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宝塚雪組バウ「パルムの僧院」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚雪組バウ「パルムの僧院」
2014年10月25日(土)11時 14列センター


『パルムの僧院』は前々世紀の名作(1830年発表)なのだが、時代背景がわかっていないと、
作品の本質が見えない。主人公に降りかかる苦難を理解するには時代背景が重要で
あるのに、その激動の時代は観客の常識にはないと思われる。なのに劇中の説明が
あまりに少なすぎて分からない。原作が名作であるのは間違いないのだろうが、
作品発表当時と比べ時代の変遷、日本で上演すると言う宗教観の違い、その辺りの補完が
ないと難しい・・と感じた。つまり脚本が作品の本質を表現し切れてないのでは・・と
言うこと。見ていて主人公に降りかかる「苦難」が理解できず、共感しがたいのだ。
2世紀の時を超えて読み継がれる不朽の名作文学であるので、多分根幹の部分には人類
普遍の真理があるはず。枝葉末節ではなく、この普遍の部分を抽出し見せてくれなければ、
作品の良さが理解できずに終わってしまう・・・。原作が持つ「真理」の部分は何か?
それを見極めて、2時間ミュージカル用の物語を紡ぎ直さなければ、全てが壊れてしまう。

なんてことを、改めて感じたのでした。
出演者は良かったです。脇の脇からレベル高いわ~と思う。それぞれの人物がしっかり
造詣できている。主人公に共感はしがたかったけれど、それは演技力不足の所為では
無いんだなあと思うもの(プログラムの解説を読んだ限り、演出家の意図通り演じてる)。
それだけに、惜しいというか勿体無いわ~と思うの。
もっと簡単に共感しやすい、つまり真理を抜き出しやすい原作を採用するか、
真理を伝わりやすく加工(原作乖離)すればよかったのに、と>野口さん。
なぜもともと演劇用でもない原作に拘ったのか?そこんとこ小一時間問い詰めたい(笑)


当然ネタバレ満載です。超長文です。


「パルムの僧院~美しき愛の囚人」
原作 スタンダール 脚本演出 野口幸作



スタンダールの名作「パルムの僧院」。タイトルそのままの上演作品である。
原作は読んでない、また同じ原作を用いた柴田侑宏先生の『情熱のバルセロナ』も
見たことが無い。という状態で見ました。(原作はその後斜めあらすじ読みしました)

これ・・・流されやすいヘタレ青年の失敗物語か?原作からそうなんだろうけどさ。
1幕前半から既に「このバカモン!頭使え!!」という言葉が浮かんで仕方なかった。
つまり主人公ファブリス(彩風)にまったく感情移入できなかったのだ。
ついでに彼に惚れて全てを捧げる二人のヒロイン・ジーナ(大湖)とクレリア(星乃)、
そして文字通り彼に全てを捧げてしまうフェランテ(月城)にも。
そこまでして助ける必要あるん?この男?・・・と思ってしまうのよね~。
さらには「苦難の人生」と言われ「どこが???」と思い、「真実の愛」がなんだか
よく分からないまま終わるに至り、「何が伝えたかったのか???」・・・と、
これはもう全面的に、脚本・演出の所為、大失態だ。

主人公に共感できなくても、周りの人間の「あいつを放っておけない」という気持ちに
共感して感動できる作品もある(例『心中・恋の大和路』――ちょっと贔屓目入りかも)。
しかし、この作品は主人公の比重が大きすぎて、共感できる人物が探せなかった。
強いて言えば、モスカ伯爵(香稜)かな。だけど彼も自分で積極的にファブリスを
救いたいとは思っておらず、大好きな女性(大湖)が救いたいというから手助けしてる
だけ。本来は、フェランテが親友としてきっちり存在感を示し、なぜ命を賭しても
ファブリスを救いたいかを示すことで、観客はフェランテに共感し、ひいてはそのまま
ファヴリスを理解できたかもしれないのに。感動できたかもしれないのに。
フェランテの比重をもっと大きくすべきだったのよ・・・八右衛門くらいの大きさに。
それを、ほんのチョイ役扱い。これが最大の敗因だと感じた。(別に月城さん贔屓では
ないですよ~私。)この作品、2番手が居ない。2番手と感じられる比重の役がなかった。
ヒロインは3人いたけど、逆に重みも3分割になってしまったし。
圧倒的に、主人公だけで語られる物語。補完してあげる人が居ない状態で、共感しがたい
動機で行動をする主人公には、感動できない。「???」が飛び交って終わった。勿体無い。

