり兄なりが出てきて、カールに命じる
(または懇願する)ほうが効果的なのではないかと。
彼の実家(父や兄)は親ロシア派なの? 国王派なの?それも謎。そもそも父や兄は
出てこず、なぜこの弟だけが板ばさみで苦悩しているのか、サッパリわからない。
全然脅迫の理由が納得できず、こんな理由で裏切るのか?と唖然としてしてしまった。
ただ、脅迫の理由さえ脇においておけば、後は素晴らしい苦悩のお芝居で、共感できた。
お芝居がいいねえ~朝夏さん。歌も一番良かった。声が綺麗で良く伸びる。
次回からトップスターですね、結構大きく期待してます♪
しかし堂々たる次期トップという2番手なのに、扱いが悪すぎませんかね・・


クランツ大臣(寿)
親ロシア派の大臣で、国を牛耳ろうと画策する悪役。前半部分はこの人が黒幕だったのに、
途中であっさり消えてしまった・・・最後まで復活ならず。危機1と2の敵であり、
存在感が大変大きかったので、危機3~4で敵の姿が見えない状態になったときに、
「実はクランツ大臣が裏で!?」と期待してしまったほどだ。
すっごい尻切れトンボ感を生じさせてくださった・・。上手いんだよ、寿さん。
勿体無い使い方だ。



テッシン伯爵(汝鳥)
もうメルシー伯にしか見えないです。いつシュテファン人形持ってくるかと(笑)
この方のベルばら風の台詞回し(と皆の衣装)の所為で、「ベルばらワールド」が炸裂。
グスタフの撫育官なのでメルシー伯と立場は同じ、言うことも同じ。すごい既視感。
上手いんですが、この役は違う方の方が良かったのではないかと思いました。はい。


ソフィア王妃(実咲)
大国デンマークの王女、ロシアの差し金でスウェーデン王妃に。格下の国に嫁ぎ不満。
でも自国のことを思って必至になるグスタフに惹かれていき、スウェーデン王妃としての
自覚に目覚める・・・らしい。過程が全部省略されているので、全くわからないが、
そういうことらしい。最初は「格下国の国王である夫を見下すデンマークの王女様」が、
次に出てきたら「密かに夫の国王を真剣に愛するスウェーデン王妃」になっていた。
途中の場面が全然なかったような・・・気がする。グスタフとヤコブの関係は細かく
描いてあるのに、この夫婦の関係については、ほぼ2場面(上記)で終わり!?
ソフィアがグスタフを見直し、好きになって葛藤する場面とか、そういうの欲しいわ。
メルシー伯の説明だけなんて、省略過ぎる。
この差。ヒロインはヤコブであると思ったのも当然でしょう。
実咲さんは歌も上手いし、芝居もいい。細くて綺麗だ。なのにこの扱い。本当に残念だ・・・。
次回から期待。朝夏&実咲はいつか(花組で)トップコンビになると思っていたので、
大変期待しています。


エグモント伯爵夫人イザベル(伶美)
世界最先端を行くパリの社交界で、思想家を集めるサロンを開く美貌の未亡人。
夫はすごい年上だったんでしょうか。この夫人、確かに美しいし知的に見えるけど、
話しをしたらダメだ・・・なんか馬鹿っぽく聞こえる・・。(ごめんね)
台詞が堅くて、感情が見えない。グスタフのことをどう思ってるか全然わからなかった。
ソフィアに対しての感情も。
何を感じているのか? 自分はどうしたいのか?が謎の美女。ただ流されているだけの
おバカさんに見えないことも。頭の足りない美人みたいで残念だ・・・。
これソフィアと逆でよかったんでは?>キャスト。
この役、やり様によっては、ものすごい印象に残る影響力の大きな役になると思うの。
ヒロインクラスの役だと思うんだけどね~
未亡人で外国の若い留学生(フェルゼンと同じ立場だ)との軽い恋だと思おうとして
自分の本音を偽り抑えているところとか、思いがけず皇太子と知っての更なる動揺とか、
身分を考えての葛藤と、愛しているという思いとの戦い。そして彼が王妃を迎えたことを
知ったときの悲しみと安堵と混じった複雑な感情。自国の革命。その危険の中に助けを
よこしてくれたかつての恋人、嬉しさと遠慮と彼の立場への心配。そして彼の正妻との
対決・・「もし彼を愛していない嫌な女だったらどうするか?」とか葛藤するよね。
そしてソフィアと直接会うことは真剣勝負だよ>女の。・・どの場面も、そりゃあ
いろいろな感情がない交ぜになる複雑な複雑な女心を表現することが出来る役ですよね。
でも伶美さんからは、あまり何も感じなかった。いつもふわふわ流されているような・・
そんな印象しか受けなくて、本当に残念だった。『サンクチュアリ』や『キャパ』では
いいお芝居される役者さんだと思ったんだけど、役を選ぶのかもしれないね。
美貌と気品だけはばっちりでした。