だが出演者はとても良かった。彩風さんは歌えて台詞がよく通り、心境が分かりやすく、
お芝居も演出家の狙い通り的確で(それに私が共感できなかっただけで)堂々としている。
ほんと破綻ない。ヒロインは美女と可憐と妖艶で(一部耳に厳しいが)目に優しく、
脇を固める方々がこれまた飛び切り上手い。ほんと絶賛したいくらい素晴らしいく上手い。
大公、伯爵、警察長官、伯爵の秘書、侍女、看守、そして飲んだくれDV男。
雪組だから、細部まで見分けが尽くし(笑)。
だから、このメンバー使ってコレか!と野口さんを問い詰めたいのだ(笑)
(ざっとあらすじ読んだだけでも、『情熱のバルセロナ』は上記課題をクリアしてそうだ
からね~さすが柴田先生の脚本というべきか。野口さん、足りん、全然足りんぞ!)


というところで(既に大分書いたけど)個人編。長いよ・・。


ファブリス(彩風)
主人公。6歳のときに家を出された公爵家の次男。以後叔母ジーナに育てられる。
13歳で叔母の勧めにより教会での出世を目指し、19歳でミラノの神学校へ。
主席で卒業して帰国、23歳。それから2~3年間の話だ。
大変、女に弱い。女好きとか女たらしではなく、単に迫られる&頼られると断れない性格。
なので、いけないと判っていてもそのまま受け入れてしまうと言う、厄介な性格。
先のことを考えず、その場の状況に流されやすいともいえる。まあはっきりいってダメ男。
自分でトラブルを招き寄せているかのような・・。

叔母が「可愛い可愛い」と甘やかしすぎたね。「辛く苦難に満ちた一生」とか言ってるが、
「それ全部、自業自得だから」と大声で言ってあげたい。金持ち貴族の家に生まれ、
母は無くとも名門の叔母に愛されて育ち、学校でも優等生で過ごし(頭良さそう)、
容姿も良かったので女に困らずちやほやされ・・・嵌められて陥れられたのも
自己管理が甘いから(その牢獄の中でも、まだ甘っちょろいことを言ってる馬鹿者だが)。
牢獄に連れてこられたときも、自分のことを「公爵」と名乗ってるのが、姑息に感じる。
だって公爵家を継げないから、家を出されて聖職者になろうとしたんやん?
神学校卒業したでしょ?司祭補(だっけ)になりました!とか言ってなかった?
名乗るならそっちじゃないの? 公爵家の人間云々は、ほかの人に言ってもらうべき。
なのに、一番に自分から名乗って・・そりゃあ反発食らうわよ。ま、貴族の誇りもないし、
聖職者としての清廉さも全く無い罪状なので、恥ずかしくていえなかったのかも知れない
けどね(笑)姑息な保身しか感じられないなのよ。>主人公貶めてどうする!?脚本。

彼に降りかかった不幸は、自分のおかれた立場を全く理解せず、他人の思惑を斟酌せず、
考え無しに行動した結果が招いたこと。つまり彼の困難はすべて自分が招いたことですね。
なので私は全く同情できない「苦悩に満ちた人生」でした。・・叔母さん甘やかしすぎよ。
「母の立場」から「息子」の育て方がなってなかったと思う(全然気付いてなかったけど)。
ラスト。3人の女(ジーナ、マリエッタ、クレリア)に去られ、やっと一人になって内省し、
立派な聖職者になったかと見直してたら、「クレリア、一緒に逃げよう」って・・呆然。
おまいさん・・・クレリアはもう人妻。何をたわけたことを言ってるんだ・・3年間、
何を考えてたんだ!?と愕然とし、この大馬鹿者め。全てを捨て巡礼の旅に出て
人生出直ししろ!と脳内で罵倒した。当然の拒絶にあった挙句に(クレリアを褒めたい)、
ショックのあまり僧院に引きこもって、あっさり病死してしまうなんて・・もうね、
なんて情けない男だろうとしか。母ちゃん情けなくて涙もでやしないよ!って心境(?)