ニルス(七海)
庶民代表で出てきて、グスタフ王の味方になるところなどエピソードを入れてもらって。
なのにあっさり出番無くなって終わった。クランツ大臣と同じく、使い捨てキャラか?
ニルスも台詞を聞いていると、すごい弾圧をされて大変そうなのに、貴族への不審が薄い。
なんとなく、単純と言うか、純真と言うか・・そんなに甘くていいのか?と少々心配に
なってしまいました。彼も薄いのだ。妹は終始心配していたが、そこに共感できるほど(笑)。


エカテリーナ二世(純矢)
言わずと知れたロシア最大の女帝。だが。優しすぎる。裏が無さすぎる。
『黒い瞳』でも似たような場面があって、女帝陛下は恋人の助命嘆願に来たコサックの
娘マーシャに情けをかけてあげる。
しかしあれはロシア自国の国内問題で、政治的には全然影響ない話だから。
今回のソフィアはスウェーデン王妃で、思いっきり政治的に大変な立場同志のはず。
政治的に重要な公式場面。いくら非公開とはいえ、正式な女帝と王妃。
なのに、なぜ国内の1庶民の娘マーシャとお散歩のときに話しているような親近感
なのでしょう・・。
しかもそれだけ情けをかけて親身に話をしたのに、ソフィアから「私は夫に仕えるだけ
ですわ(フフン)」としおらしげに盛大に嫌味を言われる。ひどいよソフィア。
そりゃアンタの夫は美形よ、カッコいいよ、頭いいよ、頼りがいのある素敵な夫だよね。
でも私(エカテリーナ)の夫ピョートルは情けなかったのよ。美形でもないし頭も弱いし・・
夫を倒して帝位についた私への嫌味か!と、私がエカテリーナら、ムカッとしてしまう
ような気がした。ソフィア、いい度胸だ。エカテリーナ、優しすぎ。腹で報復誓ってる?
・ ・いろいろ邪推してしまう場面でした。
あとエカテリーナ二世のドレスが、豪華さが弱い。ロシアの女帝にしては質素な気がした。


というわけで、テーマからストーリー展開から、違和感ありまくりの物語でした。
なんだかな~ホモホモしく感じる私が悪いのかもしれないが、破格の待遇など思うに
見ていて(ストーリーにまで)いろいろ邪念が入ってしまうのでした。
後味よくないし、もー見に行かないわ、この作品。


グランド・ショー
『PHOENIX 宝塚!! ―蘇る愛―』
作・演出/藤井 大介

フェニックスということで、鳥がモチーフ・・という記憶がある。
しかし、藤井作品にしてはセンスない色と衣装だった気がする。もっとお洒落に
洗練されたカラーと衣装を使う方だと思っていたが、なんとなく稲葉作品のような
印象を受けた>色使い(私の感覚)。