この青春時代の馬鹿行動を心の糧にして、立派な聖職者(大司教)になったというなら
まだ見所もあるものを。(原作は戦争やら政争に巻き込まれ、愛する人を亡くしたり
本当に苦難といえるものも結構あるようだ。「結構」だけどね。自業自得も多い。)
ファブリスは私にとって、かなり嫌いなタイプ。性根を叩きなおしてやりたいわ。

と厳しいことを大量に書いてますが、彩風さんは嫌いじゃないのだ。
彩風さんには責任の少ないところで気に入らないファブリスですが、彩風さんの芝居は
良かったと思う。上記の通り、とっても情けない貴族の青年像であり、多分脚本に
描かれている通りのファブリスを再現していたから。(演出家に文句は言いにくいよね)
歌もちゃんと普通に聞けるし、台詞の通りもよく、なかなかの主役っぷりであった。
もうちょっとお痩せになったほうがいいかな~とは思いますし、お顔も全く好みでは
無いんですが、結構好きな役者さんなんです。多分、芝居と歌が私の中の基準ラインを
超えているからだな(←なんて自分勝手な:笑)。


ジーナ・サンセヴェリーナ公爵夫人(大湖)
ヒロインその1.ファブリスの叔母であり育ての親。しかし若く美しく成長した「息子」
を男として愛してしまうと言う「母親代わり」としてはありえない愚挙を行ってしまう。
作品中、権力者からモテモテの色っぽい年増美女だ。当初、母親代わりで息子と
思っているファブリスの出世を願って行動してるかと思いきや、あるときから急に
恋人の様に扱うとは・・ファブリスもそりゃあ戸惑うでしょうね。
(でも拒否しないところが、まったくもう!:怒)
その、母親代わりなのに、息子に迫るところが、ものすごく違和感。というか嫌悪感。
そう言う風に持っていくなら、前半であまり「母」「母」言わないで欲しかった。
(マリーアントワネットも裁判で怒ってたでしょ!この件を疑われて「ありえない」と)。
もともとファブリスが幼い頃から、母だとは思えない年上の憧れの女性、としておいて
欲しかった。年を取ってからも権力者の中年男性からモッテモテだから、品はあっても
色っぽい男好きのする美女なんだと思う。高嶺の花、社交界の女王タイプの。
だからファブリスにとっても、母じゃない憧れの人でいいやんかな~

ジーナの行動は、「母として」なのか「恋人として」なのか、わかりにくかった。
私が見る限り、あの関係を迫った場面以外は、かなり母として納得できる行動に
見えたので、あの場面がなければなあ・・と思う。
「事実」にしないで大公や伯爵の邪推でいいやん。それでも同じ様に話は進むよ。

大湖さん、素晴らしいですね。女役転向大成功。年増美女の役は独壇場じゃないですか。
香稜さんとのラブシーンなんて、「昔、黒燕尾で並んでたのに・・」なんて思い出しては
いけないですが、素晴らしい成長振りに赤面して倒れそうになります。
今回は、上記の通り、「母」か「恋人」かわからなかったんですが、ファブリスを思う
気持ちだけは分かりました。伯爵が上手いからラストシーンの台詞も納得できますが、
本当はもっと、途中から気持ちをチラ見せしておいて欲しかったな~なんて思います。


クレリア(星乃)
監獄管理者コンティ将軍の娘。素直で可愛らしい清純派、思い込みの強い美少女。
ファブリスとは一目惚れですね。何でそこまで彼に傾倒し、彼を愛し抜くのかが
わかりませんが、多分ジュリエットと同じ心境なのだと思っておきました。
健気で可愛い、清純な美少女。そりゃあお父様も大事に大事に育ててきたんでしょう。
だからパルマ1の金持ちで若い美男のクレサンジ公爵との結婚話を大喜びしてもって
来たんだと思いますよ。彼なら娘を大事にして幸せにしてくれると。(その場面が省略
されていた気もしますが。私の中では、奏乃将軍は棟の下で「娘よ」を歌っていた:笑)
結局、最後は賢くクレサンジ公爵と結婚してくれたので、これからの人生、ファブリス
とのことは、「若いころの甘く切ない思い出」として片付け、幸せになってくださいな。

星乃さん、すごく歌が良くなりましたね。
『双曲線上のカルテ』のときは、ねえ・・。相手につられやすいのかもしれませんが。
そうえいば『双曲線』のときも、自分勝手な男に振り回されてたヒロインだったなあ。
ま、今回はクレサンジ公爵が居てくれてよかった>私的に、ほっとする。
もともと可愛らしい方ですが、歌が良くなって大変ヒロインらしくなりました。
今回はジーナとの対比がとても良かったわ。


マリエッタ(桃花)
一座の花形女優。DV夫(婚約者)に嫌気が差して、ちょうどひっかかった貴族の坊ちゃん
を希望の星として、彼と幸せの世界へ逃亡する夢を果たす。大変行動力のある美女だ。
私はマリエッタもファブリスの運命を変えた女性に入れる。これは勝手な話じゃなく、
ラストの3組のダンスにもちゃんと入ってるし、マリエッタがジーナの次にファブリスの
運命を激変させた女性だと思うから。今回はファブリスとは別世界の、過酷なで苦難に
満ちた人生を生きている下層の女で、ファブリスを一筋の光としてすがりつき、そこから
脱けだすことに成功した女性。ファブリスに絡んだ中で、一番賢い女性では?
逃亡した後出てきませんでしたが、心の中でファブリスに感謝しつつ思い出に変え、
別転地で幸せに暮らした・・かな。激動の時代だし、過去を清算したことで、優しい
男と結婚して、平民として下町とか田舎で幸せに暮らせてたらいいなあ。
そういえば、駆け落ちまでした仲なのに、ファブリスは全然マリエッタのことを
思い出しもしなかったな。結構薄情な奴だ・・
ま、マリエッタを永遠にDV夫(婚約者)から開放してあげたのだし、唯一やり遂げた
良いこと・・なのかもしれない。しかし正当防衛とはいえ、聖職者のくせに、自分が
殺した人のことを一度も追悼してないな。それもすごい・・(野口さん、入れ忘れた?)

ところで、なんで「婚約者」なの? 夫でいいやん。人妻との逃亡としてしまうと、
それ自体が犯罪となってファブリス更に減点だから?もう些細なことだわ。
しかし、ファブリスのマリエッタやジレッティに対する態度を見ていると、ものすごい
差別意識を感じるのだ。平民に対する貴族の視点、同じ価値のある人間と思ってない
と言う意識が透けて見える。あの時代の貴族なら当然なのかもしれないけど、
一生を神に仕えるはずの立場なのに、そこも凄く嫌な奴。出世のための司教なのね?
お前に十字架を持つ資格は無い!!と言いたいほどだ。苦難って、神罰じゃないの?
ということで、ジレッティは可哀想だが、マリエッタは幸せになって欲しい。
ファブリスの、作中唯一の善行だから(笑)

桃花さん、歌がすごい上手い。今回女性陣で一番上手かった。
アレだけ踊りながら歌えるとは! お顔も、私は一番好きなタイプの美人。
桃花さんは『ブラックジャック』のヒロイン・ピノコのときに、素晴らしい演技力を
堪能した方ですが、歌も凄く良かったのね。 朝風さんとの鞭を使ったショー場面は
正視してはいけない隠避な雰囲気ですが、目が離せません!状態でした。すごいわ・・!!


モスカ伯爵(香稜)
パルマ公国の総理大臣。大変有能そうな大臣だが、ジーナに惚れてしまい人生を狂わす?
最後はいろいろ手に入れて幸せになれそうなので、良かったよかった。
ジーナに頼まれて・・だけど、ファブリス救出のためにかなり尽力している。
ジーナとファブリスに嫉妬して、ファブリスの目をほかの女に向けようと画策したり
したこともあるけど(妨害ってもその程度だしな)、基本は優しい誠実な人だ。
優秀な部下ブルノ(久城)からの信頼も篤そうだし、良い人間なのだと感じた。
そして、彼はずっと一貫してジーナを愛している。それが判る。ジーナに向ける視線が
暖かいの。だからこそ、最後のジーナの台詞が生きるんだよね~唐突感がなかった。

香稜さん、なに?ものすごくダンディでカッコいいんですが・・。惚れてしまいそうです。
声も良いし、ソロの歌なんて感動もんよ。ちょっと前まで、「楽しいオジサマ」ができる
役者さんだと思ってましたが、「ダンディなおじさま」も範疇なんですね。
私、未涼さんファンだったのでこういうオジサマを繊細に演じられる役者さんは大好き。
今回は微妙に比重が多く、2番手に一番近い位置でした。フェランテ(月城)を大きく
しないなら、モスカ伯爵を大きくして、彼自身がファブリスを助けたくなるような関係を示す
エピソードや絆が欲しかったですね。香稜さんなら出来たはず。
く~中途半端な脚本め。