歌がいいなって思ったのは、朝夏さんと実咲さん、純矢さんくらい。
メインで歌う中では、凰稀さんは声がマットだし、緒月さんの声は割れて聞きづらい。
音程はお二人とも余り安定しない。その他の方は良くわからないが、「素晴らしい美声」
とかは、居なかったような気がする。そもそもその他の方はあまり歌ってないのかも?
私は全然見分けが付かなかったんですが、若手さんもそれなりに出番がありました。
だけど記憶に残る(あとで調べたい!)という人も特に無く、それどころか、この前
バウで注目したはずの愛月さんすらわからなくて、自分の目と記憶力に自信喪失・・(涙)
月の『コッペリウス』(BYクリスタルの結晶)のような印象に残る場面も特になく。
あ、プロローグ後の「怪盗の場面=凰稀さん七変化」の場面は、記憶に残ってた。

そしてショーでもやはり緒月さんの破格の待遇に絶句する。
素晴らしい美声の歌手とか驚異のダンサー、超絶美形ならまだ納得できるのだが・・。
割を食っていたのが朝夏さんですよね。
私は基本的に、番手無視は大歓迎だけど、それは「適材適所のときに限る」ですよ。
適材適所でもないのに番手無視は、番手順優先の持ち味無視と同じでは・・。
朝夏さんは次期トップなのに、月組でいえば珠城さんくらいの扱いに見えた。
つまりトップとの間に星条さん沙央さん美弥さん凪七さんが挟まってるくらいの。
ということは「緒月さん=星条さん沙央さん美弥さん凪七さん」なんですね。
次期トップなら雪でいえば早霧さんと同じ立場。扱いが全然違うよ・・
コレは完全に私怨だけど、未涼さんの不遇を思ってしまった。ついでに悠未さんも。
なんで他所の組をみて、涙しなければならないのか、自分がわからない(泣笑)
多分、大活躍する緒月さんの姿に、因縁のRSFを思い出したからだろう(トラウマすぎ)


内容について覚えているところ。
プロローグの次の「怪盗カナメールの七変化」。凰稀さんのいろいろな姿はすごいが
一番印象に残っているのが女装(笑)素晴らしい美脚がもう一度見られて嬉しい。
緒月さんの定番刑事姿に、「ルパン3世だったら銭形警部役だな」と思ったこと。
ドレスと燕尾服のなかひとりあの衣装は目立ちますね。また似合うし。
目立ってといえば、カナメールの助手。調べると桜木さん。もっと下級生かと
思いましたが、可愛らしい感じなんですね。
実咲さんのマダムと、寿さんの伯爵がいい味出してましたわ~!
これは適材適所。二人とも上手くて盛り上げてくれました。

次がアラビア風の場面。ここの衣装で中詰めですね。ピンクの鳥の衣装がどうも・・
衣装の色がけばけばしくて、たくさん若手さんが順番にでてきた(大介ショー定番)
だけど、慣れない組なのであわただしくて、誰が誰だか全然判らなかった・・・。

この次の場面が、なつかしい見覚えのある衣装(笑)
雪組『Shining Rhythm』の光と闇の衣装。未涼さんが着ていた闇の王様の衣装は
朝夏さんが着ていた。音月サンが着ていた衣装はなかったか。舞羽さんの衣装は
実咲さんかな。ちょっと豪華になっていた? ありがちな場面ですが、赤い鳥が
出てきて仲裁する場面が、「ファヌン様(by太王四神記)」風で面白かったです。