クレサンジ公爵(永久輝)
パルマ1のお金持ちらしいが、身分違いであろう清純美少女のクレリアに求婚。
愛人ではなくちゃんと結婚しているところから、大変誠実な青年貴族だと思われる。
失態から罷免されたコンティ将軍も、未来の妻の父として厚遇してくれるようだし・・
大変出来た人物ですね。美男だし、クレリアが彼の妻として生きていこう!と思うのも
無理は無い(だからファブリス諦めて開放してあげなよ・・と思ってしまうほど)
まあクレリアはずっとファブリスを愛しているようだけど、それは心の奥に秘めて、
夫と子供と幸せに暮らして欲しい。クレサンジ公爵となら可能だ。
と、それほどいい男に見えました。シチュエーション的に、
パリス(By『ロミオとジュリエット』)に見えたね。父コンティ将軍もジュリエット父にみえるし。
台詞がそのまま一緒なんだもんな~。二人で「結婚しなさい」を歌った後、
コンティ将軍が「娘よ」を歌っても違和感なし(笑)というか、
脳内で見えたわ>ロミジュリのこの場面。

はじめて永久輝さんを意識した。最初、分からなかったの。主要人物はほか全員わかった
のに、クレサンジ公爵だけわからなくて幕間にプログラムを見た。
そういえば、永久輝さんのお芝居をまともに見たのって初めて?と思い至る。
どうしてクレリアが好きなのかが判らなかったけど、誠実に愛しているという
ことはわかりました。クレリアとファブリスのことを知っていても妻に迎えた、
その度量!なかなかのもんだ。・・・もうちょっとこの辺りの複雑な心境を示せる
場面があると良かったなあ~と思いました。次から役がつくのかな。楽しみ。


ジレッティ(朝風)
一座の頭領でマリエッタの婚約者。鞭を振り回すアル中(と思われる)の危険人物。
マリエッタと組んで一座の真ん中で踊っていて、かなりカッコいい。
しかし女(マリエッタ)を所有物扱いして、反抗すると手が出る乱暴者。DV男だ。
その所有物をファブリスに盗まれたから、そりゃ黙っちゃ居ない。追いかけて取り戻す。
ファブリスが甘いのですぐに見つかり、自分の女を取り戻そうとしたところ、
ここで連れ帰られると命に関わると必死になったマリエッタの反撃に合い、
ファブリスに殺されてしまう。あっさり亡くなりましたが、結局彼の死がファブリスの
転落の人生を決定的にしたので、ファブリスにとっては運命を変えた人物ですね。

ワイルドな朝風さん、背が高いし迫力あってカッコいいわ~♪ もともと好きなタイプの
演技派の役者さんですが、すごいわ、ドキドキする。こんなエロいワイルドな朝風さん、
見たの初めて。鞭がしなって音たてて。蹴ったり、乗ったり、縛ったり。
すごいショー入れてきましたね~野口さんてば。


ここまでがフィナーレの(主人公を取り巻く)3組のデュエットダンス・メンバー。


エルネスト4世(一樹)
パルムの領主。パルムってあるけど、パルマ大公といったほうが分かりいいわ。
イタリアなんだかフランスなんだか分からない。そこも重要な時代背景なんだけど、
説明無いしな・・・・。いきなりパルム大公って出てくるだけ。
冒頭、フェランテが説明してくれるけど、人治政治と言うか独裁と言うか、よーするに
気分次第で裁判結果を決めるほど、好き勝手されているようですね。
なのに気に入った女一人モノにできない。なぜ?意外とオクテなの?(笑)
最後のほうは、もうジーナはどーでも良くなって、象徴であるファブリスを苦しめる
ことが目的になってたような気もしますが・・でもファブリスに拘りすぎた所為で、
革命起こされてしまいました。大した罪じゃないファブリスを死刑にしようなんて
私怨の判決をしていたから、それが革命の切っ掛けになってしまったんですね。
あっさりした最後でした。

一樹さんのソロがあった!嬉しいわ。一樹さんは歌も素敵だから。
本当に素敵な狸オヤジなオジサマだ。今回、大活躍でしたね。


警察長官ラッシ(帆風)
パルマ大公の腹心。総理の座を狙って暗躍する腹黒い小物。って感じかしらん。
パルマ大公に近すぎたため、一緒に抹殺されてしまいました。せっかく一瞬、
権力を手にしたのにね・・残念でした。
パルマ大公の意向を受けて、いろいろと対ファブリスで暗躍します。
もともとファブリス自体には何の恨みも無い、関係のない人物。
しかしながら上司の意向を受け、看守ブリロを使い、ファブリスを毒殺しようとしますが、
なぜか筒抜け(笑)。やっぱりこの国だめじゃん・・と思う場面なのでした。
有能なんだか無能なんだか、腹黒い謀略の人なのかトボけた賢い人なのか・・。
いろんな意味で、二面性のある人物でした。

帆風さんが、「あんな誠実そうな顔して、実は・・?」な悪役。はじめてみたわ。
この方もすごい演技派なんですが、段々と物語が進むに連れ本性を現していくような役は
はじめてみたので、ちょっと驚いた。やっぱり上手いわ~


コンティ将軍(奏乃)
牢獄の責任者。クレリアの父。大変な小物。でも娘想いの良い父親・・なんですよね。
婿殿になるクレサンジ公爵にはベリーフレンドリー。素晴らしい婿を見つけてきたのに、
娘がしょーもない男に引っかかって・・もともとどっちも身分違いっぽいですが、
ファブリスは聖職者なんだから、結婚なんて最初から無理!親としては許せないでしょ。
いろいろ娘の幸せ考えて、誠実な金持ち美形のイイ男を連れてきたのに。拒否だと!?
そりゃひっぱたきたくもなるね。と、ここで「娘よ」(By『ロミオとジュリエット』)が
脳内に聞こえて来たのでした(笑)。実際、奏乃さんにも歌ってほしかったな。
今回歌がなかった。勿体無い。出番も若干少なめだったし。私、この安定した頼り甲斐の
あるタイプのオジサマも好きなのよ~(オジサマだけが好きなわけじゃないよ)
今回初組長公演だから、お忙しかったのかしら。


侍女キキーナ(早花)
ジーナの侍女。モスカ伯爵のスパイも兼任? 弱み握られて脅されてたみたいですね。
どうにも伯爵の秘書ブルノ氏って有能・・と思える場面でした。
折々に出てくるのですが、彼女も老けない。主人のジーナも老けないので、「この家では
何を食べてるの?不老長寿の秘訣は?」と問い詰めたいわ>キキーナさん。
御主人さまの情報を流してましたが、脅されて仕方なく・・であり、奥様に直接の被害が
及ぶようなことがないよう気を使ってた風にも感じる。いろいろ言っても、奥様のことを
大切に思っている様子は感じられた。


ブルノ(久城)
モスカ伯爵の腹心の部下。参謀。とても誠実でとっても有能。任務のためなら脅迫でも
変装でも、潜入調査でも、因果を含めた踊り子の手配も、危険薬物入手でも一服もるのも、
何でもやってこなす、素晴らしき能吏。
モスカ伯爵のために、指示を仰ぐだけではなく、策も献じてて、自ら実行もする。
すごい有能なの。それでいて、無害そうな笑顔を見せて平凡な人物を装ってる。
ある意味恐ろしい人物。(超有能なスパイって、普段は平凡なんだってさ)
この作品、【パルマ大公&ラッシ VS モスカ伯爵&ブルノ】の戦いだったように見えた。
結果はモスカ・ブルノ組の圧勝でしたな。
ブルノ、控えめに見せてなんて有能なんだ・・凄腕エージェントみたいだぞ。

久城さん、声がいいねえ。前から思ってたけど、未涼さんを思い出させれくれる声だわ。。。
台詞の声も明瞭で、心情が読み取りやすくて大好きだが、フィナーレの影ソロ、
素晴らしかった!!今後の雪組公演で、もっともっと歌の場面を担っていただきたい
貴重な人材だ。(そう私が聞きたいのよ、あの声であの歌を)あ、お顔も結構好みです。


フェランテ(月城)
独立運動のリーダー。プログラムを見ると自由主義の詩人とある。詩人か・・。
で、ファブリスの友人。あんだけで友人???というエピソードしかない。
もっとちゃんと描いて欲しい。上にも書いたけど、重要人物なのにさ。
どんだけ弾圧されてて、どんだけ革命の炎が迫ってて、そしてファブリスがどうやって
起爆剤になるのか。それは全部フェランテにかかってる。なのに場面が無い。
「ファブリスの死刑をやめさせるために、民衆と革命を起こす!」なんて言われたら
「えええ!?何その理屈?!」となるわ。ちゃんと無実の罪で処刑される若者を救う
ことが、革命の切っ掛けになる=市民が立ち上がりやすい事件、だって言わなくちゃ~。
フェランテの出番が少なすぎるのよ。これだけ役割があるんだから、ジーナに密かに
恋しているなんて設定はいらん。全くの蛇足にしか思えない。ジーナの気を引きたさに
ファブリスを救う=革命を起こす、という恋に狂った馬鹿男に見えたらどうすんのよ。
幸い見えなかったけど。出番はきちんと役割を果たすほうに増やして欲しい。
アレだけ頑張って革命引っ張ってきたのに、あんなあっさりした最期・・(涙)
フェランテ、もっともっと重要人物だよ・・・。