あとは普通に黒燕尾。まあ定番でした。特に「凰稀さんの退団」という雰囲気は感じず。
しかしラスト、トップコンビのデュエットダンスかな、と思ったら、なんと緒月さんと
凰稀さんのデュエットダンス!? またまた開いた口がふさがらない。
言い訳のように、その後少しだけ朝夏さんと踊る。やっと実咲さん登場。
なんなのこの組・・・? とあまりの異例に拍手も出来ない。だがまだ序の口。
驚いたのが、パレード前に一度幕が下りたこと。「ここで終わり!?まさか!?」と
慌てた。そしたら幕が上がって、エトワール。パレード前になぜ幕を下ろす必要が
あるんだろう・・? 大変画期的だが、あまりの異様にびっくりしてしまった。
そして幕があがったらまた異様な光景。でっかい羽根が2つ真ん中って・・?
トップ娘の実咲さんと、次期トップ2番手朝夏さんが、でかい2番手羽を背負って
ふたりでエトワールって・・いや歌は上手いけど、何が起きたの?どういうこと?と呆然。
そのままパレードが始まり、結局、実咲さんはそのまま降りてこず(昔、花總さんが
エトワールをしたときは、最後にもう一度トップ前に下りてきたから)、
凰稀さんの前(トップ娘役の位置)には緒月さんが降りてきたのであった・・。
コレを見て「宙組トップ娘役は緒月さん」、と念押しされた気分(疲れた)。
穿ちすぎですが、実咲さんが朝夏さんの隣で晴れ晴れと笑っているのを見ると
「ホモの偽装結婚の犠牲になってたの・・?」と同情してしまいそうになりました。
(もう私の頭のなかぐちゃぐちゃだわよ・・)

私、男同志の友情は好きだけど、男同志の愛情は受け付けない。
しかもお芝居のストーリー上の措置ならまだしも、ショーでやられると違和感ありすぎ。
こういうホモホモしいのは好みません・・もう宙組・凰稀&緒月トップコンビには
嫌悪感しか湧いてきませんでした。緒月さんも好きな役者さんだったのに、最後まで
この異例の厚遇に、なんとういか、反感しか感じなかったのが残念です。

なんというか、このコンセプト(男役同志のトップコンビ)が気持ち悪く感じられ、
お芝居もショーも違和感ありまくりで帰ってきました。
今回の作品両方とも、映像になっても多分もう見ないだろうなと思います。
・・・なんで「友情」に見えるようにしておいてくれないんだ~(涙)






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ゆっこ

えりあさん、こんにちは♪
宙組公演、やっと観てきました~。事前にえりあさんのブログを熟読していたので、さほどのショックはありませんでしたが、確かにテーマは何!?という感じでしたね…。悲恋あり、陰謀あり、友との対立や妻とのすれ違いなど、いい素材がいっぱいあるのに、一番心に残ったのが『凰稀さんが美しかった~☆』というのって、なんだか…。

えりあさんも観劇されながら過去の作品を思い出されていたようですが、私も序盤のグスタフ&ヤコブを見て『オスカル&アンドレだ~』と思ってしまい、海戦の場面では『エルアルコンみたい!!ここでマストが折れる!?』などと、勝手に楽しんでいました(^-^;

ショーは、最初の場面で『アパショナード』の瀬奈さんを思い出してしまいました。でも、あの場面は好きです!!(アパショナードも好きでした。ちょっと小林幸子さんを連想しちゃいますが…)

藤井先生のショーは、私も美しくていいな~と思うことが多いのですが、今回はそんなに感じなかったです。でも、怪盗カナメールは楽しかったですね!!凰稀さん、何を着ても似合うし☆(おじいちゃんも!?)今回はお芝居&ショー、どちらのテーマも『凰稀かなめファッションショー』なんじゃないですか~(^-^;)

実咲さんは、美人で歌も上手いしお芝居も上手で、凰稀さんとは美形カップルでお似合いだな~と思っていたのですが、あんまり2人が絡まないんです。がっつり恋人同士だったのは『うたかたの恋』くらいでしょうか?デュエットダンスですら別々に踊っている印象が…。なんだか、2人は仲が悪いの!?と邪推してしまいます。それを隠すために、同期の友情を押し出さざるを得なかった…なーんて、考え過ぎですかねぇ(;^_^A
by ゆっこ (2014-11-29 20:32) 

えりあ

ゆっこさん

こんばんは~感想ありがとうございます。
こんな辛辛な感想を読んで出かけられたとは・・恐縮です。「オスカル&アンドレ」「エルアルコン」そうそう!色々思い出す場面満載でしたね(笑)
そしてズバリな御指摘。今思えば、「お芝居&ショー、どちらのテーマも『凰稀かなめファッションショー』」だったですね~確かにとっても美しかった。王様もショーの七変化も、いろんな凰稀さんを見せてもらって(そこは)大満足でした。遠大なファッションショー・・・。