壮さん、ここに居たのね!!と、パルマの町の冒頭場面で思った。
お化粧のせいか、そっくりやん。生き写しといっていいのでは(大げさ)。
フェランテが真ん中で民衆を率いていると、お顔の所為で主役に見えてしまう・・。
トップスターとして見慣れた顔だもん。ちょっと若返って戻ってきたのね(涙)
なんて思ってしまいました。
月城さんは美形の上、声も通るし、歌も歌える。真ん中の人に見えるわ~
今回の2番手にしても良いと思うのよ。もっと活躍させて欲しい>月城フェランテ。


ヴィオレッタ(愛)
劇場の女主人? 客引き? よくわからんが、ブルノの人脈に連なる人。
ブルノの情報提供者の一人なのかもしれない。伯爵の簡単な希望のため、
ヴィオレッタに頼み、ファブリスをSMクラブへ案内させて、あっさりと思い通りに。
(やっぱりブルノ、恐ろしい人物。人物眼といい、他人の心理読みといい・・)
豪快な女性でしたね。女主人かと思ったら、マリエッタのDV夫には遠慮してるし。
歌がありました、愛さんの歌はいいですね♪ ちょっとマダム・ヴォルフ?


看守グリロ(桜路)
ファブリスの牢番。クレリアお嬢様に使われて、二人のメッセンジャーを勤めている。
警察長官ラッシに弱みを握られ、暗殺を強要される。少々足が不自由そうで、それが
後天性っぽく、なかなかの苦労人に見える。この辺りのお芝居、かなりリアリティ。
ファブリスも好きだし、お嬢様も好きだし、でもラッシの言うことを聞かなければ
自身が破滅するし・・という板ばさみの心理状態が見えてきてました。
最初誰だか分からなかった。桜路さんのお芝居もしっかり見たのははじめてかも。
なかなかいいですね♪


サイア(花瑛)
クレリアの侍女。ファブリスのことも応援してたけど、特にお嬢様に何かを言うわけ
ではなく、乳母よりも弱い立場。わりと冷静。クレサンジ公爵家にも付いていって
いるようだし、信頼は厚い。多分、父コンティ将軍の信頼が厚いのだと思う。


少年ファブリス(陽向)
13歳役で出てくる。最初はジーナのことを「おばさま」と呼んでいる。
この場面でジーナが「おばさまじゃなく、名前で呼んで」と言うのだが、
後の場面を考えると、ここでジーナとファブリスの将来を予測させる雰囲気を
入れるかどうか?という重大局面に見えるの場面と思うんだけど。
だけど、あっさり流れた。
大湖ジーナと陽向ファブリスは、「私まだ若いんだからおばさん言うな」
「(よくわからんけど)はい」で終わったような。
ここでタメというか、葛藤というか、心理的な何かがあると、次に繋がるんだけど、
全然ないように感じる。なんとも健全。だから余計に後の展開に嫌悪感がある。

またジーナが「軍人より、司教よ!」と将来を勧めるのも、なんか息子の進学先を決める
母親みたいだしさ。(本人のやりたいことより、安全・安心・安定を重視)
ニュアンス的に「(例)やっぱり将来性あるのは文系より理系よ。偏差値いいから医学部に
したらどうかしら?お父様は将来お兄さんが継ぐ会社を手伝うために経営学部って
いってるそうだけど、やっぱ手に職、医者よ、将来お医者さんになって、ママが病気に
なったとき治してくれたら、嬉しいのになあ」とか言って誘導してるみたいな感じ。
(上記はニュアンスね:笑←ただの教育熱心なママやんな、中学受験に多そうな)。
それに個人的には、そういう理由で、就職先の一つを決めるように聖職者の道を
選んで欲しくないなあと・・(時代的に仕方ないの?)もう少し使命感と言うか、
信仰心と言うか、圧政下で苦しむ民衆の心を救済するとか、そういうニュアンスで
聖職者の道を選んで欲しかった。(勧めて欲しかった)
ラストシーンで、真実の愛は神への愛、人類愛を指しているように思えたのだけど、
だからこそラストはここ(起点)に帰ってくるように思えたので。
(脚本の意図と原作は知らんけどね。)
ほんの少しの出番だけど、かなり大事な役だと思ったわ>少年ファブリス。