実咲さんは、私は花組のころから「上手いし綺麗だし歌えるし~」と思っていたのですが、宙組にきてから全然・・で本当に残念だったんです。不仲・・といえば、そうかもですが、私には「友情を重視したいから我慢して」に見えてしまい・・(笑) ・・結局、同じ意味でしょうか(^^;)緒月さんを帰してよ~素敵なオジサマしてもらうから!と思ったもんです。



by えりあ (2014-11-29 21:22) 

泣き虫H

はじめまして。かなめファンですが読みました。こちらの感想は真の宝塚ファンの感想だと思います。

私も両作品を観てガッカリで「こんな作品で辞めてしまうの?」と寝込んじゃいました。

私も緒月さんの組替えはお互いの為にならなかったのではと思います。

それでも、相応な扱いなら良かったんですが。緒月さんは大好きですし。

何故、他の組のような娘役としっかり組む作品をあててもらえなかったのか。

かなめさんの娘役に向ける眼差しがいかに真摯で情熱的で優しいか。 
(七海さんも朝夏さんも話しておりましたし、アムールのデュエダンとか
うたかたでもキャパでも、実咲さんに向ける眼差しはとても優しいです)

実咲さんときちんと組ませていれば、アレコレ言われずに済んだのにと
悔やまれて仕方ありません。

退団公演こそはと一縷の望みを持っていたのですが。

終わりよければ全てよし・・・となればと。

劇団は何故宙組にこんなひどい仕打ちをするのでしょうか。

原田氏も藤井氏も全く解ってませんね。

こんなのは、かなめファンも宙ファンも宝塚ファンも望んでいません。

ラストにして凰稀、緒月に対して嫌悪感を持つ人々がいる・・・
 
とても辛いです。

ドキドキのラブシーンを演じられる数少ない男役だと思うのに、
少女マンガの世界(ベルばらではなく)をリアルに見せることができる無二の男役だと思うのに・・・
そんな作品を本公演でさせなかったのは勿体ないです。

人間臭い役・・・確かに演技に引き込まれますが、やはり宝塚の王道の
ラブストーリーが見たかったです。

悔やまれて残念で立ち直れないかもしれませんが、東京公演は
胸が痛くても、男役『凰稀かなめ』をしっかり未届けたいと思います。

突然のコメントで大変失礼致しました。

by 泣き虫H (2014-12-10 17:05) 

えりあ

泣き虫Hさん

こんばんは。コメントありがとうございます。凰稀さんファンの方にも、やっぱり同じように感じる方がいらっしゃるのですね。宙組を見に行ったら大盛況だったので、そういうのを望んでいるファンが多いのかと思ってました。認識不足でした・・。
本当にお互いのためにならなかった組替えだと思います。一緒の組にしたいなら、雪のままおいていたほうがまだ歯止めが利いたように思うくらい。
そして実咲さん、いい娘役さんだから、凰稀さんとがっつり組んだのを見てみたかったです。私は再演「キャパ」も「うたかた」も見ていないので、本公演だといつも傍いるのは緒月さんで・・。王道少女マンガみたいなのを見てみたかったですね。あれだけ綺麗な人なのに、勿体無かった(と今回の七変化など見て思いました)。お二人とも、雪時代好きだったのに。

どんな役でも、いま気に入らなくても、居なくなってしまうと「たとえあんな舞台でも、舞台を見られるだけ幸せだだったんだなあ・・」と思うものですから(経験より)、心置きなく見送って差し上げて下さい。

by えりあ (2014-12-11 00:16) 

泣き虫H

えりあ様

こちらのブログを拝見して、一気に文章にしてしまいまして、唐突な内容に加え、誤字変換ミスもあってお恥ずかしいです。

そして、お励ましのお言葉・・・ありがとうございます。

『舞台を見られるだけ幸せ』・・・その通りかもしれませんね。

かなめファンですから・・・痛みを抱えつつ見送りたいと思います。

それでは・・・




by 泣き虫H (2014-12-13 16:43) 

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