こんなところかな。雪組は脇の脇まで人物を作ってくる人が多いから、ついいろいろと
語りたくなるわ。(まあ私が見慣れてるから、読み取りやすいってのもあるでしょう)

ファブリスは共感できないし、ストーリー的には、原作の核をなす「真理」部分が、
すっぽり抜け落ちており、原作の筋を追うだけ、設定利用だけ、という作品だった。
たとえキリスト教的な背景からなる「真理」であっても、それをきちんと理解し消化し、
描き出すことを目指していれば、ファブリスの対応つまり心理変化=成長も
場面場面に見え、ラストシーンの「真理」へ至ることに、観客はカタルシスを
得られるのではないかと思うのだわ。
本作のファブリスは最初から最期まで全く成長していない。彼との出来事を通じて
人間的に成長したのはクレリア、そしてジーナだな。

野口さんの作品を見たのは初めてだったが、もう脚本書かないで欲しい人だ。
あの原作からこの作品を作る人だから、オリジナルも期待薄。
原作モノを使うの必須だけど、判りやすい漫画とかを使ったほうがいいと思う。


読み返すと、ものっすごい長文になってしまいました。
しかもほとんど野口さんあて(笑)私も熱いな(大笑)


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コメント 2

hanihani

そうなのそうなの。

あの説得力無い話を盛り上げて良い作品に仕上げた柴田先生に1票って感じです。
野口先生、昔の作品をもっと沢山みて勉強しろっ!

最近「伯爵令嬢」が意外に大好評連日立ち見とかで、大変なことになってるのですが
それもこれもあの臭い芝居とセリフとでニヤニヤさせて、
豪華な衣装とハッピーエンドで終わったら幸せな気持ちにさせてくれるからですよ。
昭和の宝塚って結構こんな感じの作品も多くて、そこに文芸作品の柴田先生がぐぐいっと食い込んでいたんですよ。
「野口、反省しろっ!」こつん
でも先生もれいこちゃんの浅黒い精悍さにはうっとりだったそうですよ。
もっと開襟希望してれいこちゃんに「はぁ~っ!?」と言われていたそうです(笑)

主演二人がかなり頑張ってたけど、脚本が難ありで
そこに2番手がすごく良い芝居できるのに、あの程度のくくりで
ほんとイライラしました。これなら「情熱のバルセロナ」をそのままやってくれと。
なんかスカステで放送があるらしいので、どうかあれをみて。
そうすると、侯爵夫人になぜ泥棒さんがこだわるのか判るよ♪

あすちゃんは影ソロもいいし、ほんとまっつがいなくなった後の歌を背負ってくれてるなぁ。
愛すみれちゃんとデュエットもいいですよね(フィナーレダンスの陰)
芝居も的確だし、大好きです。

れいこちゃんは壮さんのそっくりさんなんですよね、昔から。
今回押し出しがよくなって、センターで皆のリーダーで歌い踊っても
良い感じでしたね。だからこそあっさり咲奈代理で死ぬのが悔やまれる。
もっときちんと話をかいてよ(野口先生への怒り)

あとがおり、素敵な美中年でしたね。
バルセロナでもゆみこさんがこの役でほんと良かったわぁ~★

楽近くにみるけど、多少進歩してくることを信じてます。
あ!初組長挨拶はとても良かったので、スカイステージを忘れずにチェックしてね(笑)


by hanihani (2014-10-27 13:29) 

えりあ

hanihaniさん

詳しくありがとうございます。「情熱のバルセロナ」見てみますね。
私が雪組を離れていていた時代は見てないし、録画もしてなくて・・。

野口さん、原作の宝塚化がよく判ってないのかしら・・?
脚本もダメダメだけど、演出や効果もそんなに素晴らしいと思わなかった
ので(ぼろくそやね)もいっかい1から宝塚を見直して欲しいですね。
しばらく少女マンガ(昔の王道モノ)を読み漁ることをおススメするわ。

スカステは録画してあるので、組長挨拶みます!
週明けまだチェックできてない~
by えりあ (2014-10-27 20:24) 

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